|
リゾートな夜
2002/4/27(Sa)
唐津から今度は高速に上がらずに、国見有料道路経由で1時間半程かけて佐世保入りする。
目指すホテルは、弓張の見晴台の傍にあるというので、急勾配な上にやたらと道幅の狭いワインディングロードをいつ来るとも知れない対向車にびくびくし乍ら(大型トラックや観光バスが来た日にゃ間違いなくアウトだわ、とその時は思えたのだった)登っていく。不慣れな道だわ、薄暗くなってきたわ、小雨がぱらつくわ、本当にこんな山深い場所にリゾートホテルなんかあるのか。
唐突に視界が開ける。降ってわいたようなリゾートな施設と電飾に彩られたツリー。
今宵の宿はミュゼアリゾート「弓張の丘ホテル」。
時間もないので早々にチェックインする。予約した部屋は単なるツインだったが、案内された部屋はエグゼクティヴ・ツインで、このホテルでいちばん立派な客室であった。リビングとベッドルームの二間続きで各々にテレビが置いてあり、テラスも二間ぶん広々と取ってあって眼下には視界をはみ出すほどのオーシャンビューが広がっている。此処だけの話だが、会社の福利厚生サービスを使ったので、夫婦で素泊まり8,000円である(本来は通常期で28,000円。しかも数日後に控えた5月の連休時は34,000円に跳ね上がるらしい)。何だか申し訳ない気さえしてくる。
休む間もなく、夕食は奥さんが予め予約しておいた「中国料理 チャイナテラス」で晩餐と洒落込む。
あいにく雨が降り始めたので、本当はロビーから屋外経由で店に行く処を、コンシェルジェの案内でガラスの丘美術館の脇を擦り抜けて、屋内の遠回りコースで店に向かう。幼児がいる気遣いからか、夜景が一望出来る迫り出したガラス張りの、いちばん奥の席に通された。
この現実感の無い店の雰囲気はケニアのコテージを思い出させると奥さん。
確かに「リゾート」というキーワードでケニアと佐世保のホテルは地続きらしい。
事前の調査では美容と健康をテーマにした「佐世保美人(\5,000)」を頼むつもりだったのだが、通常のコース料理(3種類)しかないという事で(後で調べたら「佐世保美人」は5月からだった)値段的に真ん中の「創作料理 珊瑚(\5,800)」を試してみる事に。
以下が、そのメニュー。
1.春の彩り前菜
2.ハマグリとフカヒレ入り茶碗蒸し風スープ
3.花切りイカのナンプリックパオ炒め
4.捲き海老と帆立のウーロン茶蒸し
5.牛バラ肉の醤油煮込み
6.アスパラの蟹肉あんかけ
7.もち米の蓮の葉包み蒸し、スープ
8.特製デザート(薔薇茶のアイスとプーアル茶のゼリー)
特筆すべきは「3」のイカの夢のようなやわらかさ。出来るならあれだけまた食べたい。
「2」「6」は普通。ていうか、あの順番で「6」は余計だった気も。
「4」はフィンガーボールに水が張って出てきたので厭な予感がしたのだが、やはり蒸籠で湯気を立てた海老が出てきた。昔、香港の水上レストランでもこのパターンに手を焼いたものだが、熱い上にちと面倒くさい。手も生臭くなるし。ま、これが趣向なんだと云われれば、返す言葉もございません。たれも美味しかったが(パオズが食べたくなった)、マヨネーズも欲しかった。悠都には帆立だけ刻んで与える。
「7」のスープ(具はキヌガサダケとナメタケ)もちと味が濃いものの、ちょっと人に話したくなる美味しさだったり。
「8」のアイスは昼間のばらソフトつながり。プーアル茶の苦味と合わせて食べると絶妙のコンビネーション。
個人的には一日車を運転してくたびれていたのと(とりわけ高速には気を遣うもので)、昼に伊勢海老づくし(刺身にテルミドールに味噌汁)に鯛の舟盛りに牛フィレ肉のパイ包みと、しこたま披露宴料理を食べ尽くしていたので、万全の体制とまでは行かなかったのだけれど、奥さんが出産以来久し振りのコースディナーに満足してくれたのと、悠都が1時間余かかった晩餐に、水の入ったグラスを1回倒すだけで済んだのだから(彼はほぼ毎日夕食毎に湯呑みを倒して、ママに怒鳴られている)これは上出来と云っていいのではないか。
食事を終えた頃には、雨もやんでいたので、外回りで部屋に戻る。
奥さんがしきりにこの部屋の真下にある展望浴場「彩海」に行く事を勧めてくれるが、気力がわかず内風呂で済ます。
悠都は前回の犬山でよそのお風呂を克服したと聞いていたが、洗い場なし、湯船で体を洗うのと(いきおいのある)シャワーに慣れてないのとで、裸で僕にしがみついたまま「怖い」を連発して大いに泣き叫ぶ。ま、一日で200kmも車移動したし、色んなひとにも会ったし、知らない処にも来ているし、さすがに疲れたというのもあるだろう。
23時頃、奥さんがYさんと連絡を取って明日一緒にランチする約束を取り付ける。
明日は雨が上がるとは云え、足許も悪いかろうと長崎バイオパークはまたの機会にする。
リゾートホテルでのんびりする為だけに佐世保まで来る、たまにはそんな贅沢もありだろう。
いつもと違う夜に興奮した悠都が外のきらきら(彼はまだ夜景と星の区別がつかない)を見たがるので、夜中に息子とテラスに出て、眼下に広がる九十九島せんぺいの包み紙夜景モードを暫し味わう。ドック付近のオレンジ色の光の連なりが星座のように見える。
雨が降る寸前のそこはかとない蒸し暑さも、気だるさと相俟ってこれまたリゾートのうちか。
|