11月のにっき(2)

毎日大勢とすれ違う。
その誰かともしかして親友になれるかもしれない。
だから僕はすれ違いを避けない。
ケガする時もあるけれど楽しければいい。

王家衛監督作品「堕落天使(95・香)」より

11月20日() インターネットでチン!はないだろう
11月19日(金) イエローカード
11月18日(木) クロノ・クロス
11月14日() 夜間飛行
11月13日() 淀川長治物語
11月12日(金) たれか娯楽活劇を知らないか
11月11日(木) ポッキーは食べなかったけれど


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11月20日()「インターネットでチン!はないだろう」

安静1の奥さんを寝かせて福岡行。
英ちゃんが云う処の「極楽亭主殿」と呼ばれる所以である。
博多駅界隈で「狂った果実」「皆月」「グレイスランド」3本立て続けに当たりの映画を観てから,寄り道せずに(笑)帰宅。晩飯用にふきやのお好み焼きを二人前買って帰ったので奥さんが狂喜する。この「モノで誤魔化す」という悪いクセをどうにかしなければならない。尤も,モノで誤魔化されるような人の好いひとを伴侶に選んで助かっているとも云えるのだけれど。しかも,モノったってケーキとかお菓子程度の話なのでコストパフォーマンスはかなり高いし,心の底からうれしそうな顔をしてくれるのも抗し難い面がある。何にせよ,ありがたい。つるかめつるかめ。


さて,近頃「インターネットでチン!」とほざくSHARPの電子レンジのCMが大嫌いである。
エプロン姿の女の子が「インターネットでチン」と歌うたびに,街中がびっくりして笑顔になるという…インターネットの用法がいかがわしいのもさる事乍ら,これほど胡散臭いCMもない。しかも一旦耳に残ると,つい鼻歌に出てしまうあたりがどーにも悔しい。その憤りと来たら「黄色い看板プロミス」「あんしんはしんわ,あんしんはしんわ」に匹敵する。何故,そんなものを「ふと」口ずさんでしまわなければいけないのだ。
などと日頃苦々しく思っていたら,日経の土曜版でさっそくくだんのレンジの使い勝手を調べてくれていた。

詰まる処,大きな問題点はふたあつ。

1.レシピは4人前でフィックスされており,当然乍ら4人前のレシピをかっちり守らないと仕上がりの保証はない。というかレシピを勝手に変えれば,間違いなく生煮えだか黒焦げだかになる。つまり,ユーザー側で自分たちの食卓に合わせたレシピのチューニングをしなければならないのだが,そもそもそのへんの匙加減が難しいからこそ出てきた商品ではないのか。今后は,何人前の料理にするのかもユーザーが指定出来るように自由度を上げていく必要がある。

2.電子レンジから「直接ホームページに辿り着ける」と誤解している人がかなりいる。これはウチの会社でさえ何人かいた。CMをよく観ると別のPCからメニューデータを飛ばすカットが出てくるのだが,似非ミュージカルのインパクトが強過ぎて肝腎のカットが印象に残らないのだ。「別にPCをレンジの隣に設置する必要はない(あたりまえだ!)」そうだが,これは一家で既にネットへの接続環境が整っているのが前提の商品である事をしっかとお断りしておく。

ま,過渡期なのだな。CMの不快度はともかく,或る未来像を感じさせる賞品なのは確かだ。
それにしても余計な話を書いたばかりに,今も頭の中で「インターネットでチン!」が廻っている。全くもって忌々しい。



11月19日(金)「イエローカード」

とうとう奥さんに病院からイエローカードが出てしまった。安静1だという。
ちなみに,胎児は到って健康そのもので,近頃では毎晩お腹の内側から,シンクの流しに熱湯を注いだが如くポコンペコンと暴れて彼女を苦しめている。
何だかよく分からないが「安静」のレヴェルも3段階に分かれていて,「松竹梅」で云えば,さしずめ「松」といった処か(意味不明)。
まず「安静1」は家事労働(15分を越える連続労働の禁止)と入浴の制限。
これが「安静2」になると家事労働と入浴の禁止。「安静の大獄」の最終形ともいえる「安静3」は即入院加療,たぶん切迫流産や切迫早産がこれにあたる。医者はとりあえずこの土日はじっと寝てなさいと云ったそうなので,彼女を連れて福岡ではるさんや英ちゃんと遊ぶというプランは白紙にする。
奥さんには「安静2」になった時点で即刻入院させるからと宣告しておく。奥さんはかなりぶーたれたが「桜田門外の変」が起きてからでは遅いので,これは結構本気で云っている。
という訳で,定時退社してから食事の支度と片付け。レイトショウは今夜は取り止める。
別に行っても良かったんだけど,久し振りに家事をしてくたびれたので。やっぱり主婦は偉大だわ。

夜,はるさんと電話する。結局会うのは23日にしようということに。
英ちゃんが長電話をして困るという長電話。僕らも三十路を過ぎたがどうにも成長する気配がない。



11月18日(木)「クロノ・クロス」

所謂(親)会社の創立記念日でお休み。
妙に力の入った朝食のあと,奥さんを連れてベスト電器戸畑店へ。
彼女は「クロノ・クロス」を,僕は中島みゆき「月−WING」海援隊「新しい人へ」を購入。
「ドラクエ7」の発売の2月延期が決定的になった今,奥さんの年越しのお供は「クロノ」を置いて他にない。年またぎ,夫が仕事(Y2K対応)で家を留守にするのだから,犬山か宇佐の実家に避難してくれればいいものを全く聞き耳を持たないんだからイヤになっちゃう。
帰宅後,雑事をちゃっちゃと片付けて早速プレイ(勿論,奥さんが,である)。
オープニングCGの間,口許がずっと半開きになっていたのが彼女にとっての「幸福のかたち」というヤツであろう。
戦闘シーンになった後,さまざまなアングルに切り替わるあたり,ゲームもますます進化していく。

はるさんから急遽「明日」帰省するとのメールが届く。本当に急だなあ。
ミレニアムの年末年始はY2K待機なのと,盆休みをリリースラッシュと台風で取り損ねたからとの事。
はるさんと会うのは,4月の東京行以来だからおよそ7ヶ月振りになる。

小文さんとのメール会議も深く静かに潜行中である。



11月14日()「夜間飛行」

さだまさしのファンクラブ「まさしんぐWORLD」の会報が届く。
中に,さだ企画社長の名前(弟のしげりさんなんだが)でお詫びの手紙が同封してあった。既発売済のコンサート延期のお知らせだ。
つい最近もコンサートを延期したが,あれは東海村の臨界事故の余波であった。今度のはちと違う。
以下,手紙から引用。

かねてより,さだまさしは宇宙飛行士の毛利衛氏からスペースシャトル打ち上げの見学に招待されており,先般その打ち上げが来年1月13日に決定いたしました。皆様には多大なご迷惑をおかけいたしますが,一生に一度あるかどうかという貴重な体験ですし,せっかくお誘いいただいていることもあり,是非とも,さだに見学させたいと存じます。皆様もご承知の通り,当初この打ち上げは9月に予定されており,そのために一度,XXXとXXXでのコンサートの日程を変更した関係で,さだまさし本人は「諦める」と申しておりましたが,総合プロヂューサーという立場から見て,アーティスト・さだまさしの今後の音楽活動で大きな財産になりうる体験と判断し,我が儘を承知で決断いたしました。

毛利衛さんと云えば,さださんがアルバム「ほのぼの」のレコーディングの最中にエンデバーからの中継をTVで観て感激した勢いで「夜間飛行」という佳曲を書いて,勝手に毛利さんに捧げて,送りつけて以来のおつきあいである。つまりは縁(えにし)を自分からつないで,今回のNASA行の話が生まれた。圧倒的多数のひとには彼がスペースシャトルの打ち上げを見学する事なんかどうだっていい事で,たぶんこれでメイワクを被ったひとも大勢いるのだが,矢面に立つしげりさんはともかくエラかった。コアなファンは生理で彼をNASAに行かせてあげたいと思う。それは何らかのかたちで彼の次の創作につながるだろうし,そういう「或る種の見返りを期待する」損得勘定だけじゃない「いいから見てきなよ」というコトバが彼に対しては自然に口をついて出てしまう気がする。それはおそらく僕がコンサートを延期された当事者でも気持ちは変わらない。彼自身の人徳も勿論大きいのだが,そういうワガママならうんと云わせてあげたいと,しげりさんの波長と同調(シンクロ)してしまうのは,何だ,オイラがファンだからなんだ。

期待してますよ,「続・帰郷」

夕方,夫婦して八幡東まで出かけていって「ミルエルブ」でお茶にする。
今勤めている会社の内定パーティがあったホテルの一階にある店だが,今迄縁が無くて店に入ったのは入社以来これが初めてだった。
東京にお嫁に行ったミセスEに「此処のケーキは私,好きなの」と聞いていたのでずっと気がかりな店ではあった。
さんざん悩んだ末にミルフィーユとモン・プティ・ココを頼む。大きさは「16区」のそれくらいか,割合小振りである。
味は見た目そのままの上品な感じ。ちょっとさっぱりめか。客層は何だか垢抜けてないけど…あ,オレもか。
奥さんが「ケーキは福岡の方が東京より勝ってる」と一言。
東京で5年ほどOLをやっていた彼女の信頼に足る持論である。何故もっと早く来なかったんだろう。

かねてより二〇〇一夜センセイと約束していた「電網天動説」掲載用のPDF文庫「むきゅ」の表紙イラストを描く。
ペン入れまで済ませた原画をスキャナで取り込んで,早速送付。奥さんが「あたしもPainterでこれに『塗り絵』したい」というので好きにさせる。
都合,3時間以上パソコンの前で嬉しそうに彩色を楽しんでいた(聞くと二〇〇一夜センセイはセンセイで楽しんでいたらしい)。
彼女の得心の行く出来に仕上がったら完成品を此処で公開しようかな。彼女には年賀状の塗り絵大臣も命じる事にする。

少し遅くなったが,小文さんに「ホームページ編集会議」なる長文メールを書く。
こちらの方もなかなか忙しくなりそうである。



11月13日()「淀川長治物語」

スケジュール的経済的事由により,本日が最后の「市川雷蔵映画祭」行。合わせて3本,存分に堪能させてもらう。
大体この映画祭にはコンスタントに老若男女が集うのだが,2本目に観た「歌ごよみお夏清十郎(54・日)」では上映終了とともに大きな拍手が起きた。
何事かと振り返ると,後ろ2列を占拠したおぢさんおばさん十余名の一個師団が涙を流しながら手を叩いていた。
誇張などではなく,本当に皆んなで頬を濡らしていたのだ。中にはすすり泣くおばさまも居たくらいだ。…そこまでの映画じゃなかったんだけどね。
「ははあん」すぐにぴいんと来た。彼らは雷蔵を観に来た訳ではなく,美空ひばり目当てに劇場に足を運んできたのだ。
それなら合点が行く。とにかくひばりファンと裕次郎ファンは根強い。しかも幾つになっても徒党を組む。いや,構わないんだけどさ。
「よかったね」「よかったね」と皆口々に誉めそやし乍ら劇場を出て行った。次の「女と三悪人」のがらんとしていたこと。
勝新じゃあ駄目なのか。山本富士子では役不足だったのか(それにしても赤ん坊のようにぷくぷくした指であった)。


一昨日はポッキーの日であったと同時に,実は淀長さんの一周忌でもあった。
という訳で夜,昼間ビデオに録っておいた大林宣彦「淀川長治物語 神戸篇・サイナラ」を観る。
松田洋治さんのホームページで知って以来,すっと気にかけていた作品だ。「TVヴァージョン」とあるのは「ふたり」「マヌケ先生」のように後に38ミリ映画に化けるのか,「私の心はパパのもの」「三毛猫ホームズの推理」のように後に16ミリ映画に化けるのか。後者だと単館ロードショウで全国公開はまず難しい。

「とんでろじいちゃん」で二代目林泰文の座を勝ち取った厚木拓郎くんが今回も長治少年を好演。
先代林泰文(今回はカメオ出演)に勝るとも劣らないファニーフェイスが今回も物語全篇を救っていた。
問題は長治青年を演じた勝野洋輔で,これが姉の勝野雅奈恵と同んなじ顔…はどうでもいいが,大林監督は勝野ファミリーを一滴残らず使い尽くすつもりか(そー云えば,海外ではガス・ヴァン・サントがリバー・フェニックス一家を使い尽くしていますね)。初めてというペナルティは差し引いてあげなくてはいけないが,表情が乏しくてあんまりよくなかったぞ(尤もあの高嶋政広だって,デビュー作の「トットチャンネル」では今の彼が信じられないくらい朴訥だったのだ。「殿のおしめかえーっ」)。おとうさんの勝野洋も脇で共演しててハラハラしたんじゃないか。
それにしても今回はひときわ大林組の常連が顔を並べて賑やかなことしきりであった。「異人たちとの夏」の秋吉久美子を筆頭に「私は校長役しか来なくなった」といつぞや嘆いていた佐藤允は今回もやっぱり校長先生。最近舞台でしか顔を見られなかった(その代わり直接見られた)正力愛子ちゅわんも,僕の知る限り「私の心はパパのもの」以来の大林作品ご帰還。スリチャンが解散して地方公演が途絶えたあとだっただけに嬉しい再会であった(ちょい役だったけど)。最近二代目「桃屋」の小林のり一も久々の銀幕(ってTVなんだけどさ)復帰。坊屋三郎翁も矍鑠とした処を見せてくれた。

つい俳優の話に終始してしまうのは僕の悪いクセだが,作品それ自体もなかなかの佳作だったと思う(市川森一脚本も「悪さ」をしていなかったし)。
いい意味でも悪い意味でも大林さんのカラーが色濃く出ている,つまり「非常に」佳い作品。
淀長さんがこの作品を観たら何て評するのだろう。大林さんもドキドキしているに相違ない。
あのひとは大林監督との親交も厚かったが,こと映画評については彼の作品でも全く容赦をしなかった。ただ,大林がいかに映画を愛し,さまざまなオマージュを作品中にちりばめていることを好ましくは思っていたようだけど。
だからこそ彼が褒めてくれるのを皆んな心待ちにしたのだ。その褒め言葉にこそ,真に心からの,お追徴なんかじゃない「感動」を表していたから。

絶賛はしてくれないかもしれない。いや,おそらくしてくれないだろう。
でも,きっと少し照れ臭そうに「アリガトウ」と云ってくれる気がする。同じ映画を愛する同好の士に心からのあたたかいねぎらいの言葉をかけてくれると思うのだ。そして,それで大林監督の全ての仕事が報われる。
良かったね,大林さん。



11月12日(金)「たれか娯楽活劇を知らないか」

レイトショウにて「梟の城(99・日)」。驚いた事にほぼ満席であった。
でも終わった後がいけません。いきなり土がついた。「何かムヅカしかったね」「よく分かんなかったね」
…篠田さあん,お客さんに手応えないですよお。
僕的には可も無く不可も無く…てことは不可の部類に入るのかなァ。ちょっち期待外れだったのは否めない。
前作「瀬戸内ムーンライトセレナーデ」は良かったぞ。河原崎長一郎さんはお元気でいてくれるのだろうか(ひょっとして今の処,あの映画が最后の出演作か)。
それはそうと帰りしなに来週の上映スケジュールを見て目が点になる。…「エピソード1」が終わっている。
既にルーカス自身がぜーんぶ撮り直したいと顔を覆って懇願していると評判の,あの「エピソード1」である。
まずい。「スターウォーズ」の事だ,どーせ年末までやってると高を括ったのが悪かった。まさかこんなに早く上映が終了してしまうとは。
尤も観た処で,娯楽活劇ならではのカタルシスをオレに呉れなさそうなので,ついつい劇場から足が遠のいていたのだが。
それにしたって観逃すつもりはなかった。1999年10大不覚のひとつである(などとそろそろ1年のまとめに入ろうとしているあざとさが)。


小文さんから早速返事をいただいた。
「もしつくってくださるのでしたら、こんなに嬉しいことは、ございません。ぜひ、お願いしたいです。」
駄目元でも話を持ちかけてはみるものだ。おそろしい事にGOサインが出てしまった。
こちらこそ,頑張らせていただきます。



11月11日(木)「ポッキーは食べなかったけれど」

昨夜,「我是誰」でジャッキー・チェンを堪能したばかりだが,彼が昨日香港で不倫謝罪会見を行ったらしい。
相手は日本では正月第2弾の「ゴージャス」の共演女優サルトリー・エラニーン。まあ,妊娠だの認知だのごたごたあるようだが,少なくともそんな事で僕の中の成龍は地に落ちない。映画人としてあれだけ情熱を傾けているジャッキーのファンなのであって,家庭人(元々家族への情愛も人一倍だと聞いている)として聖人君子かどうかの采配を振るう立場にない。ひとまず,奥さんに許してもらって良かったですね。

今日は平成で云うと1並びの日であった(「ポッキーの日」とも云う)。
今朝の11時過ぎにJRのホストコンピューターが1並びの入場券を買おうと殺到したひとたちのためにダウンしたらしい。
ま,とかくこういう数字の日はロクな事がないと決めてかかっているのだが,案の定,大きなシステム障害が起きて(結構内容的には面白いトラブルだったのだが,さすがに此処には書けない)帰るに帰れなくなった。今日は途中,業務で八幡に行く用事があったので,職場に帰る前に駅前の「エスプリ」でフロマージュを買ったというのに,結局家に帰り着く事が出来たのは深夜0時ちょい前であった。いや,この際だから食べたんだけどさ,チーズケーキ。


桂小文さんからメールをもらって吃驚する。昨夜のうちに届いてたみたいでこないだの耶馬溪行のお礼がしたためてあった。
あの時に「平さん」のページを見させてもらいましたよと仰っていただいたのだけれど,そういう事であったか。
メールのヘッダーから察するに富士通のPCを購入されたようだ。
早速お返事を書いて「ホームページ作りませんかァ」と押し売りしておく。上手くたぶらかされてくれるといいなあ。
乗ってくれるんなら,ウチら張り切っちゃうけどなあ。勿論,やっさんのページに手を抜くことなしに。

処で,瀬戸口くんが「電網天動説」「遥かなる山形ドキュメンタリー映画際99」の連載を開始した。
予想した以上の面白さなので,皆んなきりきりと読みに行く事を命ずる。



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