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ウルトラセブンがDVD化されるようだが,どうやら今度も第12話「遊星より愛をこめて」の収録はないらしい。
今日はその幻の12話「遊星より愛をこめて」について書く。
子供(主に小学生高学年)の頃,怪獣図鑑の巻末にあったセブンの放映リストには「第12話は永久欠番とする」とあるだけで,当の第12話は空欄になっており,子供心に聖域を感じたものであった。当時,永久欠番というと長島茂雄しか知らなかったから,何だか名誉なものを想起していた。例えば何かの殿堂入りとか。で,名誉な割りに観られない。事情を知らない小学生にとって謎は深まるばかりであった。
実は,その経緯は92年発行の別冊宝島「怪獣学・入門」の初版に詳しい。
しかし,どういう訳か重版分は別のコラムと差し換えられるのだが。
以下,ダイジェストでお送りする。
昭和45年,小学館の「小学2年生」11月号付録「怪獣決戦カード」の当該作品に登場したスペル星人の写真に「ひばくせいじん」との説明書きがあるのを見つけた中学1年生の女の子が,原爆被害者団体協議会の委員をつとめる父親にタレ込んだ。
父親が小学館へ抗議の投書をしたが,その回答が来る前に「人権派」朝日新聞が記事としてスクープし,話が大きくなった。その後,他社の出版物からも「スペル星人」の記述が集められ,激しい糾弾が始まった。結局の処「ひばくせいじん」などというネーミングも,制作者側の手によるものではなかったのだが,円谷プロは,第12話「遊星より愛をこめて」を欠番とし,以後あらゆるメディアへの露出を「封印」した。
糾弾側の主張は「被爆者を怪獣あつかいするのは,差別の助長につながる」であった。
最后にこの一家が被爆者ではなかったことを申し添えておく。
処でクレームがついたのは45年であるから,実はオンエアされて3年の間は幾度となく再放送されていたりする。ビデオ化こそされなかったものの,そこはそれ,蛇の道はヘビなのか,映像自体はダビングを重ねて画質の悪い裏ビデオのように姿を変え乍ら,今も闇ルートで取引きされているようだ。
あの宮崎勤の部屋がマスメディアで公開された時,堆く積もったビデオコレクションの中に第12話「遊星より愛をこめて」のタイトルが燦然と輝いていたのを,今でもよく憶えている。尤も,米国放映版についてはそんな経緯はどーでもいいことなので,アチラでは"Crystalized Corpuscle"というタイトルで堂々とオンエアされている。ほんの2年程前の事だと思う。勿論,英語吹替版である。アチラの怪獣オタクなら存外ビデオを持っていてもおかしくはなかったりする。
上記経緯を読んでいただければ分かる通り,騒ぎは全くコトバ狩りの類であった。
あくまでも「ひばくせいじん」の記述が問題なのであって,物語がどう被爆者を差別しているかどうかが問題ではなかった。被爆ということで云えば,同じセブンのギエロン星獣も放射能に犯されて地球に飛来した訳だし,差別ということで云えば,金城哲夫の幾つかの沖縄VS本州を扱った作品も考えようでは差別の助長につながりかねないという云い方も出来た。ハードなテーマでSFドラマを書けば,そういったものは常に紙一重なのだと云っていい。原爆被害者団体協議会がそういう目で番組をチェックしていけば,人柱(星人柱)はスペル星人だけではすまなかったに違いない。そういう意味ではギエロン星獣は,そしてラゴンは,ジャミラは,数多の怪獣たちは旨く逃げおおせたとも云える。
もっと云えば日本の怪獣映画の祖ゴジラだってまごうかたなき被爆怪獣なのだ。
「被爆怪獣」と「ひばくせいじん」にどれほどの隔たりがあるのか。彼らが議論を重ねていない証拠である。
少なくとも今なら永久欠番になどなりえない(ハズである)。
残念なのは当時なされた「封印」が21世紀を迎えつつある現代でも見事に生き延びていることにある。
円谷プロが頑固なのか,原爆被害者団体協議会が頑固なのか。
いずれにしても困ったものである。こーなったら渡米してセブンの再放送を待つしかない。
どうしてこんな話を長々としているかと云えば,先の土曜日に博多駅バスターミナルにある紀伊国屋で佐々木守の脚本集が置いてあるのを見かけたからである。彼は当時多くの子供番組を手がけたライターでセブンも何作かは彼が手がけた。で,あろうことかこの脚本集に収録されたセブン作品は何故か第12話「遊星より愛をこめて」1本きりなのである。あきれたというか,確信犯というか,ま,何にせよとにかくエラい。
しかも,ゲストのひとりは桜井浩子(アンヌの友達役)である。彼女は「Q」「マン」「セブン」と唯一3作品に顔を出した奇跡の女優だったのだ。日本にいる限りその勇姿はどうあがいてもお目にかかれないのだけれど。
という事で,志の高いヒジョーにエラい本なのだが,此処にも問題はある。
1冊10,300円もするのだ。
たぷん今レジに出すと10,500円払わされるのだろう。伊達や酔狂でしか買えない本なのである。
という訳で,気が向いたらいつか12話のストーリーも此処で紹介する。
あさりよしとお『宇宙家族カールビンソン』中にもダイジェストが出てくるそうだが,不幸にも僕は読んでいない。
あくまでも,気が向いたらなので,余り期待しないように。
昨夜,FAXにて「そろそろ…」と瀬戸口くんの手口でやんわりプレッシャーをかけておいたら,今日の昼頃,やっさんから「噺の穴」が届いていた。
やってはみるものである。忙しいのを知りつつ,悪いトモダチと重々承知の上で,遥か東国,練馬の空へ手を合わせる。
そうそう,昨夜は網中くんからも昇進祝いメッセージが届いていたんだった。
網中くんは高校時代,やっさんが主催する落語研究会に所属していたやっさんとは切っても切れないひとである。
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