備忘の都 2002 JANUARY
最新の日記へ
恭賀新年 / 心の時代 / 航時機 / 映画初め / 日本兵捕虜は何をしゃべったか
山本美絵 vs さだまさし / 三谷幸喜のありふれた生活 / デコポン羊羹、あらわる
ウワサのメール / 噺家のかたち / 撃つな、ヘストン / キンタマーニの美味しい珈琲
ラヂオの時間の時間は村の時間の時間に似ている / 海老、買って来い / 会長への道
恭賀新年
2002/1/1(Tu)
34回目の誕生日。よもや竜馬の享年を越えてしまうとは。
あと10年周期で訪れる、四捨五入すると9つ違いの妹たちと同じ歳になる貴重な年でもある。
目が覚めたのは8時過ぎくらい。朝は雑煮のあとにバースデーケーキをおめざ代わりに戴く。
ちゃんとカーテンをしめて部屋を暗くしてから蝋燭の火を消す。悠都が大喜びする。
奥さん会心の作だそうで(と毎年云っている)確かにスポンジ部分のしっとり感が向上している。
何より、毎年、年末の慌しい時期にケーキを焼いてくれる、その心根が嬉しい。
届いた年賀状をチェックして、出していないひとの分を即行で印刷する。いただいた賀状を眺めつつ、今年の賀状のコメントを省いたのが今更乍ら心苦しくなるが、追加分も心を鬼にして(何故鬼にする必要が…)コメントは書かずに投函したのでごめんなさい。来年はもっと頑張ります。
昼から福岡の両親宅へ。夕方まで過ごす。孫の顔こそが無敵の親孝行である。年末から飛躍的に持ち芸も増えたし。
帰宅後、春先に挙式を控えてすっかり桃色モードのあめんさんから新年の挨拶の電話を貰う。
尤も桃色モードの割には、新婚旅行に関して余りにも無関心(というか棚上げ状態)だったので(挙式披露宴の計画は着々と進んでいるのに、である)、先輩にも拘らず喝を入れて差し上げる(これこれ)。やはり「あれだけ」Sさんにゾッコンなのだから、新婚旅行くらい新郎からイニシアチブを取るのが愛の証しである、などとしゃらくさい事を語って聞かせた僕の旅行費用は何を隠そう、全部嫁さん持ちであった(これこれこれ。…ま、尤も借金してでも「旅行にだけは」行く気でいたのも事実)。けど、里帰り以外の長期旅行なんて今後の人生でそう何度もチャンスがあるものでもないので、此処は無理をしてでもSさんと旅行なさい、などとくどくど申し立てる。あめんさんもちょこっと年始の挨拶をするつもりがとんだ災難である(しかも此処でしっかりバラされてるし)。
心の時代
2002/1/2(We)
昨日とは打って変わって曇ったり吹雪いたりの一日。
年賀状の配達も新聞もお休みだし、心行くまで寝正月を決め込む事にする。
さだまさし「心の時代」(サンマーク文庫) 読了。
佳い本だとは思ったけれど、大半は過去ネタの虫干しという感が否めない(ハードカバーは98年刊行)。
事務所の露出させすぎ、仕事させすぎが悪いんだけど(そういう意味では熱狂的なファンも共犯者と云える)。
このひとはもっともっと天岩戸に籠ってもいいのではないか。コンサートも3分の1程度に減らし(それでも充分多いのだ)、仕事を新人アーティストのプロデュース業に半分くらいシフトさせて、私生活を今よりも5割増しで謎のベールに包んであげないと、一旦磨り減ってしまった「さだまさし」を肥やし、今まで僕らが体験したことのない彼独自の視点に、新鮮な切り口に、もはや二度と出会えなくなると、そういう危惧を抱いている。
楽曲の多産が悪いとは云わない。
名作と呼ばれる幾つかは、脂の乗ったアーティストの量産体制の中から生まれてきたのもまた事実。
でも、もはや壮年に達しようとしている「さだまさし」をもっと大切に扱わないと、僕らはひどく勿体無い使い方、味わい方をしたんじゃないいかと後年きっと後悔する事になる。実際、この10年でさだまさしの歌からは「より」フィクションとしての物語性が失われ、同じモチーフを語るにしても同じ表現、作劇が繰り返されるようになってきた。思い出してみれば「夢の轍」や「夢回帰線」はいつもより長いインターバルを置いて生まれたアルバムであった。寝かせれば間違いなく寝かせただけのものが出てくるのである。
今年も引き続き馬車馬のように働くそうなので、それだけが気がかりでならない。
(昨年から今年にかけてアルバムのリリースを三度延期したのはむしろ英断だったと思う)
夕方から夜にかけてテレ東の半日時代劇「壬生義士伝」 をつい最后まで観てしまう。
やっぱり渡辺謙は絵になる役者である。キャストも文句無しだったし、浅田さんも幸運なドラマ化でしたね。
本日の読了:1.さだまさし「心の時代」(サンマーク文庫)
航時機
2002/1/3(Th)
朝、元旦に観損ねたNHK教育「ドラマ愛の詩スペシャル『キテレツ』」 の再放送を期待せずに観て、念を押すように失望する(おいおい)。とりわけタイムパラドックスの扱いが酸鼻を極めていて思わず泣きそうになった。加藤武 扮する頑固神主は自分史改変に伴う、娘との10年もの空白をどう埋めていけばいいのか。順応出来ない可能性だってなきにしもあらずだ。藤村志保 の名演が泣いちゃうよ。ある意味、原作テイストと云って云えなくもないんだけど、「オーロラの彼方へ」「イル・マーレ」「リメンバー・ミー」 といった映画におけるパラドックスのけりのつけ方を数見るとどうもこのドラマはあとのフォローが下手糞な気がする(「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 シリーズもそうなんだが、何故かアレは許してしまうのはやはり単なる云いがかりなのかもしれん)。コロ助がCGなのは納得の行く処だが(そう云えばF先生も「ドラえもん」を実写ドラマにする時はCG合成しかないとおっしゃっていた)、声がアニメ版初代の小山茉美だったのは何故?二代目の松島みのりの立場というものが。しかし、主要キャストとして勉三さん(山本耕史 )がきちんと出ているあたりにアニメ版「キテレツ大百科」の世間認知度の高さを感じさせる(ま、だからドラマ化したんだろうけど)。
それから、みよちゃんが妙に強気でお転婆なのが鼻につく。確かに今風だけど藤子マンガのヒロインとは真っ向から違う。
あと、実写で「ブタゴリラ」と呼ばれているのを聞くと、ブタゴリラはもっと怒っていいのではないかと思う。
で、週末からは同じ枠で実写版「エスパー魔美」 が始まるんだそうな。
笹岡莉紗は確かに日本人離れした顔立ちだけど、フランス人というよりは年中フーセンガムをくちゃくちゃさせているヤンキー娘という感じである(原作とは大幅にキャラが違うものの魔美の父が草刈正雄 なのにはいたく納得。フランス人とのハーフという設定がいちばんしっくり来る役者さんかも)。これも期待せずに(予告を観る限り、コンポコの見映にはリキ入れてるようだし・笑)下腹に力を入れて第一話だけは観る事にする。
昼からまたも福岡へ。
Z−SIDEの子供服売り場でジュンコ・コシノの福袋(10000円で30000円ぶん。さすがはコシノさん、服の趣味は悪くなかった)を買い、西鉄バスのおもちゃを買い、ベスト電器で母の誕生祝にスピードカッターを選ぶなど、うまうまと資本主義経済の尻馬に乗ってから両親宅再訪。
Z−SIDEの地階のベーカリーで買ってきた、干支である馬をパウダーシュガーでかたどった午年チーズタルトでお茶にする。タルトとは云え、いかにもパン屋で焼きましたってェ味だねなどと奥さんと顔を見合わせる(決して美味しくないと云っているのではない)。
今日は17時くらいには腰を上げようと思っていたのだが、母がカレーを食っていけというので出立が1時間遅れる。でも悠都の一挙手一投足に顔をくしゃくしゃにする両親を見るのも悪くはない。12月は全然連れて来れなかったからなァ。
さて、明日は仕事始め。6日間の休みなど毛ほどもなかった。
映画初め
2002/1/5(Sa)
正月休みも明けてしまったので、いー加減に映画初めをせねばと単身、天神へ。
まずはKBCシネマで「耳に残るは君の歌声(2000・英仏)」 。
俺的名画のひとつ「オルランド(1992・英露伊仏蘭)」 を撮ったサリー・ポッターの最新作である。
ネクラでけなげなクリスティーナ・リッチ (原節子のような逞しい二の腕である)も悪くはないが、ロシアからの極貧這い上がり組であるケイト・ブランシェット が秀逸。ひとりシンクロナイズド・スイミングの中で迎える最期がまた何とも。でも、全体的には「あれれ」感がなきにしもあらず。このへんは「映画のタマシイ」で考察する(って、いつだよ)。
ココイチでオレ的レギュラー(チーズ&クリームコロッケ)でお昼を済ませた後、続けてシネテリエ天神で「メメント(2000・米)」 を。
映画はウワサ通りのストーリーテーリング。M・ナイト・シャマラン とはまた違う味付けである。作劇の妙としては自らに留めておけない記憶を記録で補填する際に、如何にノイズが入り込むかが鍵で(ここらがネタばれギリギリか)、ハウダニット・ミステリー・サスペンスのかたちを取り乍ら、まごうかたなき人間ドラマであった(優れたミステリーは優れた人間ドラマである、とこれは定石か)。
余談だが、どんなに映画が面白くても主役のガイ・ピアーズ に「プリシラ(1994・豪)」 のドラッグ・クイーンの印象が強いのはこれまで通り。これは僕の生ある限りそうかもしれん(これは名優テレンス・スタンプ にも同じ事が云える)。
16時過ぎ、話にだけ聞いて未訪であったジュンク堂 へ行ってみる。
1時間ほどうろうろするも、慣れない本屋は巡回コースが出来ていないので何となく完全燃焼。また来るべし。
新刊コーナーで山本武利「日本兵捕虜は何をしゃべったか」(文春新書) だけ買って帰る。
帰路、「サントノーレ」 にてサンマロ2つ。
夜、ドラマ愛の詩「エスパー魔美」第一回 、奥さんに録画までしてもらって(ちゅどーん)観たのだが、さすが「中学生日記」のNHK名古屋制作(きっと)。魔美を除くクラスメイトがほぼ全員名古屋弁である(憧れの赤坂晃と待ち合わせたコンサートホールも名古屋の何とか云うホールだった)。名古屋が舞台なのはいいとして、敢えてセリフの端々に名古屋弁のイントネーションや云い廻しを持ち込む程ローカル色の強いドラマとも思えないのだが、其処らへんが名古屋のクリエイター達のこだわりというヤツか(しかし、草刈パパは小倉出身)。でも、藤子ドラマに名古屋色を入れられてもなあ。西村雅彦 や室井滋 を入れるなどして富山色を出すならともかく。
内容の方はまるで月曜ドラマランドであったが、これは視聴者のターゲットが小中学生っぽいので致し方ない。
こちらはリアルタイムで観たNHKアーカイブス「わが青春のトキワ荘」 。
非トキワ荘・非漫画家にして投稿好敵手であった筒井さんがゲスト。分かるような分からんような人選である。
本編は何度も観たのでアレだったが、亡くなる2年前の手塚先生の一週間を追ったドキュメントは未見だったのでこちらは拾い物。マンションの一室にこもり、コンビニのおにぎりを齧り乍ら3本の連載をこなしていく手塚先生の漫画バカ振りに涙腺がゆるんで仕方なかった。生涯現役で死に物狂いで書き続けた巨人の飽くなき情熱。ああ、僕らは決して忘れずに作品を語り継ぐ事でしかご恩返しが出来ません。
本日の映画:1.「耳に残るは君の歌声(2000・英仏)」、2.「メメント(2000・米)」
日本兵捕虜は何をしゃべったか
2002/1/6(Su)
朝はゆっくりして、昼前からようやくのそのそと高須の給油巡回コース。
「山下達郎のサンデーソングブック」 、大瀧詠一との新春放談は番組の半分以上が2月に師匠プロデュースのベスト盤シリーズがリリースされる小林旭噺(師匠は「アキラ」と呼称する)。中年からもはや壮年の域に入りつつある、オタクおじさんたちのバカ噺くらい面白いものはない。垂れ流しなのに面白い。師匠の「俺もタイはいいと思っていたんだよ」に夫婦して爆笑する。とは云え、番組を聴いていないひとには何の事だか分からない。しかし達郎さんも本当に楽しそうである。
久し振りに「オーロラ」 に立ち寄ってシュークリーム4個、ベイクドチーズタルトを2個買って帰る。
社宅の駐車場に赤のロードスター。
車内からは安堵した表情のN山夫妻。ちょっと待たせたかも。たいへん申し訳ない。
N山夫妻から正月の北海道土産六花亭「マルセイ・バターサンド(特大)」 をいただく。
いつもいつもお気遣い、いたみいります。
夜はNHK教育、朝比奈追悼特集をBGMに山本武利「日本兵捕虜は何をしゃべったか」(文春新書) 読了。
著者がワシントンにある国立公文書館でリポート(勿論、英文)を片っ端から精読した結果生まれた労作。この本を読むと、「投降はなし、自決あるのみ」という「捕虜」という物理的存在さえ認めない、或る意味ナイーブ過ぎた(というか真っ直ぐ過ぎた)日本軍の兵士への精神論的束縛が、いざという時、戦術的戦略的に如何に屁の突っ張りにもならなかったかを解き明かしてくれると同時に(ルース・ベネディクトの「菊と刀」もこれらの調査報告書の一部を下敷きにしたと考えると、非常に得心が行くのだが、どうか)、戦略的に捕虜に優しく接した(あたりまえなのだが)米軍のしたたかさ計算高さが、現在のアフガン空爆と重なってみたり(でも、かつてのマッカーサーの方がうんと賢かったかもしれない)。
戦時中の日系人の不遇、汚名を雪ぐが如き諜報員としての活躍を含め、立体的・多面的に面白い本であった。
しかし、故国の家族に危害が及ぶのを案じる余り、日本兵捕虜(特に下士官以下)が本名を明かさなかったそうだが(米軍としても情報としては余り重要ではなかった)、ある収容所では点呼した処、何十人もの「長谷川一夫」 が挙手したという話は哀しくも可笑しいエピソードであった。
本日の読了:2.山本武利「日本兵捕虜は何をしゃべったか」(文春新書)
山本美絵 vs さだまさし
2002/1/8(Tu)
さだまさしの「まりこさん」 は中島みゆきの「悪女」 に出てくるマリコを歌にしたものだという出典不明のウワサの真偽を確かめるべく、ネット検索していたら、山本美絵のファンサイト「カーネルに猫パンチ!」 にぶつかった。このサイトは、FM NORTH WAVE(札幌)とCROSS FM(福岡)でしかオンエアしていない彼女のレギュラー番組「猫パンチ」 のトークをテープ起こしした労作サイトなのだが(北九州在住でしかも山本ファンで加えて番組の存在を知っているくせに、深夜なので聴いていない。──オレってヤツは……)、番組中で山本美絵が「まりこさん」について言及している。
さだまさし「まりこさん」。この曲をかけたくてかけたくてしょうがなかったんです。さだまさしの「夢の轍」というアルバムに入ってます。ものすごいアルバムです。涙なしでは聴けない。人が見えてくるんですよね。まりこさんという、ちょっととぼけたお姉さんのうら悲しい酒生活。なんとも言えない曲。じっくり聴いていただきたいと思います。
「まりこさん」(さだまさし)
今夜の「酒対決」、「まりこさん」かけられて嬉しいですね。ラジオをやらせていただいて何が嬉しいって、一方的に曲がかけられるのが嬉しいですよ。すみません。
(2001/05/10 ON AIR)
面白くなって、過去ログをあさると、普段は自分の曲か殆ど洋楽しかかけていないのに、数少ない邦楽のさだまさし出現頻度が異様に高い事が分かった。全部で3回、彼女は4曲ぶんもさだまさしについて熱く語っている。
今夜のテーマは「俺が泣いた曲」です。山本は、いろいろ音楽を聴いてきて、数々泣いた曲はありますが、初めて聴いて泣く曲と、泣くって云って涙が出てくる曲ですけれども。あとは、だんだんどんどん聴いていくうちにコロッとくる曲と、山本の中では2パターンあるのですが、今日の「俺が泣いた曲」、これは、本当に初めて1回目で聴いて山本が泣いた曲を、バトルじゃないかもしれませんが、聴いていただきたいと思います。
ずばりこの人、さだまさし。この人の曲はですね、人間のドラマがあるんですよね、1曲の中に。とにかく歌詞が長いのですが、その中で、この人で泣ける曲というのはいっぱいあるんですが、そしてさだまさしさんの数あるアルバムの中で一番好きな、前に「まりこさん」という曲をかけましたが、それが入っている「夢の轍」、そして私は「自分症候群」というアルバムがとても好きなんですが、その「自分症候群」の中から「8つ目の青春」という曲を聴いていただきたいんですが。本当に歌詞に注目していただきたいです。ものすごく、20年前くらいのドラマを見ているような。でもドラマといっても、毎週1時間とかでも最終回まで見ないとわからないストーリー、さだまさしさんという人は、それをたった1曲の中で全てやってしまうという、とにかく歌詞に注目して聴いていただきたいと思います。
「8つめの青春」(さだまさし)
どうでしょうか。へたなテレビドラマを見ているよりも、すごくこう、いいなぁと思うんですけど。なんか絵がどんどん浮かんできて、先輩という人の人柄とかね、見えてきて、ちょっとお笑いもありつつも、さだまさしさんの曲の中ではこういった感じのドラマがたくさん見えてくる曲が多いです。すごいぞ、さだまさし。
(2001/06/07 ON AIR)
回を追う毎に山本さんにどんどん遠慮がなくなっていくのが分かる。
このひとのまさし語りは、一般のさだファンと同じくらい熱く濃い。
彼女のステージトークの口の重さを知っているだけに、驚いたり嬉しかったり。
今夜のテーマは「関白」です。このテーマを聞いて、「あの曲とあの曲をかけるんだな」と思った人は「さだマニア」ですかね。さだまさしさんには、結構「猫パンチ」では登場していただいているんですけど。さだまさしさんのことを紹介するとき、いつも思うんですが、「さだまさし」イコール「北の国から」とか「さだまさし」イコール「紅白歌合戦」というような方も多々いらっしゃるかな、とか思ったりしてるんですよ、山本は。さだまさしさんは、もともと「グレープ」という2人組のユニットでデビューして、それからソロになってやってるんですけども。彼がすごく、人間、人というものをすごくとらえて曲を作るな、って、いつも山本は思うんですよ。すごくいい曲がたくさんあるし、人間の悲しみも、愉快なところも、情けないところも全部をひっくるめてドラマにしてしまう人だと思うんですね。そんなさだまさしさんが、今から20年ぐらい前になるんですかね。名を轟かせたヒット曲、「関白宣言」という、ものすごいタイトルの曲がありまして。これをきっかけに、初めてさださんは「紅白歌合戦」に出ることになったんですよ。当時、この曲は賛否両論で。「関白宣言」って、「亭主関白」の関白です。さだまさしさん、当時は独身だったんですよ、この曲を書いたとき。そして、この曲がヒットしました。賛否両論で、「男尊女卑の歌だ」とか、「軟弱男の歌だ」とか、「たわごとだ」とかいろいろ言われてましたけど。さださんの曲、毎回長いんで、最後までかけられないのが、すごく残念なんですけども。この人、言うだけ言ってるだけじゃないんですよ。本当に最後は締めてくれるという。そんな、ものすごい曲を聴いていただきたいと思います。知ってる方も沢山いらっしゃると思うんですが。
「関白宣言」(さだまさし)
この曲は有名な曲なんですけれども、もし聴いたことがなくて最後までこの番組の中で聴けなかったっていう人には、最後の落としの部分が聴いてもらえないのがすごく残念だったりするんですけど。やっぱり、男の考える夫婦像というものだけを歌っているんではなくて、「愛」とか、恥ずかしい、自分で言ってて。彼が、当時考えていたことを歌っている曲だと思うんですよ。そんなことをたくさん言っているのには、ちょっと訳があります。
同じく、さだまさし「関白失脚」という曲があるんですよ。さだまさしさんは、一つの曲を替え歌というか、バージョン違いでいろいろ書いたりとかすることが多いんですけども。時代を経て、彼自身が「関白宣言」を書いた15年後に、この「関白失脚」という曲を書いてるんですけど。「関白宣言」と全く同じメロディーをそのままマイナーにしまして、アレンジのほうもちょっと変わっておりますが。さきほど聴いていただいた「関白宣言」のリフなんかをちょっと思い出しながら聞いていただけると、ちょっと笑えるかなって思うんですけど。情けないお父さんの話をしてるんだけども。多分15年後だから、さださんも当然もう奥さんいらっしゃって、お子さんもいらっしゃると思うんですよ。これを書いた時には。その時の気持ちを盛り込んでおきながら、やっぱり最後には、すごく微笑ましいぐらいに。私、結婚したことないからわからないんですけど、やっぱちょっと涙出ましたよね。7分以上ある曲なので、全部かけられないんですけど。最後に「がんばれ、がんばれ」って、「がんばれ、みんな」っていうフレーズが何度も何度も繰り返されるんですよ。その「がんばれ」の言い方ひとつひとつに、こんなにいろんな言い方があるんだな、と山本がすごく感心してしまった曲なんですけれども。今日はライブバージョンということなので、さだまさしファンの方の楽しい笑い声なども一緒に聞こえてくると思います。とにかく、さきほどの「関白宣言」の記憶が消えないうちに聴いていただきたいと思います。
「関白失脚」(さだまさし)
これは、すごいですよ、この曲。最後の曲の展開がもうプログレですよ。何を言ったらいいのか、ちょっともうよくわからなくなってきたんですけど。これだけ往年のさだまさしファンの方を沸かせてる。沸かせてるってわかってるのに、ネタばれてるのに笑ってしまう自分がやっぱりいたりして。今日は「さだまさし特集」という事になってしまいましたけど。さだまさしさんは、特集したい曲なんて山ほどあるんですけど。でも山本の中にも、さだまさしでは好き嫌いがあったりとかするんですが。
これは、バトルさせるには、うってつけの2曲だったのではないかと思いますが。今夜の対決、いかがでしたでしょうか。既にお子さんがいたり結婚されている方は、やっぱり共感できる部分ってあるんでしょうか。結婚したことのない山本が、これだけ情景が浮かんでくるっていうのは、やっぱりすごいなと思いますが。
コーナーのほうは「さだ」特集になってしまったんですけど。「さだまさしさん」イコール「ダスキン」とか、そんなぐらいしか思ってない人がいらっしゃいましたら、さだまさしさんは本当に素晴らしい曲をいくつも書いている方なので。今日かけた2曲は、「さだまさしベスト」の中にふたつとも入っているので、ふたつの曲の違いとか、聴きくらべてみたりするのもお勧めしたい。なんでこんなに、さだまさしのプロモーションしてるのかって思っちゃうんですけど。
(2001/10/25 ON AIR)
まさか、山本さんがこんなにもさだまさしのディープ・リスナーだとは思いもよらなかった(但し、あくまでCDに対してのみのおつきあいのようで、其処がまた良い)。しかも曲の嗜好として僕にかなり近い(笑)。さださんのニューアルバムがリリースされたあかつきには女性版関白宣言「勇気凛々」 も番組でオンエアされるのだろうか。
結局、「まりこさん」の真偽の程は分からぬじまいである。どなたか、情報よろしく。
三谷幸喜のありふれた生活
2002/1/12(Sa)
午前中に天神に出て、まずジュンク堂に向かう。
あっさり、お目当ての三谷幸喜「三谷幸喜のありふれた生活」(朝日新聞社) が見つかって拍子抜け。いや、結構な事なんだけど。
時間もあったので、岩田屋8Fで開催中の「はなまるマーケットおめざフェア」 に行く。
エレベーター周りは闇市のような混雑。ベビーカーの奥さんと別れ、僕はエスカレーターで現地集合とする。
特設会場は、夏休み初日の海水浴場のような混雑。やはり企画の勝利か。
たかだかビストロ喜楽亭のカレーパンを買うのに2時間半待ちとは正気の沙汰ではない。
かと云って天本さんおすすめの珍味「イカのチチ」はアレだし、武田さんおすすめの梅ヶ枝餅は無理に此処で買うこたァない。
という訳で、峰岸徹 オススメのユーハイムのミートパイだけ手に入れて早々にたち去る。
夕方には一旦帰宅して、中間で映画をハシゴする。
1本目は「ヴィドック(2001年・仏)」 。
おフランスでは冒険活劇の主人公として知らぬものがない実在の探偵ヴィドックの事件簿の一篇。
勿論、「アメリ」 が単独爆走中のジャン=ピエール・ジュネ のパートナー、マルク・キャロ (キャラ・デザイン)がお目当て(ふたりの公式サイト はあるから、別に仲違いした訳じゃないと思う)。
顔が鏡面になった連続殺人魔。被害者は怪人の顔に映った己が断末魔を見乍ら息絶える、という「設定だけ」でどきどきしてくるのだが、
困ったことにこの映画、僕にとってはまさにその「設定」以外悉く相性の悪い映画であった。
全編絵画的でけれん味たっぷりの映像が満載なのだが、けれんだけでは「僕は」持たない。ジュネの映画はけれんもあるが、けれんだけではない処が重要なのだ。詳しくネタばらしはしないが、肝腎のフーダニットがこんなに最初の方で読めてしまうのはいかがなものか。それからこれも個人的な好みに属するが、35mmフィルムに慣れ親しんだ身には「先進的な」ハイビジョン・デジタルの画質の違和感がどうしても鼻につく。安っぽく感じてしまうのだ。尤もこれは馴れの問題に過ぎないのかもしれないけど。
処で、ヴィドックの相棒ニミエを演じたムサ・マースクリ がなかなか良かった。
2本目は「シュレック(2001・米)」 。勿論、字幕版。
何だか「ヴィドック」 と韻を踏んでるが、偶然である。
最近、こういうメジャー作品はついつい先延べにして結局観損ねる事が多いので心を鬼にして観る。いや、マジで。
この映画を簡単にまとめるとディズニー恨み節 。至る処に呪詛と怨念がとぐろを巻いていて好感が持てたり(笑)。
ジェフリー・カッツェンバーグ とドリーム・ワークス(スピルバーグ)の積み上げた、これはひとつの成果に数えていいと思う。
処で、公式サイトの伊武雅刀(吹替版のファークアード卿) の「大人を満足させるパロディ精神に溢れながら、子供に安心して観せられる作品です。 」というコメントは本気(正気)だろうか。但し、「安心して」じゃなく「確信して」なら可。
夜、三谷幸喜「三谷幸喜のありふれた生活」(朝日新聞社) を一気に読了。
満腹だけど、早晩お腹が空きそうだ。さあ、どうしてくれる。
などと三谷さんを小一時間問い詰めたい読後感。これはお買い得でしょう。
本日の読了:3.三谷幸喜「三谷幸喜のありふれた生活」(朝日新聞社) 本日の映画:3.「ヴィドック(2001年・仏)」、4.「シュレック(2001・米)」
デコポン羊羹、あらわる
2002/1/17(Th)
中村哲講演会「医は国境を越えて」 落選通知。しょぼん。
この日曜日開催の講演会で、ましてやペシャワール会の中村哲 先生と云えば時の人なのに、昨日の夜申し込んで何とかなると考えたオレが悪い(会費が200円というのも激安である)。…そうか、会場が福岡アクロスでも定員いっぱいいっぱいですか。
今月頭から行こうと思ってたくせに…こういう立ち上がりの遅い処はオヤジの悪い血を引いたらしい(ヒトのせいにするな)。
尤も、昨夜は「彦馬がゆく(ル・テアトル銀座公演)」 のPARCOオンライン先行に当選したので(しかも初日だぞ。三谷さん、顔出さないかなァ)、負け惜しみを云うが、一勝一敗である(中村先生の本拠地は福岡のようだから、今後も講演会のチャンスはありそうだし)。
右團治さんからも「BN★GT」 に引き続き、快諾のお返事をいただけた。いつも高い芝居にばかり付き合ってもらって申し訳ないです。
それから、母が愛してやまない郷土の銘菓「天草嶋羊羹(ポンカンフレーバーの羊羹)」 の製造販売元であるイソップ製菓 からメールが届いた。
「南蛮羊羹」発売50周年記念として、デコポン果汁を6%まぜた「天草南蛮羊羹(天草デコポン果汁6%入)」 を発売したらしい。
ううむ、デコポンに目をつけたのは悪くないが、暫く天草に帰ることもなさそうだし、此処は通販しかないか。
ウワサのメール
2002/1/18(Fr)
ひさしぶりにチェーンメールをもらう(僕は滅多にこの手のメールは受け取らない。メル友、いないし)。
内容は、このメールを受け取ったあなたはハッピーになれるけど、そのためには同じメールを10人に転送してください、さもないと「これはJJ bis にも載った〓(機種依存文字)だからバカにしないほうがいいよ…。シカトしたら好きな人、友達と離れてしまうよ。」というごくありふれたもの。「ウワサのメール」というタイトル自体も凡庸だし(尤も、この凡庸さが巷に流布させる為には分かり易くてよいのである)。
──処で「JJ bis」 って何ですか? て、調べたら雑誌でした。「JJ」のハイティーン版 。
──で、だから何?
で、何故こんな事を日記に書いたかと云えば、メールをくれたのが他ならぬ右團治さんで、右團治さんにメールを送ったのが(あえて名前は伏せるけど)さる高名な女流講談師の方だったのですね(ヘッダー部にアドレスが残ってた・笑)。おそらく携帯メールを通して(チェーンメールに免疫がないであろう)東京の演芸界の若手・中堅層を席巻している(と思われる)「ウワサのメール」のおこぼれが自分に届いたのが何だか嬉しかったので(ヤなヤツだね、どーも)せっかくだから此処に書き留めておこうと思って(右團治さん、ゴメンナサイ)。
あ、勿論、右團治さんには「決して10人には送らないように」と返事を書いといた。
噺家のかたち
2002/1/19(Sa)
一週間の疲れを祓うべく朝は遅めに起きる。週末の青空は久し振りかも。
昼、再び直方のびっくり市へ買出し。流石に年末の喧騒がウソのようであるが、相変わらず肉は安い。明日の夜は再びすき焼きだ。
今日は陽気が良かったので、買物の後、脇に隣接する寂れた遊園地へ行ってみる。
尤もこれくらい寂れている方が、悠都の遊園地デビューには丁度いい。
観覧車、バッテリーカーなどに乗せる。始めはわくわくし乍らも控えめだった彼もバッテリーカー(ゴーカートのしょぼしょぼ版)にハマってしまい、両親の100円が尽きるまで乗り倒す(と云っても4回くらいだけど)。車から引き剥がすのに難儀しました(勿論、おかあさんにワルモノになってもらいました)。嬉しそうにだだっぴろい駐車場を駆け回る息子に暫くつきあってから、程よく彼が疲れた処で帰った。
年末から頁をめくる指がちょっと止まっていた桂文治/太田博編「十代文治 噺家のかたち」(うなぎ書房) 読了。
僕はやっさんとの縁で文治師匠にお会いする事が叶って、色々なお話を伺う度に、三木のり平/小田豊二(聞き書き)「のり平のパーッといきましょう」(小学館) の師匠版みたいな、聞き書きで師匠の胸にしまってある宝物を全部棚卸しするみたいな本があればいいのにとずーっと思っていた。正直を申せば、もし叶うなら、直接師匠からお話を伺ってHPのかたちででも何らかの記録を残せたらと真剣に野望を抱いていた(これは嘘でも何でもない)。いかんせん僕には落語に関する基礎的素養がなさ過ぎるから芸談のページづくりは難航を極めただろうが、師匠のような「生きた落語史」とも云うべき巨人がお元気なうちに、出来るだけ沢山の伝説を聞き出して書き留めておかないのは愚の骨頂だと本気で思ってた。
結局、21世紀までかかってしまったものの、師匠が喜寿のお祝いを迎えてようやく僕が待ち望んでいた本が間に合った。
労作である。思い出話にとどまらず、まさに桂文治という噺家をかたちづくっている「江戸言葉」にも大きく力を注いだ本だ。
間違いなく十代目桂文治 の生の言葉が一ページ一ページに息づいている。
けれど、師匠の持つ洗いざらいにはまだまだ足りない(のり平さんの本の元となった膨大なインタビューの時間とそれに輪をかけて費やした編集作業のご苦労を聞くと、むしろ短期間で此処までの本に仕上げた事は「素晴らしい」の一言に集約出来る)。あのひとの全てはまだまだこんなもんじゃないんだから。尤も師匠の全てをかたちに欲する事自体が大それた要求なのかもしれない。
やっさんはこの本を元に「子ほめ」をさらったそうだが、さもありなんだ。
文治一門の皆さんもきっと同じ事をするのではあるまいか。
巻末の江戸言葉・成句集がまたいい。これだけで本にして欲しい位だ。
「男はつらいよ」 の第26作以降、渥美清の盟友・関敬六 が寅さんのテキヤ仲間「ポン州」 としてレギュラー入りするが、この「ぽんしゅう」が「ぽんつく、馬鹿な人」の意味する言葉だとこの本を読んで初めて知った(元々、寅さんは江戸落語の剽窃と云っていいくらい熊さん八っつあんのエッセンスが詰まった映画であり、それは森川信 がおいちゃんだった頃のシリーズに顕著である)。
あと、この本のインタビューに使った場所が、去年僕もお世話になった居酒屋「大小原」 だったのがちょっと嬉しかったり。
それから、誤植の中に「なkなか」というのがあったので、原稿はローマ字入力だったのかなどとどうでもいい感心の仕方をしたり。
とにかくこの本は是が非でも続編をこさえてください。切にお願いする。
夕方から中間で大江千里「This Chiristomas」 購入后、映画をハシゴする。
「フロム・ヘル(2001・米)」 と「仄暗い水の底から(2002・日)」 、どちらも大当たりだったのでほくほく。
しかし、子供が生まれてから映画の見方が本当に変わった。「仄暗い水の底から」 を観てまず思ったのは、子供のお迎えは決して遅刻しちゃいかん、だもの。いつの間に迎えに行く側に立って映画を観るようになったんだろう。
本日の読了:4.桂文治/太田博編「十代文治 噺家のかたち」(うなぎ書房) 本日の映画:5.「フロム・ヘル(2001・米)」、6.「仄暗い水の底から(2002・日)」
撃つな、ヘストン
2002/1/20(Su)
本当に久し振りにAMCキャナルシティで映画鑑賞。
昨日が公開初日だった「フォルテ(2001・米)」 と「修羅雪姫(2001・日)」 の2本を観るつもりだったが、「修羅雪姫」は夕方以降のみの上映だった為、泣く泣く来週廻しにして今日は「フォルテ」1本にしぼる。
で、「フォルテ」。原題は「TOWN & COUNTORY」 だから謎の邦題と云っていい。
ウォーレン・ベイティ の浮気相手のチェロ奏者、ナスターシャ・キンスキー の裸の背中にチェロを模したFから来たイメージなのか。公式サイトやパンフには「人生は男と女の協奏曲。 ff(フォルテッシモ)はすでに過ぎ去り、それぞれのf(フォルテ)へ、、、」などと分かったような分からんようなコピィが載っているか、実際、劇中では決して触れられる事のない、この「フォルテ」。ギャガの担当者の真意を問いたいですね。
いつだったか、宮本輝の「草原の椅子」を読んだ時に50に差し掛かった主人公が40代の自分を振り返って、それまで真面目一徹だったのが嘘のように女に狂った時期があったと遠い目をして回想する(のような事が書いてあった、気がする・笑)シーンがあったのだけれど、そういう浮わついた話とは無縁だった男の人生で、つい魔が射してウディ・アレン化してしまう、そんな「魔」が引き起こす夫婦の崩壊と再生のお話。出来はまあそこそこのコメディだが、この過剰な豪華キャストはどうした事だ。ウォーレンの人望なのか、それとも監督のピーター・チェルソム(「マイ・フレンド・メモリー」)の力量か。でも、ジョシュ・ハートネット が出てるったって、本当に出てるだけだぞ(夜中のキッチンに夜の営みを終えた男たちが集うシーンはばかばかしくていい)。
かつてハリウッドで浮名を流したウォーレン・ベイティも、いつの間にか野暮中年を演じる齢になったのだなあ、とふとその顔を見れば、何だか現在の布施明 に似ていると思い当たったり。そう云えば現在の境遇もふたり、何となく似通ってる気がする。
あと、ティム・バートン版「猿の惑星」 で武器のおそろしさを説いた全米ライフル協会会長チャールトン・ヘストン翁 が、愛娘(アンディ・マクダウェル)のために頭に血が上ってライフルをぶっ飛ばすエキセントリックな親父を好演。断らない処が翁の翁たる所以。尤も、実際にひとに銃口を向けるシーンが一箇所もないのはさすがに翁の注文によるものか(単にカットされただけだったりして)。
そのあとバーゲン物色中の妻子と落ち合って、今日はとっとと福岡を後にする(奥さん的にはかなり充実していたよう)。
そぼ降る雨の中、古賀の10号線沿いの「ピエトロ」で遅めのランチにする。
赤と白が基調の人工的な無機質さがおしゃれな構えの店で、前々から脇を通る度に気に掛かっていたのだ。
遅い時間の割に結構客が入っている。ピエトロは郊外型のお店としての要件を全部満たしているんだろうな。
パン・バーとサラダ・バーが充実しているのはいいが、やはり食べ過ぎる。
やはり僕にビュッフェ・スタイルは鬼門なのである(と云いつつ、決して懲りる事はない)。
本日の映画:7.「フォルテ(2001・米)」
キンタマーニの美味しい珈琲
2002/1/23(We)
振休。但し、まだ12月ぶんの。
折角の休みだし、何処か買い物に行きたいというので家族で黒崎井筒屋へ行く。
実は(僕は)新装開店してから初めて行ったのだが、何だか黒埼そごうと変わり映えしないというか。尤も、黒崎そごうは黒字なのに会社全体のあおりで潰された店舗なので、黒崎そごうっぽいからどうだという訳ではないんですが。しばしば天神のデパートに行き来している身にはやはり黒崎店舗は垢抜けない、というのもあるのかも。
特に目ぼしいものもなく、奥さんが名店街で毛糸を買って、あと1Fでコーヒー豆を買う。「キンタマーニの聖水 を使ってどうのこうの」と能書きが垂れてあったのでバリ・アラビカの豆にする。キンタマーニが気になるひとは「世界の珍名所 大集合」 でよくよく確認のこと。
そのあと八幡駅方面に寄り道して久々に「エスプリ」でケーキを買って帰ってすぐにコーヒーを淹れる。
ウチの奥さんはこと甘味ものに関しては「我慢して後で食べる」という事が出来ないひとである。いや、それはそれでいい。
外は極寒の寒さだったが、メゲずに散髪に行く。
ヘレンのおばさんは「私は非国民なのかしら」と云い乍ら、高いお金を使って鯨を助けるのはいかがなものかとフンガイしていた。
これは思うに、おばさんなりの日本国民総グリーンピース化 への懸念の表明であろう。彼ら(←グリーンピース)の先祖はかつて、女性がドレスの下に身につけるコルセット用に鯨を乱獲して絶滅間際まで追い込んだ前科があるので、反省を込めて今度はおクジラさまと奉って、世界中に生類哀れみの令のおふれを出してしまった。彼らには鯨を食する習慣がなかった 、というあたりがポイントである。絶滅の危機を脱して、却って鯨が増えすぎて生態系を壊しかけても尚、おクジラさま熱は下がる事がない。おばさんに云わせれば鯨を食べる日本人が鯨を救うのが美談か、という訳である。ま、別に救っても構わないのだけれど、一理あるよね。
さっぱりした頭で夕方から中間で「レイン(2000・タイ)」 。
今日はダイエー自体が店休日だったらしく、駐車場は閑散としていたが女性割引の日だから映画の客はそれなりにいた。
映画自体の感想は置くとして、この邦題は何とかなりませんか(ちなみに原題は「BANGKOK DANGEROUS」 )。
パンフや公式サイトのイントロダクションを読むと「レオン」や「シュリ」の切なさを超えた、殺し屋の映画だそうで、間違いなく「レオン」の一字違いの「レイン」を当てたんだろうが、別に「レイン」ったってラストシーンに綺麗な水滴が降るだけじゃん(わざわざ香港のスタジオで一粒一粒CGで書き込んだらしい)。確かに幻想的で美しい絵づくりだとは思ったけれどさすがに映画のタイトルにしてしまうのは無理があるじゃないか。ていうか無理だろ、おい。
ヒロインのプリムシニー・ラタナソパァー はすらっとした早坂好恵といった感じで、タイでは沖縄顔がウケるのかもしれない。
それから、コン(パワリット・モングコンビシット)が仕事帰りに路上のドリアン売りからドリアンを土産に買って帰ると、友達のジョー(ピセーク・インタラカンチット)も同じくドリアンを買って待ってたくだりが、タイならではというか。日本でいう処のコタツにみかんというヤツなのでは。
夜、昨日Y田さんに戴いた、Y田さんが自ら打った蕎麦を、ざる豆腐のざるに盛って食べる。
もちもちした食感が何とも云えず美味しい。麺の太さも揃っているし(それだけでも凄い)、夫婦して感嘆の声を上げつつ、たいらげる。
本日の映画:8.「レイン(2000・タイ)」
ラヂオの時間の時間は村の時間の時間に似ている
2002/1/24(Th)
ちょっと一日ばかり平日に振休を取っただけでどうしてメールが30件以上もたまるのか。
許してくださいと誰かれなく頭を下げるようにして(あくまでも比喩です、比喩)アサヒ・コムを読む隙もなく、23時まで延々お仕事。
せめて帰り際にベストへ寄って「みんなのいえ(2001・日)」 DVD購入。
本編はともかく特典映像だけでもと観始めたら、2時間以上あった。
この映画はよくも悪しくも監督自身の殺人的スケジュールのプロモ活動と共に語り継がれるべき作品なので、そういう意味ではたいへん意義ある特典だったと云っていい。訥々と語る邦衛さんの未公開インタビューを堪能できただけでもめっけもんである。
妻子共に寝ているので、声をひそめて笑いつつ、結局3時過ぎに就寝。
そうそう、Kくん、ご結婚おめでとうございます。
海老、買って来い
2002/1/26(Sa)
朝から雨。一日中、雨。
それでも明日は休日出勤な為、傘を手にして福岡へ。
AMCキャナルシティ13で先週見逃した「修羅雪姫(2001・日)」 。
天然素材の釈由美子 も使い方次第で此処まで面白く出来るという見本のような映画。
むしろ、其処のところに目がくらんで、粗を見逃すという難点がなきにしもあらず(笑)。
彼女を使う際のポイントはカット割りは細かく、台詞は少なめに。多少なよなよしているのは致し方ないが、それでも「さくや妖怪伝(2000・日)」 の安藤希 の50000倍は安心して台詞を聞いていられるから大したものだ。案外、女優としては大成するのかもしれない。
あと、この映画、川井憲次 の音楽に負う部分が大きいのも確かである。おっと、そう云えば「さくや」も。
それにしても、まさか沼田曜一 のどアップが大胆にフィーチャーされたポスターが拝める日が来るとは。
どうやら「リング(1999・日)」 製作つながりらしい。いや、この映画の沼田さんはいいですよ。相対する六平さんがまたいい。
映画が予告編を入れても100分程度だったので、慌ててパーキングに戻って駐車料金をただにする。
それから博多駅方面に移動して、「殺し屋1(2001・日)」 。
チケットを手に入れた後、一旦紀伊国屋で倉本聰「愚者の旅 ─わがドラマ放浪」(理論社) を買って15分前にはロビーへ戻ったのにもはや長蛇の列。案外、この番組は単館に不向きなのかもしれない。
いや、もうとにかく「スゴい」の一言。
これまでも幾度となく書いている事だが、僕らは三池崇史 の旬をリアルタイムで楽しんでいるしあわせを一口一口噛みしめなくてはならない(噛みしめたくないなあ)。たとえば石井輝男の60〜70年代を共に歩いたんだ、と遠い目をして語るくらいのインパクトは間違いなくある。いつか老いぼれになった時にしたり顔で若い映画ファン達に「オレたちは銀幕でアレを観た」と云ってやるのだ。その為だけに映画館通いをしたっていい。
とにかく鉄砲玉金子(SABU )の息子を演じた少年は出演者にも拘らず、5年は映画を観ない方が本人のため、という作品である(尤も、法律でも禁じられている)。親だけ観にいくか、というのも(笑)。それともこっそり完成試写に入れてもらったのかなあ。でも、下手にアレを観て人事不省になられても困るし。いや、とにかくありがとう、と監督には云いたいです。これで韓国の「魚と寝る女」
なんてちっとも怖くなくなりました(それはどうか)。
「ふきや」で新米の青年がじーちゃんに大きな声でしごかれているのを横目に遅い昼飯を食べて、とっとと車を出す。
どしゃ降りの中、それでも18時過ぎには帰宅。
明日は仕事なのに、倉本さんの本が面白くて寝たのは1時過ぎ。
僕は本を読むのが遅いので、それでもまだ半分くらい残ってる。
本日の映画:9.「修羅雪姫(2001・日)」、10.「殺し屋1(2001・日)」
会長への道
2002/1/29(Tu)
奥さんのメル友(笑)・あめんさん、ついに佐賀入り。
明日が結納らしい。
東京かわら版最新号のインタビューは、かの鈴々舎馬風 。
うっかりしてたが馬風師匠、志ん朝師匠が鬼籍に入ったのを機に、落語協会副会長に就任されたのだった。
以下、本文引用。
──「会長への道」が次第に現実になってきましたが。
「だんだんシャレにならなくなっちゃって。ほら、次々に亡くなっていくから、できるところがだんだん減って、いま小噺になっちゃったよ(笑)。円歌さん殺すのは、三分でできちゃうから(笑)」
おのれを世に出した持ちネタの筈が、現実に副会長まで就任(2001年11月)しちゃうと隔世の感がありますね。
馬風師匠による正調「会長への道」 の演じられる機会が二度と来ないのかと思うとちょっと淋しい気も。
そもそも、当時とは落語協会の人事が大きく変わっちゃってるから、というのはあるが、是非CDで構わないので、往年(旬の頃、という意味で。そもそも小さん師匠会長当時のVer.でなければ駄目である)の高座「会長への道」の録音を蔵出ししてもらえないものか。
これが「立川流」だったりすると、或いは「会長への近道」 みたいな新作が出来るのかもしれないが(「副会長の道」 というのを田口トモロヲ風にプロジェクトXタッチで演るという手もある)、如何せん、副会長職、きっと年を重ねたぶん、分別があくなき不謹慎の邪魔をするに相違ない(沢山、訃報が続いた直後だし、笑いにするにはまだ業界自体の傷が癒えていないというのもある)。大いに残念である。
高泉淳子プレゼンツ「シークレット・クラブ」 のピクニック会員優先予約の振込み期限が明後日に迫る。
折角なので、久々に妹たちを誘う事にする。昨夜、次妹にメールで打診したら好感触だったし。
ふたりして仲良く風邪を引いており、片や魚河岸の競り市のようなガラガラ声、片や電話口で咳込みっ放しとひどい有様だったが、ふたりとも快諾してくれる。そう云えば兄妹3人(だけ)で観劇ってェのは初めてかもしれん。
今回、白井さんが出ないのは残念だが(監修としてクレジットはされている)、「ア・ラ・カルト」 の馴染みのミュージシャンたちと平沢智とのジャズ・セッションはきっと「ア・ラ・カルト/アネックス」だと信じてやまない。何より、3年振りくらいに高泉淳子 の尊顔を拝せるのがうれしい。
これで明日からまた文句も云わずに黙々と仕事が出来る(ウソ)。
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