6月のにっき(2)

ロバート・ミッチャムは云った。
「ニガーと一緒にやるなんて問題外だよ」


マーロン・ブランドは云った。
「黒人の役をやってよければ受けてもいいんだが」


カーク・ダグラスは云った。
「いいでしょう,やりますよ。但し,両方の役をひとりで演じたいんです」


1958年,スタンリー・クレイマーからの
『手錠のままの脱獄』のオファーに応えて


6月20日() 人生真ピンクの日もある
6月19日() 1999年の浮世床
6月18日(金) マルガの君臨
6月17日(木) 毎日が通信簿
6月16日(水) 取調室10
6月15日(火) 佐世保より愛を込めて
6月13日() トワレを買う
6月12日() ほたるが降る木立ち


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6月20日()「人生真ピンクの日もある」

今日は飯塚で,SF研の先輩である稲田さんの結婚披露宴にお呼ばれ。
朝はゆっくりめでいいしィ,と3時に就寝したら4時に会社から呼び出しがあって,延々10時まで。
泣くに泣けない大井川。モスバーガーで夏季限定のマンゴプリン・アイス(モスが「鈴木あみ」などというタレントを起用するのは結構一大事である)と冷製カボチャスープを買って半死半生の体で帰ると,奥さんがエビとケチャップのピラフをこさえて迎えてくれる。朝食後,90分程横になるが,仕事明けの興奮で熟睡出来ず。悶々としている内にお午を過ぎてしまったので,仕方なくスーツに着替えて家を出る。
帰りが心配だと奥さんまでついてくる事になる(勿論,披露宴には参加しない)。色々と悪りィね。

90分もかからないで,「のがみプレジデントホテル」に到着。飯塚では最大級のホテルではないか。
玄関前には今日挙式予定のカップルへのウェルカムボードが10組以上ある。ジューンブライド,大安,日曜に加えて「父の日」と役者が揃った日取りではあるが,まだ田舎ではこういうバブリィなホテル・ウェディングが主流なのだなあ。

フロントでの高さに辟易して熨斗袋をコンビニで買って帰ると,ロビーであてどなく彷徨する長友くんを発見。
彼と(何故か)奥さんと会場のある4Fへ上がると,受付では既に白浜さんが,学生時代とほぼ変わらぬ姿で(当社比)かしこまっていた。
お会いするのは卒業以来だからほぼ10年振りになる。
挨拶すると「こいつはァ…」と感嘆のこもった絶句をした後「いやあ,太ったね」と挨拶代わりにのたまわれてしまった。
ま,こーいった応答も予想変動の範囲内という事で,僕ァたじろがない(笑)。
応接ソファで所在無げにしていると脇のテレビで稲田さんの挙式中継が始まる。
最初,画面の垂直同期がとれていなくて画像がちらつく。スタッフのお姉さんがやって来て,しきりに音量と色調整をいじり始める。…これこれ。

白浜さん,稲田さんの晴れ姿に曰く「稲田くんは恰幅がいいから紫の羽織が似合うねえ」

しかし,白浜さん,SF研のメンバーはオレも含めて恰幅のいいのが揃い踏みだから,皆で紫の羽織を着て,「トレンチコート・マフィア」に対向して秘密結社「若い羽織の会」くらいいつだって組織できますよ。絶対に賛同者いないけど。処で,画面の焦点が合っていないのと,余りに「引き」な絵の為,白無垢の花嫁さんの顔がよく分からない。白浜さんに花嫁さんはどうでしたかと訊ねてみたが,まだ逢っていないとのこと(あ,とっても可愛らしい方でした)。
開場間近になって,ようやくあめんさんが現れる。あめんさんに直接逢うのも,何やかやあって1年半振りくらいである。僕の結婚後,一度ウチに泊まったんだが,今は仕事の都合で富山在住だしィ。

披露宴の方は久々に正調・ニッポンの披露宴というスタイルであった。
宴の後半で,稲田さんに「余興をやって」と云われ,敢然と水芸の道を拒んだ僕は,長友くんを巻き込んでカラオケで歌う予定にしていたのだが,当の長友くんのレパートリーが広末涼子の「明日へ」かSPEEDの「White Love」,もしくは「だんご三兄弟」だと云う。じゃ昔の歌にしよっかと提案した処,松山千春の「季節の中で」しか歌えないと毅然と云うので,ネタ的に折り合わず,あめんさんを新パートナーにさだまさしの「天までとどけ」を唄う。久々にあめんさんとデュオするが,あめんさんのキーの高いこと高いこと。僕もオリジナル・キーで頭に入っているので,あめんさんについていけなくはなかったが,それにしても高い。熊大SF研OB界の田谷力三と呼んでもいい(呼ばれたくないって)。
稲田さん、京子さん、ご結婚おめでとう。稲田さんの耳許のカーネーションがお分かりになるだろうか。尚,写真掲載は稲田さんの許諾済みである あめんさんは更にこのあと「アカペラで」小田和正を朗々と歌った。
己が歌唱に自信がなければ,これは出来ない。
いやあ,さすがは「熊大SF研の田谷力三」である(もういいって)。
何より歌に入る前の短い祝辞が,あめんさんの稲田さんへの愛を端的に表現していて良かった。
こんなことを云っては何だが,個人的にはいっそ歌よりも祝辞の方に感動したくらいである。
キャンドルサービスの時,稲田さんが誰の仕業か,両耳にカーネーションを指していたのが,妙に可笑しかった。白浜さんがぽつり「あれをやるかどうかで迷ったのだ」と呟く。
少なくとも今回に関しては,SF研のメンバーは非常にお行儀が良かったという事だけは云える。
新郎新婦退場後,あめんさんと共に火の見櫓のような高さのウェディングケーキの処に近寄った。指で突ついてその模造度を調べる。
いやー,どこもかしこも作り物であった。て,調べるふたりも大概あほうである。あほう。

披露宴後,恒例の撮影大会を済ませた後(さすがに胴上げは協議の上,今回は見送った),今夜はホテルに泊まって稲田さんと呑み明かす予定のあめんさん・白浜さんとはエレベーターで,長友くんとは玄関で別れて,家路を急ぐ。奥さんが「お腹空いた」を繰り返すので途中コンビニに寄ってから揚げ入りおにぎりメロンパンを買う。あ,メロンパンは僕が食べたかったので。メロンパンって3ヶ月に1度くらい無性に食べたくなりません? 因みに奥さんは皮だけ食べて後は残す主義だそうである。>それじゃコドモぢゃよ。

処で,ロビィでの待ち時間を利用して,結局,奥さんは僕より先に宮本輝「草原の椅子」を読み干してしまった。「面白かった」を連呼される。
…何かひどくクヤしいが,これは後1/3を残して積ん読してあった僕の方がワルい。早く読まなくちゃ。


さて,今日は父の日でもあったが,いずれの実家にも未対応のままである。
ごめんなさい。必ず何かするので,もうちょっとだけお待ちください。


 
6月19日()「1999年の浮世床」

明日は披露宴に出席するので,ほぼ2ヶ月振りに散髪に行く。
うちの社宅近辺はどういう訳だか,バーバーとヘアサロンが異常な密度を誇っていて,その数は10軒を有に超える。
「シザーズリーグ」を開催すれば,さぞかし年季の入ったバトルが堪能出来るに相違ない。
僕がよく行く理髪店も3軒先に美容室,真向かいにヘアサロン,その更にひとつ隣に理髪店と,全く何故の嵐なのだが,その僕が行く理髪店の真向かいのヘアサロンのドアが開け放たれていた。入口付近には二階に続く階段があるのだが,其処に腰掛けて若い女性がヴァイオリンを弾いているのだった。
白いブラウスと黒のパンツ。曲はじっくり聴いた訳ではなかったが,何だかサロン・ミュージックのようだった。
お客さんは間近でヴァイオリンの音色を聴き乍ら,髪をあたってもらっている。
こんなサーヴィス,「アクア」でも「ヘア・ディメンション」でもやっていまい(カリスマ美容師のいる店はお客のトータル・プロデュースが売りなので,そもそもサーヴィスの方向性が違うのだけれど)。ただ,何だか地域的にもさびれゆく(失礼!)築40年の社宅住民をターゲットにしている店にしては客寄せが垢抜けて(?)いると思ったもので。尤も,此処の外装自体,ショウウインドウをバルテノン神殿の柱越しに眺めるみたいで周囲の商店街の景色にかなり馴染んでいないのは事実である。
あっけにとられたものの,平然といつもの店に入り,極楽とんぼ加藤みたいな頭にされて帰る。
ちょっときっぷのいいあんちゃんになってしまった。

話は全然違うが,午後のお茶で戴いたメロンういろうぶどうういろうは岡山のマスカットきび団子くらいには美味しかった。
ういろうの懐も,名古屋ビギナーの僕から見れば,まだまだ奥が深い。

TVで公開時には敬遠したデヴィッド・フィンチャーの「エイリアン3」を観る。
シリーズ中,唯一観ていなかったので,これでようやく「2」「4」の間のミッシング・リンクが埋められた。
当初予想していた程,観てらんない作品でもなかった。まさか,ピート・ポスルスウェイトが出ていたとは。

奥さんとゆーこさんのたゆまない努力と再三の連絡によって尼子くんちの披露宴パンフの内容が一応の完成を見る。
用紙も届いたし,サンプル版のOKを貰ったら,来週からはいよいよ印刷作業に入る。大体150部くらい刷る。
ふと自分んちの「旭日新聞」の印刷騒ぎを思い出す。あん時は途中でプリンタがストライキに入って冷や汗をかいたものだったが,今度は大丈夫か。
…ちょっとだけ心配である。


 
6月18日(金)「マルガの君臨」

今夜のレイトショウに選んだのは「ブレイド(98・米)」
奥さんは例によって,恐そうな映画だという事でパスあそばされる。
チラシのいかにも大味ハリウッド・アクションですよ的デザインに不観賞を決め込んでいたのだが,或るSF系web日記で絶賛していたので考えを改めた。
確かにチラシや予告編はありきたりなハリウッド・サスペンス風な貌をしていたガス・ヴァン・サント「誘う女」みたいに時々とんでもない鉱脈を掘り当てる事があるので,他人さまの映画評は無視できない。

で,結論から云えば,行って良かった。これを目にした「心ある」SF活劇者は今すぐ転びまろびつつ映画館に駆け込むべきである。
まず,絵づくりの温故知新というか,イマジナリー・フォースの映像効果はともかくも,フィルムの発色というか,60〜70年代の吸血鬼映画の青を強めた絵が何とも云えずいい。前半のこれぞはったりの極み,クラブの天井からスプリンクラーで撒き散らされるブラッド・シャワーの青と青みがかった赤に,僕は何故だか「悪魔のはらわた(Andy Warhol's Frankenstein)」「処女の生血(Blood of Doracla)」といった一連のポール・モリッシーが監督したウォーホル・ブランドのモンスター映画(あの作品群こそはちーとも傑作ではないが,エログロナンセンスものの骨頂と云える)を思い浮かべていた。
遺伝子説明の御託を始め,科学的裏付けなんぞは押しなべてメチャメチャだが,そんなもんはとりあえす説明しているのだというスタンスさえあれば,充分事足りる。
いい意味でいかがわしく,胡散臭くて魅力全開のキャラ(相棒のウィスラーは勿論,フロストの裏切りによって朝日に灼かれるナイスミドルな吸血鬼純粋種のおじさまの全身に匂わす吸血鬼としての気品がいい。若き日のクリストファー・リーもかくあらんやという感じである。うん,野坂医師あたりは間違いなく魂を奪われる),玉石金剛取り揃えたSFガジェットと世界観を,ヴァンパイア・ハンター界の鈴木雅之こと,ウェズリー・《マーチン》・スナイプスがこれでもかと,香港などから見れば大甘だが,ヤッピーには涙ものの殺陣を披露してくれる(ブランドン・リーの妹,シャノン・リーもヴァンパイア・クンフーとして登場。日舞のような流麗な廻し蹴りを見せてくれる)。あ,サブウェイでの肉弾戦はなかなかの迫力と痛さなので期待して。

いや,莫迦にしていない。決して手放しで絶賛している。
作劇上のアラが無いと云えば嘘になるし,本年最高傑作とは決して云わないけれど,少なくとも上半期最大の収穫には挙げられる。
それくらいお薦めするので,ビデオを待たないで(でもビデオライブラリー必須かなァ),是非とも劇場に駆け付けてください。きっとですよ。
以上,普段「映画のタマシイ」の短評でやる話を日記ネタで書くくらいには熱をこめているのはお解かりいただけただろうか。


NHK「トップランナー」で初めて動いて喋る奈良美智(よしとも)を観る。
あの,おでこの広いトラウマの大きそうな子供のイラストを描くひとである。
随分朴訥な話しかたをするなと思ったら,青森のひとだった。とても不惑前に見えないのは,永遠のマージナルマンだからか。


 
6月17日(木)「毎日が通信簿」

お昼休みに,教育実習以来10年振りくらいで母校に電話する。
実家にかつての恩師・マエダ先生(高1の担任にして,それから途切れる事無く母校に留まっているという奇蹟のひとである)から「高校に電話しなさい」と指示があったのである。
話はこの夏の「大同窓会」の件。何でもあと3年で創立90周年を迎えるに当たって,記念行事を続々企画しているその一環らしい。で,本題は85年度卒業生の世話役をやらんかというオファーだったのだが,地元にいないのを理由に丁重にお断り申し上げる。
やっさんが高校の記念行事でこの夏呼ばれる事は知っていたが,まさかそれがこの「大同窓会」とは思わなかった。という事は僕もやっさんの高座を聞く資格があるらしい。あ,9つ年下のウチの妹たちもか。

マエダ先生は僕がやっさんのHPの管理人やっているのを知らなかったので,一通り説明したのだが,
「おい。オレにインターネットの話なんかしたって通用せんからな」
と不敵に笑った。マエダ先生はやはり愛すべきマエダ先生であった。


今夜はウチのグループのニューフェイス(だからって若手とは限らない)歓迎会。
入社して9年目に入ったが,一向に後輩が増えないので今回もまた下戸の僕が幹事を務めた。
会場は小倉そごうすぐ傍の「酒肴惣菜処 菜’s」。内容は創作フレンチ系居酒屋といった処か。
はからずも,つい最近,福岡ローカルのスポット紹介番組「探検!九州」に出たばかりなので,平日だと云うのに,フローリングの座敷は満席だった。僕ら(と云っても参加者は20数名)の区画の脇を医師と看護婦のグループが占拠し,たいそう威勢のいいナースたちの黄色い胴間声に僕らは呑み会の間中,延々悩まされることになる。
乾杯の段になって,僕らのテーブルの専任だというシェフとお世話係のおねーさんが自己紹介を兼ねた挨拶をして,一同「へ?」となりつつ拍手で迎える。名札のニックネームと云い,サービス自体も色々工夫してあるという事か。
という訳で,以下,備忘の意味も兼ねてメニューを書いておく(3000円コース。ま,松竹梅の松だな)。
これに今回は呑み会なので,プラス2時間呑み放題のオプションをつけた事を断っておく。

1.鯛のさっぱり煮凝り

突出し。鯛の煮凝りにとろろを摩り下ろしてある。
薄い琥珀色のジュレに山かけの白が目に涼しいアミューズ。
ちりんちりんと風鈴の音でもしてきそうである。

2.菜彩サラダ

ま,色鮮やかなお花畑って処か。梅肉ドレッシング。メンバーに好評判。

3.刺盛

各々が食べ分け易いようにコンパクトな塊を人数分マウンドにしてある。
マリネならともかく,サーモンの刺身というのも余り無いのでは。

4.帆立と野菜のごろごろグラタン

野菜は主にブロッコリーがごろごろ。
僕はスキな味だったが,バルサミコ酢が酸っぱいという意見もあり。

5.牛肉の柔らかビール煮

これは普通のフォン・ド・ボーものの煮込み料理ですね。
むしろ,つけあわせに添えられた大量のマッシュポテトが美味しかった。

6.つくねと大根の変わり揚げ

これは明石焼仕様というか,上の天麩羅をお出汁でひたひたにして出てきた。
ヌルものは不得手なので,オクラの天麩羅は,脇に居たI本くんに振る。

7.鱧(はも)の玉子むし、もずくあん

名前の通りの料理なのだが,大根だけが具の茶碗蒸しの上にもずくあんが張ってあって(つまり,ロワイヤルだな)その上に細かく骨切りした鱧の身を乗せてある。梅肉あんのアクセントも嬉しい上品な碗ものであった。

8.コーンとピースの豆ごはん
9.ごぼうのお味噌汁


このごはんコンビはなかなかのすぐれもの。やはり決め手は出汁なのか。
K島さん曰く「何か明日の朝も食べたいって味だな」

10.ブランマンジェ

デザートは中華とフレンチの折衷もの。
殆どココナッツミルクのタピオカ添えをムースに固めたって感じ。
処で,K島さんはD長さんの器を奪うが早いか,掻き回してヨーグルト状にしてから返していた(笑)。
思わず,ブランマンジェを配膳していたおねーさんが噴き出す。

あと,間が持たないのではという事で,コースの他にも追加注文で「鰹のスモークとグレープフルーツのサラダ」「豚肉のキムチ炒め」を頼んだが,肝腎のブツがごはんの後に届いてしまい(頼んだのはごはん前),皆からクレームが殺到する。確かに「キムチ炒め」はごはんと食べてこそのお惣菜だものなァ。あと,意外にサラダの評判が悪かった。> 特にH高さん。グレープフルーツが魚臭いのは許せませんか?

デザートの一寸前くらいに,おねーさんが「良ければアンケートを」と云うので,周囲の皆んなの無責任な意見を適当に反映させつつ,とりわけ前半部に「味:やや不満」などと記入して返したら,幾らも絶たないちにシェフとおねーさんが血相を変えてすっ飛んできた。

「味が『やや不満』という事なんですけど,どのへんに問題があったかお聞かせ願えませんか」

あんまり真摯な態度なのでこちら側が面くらう。特に「やや不満」の張本人のK島さん(笑)。
無責任なだけで,皆んな悪気はちっとも無かったからね。

「いい加減に書いちゃったんで『満足』でいいですよ」
「では『充分満足』ということで」
「ええ,それで」
「…申し訳ありません。お客様が書き直していただけますか」

此処で,ようやく僕らはアンケートに彼らの査定の意味があった事を悟る。アンケート結果はまんま彼らの成績表として評価材料にされるのである。うーむ,何処の世界もシビアなのだ。とりあえず「テキトーに書いてしまった」事だけは,さっきのK島さんの「ブランマンジェ掻き混ぜ事件」によって納得してもらったが,まずは驚いた。きっとブレーンストーミングを兼ねた反省会とか連日やっていたりするんだろうなあ。

夜,挙式間近の稲田さんから電話。既に引越しも終えたという事で,電話は新居からだった。
久し振りなので色々話す。稲田さんのコトバの端々に人生真ピンクが垣間見える。


 
6月16日(水)「取調室10」

話は昨日からつづいているが,ドラマと云えば昨夜の火サス「取調室10」である。
「古畑」の最終回前篇の話は日本中でやられている筈だから,今日はパスする。
「取調室」シリーズは,笹沢佐保原作の,いかりや長介演じる〈落としの達人〉水木正一郎警部補とゲストスター演じる犯人との息詰る丁々発止の心理戦が売りのある部分「古畑」に通底する刑事ドラマの佳作である。火サスのため,年に2,3度しかお目にかかれないが,大好きな長さん(の割りに「蘇る金狼」は観ていない)の魅力を最大限に引き出した水さんのキャラと,佐賀の鳥栖警察署が舞台なのも相俟って,普段は火サスを殆ど観ない僕が,このシリーズだけは奥さんも呆れるくらい欠かさない。
で,今回はシリーズ10作目を記念してか,ある種同じ趣向の裏番組「古畑」を意識してか,水さんを手こずらせるゲストスターがな,何と浅野温子なのであった。テレビドラマ界の貢献度から行けば数々の連ドラの主役として「現役で」疾走しつづける浅野さんが起用されたのは,火サス史を紐解いても破格の事件と云っていいのではないか。少なくともまともなオファーでは考えにくい。そう思っていたら案の定,このドラマ出演は浅野さんたっての希望だったらしい。しかも犯人役自体が初めての試み(僕個人は「パパはニュースキャスター」繋がりによる「古畑」出演をずっと熱望していた)でもある。

「『取調室』は骨太な作品で、すごく出たかった。でも撮影中見るのはお父さんの顔だけ。それが苦痛かな。私たち仲悪いの(笑)」

長さんと浅野さんはCX「サザエさん」の波平・サザエ繋がりという,云わば親子役体験済みコンビなので,浅野さんは普段も「お父さん」と呼んでいる。
長さんは長さんで個人的に浅野ファンであった為に撮影中はかなり緊張したなどという逸話もあるらしい。
ま,そんなこんなで今回は「古畑」をビデオに廻してでも「取調室」を選んだ訳ですね。苦汁の選択だもの。
物語は,完璧なアリバイで無実を主張する新進気鋭の画商(浅野)からの挑戦。海で殺されたはずの画家(堀内正美。このひともフェイバリットな役者さん。麻呂を演らせると右に出るひとがいない。そう云えばこないだも「虹の岬」で麻呂度の高い高貴な役だったではないか)の死体が山中で見つかった謎を軸に事件は展開していく。

ドラマはいつもの如く存分に楽しめました。このドラマ,取調室での時間の経過の見せかたが旨いのだけれど,今回も陽が落ちて,一瞬闇に沈んだ取調室の明かりをつけて,浅野さんが眩そうにする一連のシークエンスはなかなか見せてくれた。
浅野さんはまんま沙粧妙子でしたね。舞台の直後だったからか,ちょっと表情が臭かったかな(笑)。
今回これを書くに当たって,検索エンジンで「取調室」をあたったのだけれど,ありましたね。まさかと思ったファンサイトが。
しかも長さんを始めとする役者・スタッフ承認という鉄壁さ。今後の中身の充実も期待できるオススメのサイトです。

で,これは特に稲田さんにお薦めしたいのだが,更に此処には「取調室」レギュラーでご本人承認の西田健の部屋まである(開設はこちらが先のようだが)。
いきさつは当のサイトに詳しいが,此処の管理人さんは元々ウルトラのひとで西田さんとはniftyの会議室が縁の「新マン」つながりらしい。
特に「西田健5つの誓い」は涙モノの傑作なので,是非ご覧あれ。
役者・西田健のダンディ且つ愛すべきタマシイが其処に凝縮されている。


 
6月15日(火)「佐世保より愛を込めて」

今年も佐世保の山口さんから茂木の枇杷が送られてきた。
3月の桃カステラ同様,毎年欠かさずに送ってくれるこの初夏の果物が奥さんは大好物である。
そうだな,夕食後に10個(推定)も食べてた気がする。
こないだ,社宅の裏庭で実った枇杷もノルマとして各家庭に配られたから,我が家は此処のところ枇杷パラダイスになっている。

処で,今年は別便でビデオテープも送られてきた。
元々,山口さんと僕らの接点はさだまさしにある。彼女と僕は1990年・夏「長崎から」の野外コンサートで知り合った。本当は前年から参加したかったらしいのだが,1989年の「長崎から」の時は他薦で地元・佐世保のミスコンに出場してしまったという逸話を持つ。因みに優勝したのはグラビア・クイーンみたいな若い白人の女の子で,あたしなんかとても出る幕じゃなかったと彼女は謙遜したが,ミスコンに出たのは伊達じゃない美人なのは掛け値無しに本当である。
それから2年程ブランクを置いたものの(久々に逢うと,怖くて声をかけられなかったのだ・笑。美人の女のひとってそういう処があるじゃない),いつしか毎年夏になると長崎で落ち合う仲良しグループが生まれ,やがて「長崎から」を外れても島原に遊び,そして香港・澳門に遊び,ついには一生のお友達になった。二十代後半最大の収穫のひとつである。
奥さんは(どういう訳だか)今ではアンチさだまさし派になってしまい,また僕の仕事の都合もあって,結婚後,あれだけ皆勤だった「長崎から」に行かなくなり,それと時を同じくしてコンサートの参加者は山口さんだけになってしまったけれど,今でも仲間たちとのつきあいはずっと続いている。今でも8月6日になると,山口さんの赤いタンクトップが稲佐山公園の最前列に立つ。僕らには,NHKのコンサート中継が,彼女からの夏便りなのだ。

枕が長くなったが,彼女が送ってくれたテープは,長崎放送ローカルでオンエアされた,今年の4月4日に長崎ブリックホールで行なわれたさだまさしコンサートであり,コアなファン的には以下の理由からいわゆるレアものと呼ぶに値するブツなのだった。


● 何はともあれ,全国放送ではない
● 番組スポンサーが知るファンぞ知る江山楼であり,この店のためだけに作られたが故に一般発売されていない「秘伝」という幻の曲のかかったCM(CM自体,長崎ローカルなのである)が番組の間中ばんばん流れる。
● 番組中,弾き語りフルコーラスで「秘伝」を唄う。

元々,この「秘伝」を聴いたのは,いつか島原で夜通し騒いだ時に,山口さんが歌ってくれたのが最初だった。それまで,僕らは曲の存在さえ知らなかった。だから,僕にとって「秘伝」イコール山口さんなのである。
いや,露骨なCMソングとは云え,寝かせておくのが勿体無い佳曲である。発表されたのは90年らしいが,当時発売されたアルバム「夢ばかり見ていた」「夢回帰線II」の楽曲群と比較しても上位に持ってきていい個性と魂のある強い唄である。いい唄だから是非聴いてくれ,と簡単に書けないのがツラい処だ。

僕はこないだ桃カステラ送ってもらった時も結局電話しそびれちゃった悪いオトコである。
少なからず申し訳なく思っているので,手紙とは別に,早い時期に電話をしなければ…ちゃんと電話しろよ,オレ。
こういう季節の折々に便りをくれる友達というのは,本当にありがたい。
その愛,確かに受け取りました。

処で「振り向けばヤツがいる」再放送終了。
これで,積年の懸案であった番組のビデオ収録が滞りなく終わる。このうえスペシャルの再放送まで望むのは,欲張りに過ぎるか。
いずれにしても,まだ1本も観ていないので,機会をつくらなければ…ちゃんとつくれよ,オレ。

ドラマネタと云えば…明日につづく。

**奥さんのネット懸賞日記**本日の戦果

一、キーボードジョイスティック  スギヤマエレクトロトン
キーボードにベルトで括りつけて使うらしいんだけど、私はパソコンでゲームやらないから……。なんでこんなのに応募しちゃったのかな。


 
6月13日()「トワレを買う」

宇佐から,小倉駅に長妹を送って帰る。
ついでなので,小倉井筒屋にて,こないだから保留中のエリタージュ購入。
ゲランおそるべし。その驚くべき値上げ幅に,ただただ呆然とする。これじゃカジュアルに使えないよお。
抹茶茶碗も探してはみたが,引き続き保留。妹がパズルが買いたいというので,僕も知らなかった魚町銀天街の何とかいうパズル屋につきあう。
前々から欲しかったというきたのじゅんこという作家のイラストのヤツを買うが,僕にはさっぱり分からん。オレ,イラストレーター方面には造詣が深くないから。スピリット・ミルクは此処にはないなァ。
長妹と別れたあと,旦過市場傍のサザエでむつごろう焼き(ハムエッグ)を買って帰る。
ウチの近くのサザエは店を閉めてしまっていたので本当に久し振り。

何故だか,夫婦共々へとへとになって家に帰りつく。
そんなに疲れることしたっけかなァ。


 
6月12日()「ほたるが降る木立ち」

宇佐に帰省。
かあさんは妹たちの高校時代の友人が出演するフラメンコ大会観賞の為,僕らの到着と入れ替わりで大分へ。長妹とはあちらで合流するらしい。

16時過ぎに,尼子(もうすぐ)夫妻,来訪。今回帰省の最大目的である披露宴パンフレット作成の打ち合わせ。
尼子くんの奥さんになるゆーこさんとは本日初顔合わせだったが(尤も,尼子くんに結婚を聞いたのもついこないだだし,つきあってるのを聞いたのもこないだだったからなァ),天性の人好しが滲み出たひとですぐに打ち解ける。奥さんが周到に用意したサンプルと,甥御さん姪御さん他の追加メッセージの充実とで,パンフについてはたいした問題も無く最終形の未来図が見えてきた感じ。奥さんはノリノリである。

ツーショット写真は,まだ気に入ったものがないという事で(第一,交際開始からまだ3ヶ月目だし),パンフの素材作りのため,デジカメを持ってロケハン。
最初は小洒落た喫茶店でも見つけて室内撮影をと思ったのだが,あいにく宇佐や中津にそんな処は絶無なので,今なら日没になんとか間に合うだろうと海へ行くことにする。ロケーション的には国東あたりが風光明媚なのだが時間が無かったので,中学の頃,遠足で潮干狩りに行った市内のさる川口へ。奥さんが「宇佐って海もあるの?」と真顔で驚く。これこれ。
双葉山が使ったという土俵がある小さな公園を抜けて,松林の脇,防波堤の手前で車を駐める。防波堤を降りると,潮干狩りに来るような遠浅の海岸もちょうど満潮にぶつかっていいカンジで「海」になっていたし,少し薄暗かったものの(そんなものは画像加工でどうにでも微調節出来るし)旨い具合に雲も晴れて絶好のロケーションとなった。日没前の水平線をバックに数枚,岬の突堤で数枚と,高いかかとの靴で来てしまったにも拘らず,ゆーこさんはカメラマンたちの好き勝手な注文によく応えてくれた。彼女がカメラを意識せずに尼子くんに向かって話しかけている何気なくも恋人らしい自然なショットが撮れたので,奥さんは「してやったり」と非常に満足げであった。


三光村ジャスコの激安ファミレスで怪しげなパフェに慄然とした後,暗くなった頃を見計らって中麻生の「ほたるの宿」へ。
尼子くんたちがつい数日前に見てきて感動したというので少なからず期待する。特に奥さんはこれまで実物のほたるを見たことが無いらしい。
草深くほとんど林道に近いような国道をひた走ると,「ほたるの宿」の看板と道路脇に自動車を駐めて川沿いの林を見つめる人たちがちらほらと見えてきたので,しからばと僕らも車を降りる。田植えが終わったばかりの田んぼ脇がちょうど細い川になっていたので,高所恐怖症の奥さんの静止を振り切って田んぼの淵のアスファルト道に降りると,木立ちのシルエットを縫うようにゆるやかに光が明滅していった。歓声をあげる女性陣。あたり一面とは云わないものの,確かにひとつふたつふわふわと光がたゆたっていく。一気に盛りあがる僕たち私たち。尤も,ゆーこさんは視界に飛びこんできた蛾に仰天して脱兎の早さで国道に逃げ帰ったけど。うちの奥さんは踏みとどまったのでエラいと思ったが,単に高所恐怖症で足が竦んでいただけであった。

「もう少し奥に行ってみよう」と尼子くん。実際の「ほたるの宿」はもっと先で,自分たちも前回はこのあたりで引き返したのだと云う。
という訳で,更に車を走らせると,更に狭ばった道にぽつぽつと縦列駐車の一団が。遠くに集会所のあかりが見える。「あのあたりがそうだ」と尼子くん。
「少し歩く事になるけど」と僕らも道路脇にRVを駐めて,集会所のあかりのあたりを目指す。人影がどんどん増えてくる。
「中麻生集会所」の前には,既に村のボランティアが集まっていた。おばさんたちがお茶を入れ,おじさんたちが車を先導している。「帰りは足許が暗いから」とほたる観賞用に用意されたペンライトを貸してもらう。「戻ってきたら,こちらでお茶を呑んでいってください」

川沿いの農道の至る処から歓声があがる。
農道のすぐ脇を川が流れ,それを覆うように雑木林が続くのだが,黒く生い茂った木々はまさにほたるたちの桃源郷だった。
無数のほたるが,おのおのまばたきするかのように明滅するのだが,そのあかりたちが深呼吸の速度で一斉にまたたくとき,連なる木立ちも息継ぎをするかのように一斉にクリスマス・ツリーになる。深呼吸と同じ速度で明滅する光を身にまとった森。そして森からこぼれるように,空にはみ出した明滅。思いついたように夜空を見上げると,僕らの真上でも星の代わりにほたるがゆっくり呼吸していて,ふと気が遠くなりそうになる。そして,その向こうには本物の降るような星空。北斗七星を目印に導く夏の大三角形。この静かなる光のクライマックスは,ヒロ・ヤマガタでもラッセンでも再現できまい。
見つめる程に星が増えてくる冬の阿蘇大観峰,そしてアバーディア国立公園で見た天空を横切る天の川,今夜の星空はそれに並ぶ名空になりそうである。
これは,ウチの家族も連れてきたいな。僕がそう思った時,耳元で奥さんが呟いた。「来年,タラを此処につれてきたいんだけど」
それはいいなと思った。オレゴンの天然の天球儀に勝負できるものがあるとすれば,まさにこの夜の全てを味方につけた声無き虫たちの大合唱しかない。

集会所への帰り道,奥さんの袖にとまったほたるを捕獲する。その小さく細い身体が頼りなく灯すあかりに感動していると,ゆーこさんが悲鳴を上げて飛んで逃げた。また蛾が出たのかと思ったら,ほたるの「虫」としてのフォルムにおそれをなしたのだった。そりゃまあ見ようによってはゴキブリの幼虫みたいな姿かたちだが,今迄さんざん感動していてそれはないんじゃない(笑)。
因みに彼女が昆虫で唯一恐くないのはセミだけなのだそうである。セミは痛いことしないからだって。ほたるだって痛いことしないんだってば。
このへんは食べ物だと割り切ると,こわい物が激減する奥さんに似ているなあ。女のひとのフォビアって奴はどうにも一貫性がない。

ほたる見物のギャラリーの中には必ず地元のおじさんが混ざっていて,ほたるの解説をしてくれるのだった。
話だと此処のほたるは自然なものだけではなくて,何万匹だかの幼虫を放流しているそうだが,その割にはボランティア総動員でお茶もお菓子もペンライトも無料サービスで,土産物を売っていた気配も無かったし,こんな親切なだけで採算はとれるのだろうかと余計な心配をしてしまう。
とにかくいいものを見せてもらった。「ほたるの宿」と尼子くんたちに感謝。

夜,奥さんのサポートで長妹がソニックにちりんで博多−折尾間走行にチャレンジしていたが,とうとう折尾まで行きつかなかった。
「電車でGO!2」の難易度たるや平成不況の如し。快速でスペースワールドが見えたなんて喜んでいていいのか。



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