備忘の都 2001 −NOVEMBER〜DECEMBER −  ◆

運動も出来なかったここのところ、夜やすむ前に
ヒーリング治療勉強中の息子の実験台を志願していました。
30分〜60分静かな波の音楽の中、息子の手の中に
身を委ねるのは、不思議な感覚です。
老人になって介護されているイメージと、
まるで息子の子供になったような
胎内回帰にも似た、 幸福感。

子供が大きくなるとスキンシップなんてまるでなくなる日常。
あんなに毎日抱き締めて、キスしていたのに。

こんな形でも親子が触れ合うのはいいもんだなぁと、
治療と相乗効果の穏やかな心持ちが、
優しく眠りを誘ってくれます。

根岸季衣「秋風(2001年10月19日)」


236.訃報を聞く237.出口なし!238.ウィルス天国
239.クループ襲来240.幼児が金子ゴジラを愉しく観る方法

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 236.訃報を聞く

2001/11/27(Tu)

夜、とんくんから電話がかかってきて、月曜日(昨日だ)に高校時代の友人が亡くなった事を知らされる。
死因はよく分からないけど、突然死だったらしいとの事。突然すぎて、ぐうの音も出なかった。
こないだ、この日記に最近、身の周りで同世代のひとが立て続けに亡くなって気分が塞ぐと書いたばかりなのに。
彼は中学・高校と同級で、卒業後、長らく音沙汰が無かったが、去年だったか、やっさんのサイトにメールをくれて消息が分かった。
大阪で独立して頑張っていると聞いて喜んでたんだけどなあ。
奥さんやお子さんもいるらしいので、尚更に切ない。さぞかし無念だったと思うんだよ。
とりあえず、通夜だか葬儀だかに顔を出すというとんくんに香典をお願いする。

記憶の中の彼は、いつまでも詰襟をはだけて赤いTシャツを覗かせていた。
典型的なスポーツマンタイプで実際、後輩の女の子によくもてた。
でも、それはもう15年も昔の話で、そんな彼が突然死したと聞かされて、何だか立ち往生している気分だ。




 237.出口なし!

2001/12/1(Sa)

こう毎日毎日、WORM_BADTRANS.B付のウィルスメールが何通も来るとうんざりするです。
もうそろそろ学習してもいい時期なんでは? 家でメールを取る度に鬱陶しい事この上ない。
昨日は会社に、ある紙加工メーカーの営業さんから久しぶりに電話が来たかと思えば「すみません、ウィルス飛ばしちゃいました」。
実際は、会社のメールサーバー側で塞き止めたらしく、届いてはいなかったけど、話を聞く限りではBADTRANSであった。

午前中は会社、山本美絵「ジオラマチ」を買って14時過ぎに帰宅。
15時頃、遅い昼食をとろうとテレビをつけたら、雅子さま、出産のニュース。14時40分頃だったとか。
其処からETVとテレ東系(競馬中継)を除く全放送局が、新内親王ご生誕報道一色で、たいそう薄気味悪い事である。
思わず、昭和天皇の崩御の日を思い出してしまった。そりゃ今まで戦争の話ばっかだったし、おそらく経済効果も見込めるし、各メディアが血道を上げるのも分からんではないが、何も内親王を取り上げた産婦人科医のリーダーがファンクラブに入っている程のユーミン・ファンである事をあげつらったり、別の女医さんの高校時代のブルマー姿の写真を全国ネットの電波に乗せる必要が何処にあるというのだ?
おめでたければ、それにまつわる人々のプライバシーはどうだっていいのか?
あと、やたら「女のお子様」を連呼するのもどうかと思うぞ。
最初の報道はともかくとしても、何かにつけ「女の」をつけるのは、ある種のセクハラではないか。
本当におめでたがっているんだか、実は憂えているんだか、テレビ局の品性を疑う。



夜、ビデオラックを漁っていたら、結婚以来、見つけられずにいたPARCOプロデュース公演「出口なし!(1994)」が出てきた。
5年振りくらいなので、つい観てしまう。これって唐沢さんの舞台初主演作だったのね(番組冒頭で本人がそう解説している)。到ってロジカルなサイコ・サスペンスなんだが、勿論コメディとしての側面も際立っている。多重人格とスネークホール・セラピー(患者を蛇の穴に追い込む、即ち危険にさらす事で治療を試みる、一種のショック療法)、というお膳立てで、物語冒頭と後半で人物関係図を180度書き換えてしまうウルトラCの妙味。実は三谷さんが志向する勘違い型コメディと同様の手法でもあるんだけど、隠してあった秘密が明かされると同時に登場人物の全てが今までと違う顔を見せるくだりは、何度観ても鳥肌が立つ。眠っていて後半30分しか観なかった奥さんも面白かったそうだが、何と勿体無い。
ガジェットとしてのエアシューター(送気管)の使い方もいい。肩透かしのテクはコメディそのもの。

再演でも全然OKって感じですね。それまではこのビデオテープ、大切にしなきゃ。
あと、益岡さんには是非、三谷組への復帰をお願いしたい。神宮先生、いい人過ぎて僕らを泣かせ過ぎ(笑)。

今日までの読書:宮本輝「森のなかの海(下)」(光文社):上巻から5ヶ月も空いてしまった…。



 238.ウィルス天国

2001/12/7(Fr)

ついに井沢先生からも、WORM_BADTRANS.Bが来たる。ある意味光栄な事かも(笑)。
ご自分の税理士の方からのメールで、申告直後だったので、つい関連書類と間違われたとの事。
すぐに「開けないで!」メールを送って来られた。
武田鉄矢公認ページのチニタさんちからは数日前、nimda添付メールが届いたけど、連絡がないという事は感染に気付いていないのか。
チニタさんって気付いたらすぐに謝罪されるひとだし。
という訳で、恐くてあれからくだんのサイトには顔を出していない(って、メールで指摘しとかなくていいのか → 俺)。

斯く云う私も、先日会社で「森口瑶子」でネット検索をした折にnimdaにヒット。
いや、そのう、週末ビデオで「出口なし!」を観返した折に近頃の彼女の動向が気になったもので…。
ウィルスバスターがnimdaを捕捉した後「管理者に通知されました」のメッセージ。
僕が驚愕するいとまも与えず、技術のMさんが飛んできて僕の肩を叩くなり小声で「森口瑶子」。思わず、

「決してアダルトのひとじゃないんです」

と自己防衛本能から反射的に口走ったのは確かに駄目なワタクシです。
ああ、恥ずかちいったらありゃしない。
技術メンバーには携帯経由で感染時に自動で連絡が行く仕組みになっているらしく、実際、お昼ちょい前だったのだが(勤務時間帯というのがまた何とも)当時、千葉に出張していた2人の携帯にも僕の名前と森口瑶子(../morigutiyouko.html)が届いたらしい。
これを見たT君は上司であるOさんにまず、

「で、どっちサイドのひとなんですか、この森口某は」

と訊ねたらしい。結局、皆んな興味は其処に集約されるんかい(ま、されるか)。
Oさんは行きがかり上、T君に森口瑶子が普通の女優である事と、かつてどんなドラマに出ていたかを説明してくれたらしい。
全くOさんがマニアックなひと(本来はホラームービー系のひとだった筈である)で助かった(んだかどうだか)。
少なくとも、暫くは会う毎に「森口」だの「瑶子」だの挨拶される事だけは覚悟せねばなるまい。nimdaのばかァ…。

ちなみに我が家ではOutlookを使用していますが、メール受信時はレイアウトでプレビュー機能を殺しております。
勿論、ウィルスバスターは2002を使用しております。




 239.クループ襲来

2001/12/15(Sa)

年末進行(謎)というので、土曜だというのに出勤。
金子ゴジラ鑑賞も明日になりそうだ。もう白目剥いちゃうから(ゴジラに敬意を表して)。

それはそうと、出社して早々(8:56)奥さんからメール。
subjectが「悠都病気」と全くもって穏やかではない。

「吐いた
 ずっと泣いてる
 熱でてきた
 1030になったら合屋いきます」

ウチの息子の寝相が悪いのはいつもの事だが、そう云えば、今朝蒲団から飛び出てお尻を掲げて眠っている足首を握ったら凄く熱かった。手と頭は冷たかったので気にしなかったが、あの熱さは尋常じゃなかったかもしれない。
昼前に再びメール。

「クループだって
 市立八幡病院にいまからいきます」

「クループ」と云われても今ひとつぴんと来ないけど、救急施設のある病院に行くからには、結構一大事に相違ない。

ひとまず「クループ」で検索すると、咽頭炎症候群とある。
原因はいくつか考えられるものの、声帯周辺が腫れ上がって気道を塞ぐ状態をいうらしい。よく子供がビー玉飲んで喉詰まらせて云々というのがあるが、炎症であれと同じ状態になるのだそうだ。乳幼児がよくかかる病気で、症状がひどいと息が吸えなくて窒息してしまうというから油断ならない。子供の病気の定石通り、昼間どんなに小康を保っても夜間急激に悪化するので、場合によっては救急車を呼んでも構わん、などと書かれてるのを読んで怖気を振るう。しかもこういう日に限って20時まで勤務だったりするし。

結局、妻子は15時過ぎに病院に着いたらしく、

「看護婦さんを見たら途端に機嫌が良くなってジュースをゴクゴク飲み始めたので
 点滴も入院も今のところ必要ないとのこと。」

なる、のどかなメールが届いてひとまず安心する。
その後、帰宅したらしく「悠都はだいぶ気分がよくなったのかパンを食べて野菜ジュースを飲んでグーチョコランタンを見て踊っています。」などというメールが夕方届くが、クループは夜が怖いと植え付けられた故、素直に安堵出来ない。



20時半、一旦帰宅して玄関でポリ容器を受け取るなり、そのままガソリンスタンドに取って返し、灯油を購入した後、U−BOOKに行って、本やタウンで注文した桂文治「十代文治 噺家のかたち」(うなぎ書房)を回収、それからポプラでおでんとモンブランの買出しと、各地おつかい巡りに勤しむ(ポプラの店員は皆サンタクロースの扮装であった)。

悠都はもんたよしのりのような声になっていた。
それなりに元気ではあるが、テンションは3割減(当社比)。
ちょっと心配な一夜になりそうである。




 240.幼児が金子ゴジラを愉しく観る方法

2001/12/16(Su)

村松克己さん逝去。胃がんで享年62歳。
村松さんと云うと黒テントの創立メンバーとして有名だが、僕にとっては映画版「12人の優しい日本人」で、頭の回転が早くて不遜な歯医者を演じて、西村雅彦念願の映画出演の夢を打ち砕いたひとである。そのあと中原作品には「Lie Lie Lie」にもちょこっと出ていたり。近年では「リング」の松嶋菜々子の気の毒なお父さん役とか。あと、カローラを夫婦して買いに来るおだやかな初老の紳士のCM(奥さん役は草村礼子)は去年だったか一昨年だったか。9月まで現役で舞台に立たれていたとか。まだ失うには惜しい役者さんであった。
この年末は「12人の優しい日本人」を再鑑賞して、かの人の冥福を祈らねば。合掌。



悠都は結局朝方に一度起きただけで、ぐっすり(でもないかもしれないが)眠ってくれた。
ただ、苦しそうな寝息を立てる度に夫婦して目を覚ましていたので、ふたりして寝不足で頭痛気味。

それでも、此処を先途と中間にて朝イチで金子ゴジラ(世間では「GMK」と呼称している)
世間で物議をかもしているようにこの映画は「とっとこハム太郎」との二本立てで、大きいお友達がゴジラを楽しむための最初の難関がこの「とっとこ」を観る事で、小さいお友達が「ハム太郎」を楽しむための難関が、あとで「ゴジラ」がついてくる事なのである。
はっきり云ってこの組み合わせは「ゴジラ」を子供映画と位置付けた東宝首脳部の甘さ加減が露呈した以外の何者でもないのだが、気の毒なのは大きなお友達と小さなお友達のカップル(つまり親子ね)である。双方、相反した利害の上に成り立ったプログラム・ピクチャーであると云っていい。

以下は、僕の隣に座っていた4歳くらいの女の子とおかあさんの闘い
因みにこのおかあさんがとりたてて怪獣映画ファンという訳でもないらしい。

「おかあさん、もう帰りたい」(「とっとこ」上映後の休憩では5歳以下の幼児が異口同音で大合唱していた・笑)
「(慌てて)もうちょっと観てみようよ」
「だって怖いもん」
「怖くない怖くない。(娘を抱き上げて)じゃ始まって怖かったら帰ろ。ね」
「うー、分かった」

それから上映開始まで「とっとこ」のパンフを読んであげるおかあさん。
つりこまれる娘。秀逸なテクである。
ゴジラ上映15分後。

「おかあさん、帰りたい」
「うーん、それじゃこうしよう。ゆみちゃん、ゴジラのパンフレット欲しくない?」
「(暫く考えて)ゆみ、ゴジラのパンフレットも欲しい」
「でしょでしょ。じゃあゴジラを最后まで観たらゴジラのパンフレットも買ってあげる」
と云い乍ら、膝に乗せた娘を抱く腕の力を強めるおかあさん。
「うー、じゃあ観る」と子供がモノに弱いのはいずこも同じ。

それからはおかあさんの涙ぐましいまでのゴジラ・コメンタリーが上映の間中続いた。
しかしおかあさんの話術と牽引力と訴求力とで、ゆみちゃんは「赤い怪獣(バラゴン)」は「ちっちゃくて」「かわいかった」為に、「こっちの怪獣はかわいいね」を連呼する程度にはファンになり、映画の最后の方では「ゴジラも結構面白いね」を連呼するまでに懐柔された。

けどね、ゆみちゃん、それは違う。
面白いのは「ゴジラ」ではなくて、おかあさんのコメンタリーなのだ。
実は傍で聞いてた大きいお友達も面白かったくらいだ(大きいお友達には「ゴジラ」本体も面白かった)。
爆発の度に人影が吹っ飛ぶのも、数々の怪獣災害もおかあさんの声援が全部「無かった」事にしただけなんだよ。
本当は怖くて禍々しくて厳しい現実と諦観が広がる怪獣極右映画なのを、おかあさんが無毒化してしまったんだ。

いつだって母は偉大である。
僕らはそれを決して忘れてはいけない。



帰宅後、悠都の調子が悪いというので、八幡市立病院へ。
でも待合室に来た途端、何事もなかったように元気を取り戻し、色んなひとにしなをつくる。
こいつは自分が病気だという自覚がまるでない。周囲が可愛がってくれるのがせめてもの救いである。

簡単な診察のあと(症状の悪化が認められない)、きゃつを羽交い絞めにして、薬品吸入をする。
悠都は30分くらいの間、ずっとじたばたともがいて泣きじゃっくていた。点滴と違ってそんなに苦しいとも思えないのだが、人一倍自由を奪われる事を嫌う息子には、余程耐え難い苦痛なのらしい。ひょっとして昨夜より苦しがっていないか。羽交い絞めしている自分が悪人になったような気さえした。

しかし、そんな薬石も効なく悠都は夜中、幾度となく自分の咳で起きて泣き出すのだった。
親としてはかなり胸が痛む。かわいそうで眠れずに寝不足も募る。

今日観た映画:「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001・日)」


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