Diary 備忘の都 2003 September

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 王レス・コメンタリー日記(1)  2002/9/2(Tu)


チャールズ・ブロンソンが逝ったり(享年81)、穂積さんの娘さんが逝ったり(享年35)、何かと訃報が続く。

キツい仕事に追われ、23時退社が続く中、ベスト電器にて9月3日発売の「王様のレストラン DVD BOX」をフライングゲット。帰宅して、風呂・食事・「ぷっスマ」観賞後、取るものもとりあえずVol.1を観賞する。
お目当ては、このDVDの目玉付録でもある三谷幸喜(ホスト)と出演者(ゲスト)のコメンタリーである。
本篇堪能は、コメンタリーを味わいつくしてから改めて観るつもり。
以下に、コメンタリー内容を思い出すまま、とりとめもなく適当に抜粋する(ネタバレ注意)。
ゲストのスケジュール調整もあるらしく、必ずしも、一話から順番に収録した訳ではないのがご愛嬌。

第一話「この店は最低だ」 ゲスト:松本幸四郎(2003.5.27収録)
幸四郎さん、とにかく60分喋り倒す。気配りのひと&愉快なおぢさん(駄洒落王)の快進撃はとどまる事を知らない。テレビ創世記からテレビドラマに出ていた幸四郎さんが40年程前に市川監督演出のドラマ(日テレ)で、初めて俯瞰の撮影を体験した話など。

幸四郎さんの三谷夫人のいれてくれたお茶誉め。ということは、収録場所は三谷邸なのか(まさか!)。どうもそれは「十六茶」らしいのだが…(或は幸四郎さん一流のくすぐりか)。

冒頭の千石さんと禄郎くんの出会いのシーンを観る度に、三谷さんが初めて自分に会いに来た国立劇場の楽屋と重なる、と幸四郎さん。全ては其処から始まったんですよね、と感慨深げ。

故・伊藤さんが出演者全員にHビデオを貸していたらしいという話から、幸四郎さんがリップサービスでHビデオも観るなどと云ってしまったものだから、事あるごとに三谷さんがHビデオの話を振るのには笑った。コメンタリーの最后もあやうくHビデオで〆る処だった。

梶原善のぞんざい話。幸四郎さんに向かって「松本さん、歌舞伎って面白いのォ?」と、恐れを知らぬ、あの調子で訊ねたり。筒井さんの処でも、彼の口の悪さが話題になっていたから、余程のぞんざいさなのだろう。

幸四郎さんの熱き芸談。よく舞台は総合芸術などと云うが、本当はひとりの人間の中に全てが包括されていなければならない、みたいなこと。

金田さんを追っ払う有名なシーンでの「シャンベルタン」にまつわる幸四郎さんのアドリブが如何に寒いかという自嘲と、自分が書いたと思われると心外だという三谷さんの苦言(リスペクトしあいつつ、口撃のジャブを交し合う、いい意味の緊張感と親密感がいい空気を醸し出していた)。
第二話「復活への第一歩」 ゲスト:筒井道隆(2003.5.22収録)
幸四郎さんに比べて、違った意味で天然のひと・筒井さんの回はあきらかにトークがトーンダウン。コメンタリーゲストにこれほど向いていないひとも珍しいのではないか。しかもオンリーゲストの関係上、三谷さんが語るのに筒井さんが相槌を打つというパターンを確立していた。何しろ、それぞれの出演者についての感想が「いいひと」か「怖いひと」かないというのは、致命的だと思う(笑)。断言してもいいが、筒井道隆聞き書きの本だけは作らない方がいい。筒井さんが自主的に喋ったのは「古畑」で語られた納豆の美味しい食べ方(先に掻き混ぜて充分に糸を引かしてから醤油を垂らす)は本当に美味しい事くらいじゃないか(これは三谷さんのおばあちゃん直伝の食べ方らしい)。

ジャッケ・ローロンは国に帰って映画監督になる勉強をしているらしい。

「王様のレストラン」チームが以下に仲がいいかということ。打ち上げのディズニーランド行では、小野さんも出席して話、梶原善が鈴木京香と連れ立ってショッピングする話や、山口智子が引越しの時に伊藤さんを呼んでガスの元栓をつけさせた話など。

筒井道隆ジェームス・スチュアート説。三谷さんはこの作品での彼を観て、「総理と呼ばないで」にキャスティングしたそうだ(あの作品の筒井さんは確かに「スミス、都へ行く」のスミスそのものであった)。

暫くはこのネタで稼げるな。


 王レス・コメンタリー日記(2)  2002/9/3(We)


ウチの子供は夜更かしなので(父不在時でも22時過ぎにしか寝ない)、大体、父が家を出る10分くらいに目を覚ますか覚まさないかといった処。そんな父と息子の今朝の会話。

「あーあ、パパ会社休んじゃおうかなー」
「えー、この間休んだでしょ」
「休んだけど、また休みたいんだよ」
「だって会社行かないとお給料もらえないんでしょ。行かなきゃダメだよ」

3歳の息子に発破をかけられてしまった。
そんな彼も、夜になるとパパが帰ってくるまで寝まいと必死で戦っているらしい。

23時前帰宅。週も中ほどを過ぎると無理がきかなくなってくる。いや、マジで。
という訳で、今宵も「王様のレストラン」コメンタリーVer.ディスクVol.2を観て楽しく過ごす。以下、ごくごく簡単に。

第三話「ヤメてやる、今夜」 ゲスト:筒井道隆、西村雅彦(2003.5.22収録)
三谷さんと西村さんが顔を合わせたのは伊藤さんの告別式以来ではないか。「古畑任三郎・第3シーズン(1999)」を最後に三谷作品から西村さんが消えて早4年。つまり仕事としても4年振りの邂逅になる筈だ(「新選組!」のキャスト表に西村さんの名前がないのが本当に悲しい)。ぎこちないかと思いきや、筒井くんの寡黙さがさいわいしてか(それでも三谷さん、筒井くんが沢山喋ってくれるようになったって褒めちぎってた。昔の彼は置物だったのか?)、其処はTSBの主催と主力俳優、回想モード全開の三谷・西村和気藹々鼎談と化したのが嬉しかった。

米国留学した善が、一言もなく旅だった事について、西村さん「僕は仲間だと思っていたのに」を連呼。その拗ね具合が可愛い。劇団の仲間にではなく、外で知り合った八嶋智人や古田新太が知っているというのが相当にショックだったらしい。

範朝が眼鏡を押し上げる時、フレームの中央を押し上げるというリアリティを三谷さんが絶賛(西村さんに対しては久し振りだったからか、心持ち毒舌が控えめだった気がする)。

幸四郎さんの「シャンベルタン」駄洒落が三谷さんに発覚したのがこの回。西村さんに云わせると「幸四郎さんの面白くなさはコバさん(小林隆)の駄洒落の面白くなさに匹敵する」。其処で、皆の思い出に残っている小林隆の駄洒落は何かという話になって、「焼き鳥屋で、レバーを頼んでレバーが4つでフォーレバー。もうシャレなんだか何なんだか分からない」。筒井くんがすっかり観客モードになって爆笑しているのが可笑しかったり。
第四話「偽りの料理の鉄人」 ゲスト:白井晃、田口浩正(2003.5.26収録)
「オケピ!」大阪公演の休演日を縫って、この仕事のためにわざわざ東京に来た白井さん(声の傷み具合が名古屋公演を思い出させる。おいたわしや…)だが、それでも三谷さんの「梶原善なんか、この仕事のためにわざわざアメリカから帰国しますから」に「来ない訳にはいかないですよね」。「オケピ!」観劇の予定がない事で、ふたりからさんざん責められる田口さん。

「王レス」打ち上げの白井さんの「泣き」の話。「あれは泣き出したんじゃなくて、泣いてた処でスピーチの番が廻って来たんです」と白井さん。「いや、あんなに泣いている大人の男性を僕はこれまで見たことがない」「そうですねえ」…どんどん追い詰められる白井さん。

最初の本読みでがちがちだった白井さんに、三谷さんから電話で激励のダメだしがあった話(三谷さんは忘れていた)。また「王レス」収録中に「古畑スペシャル」の撮りでオーストラリアに行った田口さん、三谷さんに「王レス」の前室で「天才数学者って感じじゃなかった」と厳しいダメだしを受けて、かなり怖かったらしい。「憶えてないけど、余程腹に据えかねたんでしょう(笑)」と三谷さん。
第五話「奇跡の夜」 ゲスト:梶原善、小野武彦(2003.5.26収録)
本当にこの録りの為だけに帰国した善さんが可笑しい。明日帰る前に「オケピ!」の大阪公演を観て、関空経由で帰れと三谷さんに罵られる(「尤も、日本に居ても観に行かない田口さんもいますけど」と軽いフォロー有り)。梶原善ならではのぞんざい話に、必要以上に使い慣れない敬語を使って指摘される善さん。

善さんと「シャン・ド・マルス」の吉野さんが仲良しである事が判明。
また、梶原&鈴木京香のショッピング話は、演劇好きになった京香さんに観劇を付き合わされたという事らしい。

収録日でもないのに、善さんに会いに、京香さんが筒井くんを連れて部屋の外で待っている事が判明。これも人望か。
食べてるパンを落として「あ」と素の声を出した筒井くんのシーンがそのまま採用された話。

「王レス」打ち上げ日のディズニーランド行はジャーケ・ローロンが帰国前に「ディズニーランドに行ったことがない」と語った事から実現したことが判明。その日の彼らはミッキーより人気があったらしい。

2話しか観ないつもりがついつい3話観てしまう。ま、いっか。


 王レス・コメンタリー日記(3)  2002/9/4(Th)


23時半帰宅。妻がこさえた麻婆茄子を美味しくいただく。
いよいよ佳境に入った「Dr.コトー診療所(録画)」も後回しに(でも「銭形金太郎」は観てしまった)今宵も「王様のレストラン」ディスクVol.3でコメンタリーを愉しむ。でも、今夜はぐっとこらえて第六話だけにする。どんなに草臥れて帰っても、「王レス」を観られるだけで僕ァしあわせである。嗚呼、「王レス」トリビア満載の至福の45分。

第六話「一晩だけの支配人」 ゲスト:小野武彦、白井晃(2003.5.26収録)
収録順序は前後するが(何だか古畑みたいだ)、小野さん、コメンタリー初参加。まずは三谷さんの小野さんリスペクト話から。 小野さんは収録当時、お子さんの受験や何やらの関係でひとり暮らしをしてたそうで「王様」というと渋スタから一人の部屋に帰ってたイメージがあるのだそうだ。当然、当時独身だった伊藤さんがHビデオを持って、ふたり仲良く観賞、なんて事もあったらしい。

店先がロケに使われたマダム・トキ。出演者が行くと、朝からシェフのひとりがシャンベルタン(チーズ)と赤ワインをかっ喰らっていたそうだ。小野・白井ご両人は「気負い」とか「凄み」などと言葉を選んでいたけれど、きっとそのシェフの印象は余りよくなかったのではないかと思う。僕ら夫婦もつきあっていた頃、まさに放送のあった年のクリスマスシーズンに、妻が探し出してくれたあの店で価格高めのランチを食べたのだが、店に漂う独特の、慇懃無礼にも似た「気取り」の空気はちょっと首を傾げる処があった。…今はどうなのかな。

三谷さん、「1クールというのは短かった。2クールあれば、白井さんメインの話も書きたかったし、ジャッケー・ローロンや杉本隆吾がメインの回も書きたかった」。

小野さん、「今度の座組みでは全部の出演者を合わせても、おひょいさんを除くと僕がいちばんの年上(幸四郎さんは小野さんより18日だけ遅く生まれた)で、そういう意味でも印象深いドラマ」。杉本隆吾のお母さんは「11PM」のカバーガールを務めた杉本エマで、おひょいさんにその話をしたらひどく驚いていたとか(三谷さんも知らなかったようだ)。

「王レス」というと大体この回のスチール(梶原さんがしずかと政子に抱きしめられているシーン)が使われていた。処で、この回の演出は河野圭太だが、このひとは全員を画面に登場させる(各人の立ち位置など緻密な画面設計が要求される)のが非常に上手く、三谷さんはそれをこの第六話で特に強く感じたので「HR」をやる時に河野さんを指名したらしい。


 王レス・コメンタリー日記(4)  2002/9/6(Sa)


昨日は草臥れて、「王レス」を観ないまま寝てしまったので(「ウンナンの気分は上々」吉川晃司篇と「探偵ナイトスクープ」傑作選を観ちゃったからなのだが)、朝からつい「王レス」コメンタリーを一話分だけ観てしまう。

第七話「笑わない客」 ゲスト:鈴木京香(2003.5.22収録)
七話に出てくるコンスタンタン大使死亡疑惑(伊藤さんが噂の発端だが、死人に口なし、である)。

京香さん、七話の彼女の決めセリフである「Alors,mon bebe.Ta bouche ne marche pas(坊や、お口が動いてまちぇんよ)」を今でも諳んじていると嘯きつつ、三谷さんにリクエストされても最后まで笑って誤魔化しとおした。

「フランス経済を救った女」として表紙を飾った雑誌は嬉しくて、今でも大切に取ってある。
鈴木京香の天然振りを十全に堪能した後、妻のスタバ行脚と祖母七回忌法要の果物籠選びに福岡へ。
妻子を西新のスタバに送ってから、ジュンク堂で回遊後、ショッパーズの「The 丼」でお昼を食べていた次妹を呼びつける(長妹は博多駅方面のエステ予約済みだとかで欠席)。

妻子と合流後、IMSのお米ギャラリー併設の「ごはん亭」でランチ。女性客の待ち行列にたじろくが(男女比率は9:1くらい。しかも男性客のみは皆無)、600円のカルビ丼につきだしと味噌汁をつけて。妻はイカの刺身満載の漁火丼(600円)、息子はおにぎり1ケ(120円)、次妹はお昼をとったばかりだったのでおこめクレープ・ブルーベリーヨーグルト(250円)にグレープフルーツジュース。今日のお米は熊本産コシヒカリだそうです。

天神のど真ん中で、600円でこのボリューム(しかもコシヒカリ)はちょっと自慢していいんじゃないかな。
決して少食とは云えない僕が充分満腹になったし、ごはんだけでなくカルビの方も大振りの丼に盛ったごはんの白を「鉄壁に」隠す程敷き詰めてある上に、固くて噛み切れないとかそういう類の肉でない事だけは此処で声を大にして云っておきたい。お店自体は非常に気に入ったが、オトコひとりでは入りづらい空気があるのがやや難点。

腹持ちが良くなった処で、福岡大丸B2のオープンしたての「ディー・マイスター」脇のフルーツ売り場へ移動して果物籠を選ぶ。
次妹の話では、長妹が桃を入れたいと強くリクエストしたらしいが、季節じゃなかったので、代わりに洋梨を入れることにする(個人的にはドラゴンフルーツを入れたかったが、奇をてらいすぎと妻に却下された)。当日法要が行われる糸島の伯父宅に電話して配送の都合のいい時間帯を確認する。そう云えば前回、悠都を連れて伯父宅に行ってからもう3年近くになる。いづこにも不義理ばかりだ。

天神での用事が済んだので、車で博多駅に移動。
駅前のスタバ(笑)でエステでお肌つやつやになったらしい長妹と待ち合わせ。
チーズデニッシュと抹茶フラペチーノをいただいて、暫し兄妹で鼎談する。妻の方は色々と発見があったようだ。

バスビルに移って、「ふきや」で今夜の夕食の買出し(玉子とチーズ玉をかぶりにした上に、マヨネーズの包みを1個余計に貰う…これは妻にしか出来ない)。紀伊國屋で浦沢直樹「二十世紀少年(14)」(小学館)香取慎吾「DIET SINGO」(マガジンハウス)を買う。あ、別にダイエットを考えている訳ではない。
妹たちをそれぞれの家に送って帰宅。叔母さんたちに囲まれて悠都は興奮しっぱなしだった。

夜、再び「王レス」コメンタリーを楽しむ。
妻にはすっかり呆れられているが、なに、構うものか。

第八話「恋をしたシェフ」 ゲスト:山口智子(2003.5.27収録)
三谷さんは収録の見学に行く度に智子さんにハグされるのが楽しみだったのに、ある時別の場所でハグしようとしたら拒否された(気がした)と訴えて、コメンタリー収録の場でハグしてもらっていた。

京香さんが如何に天然素材かという話。唐沢さんと共演した舞台で、一旦袖にはけた京香さん、ティッシュで鼻の汗を取っていたら、鼻にティッシュを乗せたまま舞台に出て行ってしまった逸話とか。六話の政子の「愛人です」の台詞が凄く好きなんだと智子さん。あと九話の千石さんの「あ、面疔」とか、ドラマのエッセンスがその一瞬に凝縮されている気がするとの事。

この頃、幸四郎さんは歌舞伎と「ラ・マンチャ」の端境期(両方、このドラマとかけもちしていた)にあり、プロデューサーに出番を減らしてくれと云われて、こんな話になった(何だか「古畑」の玉置浩二の回の田村さんの出番の少なさに通じる話である)。

三谷さん、智子さんに女優本核復帰のプロポーズ。智子さんは顔がイルカに似ているのでイルカの役がいいと三谷さん。「旨く泳げるかなあ」…智子さん、いい切り返しである。長いブランクがあるので女優としてではなく一主婦として面白かった。またこんな群像劇をやりたいとのたまう智子さんはまんざらでもなさそう。
第九話「長い厄年の終り」 ゲスト:西村雅彦、鈴木京香(2003.5.22収録)
三谷さんは実際に面疔が出来易い。「有名ですよね」と京香さん(ああ、天然系コメントだ・笑)。

西村さんは衣装あわせの度にカツラを着用しようとして演出家に断られるらしい(彼は演技プランとしてアデランスに幾つかそれ用のカツラを作ってもらって準備しているそうだ)。

三谷さんのカラーひよこの想い出。内一羽はおじいちゃんが寝ていて圧死させたらしい。

この回も八話同様、幸四郎さんがラ・マンチャで忙しかった為、出番が少なく作ってある。

高津小道具店の話。京香さんは椅子の裏に「高津」と書いてあるのを見て、てっきり高津さんという役のひとの椅子だと思ったそうだ。えらい沢山、高津さんがいるもんだなあ…と、段々京香さんの本質が見えてくる挿話である。三谷さんは此処でバイトをしていて「高原へいらっしゃい」で使われた小道具を記念に家へ持ち帰ったそうだ。
香取慎吾「DIET SINGO」(マガジンハウス)を読む。何と云うか殆ど新書サイズのムック本なんだけど。
此処には袋とじで慎吾ちゃんのヌード写真が納められているのだが、夫婦とも隙間から覗き込むだけで満足しているのが、我乍ら可笑しいというか小市民というか。


 王レス・コメンタリー日記(5)  2002/9/7(Su)


この週末、映画は1本のみ。中間にて、清水崇「呪怨2(2002・日)」

「本当に怖い!」の下馬評にたがわず、1作目は確かに怖かった上に、ネットを見渡すと「2」の方が怖いと書いているサイトが多かったので、期待に震えて待ってたら、お抱え運転手にされちゃった((C)「こりゃシャクだった」)。いや、どーにもこーにもこりゃあシャクだったなぁ(て、まだ云うか)。

以下はホラー映画としてのショッカー・テクニックについてのみの感想(無論、ネタばれ含む)。
前作と同じ事をやるまいという工夫と気概は買うが、如何せんこなれてなかった。
そもそも、まずガツンと来るべき、冒頭の車のシークエンスがまるで怖くない。途中、新山千春の人間振り子はかなりイイ線行ってたのだが(極めて伊藤潤二的な気がしたが、伽椰子が階段を這い下りるセンスは監督オリジナルなので、元々ふたりの間には近いホラー感があるのかもしれない。そう云えば「富江」の3作目を撮ったのは清水さんだった)、続くメイク室の鬘や脂ジミやコピー機は敢闘賞止まり、のりピーの産室以降のシークエンスは乱暴に云わせてもらえば「蛇足」と云ってもいい(尤も、三池の「牛頭」を観ていなかったら、少しはオドロキ度合いも違ったのかもしれない)。
のりピーがインタビューで母性について監督と衝突したみたいな話をしたが、その結果が、コタツのお母さん(水木薫)の腕だったり、歩道橋のいまわのきわのアルカイック・スマイルだとすると「客は求めてないぞ、そんなもん」と思うがなあ。

前作が怖かったのは、伽椰子(藤貴子)・俊雄(尾関優哉)母子の怨念が、SARSの如く、無差別に関係者に連鎖していく事の恐怖、おぞましさにあった。今作はおぼろげ乍ら、佐伯母子の行動に目的が垣間見えた。意味が生まれると突然コワさが半減する。ちなみに「ボイス」がホラー映画として尻すぼみな理由はまさしくそれなのだ。それから俊雄くんが不意に顔を出すパターンに馴れちゃったというのは確かにある。

あとは前日、ジュンク堂で「呪怨」ムック本で清水崇・藤貴子を読んで、伽椰子メイクを取った藤貴子さんが好感の持てるルックスの美人女優だったというのはあるかも。何だ、普通の美人なんじゃん、ていうね。

エンドロールで後ろの女子中学生2人が「『怖い』っていうんじゃなかったよね」と云いあっていたが、まさしく。
「リング」における「リング2」のような映画であった。「らせん」でないだけまだましか。
尤も佐伯母子に免疫のないひとが観たら、すっげー怖いのかもしれない。

夕食は、おそらく1年以上振りのココイチ。
特筆すべきは悠都が甘口カレーのハーフサイズを完食した事。
こやつも順調に健啖家の道を歩みつつある。

夜、「王様のレストラン」ディスクVol.4で最後の2話のコメンタリー観賞。

第十話「去る者、残る者」 ゲスト:梶原善、田口浩正(2003.5.26収録)
最終話「奇跡」 ゲスト:松本幸四郎、山口智子(2003.5.27収録)

実際に日記を書いているのは9月12日なので(笑)、もはや詳細は飛んでしまっているが(日記のタイトルにいつわりあり)、何はともあれ楽しかったのだけは確か。幸四郎さんが「(先代オーナー役の)中村嘉葎雄は遠い親戚です」と力強く仰ってたのが妙に印象に残っていたり。
処で、収録日と実際のコメンタリーを頼りに今回のコメンタリー収録日程を再現すると以下になる。

 2003年5月22日(木)
 第二話 筒井道隆
 第三話 筒井道隆・西村雅彦
 第九話 西村雅彦・鈴木京香
 第七話 鈴木京香

 2003年5月26日(月:オケピ大阪公演休演日)
 第四話 白井晃・田口浩正
 第六話 小野武彦・白井晃
 第五話 梶原善・小野武彦
 第十話 梶原善・田口浩正

 2003年5月27日(火)
 第一話 松本幸四郎
 最終話 松本幸四郎・山口智子
 第八話 山口智子

三谷さんがコメンタリーが始まる度にキツいキツい(プラス「ボクもそんなに暇じゃないんですが」)とボヤいていたが、成程これはキツい。特記事項としては、善さんはこのために25日一時帰国、コメンタリー収録の翌27日には既に機上のひとになっているという、白井さんも真っ青の強行スケジュールだった事。個人的には森本さんも呼んでもらって、水沢アキの悪口でもひとくさり云って欲しかった処だが、それはまた、別のお話。

さあ、次は本篇を観るぞ!…いつか。


 部屋探し決死隊  2002/9/23(Tu)その1


秋分の日。
そう云えば、おはぎは食べなかったなあ。

家族して転居先探しの上京1泊2日行。
会社は出張扱いにしてくれたが、さすがに当人の分しか出ないので(ウチの会社は出張は基本的に新幹線)、妻子はのぞみ(新幹線だと子供がタダなのだ)で、僕は飛行機(スカイマーク・エアライン)でという超変則旅行を決行する(しかも、昨日出張許可が出て、昨日のうちに妻がのぞみとスカイマークとホテルを押さえた)。朝5時に妻子が、朝7時過ぎに僕が家を出て、13時に現地集合(東西線木場駅)するという、傍で聞くと凄まじいスケジュールである。

妻は通勤がラクなのと住環境と治安の良さから門前仲町・木場エリアを一押ししていたのだが、木場駅から幾らも歩かずに真新しいイトーヨーカドー(しかもレストラン街と109のシネコン付)が堂々と聳えているのはなかなか頼もしい感じ。

ヨーカドー内のピタットハウスで早速、担当者Mさんと打合せ。
Mさん、顔は大沢たかおだが声は小林正寛というほのぼの熱血系(おかしな譬えだが会えば納得すると思う)。
週末に狙っていた物件のうち2件は借り手がついた、或いは借り手が決まりそうという、なかなか幸先の悪い状況。今が上期末で転勤シーズンだというのをしみじみ思い知らされる。僕らの出した条件は東西線沿線(それも出来れば「門前仲町」「木場」界隈)で、2LDK以上の広さ(出来れば、3DK〜3LDK。現在の社宅程度の広さを担保しないと荷物がおさまらないので)。新築かどうかはこの際問わない。

今日は木場駅に近いマンションの3部屋(3、4、5階で間取りも違う)と門前仲町駅から5分の3DKのアパートを回り、そこで今日はタイムアップになるので、残りは明日、木場公園傍のマンション2部屋とヨーカドーと道を隔てたすぐのマンションの1部屋を見る事に決めて、早速出発する。

最初の某マンションは可もなく不可は多少ある感じだったが、次のアパートで夫婦して一目惚れする。
間取りを見た時には全然心惹かれなかったのだが、今日初めて訪ねたMさんも「これはオススメ物件と云えると思います」と耳打ち。「今日明日含めた中では此処がいちばんいいです」…そんな明日のモチベーションが下がるような事を。
トイレは新品のウォシュレットだし、お風呂は明るいバイオレットのタイルで広さは普通だが、壁が深いくぼみになっていて実質上の収納スペースになっている上に、蛇口はシャワーと湯船と別々についている(しかもそれぞれにお湯と水の蛇口がついていて、追い炊きだって出来る)。
部屋という部屋に窓がついていて、且つ部屋は全て襖で仕切られている為、襖を開け放てば夢のような風通しである(端の部屋にはクーラーもついている)。3階の部屋だが、向かいは2階建ての民家(大家さんち)なので日当たりも良好だ。二部屋に押入れがあるので収納もまずまず。辺りも閑静だし、ひとまず文句のつけ処がない。

丁度、大家のおじさんがリフォーム直後の部屋を点検している処に出くわしたのだが、頑固そうだが家に拘りがあって店子を愛してくれそうなひとだったので、彼と話しているうちに妻の目がハートマークになっていくのが見て取れた。加えて僕らがこの物件を見に来た最初のお客だったらしい。

処が、今回会社側の移動の諸手続きが遅れている事情もあって、本契約が9月末か10月初旬になるのですが…と問うと大家さんは一転して暗い顔になった。率直に云うと「待てない」との事。今回僕らがお世話になっているピタットハウスは大家さんにとっては仲介業者としては2番手で、1番手であるT不動産に義理立てしたいと仰る。10月になってもまだ借り手がいなければ…とある意味にべもない返事。
Mさん、大家さんではなくT不動産と交渉するのでお任せください、とほのぼのな風貌に似合わぬ頼もしさ。妻はやきもきしている様子だったが、此処は人事を尽くして天命を待つ他あるまい。という訳で本日は解散。

遅昼を深川ギャザリア「ロータスパーク」にある「陳建一麻婆豆腐店」で取る。

3歳児がいるので、妻は辛味のない小人麻婆豆腐、僕はオーソドックスに陳建一麻婆豆腐(各1,000円)。
黒いトレーに大皿のごはんと中華スープ(それぞれ食べ放題)、それにザーサイの小皿と麻婆豆腐の深皿がついてくる。「何だ、麻婆豆腐少ないじゃん」と思えばさにあらず、これが辛くて旨くて充分2杯目のごはんがイケる(これが正宗麻婆豆腐を頼んでいたらどーなっていた事か)。小人麻婆豆腐も妻子共に好評で、悠都は何度もおかわりを要求していた。
スタッフも皆フレンドリーなのは四川飯店系列に共通している。
中国出身らしいおばさんの下にも置かぬ気配りに、陳さんの薫陶に頭が下がる思い。オープンキッチンで鍋を振るうスタッフの汗を見乍ら、チェーン店らしからぬ味とサービスに充分満足する。此処に住んだら通いそうな気がする。

ひと心地ついたので東西線から大江戸線(妻が一度乗りたかったのだそうだ)に乗り換えて今夜の宿がある両国へ。
宿泊先は「第一ホテル両国」。ツイン22,000円の処、福利厚生倶楽部で9,000円。
客室はさほど広くもないが、13階なのでちょっとしたパノラマな眺望が愉しめる。都庁も見えるし。
ホテル好きでベッド好きな(普段蒲団で寝てると憧れるものなのだ。僕にも心当たりがある)悠都は大はしゃぎ。
両国と云うので、浴衣の柄が力士の組み手になってる処が何とも。
妻が携帯でKさんとお食事会の算段、ご夫婦のお気に入りの洋食屋が上野にあるというので其処に決める。
早起きの疲れが出て、ベッドに横になったらそのまますーっと2時間弱程気を失う。
後で妻に聞いたら、悠都は僕が寝ている間ずっと飛び回っていたらしい。
気が付いたら17時前。慌てて身支度をして、大江戸線で上野御徒町へ向かう。

この項、続く。


 黒船亭晩餐行  2002/9/23(Tu)その2


約束した17時半の少し前に待合せ場所の鈴本演芸場前着。
夜の部は古今亭菊之丞真打昇進披露興行中。NHKの新人賞を取ったのは「酢豆腐」だったか「ちりとてちん」だったか、菊之丞の若旦那は小文治師匠に通じる品のよさであった。昼の部の出演者に「昭和のいる・こいる」、夜の部に「あした順子・ひろし」とあるのを見て、激しく後ろ髪を引かれるが、今日はそういうんじゃないと必死で自分に云い聞かせる。

Y田さん夫妻と合流して、すぐ傍らのスクランブル交差点を渡った先にある、「洋食黒船亭」
「まさか『黒船亭』だったりして」と冗談半分に独りごちたら本当に其処だった次第。
いやー、瓢箪から駒でげすな。Kさんに感謝しなきゃ。

メディアへの露出が激しい事もあって、僕もその名前くらいは知っていた創業101年目、その昔ジョン・レノン夫妻も訪れたという老舗レストランは、休日だからか18時前だと云うのに、高めの価格設定にも関わらず、お店は既に8割方埋まっていた。店内は高級感こそ漂うものの、そこは洋食屋さん、適度に大衆性も入った、敷居の低さも感じさせてくれるので、オシャレして行かなくても、そう場違い感はなさそうだ。

メニューを見ていると、店内が真っ暗になる。
てっきり誰かの誕生日へのサプライズプレゼントか何かだと思ったら、キャンドルの灯ったケーキと共にスタッフがしずしずと現れる事もなく、2〜3分で照明が点いた。単にブレーカーが上がっただけだったらしい。

名物はハヤシライスとウワサに聞いていたので、迷わずハヤシライス(1400円。ちなみにスペシャルハヤシライスは2200円する)とカニコロッケのハーフサイズ(900円。此処はメニューに「ハーフ」と表記のあるメニューは全て分量半分、半額で供される。という事はカニコロッケの場合、フルサイズは1800円になる訳で、此処の価格帯がおおよそ想像出来るでしょ?)。おそらく黒船亭特製であろう素焼きのグラタン皿に1週間煮込んだとっろとろのハヤシルウ。
お肉は頬肉あたりじゃないか、やわらかくて食いちぎると細かく繊維状に分かれていく、そう、あのえもいわれぬ感じ(て、どの感じだ?)に襲われる至福感。

浅草にある名店「レストラン大宮」のハヤシライス(こちらは1800円。此処には2度ほど行ったが、一日限定10食でお昼の開店直後は常に行列が出来る。僕なら、一階のオープンキッチンをぐるりと囲んだカウンター席でシェフが手際良く料理を作るのを見ているだけで満足感に浸れる)と食べ比べる価値はあるかも。許されるならハシゴして確かめてみたい。

カニコロッケの見た目は、タラバガニのツメのフライだが、くだんのツメをカニ肉をたっぷり仕込んだカニクリームコロッケでくるんで揚げてあって、何処もかしこもカニ、カニ、カニの一品。ハーフサイズは小皿にひとつ乗ってるだけだったので、フルサイズでも2個だと思われる(黒船亭サイトのメニューを参照)。贅沢極まりない。

妻はハヤシライスのハーフサイズ(700円)とほたてとえびのグラタンのハーフサイズ(700円)。
ほたてとえびのグラタンは、ホワイトシチューをこれでもかと煮詰めて煮詰めてフュメ・ド・ポワソンやらチーズやら旨みを凝縮した、どうだ旨かろう?と油断した口許に突きつけるような一皿。ついさっき「陳健一麻婆豆腐店」で遅昼を食べたのと、大食漢の悠都が眠ってしまったのとで、妻が涙を呑んで残したグラタンのおすそわけを食べさせてもらう(しかし、これだけ重たい皿ばかりよく入るね、オレも)。うん、おいちい。

基本的に佳いお店と料理なのは認めるが、あえてこれだけは云いたい。
水がムンクの叫びの画の如くとろけていきそうになる位マズい!
油断していたので、一口水を含んだ処で思わず夫婦して、顔を見合わせた程だ。
何しろウチの社宅の水道水(但し、浄水器濾過済み)と比べてもマズい。
塩素濃度を云々する前に、タールでも入ってるんじゃないかと疑いたくなる程不味いんだから。

ファーストフードの店ならともかく、所謂名店と呼ばれる「黒船亭」で出される水が此処まで不味いというのも、ある意味「10へぇ」程度には驚ける。きっと東京に住んでいるひとにはもはやこの水の不味さが分かんないんだよね。
実際、Y田さんご夫妻は僕らが説明するまで怪訝な顔をしていたもの。
…そりゃ、ミネラルウォーターのBARが繁盛する訳だよ。

Kさんは本当に妻の上京を欣んでいるらしく、僕の東京勤務がずーっと続けばいいと滅相もない事を云っていた。
Kさんのご主人のY田さんは妻から聞いていた通りの、おだやかな「おとなの男性」で、その存在だけでテーブル全体を和ませるような、Mr.ヒーリングなひとであった。今後ともどうぞよろしく。

結局、悠都は最后迄眠ったままで、ホテルのベッドに降ろした処でようやく目を覚ます。
疲れていないと嘯いていた妻がぐっすり寝入ってしまい、すっかり復調した子供にコンビニで買ってきたおにぎりを食べさせる。尤も、これは翌朝聞いた話だが、妻は今日の3DKの物件を手に入れる為に、どうしたら大家さんと懇意になれるか、夢の中でまで策を練っていたらしい。

かくて東京の夜は更けていく…。


 ほんとうの備忘録  2002/9/30(Tu)


引継ぎ業務の日々。ちょっとした隠居気分というか、軽いインターバルな心持ち。
資料をがしがし作ったり、説明したり、きちんと仕事はしているのだが、何かこう小休止な感じ。
仕事の関係先に挨拶メールを送ったら、次々に「お疲れ」メールや「新天地でも頑張って」メールが届く。ありがたし。

さて今月観た映画は以下の6本。九州でのラスト映画はモー娘2本立てか…嗚呼。
転勤の準備やら仕事の引継ぎやらで忙しかったとは云え、これは少ない。
「ロボコン」はおろか、「座頭市」「釣りバカ」もまだではないか。果たして来月拾えるかと思うと少しユーウツ。引越し先の駅の近くに109のシネコンがあるのが唯一の救い。

 87.「呪怨2(2002・日)」9/7(Su)
 88.「シモーヌ SIMONE (2002・米)」9/13(Sa)
 89.「ナイン・ソウルズ 9SOULS (2003・日)」9/20(Sa)
 90.「シェフと素顔と、おいしい時間 DECALAGE HORAIR (2002・仏)」9/20(Sa)
 91.「青春ばかちん料理塾(2003・日)」9/27(Sa)
 92.「17才〜旅立ちのふたり(2003・日)」9/27(Sa)


尚、今月読了した本は以下の4冊。ニコラ・テスラの本はずっと読みたかった一冊。
伊東さんが如何に喜劇界の将来を三谷さんの肩にたのんでいるかも分かったし。

 さだまさし「いつも君の味方」(講談社)
 新戸雅章「発明超人ニコラ・テスラ」(ちくま文庫)
 伊東四朗「この顔でよかった!」(集英社be文庫)
 養老孟司「バカの壁」(新潮新書)

夕方、ピタットハウスMさんから、オーナー審査が降りたと電話がある。
契約書がこちらに届くのは早くても明後日、社長決済が降りて敷金礼金が支払われて…日曜が入居可能(家財道具搬入可能)になるかどうかは微妙な処。少なくとも2、3日はホテル暮らしを覚悟せねばならないようだ。

嗚呼、短期間遠隔地転居への道はかくも険しい。




 
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