6月のにっき(1)

ブラームスという悪党の曲をまた弾いてみたがね
何とまあ才能の無いバカだろう、あいつは

チャイコフスキー『1886年10月9日の日記』より

6月10日(木) そんなことは言われなくても分かっている
6月09日(水) 古畑任三郎VS三谷幸喜
6月08日(火) ゼブロイド襲来
6月07日(月) ジンキー無き生殖
6月06日() 大塚家具ショールームを冷やかしてくる
6月05日() 具満タンを買う
6月04日(金)  
6月03日(木) 入梅
6月01日(火) 奥さん,寛解する


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6月10日(木)「そんなことは言われなくても分かっている」

奥さんから図書カード(3000円)を貰ったので,退社後,嬉々と戸畑サティの書籍売り場に飛び込んだら,すまなさそうに「お取り扱い出来ないんです」と頭を下げられ,愕然とする。最近,このパターンが多い。先日もAMC中間の階下にある書籍売り場で同じように頭を下げられた。
まだまだ無邪気にレジに出せないあたりに,図書カードの書店浸透度の限界がある。
結局「U-BOOK」で,ずっと我慢していた宮本輝「草原の椅子(下)」(毎日新聞社)を購入。

奥さんが電話による音声データ収集というヘンなモニタ募集に当選していた。
会社は「TBS VISION」とある。勿論,あのTBSの子会社である。
電話口に向かって,与えられたテキストを読むというものなのだが,問題はそのテキストにある。たとえば,

「釧路でやはり伊東の名前でリムジンを予約してください」

などという例題は一体どういうセレクトによるものなのだろうか。また,

「そんなことは言われなくても分かっている」
「あなたって,げっひーん」

あたりのぎすぎすさも捨てがたい。
この刺々しさは「うる星やつら」の面堂家主催・新年書初め大会のお題として書かれた「おまえの秘密を知っている」以来である。
これを日本中から選ばれた精鋭たちが,受話器に向かって皆んなして呟くのである。きっと真顔で。
奥さんの録音日には,是非共,居住まいを正して,彼女の喉笛を見守りたい。

「草原の椅子(下)」を深夜まで貪り読むが,3/5程読んだ処で2時を廻る。最后迄読むと明日に差し支える。
途中で読書ブランクが空くのが嫌いな奥さんは(て,そりゃオレだって嫌いだよ)これで安心して上巻に着手出来るのだそうだ。…うぬぬ。


 
6月9日(水)「古畑任三郎VS三谷幸喜」

ファンサイト「古畑任三郎」がいつになく荒れている。
PART2の「VS若林仁(間違われた男)」を彷彿とさせる,窮地に落ちた犯人のピカレスク・コメディとでも呼ぶべき「雲の中の死」(昨日オンエア分)の出来について,賛否両論真っ二つに割れた事がその発端である。賛成派はSITCOMとしての完成度の高さに軍配を上げ,反対派は通常の古畑のドラマ・スタイルから逸脱し過ぎている事を駄作の事由に挙げている。
で,それが双方共「古畑」ファンであり乍ら「『古畑』を三谷のいいようにはさせない」的なアンチ三谷派の台頭を招く。

アンチ三谷派がひとつ見落としているのは,三谷さんがドラマを書くに際して「一切,手を抜いていない」事である。彼はいつか大御所になってしまったが,決してお大尽作家ではない。産みの苦しみがどんなにきつくても,決して投げ出さない。立ち止まらない。出来るだけ同じことをやらない。安住しない。エンターテインメント作家としての冒険と挑戦は,西園寺守の登場を始めとして,とりわけ本シリーズにおいて「も」顕著だ。常にクリエイターとしてのスタンスが変わらない。そもそも「一作目」の登場自体が画期的だったのを皆,忘れている。存在自体,画期的だった(日本では試みられていなかった)ドラマが,新シリーズの度に画期的なエピソードを用意する心意気(と実績)こそ並大抵のものではない。そういうひとたちは,日本のニール・サイモンと呼ばれるような極上の喜劇作家がミステリィを書いている事を知らないか,忘れているのである。既存(という書き方が適切かどうかは別だが)の「古畑」の犯人を追い詰めていく面白さは,喜劇作家としてのドラマツルギーによって成り立っているのだ。
「優れた喜劇の書き手は必ず優れた人間ドラマの書き手でもある」というのは,もはや動かしがたいセオリーである。
勿論,限定空間,レギュラーを含む周到に配された登場人物(コメディの装置としてのもたいまさこ,もしくは彼女と玉置浩二の関係性は完璧である),大いなる危機とその回避というテーマはSITCOMの王道であり,僕は本作「雲の中の死」肯定派である。
それをやるのが「古畑」でなくても良かったではないかという意見には,こう反駁したい。
「それが『古畑』だからこそ,やって良かったのだ」と。
今回のタイトル・アバンで古畑自身もうそぶいている。「はい。何でもアリ,なんです」

誤解を怖れずに書けば,所詮はテレビドラマなのだ,嗜好品である以上,受け手は幾らでも好き勝手に云う立場にあるし,ドラマ自身もその好き勝手な声に依って立つ。作家は,演出家は,役者は,スタッフは,受け手のそんな発言に一喜一憂して浮き沈みする他ない。
三谷さんが「ドイルがホームズを殺したかった気持ちがよく分かる」「田村さんが『これで終わり』って云っているからたぶん終わりなんでしょう。やっと解放されます」と語ったのも,全て自然な発露だと思う。三谷さんにとって,おそらく最も巨大な敵は「古畑任三郎」自身である。作家である三谷さん自身がもはや彼を,彼をとりまくムーヴメントを制御出来ない。全ての愛憎の源は彼へ彼へと集約されていく。
それはきっと田村さんにとっても同じであるに相違ない。「はまり役」という,まこと疎ましき呪縛の存在である。

夕食の後,昨夜の残りのパフェ・ド・フリュを全部いただく。
食べても食べても無くならない至福の刻に,夫婦して歓喜の歌を歌う(嘘)。
いや,まったく「サント・ノーレ」のケーキにハズレなし。

**奥さんのネット懸賞日記**本日の戦果

一、図書カード3,000円、商品券1,500円  Knot's Club


 
6月8日(火)「ゼブロイド襲来」

昨日の日記のつづき。
父親がロバで,母親がシマウマなのは「ゼブロイド」だそうである。
なんだ,つまらん。物差しみたいな名前だ。今からでも「ドンブラ」にならないもんかね。
今朝の新聞で「ジンキー」の写真を見る。ロバだ,ロバ。脚だけシマウマである。因みに生殖能力は無く一代限り。まさに仁義無き生殖である。

さて,今日は奥さんの誕生日だったので,お休みをとって,博多リバレインに向かう。
リバレイン行の中身については,もうちょっとしたら書くのでそれまで待ってくらさい。
サント・ノーレのバースデーケーキ。ローソクは3本だけど3歳でも30歳でもありません。
香椎の「サント・ノーレ」に寄って注文しておいたバースデー・ケーキ仕様のパフェ・ド・フリュを買って一旦自宅へ。
いや,ビデオテープ入れ換える為だけなんだけど。

少し寝て(寝過ごして)から夕刻,奥さんの誕生祝の晩餐に,N山夫妻も絶賛する門司区はTRATTORIA「Di Mare」へ。
んでもって,肝腎の晩餐の詳細については,美食のタマシイを参照のこと。
22時頃帰宅。既に満水状態の奥さんだったが,自分の誕生日なので,最後の力を振り絞ってケーキを開帳する。
普通,バースデーケーキに貼りついたメッセージプレートなんて美味しくないものだが「サント・ノーレ」はメッセージプレートまで美味しい。掛け値無しに美味しい。しかも,明日もこの続きが食べられるのだ。パフェ・ド・フリュは僕ら夫婦を待っていてくれる。
そう云えば,今日,彼女の舅小姑から衣類やらキティちゃんのぬいぐるみやらが届いていた。息子の時もどうぞよろしく。
以上。

と云う訳で奥さん,お誕生日おめでとう。


 
6月7日(月)「ジンキー無き生殖」

父親はシマウマで,母親はロバの「ジンキー」というのが栃木県那須町で生まれたそうである。
自然に生まれたのは日本初だそうだが,一体どういうシチュエーションだったのだろうか。
父親がゼブラで母親がドンキーだから「ジンキー」。非常に分かり易いネーミングである。
処で,父親がライオンで母親がトラだと「ライガー」,その逆は「タイオン」と呼ぶ。
その明解なネーミング法則には爽快感さえ覚えるが,すると今回の「ジンキー」の逆,即ちドンキーを父に,ゼブラを母に持つと,やはりドンブラなのだろうか。何だか川上から流れてきそうでイヤである。誰の子か分からない感じすらするではないか。オレがヤツならぐれると思う。
という事で,どなたか正解を教えてください。

夜,レイトショウで「催眠(99・日)」を観るつもりで用意していたら,間際に奥さんの勤めるスクールから,お客さんから120個もの卵を貰ったので取りにおいでと電話があり,にべもなく黒崎へ。養鶏農家のお客さんらしい。地鶏の卵を30個ばかり貰ってくる。これで明日から我が家はミネソタの卵売りである。
嬉しいアクシデントで予定が狂ったので,「鉄道員(ぽっぽや)(99・日)」を観る事にする。尤も,この土曜に中間で公開された映画のうち5本は観るつもりなので,そのへんの融通は利く。奥さんはヒロスエが娘じゃ小説のイメージが壊れるからとパスする。娘はいわさきちひろの水彩画のようにもっとふわっとした子じゃなきゃいけないのだそうだ。まあ,色々とポテンシャルの高い作品であった。
あ,小林稔侍は職権乱用というか,公私混同というか,何か冷静じゃなかったぞ(笑)。


 
6月6日()「大塚家具ショールームを冷やかしてくる」

お昼前に,昨日グランドオープンしたAIMへ向かう。
お目当ては大塚家具。OL時代の奥さんはわざわざお台場まで出かけていって大塚家具の広大無辺なショールームを冷やかすのがたいそう好きだったらしい。Z−SIDEの「コンランショップ」では無いが,金額的に決して庶民に折り合わない調度の数々を眺めて廻るのは,もはや根性決めてルーブル美術館を観て廻るのに等しいらしい。
成程,かつて彼女が通った有明本社ショールームは会社自ら「東京ドームのグランドの約2.3倍の広さがありますのでご来館の際には歩きやすいシューズをお勧めします」などとうそぶくくらいだから,ウインドウショッピング此処に極まれり,と云える。年間50万人が押し寄せると云うのだから,殆ど遊園地並みの扱いである。

本降りの雨にもめげず,小倉駅からAIMに続くムービングロードは家族連れでごったがえしていた。
ラフォーレ原宿の下ではガレージセールの行列まで出来ている。おいたわしや。
AIM4,5階のフロア全部が大塚家具の店舗。奥さんに云わせると,これでも有明とは比べ物にならない狭さらしい(やれやれ)。
エレベーターで受付のある5階へ。これまた家族連れでごったがえしているが,オープン2日目で閑散としていたら目もあてられないので,まずはこんなものか。

家具については全くの素人なので,ショールームの詳細な描写なんて挑む気も無いが,フロアを果てしなく続く応接セットというのはそれはそれで異常なロケーションであった。あれがパーティションで区切られていなかったら,ブルジョアの野戦病院(あるか,そんなもん)みたいに見えるのではないか。ま,5階フロアでびびらせておいて,4階でぐっと庶民の手が届くものを並べているといった印象。意外にポストモダンなデザインの家具が少なかった。もう少し草間弥生がデザインしたみたいにポーンとひとつ抜けた感じのが欲しかった。あったら絶対に買わないだろうが(をいをい)。いくつか置いてあったバー・カウンターは目を引いたが,下戸の僕には一生無縁だわな。
目の保養だけさんざんさせてもらって退場。奥さんも満腹したようで,暫くは来なくていいそうだ。

忌まわしき汗かきシーズンが本格的に到来したので,夏のエチケット対策にゲランの「エリタージュ」を求めて小倉そごうに行くが,徒労に終わる。現在,小倉にあるゲランの店舗は玉屋か井筒屋だけなのだそうだ。雨足が強くなったので,今日は諦めることにする。此処だけの話,僕自身はゲランへのこだわりはちーともないのだが(無論,違うブランドへのこだわりもちーともない),奥さんが「エリタージュがいい」と云って譲らないのである。確かに独身時代「エリタージュ」を好きでつけていたのは本当なので,近日ゲランへ行く事になる。たぶん。

夜,雷雨になる。本格的に梅雨だなあ。


 
6月5日()「具満タンを買う」

奥さんと福岡行。
僕はシネリーブル博多「ワンダフルライフ(98・日)」是枝裕和監督の舞台挨拶へ。
奥さんは「ビッグカメラ」の冷やかしと,夫婦で使う抹茶茶碗の探索。
彼女は「ビッグカメラ」でHP素材集「具満タン10」購入。10を選んだのは,結婚・お祝い素材集だったから。まあ,ぼちぼち揃えていくつもり。茶碗は気に入ったのが見つからなかったので,今回は見送ったそうだ。僕は「ヴァージンメガストア」にて,数日間留保しておいた海援隊「エレジー(哀歌)」購入。今はCDシングルを買うのが精一杯でしゅら。

6月8日の博多リバレイン行の目玉のつもりで,福岡アジア美術館で開催中の福岡トリエンナーレの前売りを買いに行ったら,開催期間が明日までになっていて唖然とする。てっきり来週の金曜日までやっているんだと高を括っていたのだが甘かった。
徐冰(シュビン)の新英文書法『お名前は?』で自分の名前のアルファベット合成漢字をつくるのを楽しみにしていたのにィ…。

帰宅すると,尼子くんのフィアンセ・亀井さんから,丁寧なお手紙と披露宴用パンフレット原稿が届いていた。
相変わらずの照れ屋さんで,頼んでおいたツーショットの写真はなかったが,そんなもんいくらでも合成できるもんと奥さんがうそぶく。しかも,新婦の子供の頃の写真は同封されていたが,肝腎の新郎のスナップがないではないか。こーなったら,僕の所有する昔の彼の恥ずかしい写真を蔵出しするか。…てなことすると,ムチャクチャ怒るだろうから(笑)やめておく。
奥さんは数パターンのサンプルをこさえて,中から選んでもらうのだと,早速「ビッグカメラ」で買ってきたばかりの具満タンを開封して仕事を始めたようだ。当の尼子くんの友人である僕は静観してお手並み拝見。ひとつよろしく。


 
6月4日(金)「 」

**奥さんのネット懸賞日記**本日の戦果

一、PictStage Ver2.0 CD-ROM  Canon
一、フレグランスサシェ  Amazonet


 
6月3日(木)「入梅」

関東以西は一斉に梅雨に入る。
ほんの昨日,南九州が梅雨入りしたばかりではなかったか。

今日は黒崎の「麦々屋」で,ほんのうちうちの呑み会。少し遅れたが,ISO拡大審査の打ち上げである。
で,まあ色々と此処には書けない事で冷や汗をかく。こういう時,下戸な自分がすこうしだけ恨めしい。
ま,あくまで一里塚。打ち上げは即ち壮行会でもある訳で。しおしお。

そう云えば,種ともこさまも二人目をご懐妊。ますますアルバムが遠ざかるなあ。


 
6月1日(火)「奥さん,寛解する」

奥さん,完全復活。ともあれ,おめでとう。
朝,おめざで昨夜食べ損なった「さかえ屋」の和風ムースをいただく。
こちらも豆腐だが,ブラマンジェと違って粒あんがかかっていて,これはこれでまたなかなか美味しい。

処で「平さんがゆく!」のアクセス数が3300を突破した。
4月の披露パーティー前に2000アクセスに達したばかりだから,月あたり1000アクセスくらいか。開設から2000ヒット到達迄半年を要したのだから,真を打つのが噺家の認知度と如何に直接結びつくかという事だ。思い知ったよ。何はともあれ,めでたい。
これからも尚一層,桂平治の人となりが伝わるような頁作りを目指して精進いたします。乞うご期待。
それに引き替え,ウチの頁はようやく2000ヒット。差がつく一方だなあ。

斉藤由貴さま,御懐妊。11月にはお母さんになるらしい。
こういう時に青春は過ぎ去ったのだと思い知らされる,とふと何故か遠い瞳になったりして。
そっかァ,オレよりひとつ年長だもんなァ。結婚して5年も経つんだもんなァ。
尤も,歳取って盛りを過ぎてからヘアヌード写真集出して,安手の汚れ役演って,しまいに可愛くも無い娘のステージママを目指してる元アイドルを好きだったよりもずっとずっと幸福なんだけど。元々,一女優としてもフェイバリットだった訳だし。
ただ,出産間際迄仕事をセーブする気はないようで,もうやがて柿落としの博多座の「ローマの休日」には臨月出演するつもりだそうで,そういう話を聞くと大地真央も出ている事だし「行くか,博多座」となるのだが,高いんだよなあ,あそこの価格帯。
て,今朝のFM福岡でなかじーが云ってたんだけど,よくよく考えてみれば前回公演で斉藤さんのお仕事ってミュージカルの作詞だけじゃなかったか。本当に今回,出演まですんのか? 何か眉唾臭かったりするので,もう少し調査要である。

「噺の穴」更新。文体に変化あり。今回のやっさんは噺家としてとりわけ凛々しかったりする。

「古畑」,福山雅治の巻はアームチェア・マーダラーのお話。
犯人の設定といい大した野心作だが,PART3の中でも「ボク的に」屈指の名作が生まれた予感。
次回は「やっぱり猫が好き」以来,久々にもたいまさこさんの登板となる。そんなこんなで期待は募る。



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