11月のにっき(3)

「海」という普通名詞一つで、人類は太古以来、不自由をしなかった。
十五世紀の大航海時代以来、最初は船乗りの便宜上、
地球の海を水域に区切るようになり、いちいち名をつけた。
名をつけたことで、人類をどれほど幸福にしたかどうかは、よくわからない

司馬遼太郎「ニューヨーク散歩 街道をゆく39」

11月24日(水) しもつかれ
11月23日() 逢瀬
11月22日(月) 脱・安静1
11月21日() 映画の話は役者の話


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11月24日(水)「しもつかれ」

ウチには奥さんが飼っているポスペのぷりんというのがいて,何故だか僕は彼女(一応,♀らしい)のお風呂担当という事になっている(勿論,ポスペで来たメールについては奥さんの許可無しに開封したりは決してしてない事だけことわっておく)。で,彼女の体調を見て「もうちょい?」だの「おなかとせなかがくっつきそうです」だのと書いてある場合,まれにおやつを与える事がある。色んな食べ物或いはそりゃ食べ物ぢゃないだろうというものまで多彩なおやつが揃っているのだが,その中で「しもつかれ」というのがどうも引っかかっていた。
どうも食べ物ではあるらしいのだけど,意匠を見るとオリーブ色をした象のウンコ(ドラクエに出てくるスライムという云い方もある)みたいで何だかちっとも美味しそうではないかんぴょうの上にあるという理由だけで,これまたちーとも美味しそうではない(それって別にしもつかれ自身のせいじゃないのだが。ちなみにしもつかれのアイコンは鍋物のように見える)。実際,ウチのぷりんは出しても見向きもしない(勿論,かんぴょうもだ)。そもそも「しもつかれ」という語感からして具合が悪くなりそうじゃないか。尤も,これは実物を知らない九州の人間の勝手な感想に過ぎないのだが。

という訳で,早速「広辞苑第四版 電子ブック版」で「しもつかれ」を検索してみると「すむつかりのこと」とある。
こりゃ殆ど「たほいや」状態だななどと思い乍ら,続けて「すむつかり」を探してみると,ほら出てきた。

す‐むつかり【酢憤】
古くは、おろし大根に炒大豆を加え、酢醤油をかけた郷土料理の一種。今では、栃木県地方などに「しもつかれ」の名で遺され、塩鮭の頭・大根・人参・酒粕などを加えて煮た料理。初午(ハツウマ)の嘉例に道祖神に捧げ、また自家の食用とする。すみつかり。

どうやら「食べられる」のは間違いないらしいが,おろし大根に炒大豆の何処をどう転んだらあんな緑色のかたまりのアイコンになってしまうのか(だからそれは「かんぴょう」なんだって)。

このままだと寝覚めが悪いので,gooを使って「しもつかれ」で検索してみる。おお,91件ヒット。
しかも,ちゃーんと「しもつかれ」の専門サイトが「各種」存在していた。
中でも,そのものズバリ「しもつかれ」というサイトには,自家製のなかなか美味しそうな「しもつかれ」の写真が置いてある。
此処を読むと,古くなったり冬の行事の残り物などを上手に利用した北関東の庶民の知恵が凝縮した料理らしいというのがよく解る。しかも,栄養価が高いと来ては,北関東圏のひとへ「具合が悪くなりそう」なんて書いて申し訳ありませんでしたと頭を下げる他ない。名前の由来についても諸説あるようなので,興味のあるかたはこのサイトを熟読していただきたい。冒頭に掲げた広辞苑の説明も,少なくとも此処の説明を読む限りでは「宇治拾遺物語」の「慈恵僧正戒壇築きたる事」に由来する(あくまで有力な)一説に過ぎないようだ。

処でこの「しもつかれ」,森高千里「ロックンロール県庁所在地」の歌詞にも登場していたらしい。
確か僕が持っているベストアルバムにも収録されていた曲だが,全然,記憶にない。
確認しようにも会社の先輩に(かれこれ3年近く)貸しっぱなしだった事に気付く(わはははは)。ま,いっか。

会社のKさんが「美食のタマシイ」に書いたブッフドールの紹介文を読んで結婚記念日のディナーに使ってくれたそうだ。
ブッフドールのオーナーシェフに成り代わって御礼申し上げ奉りまする。まずは楽しんでいただけて何よりでありました。
ブロッコリーのポタージュと,サーモンのムースは僕も食べたかったなあ。



11月23日()「逢瀬」

勤労感謝の日。
早起きしたもののテレ東の「ゴジラミレニアム特番」(30分だけど)に後ろ髪を引かれ,家を出るのが遅れたが,高須で給油したにも拘らず,定刻に若松界隈ではるさんを拾って福岡へ直行する(大事をとって奥さんは今日もお留守番であった)。英ちゃんは先行で天神入りして「ミスター・フリーダム」を観るが,誰がセルジュ・ゲンズブールかも定かではなかったらしい。

昼食は中州の博多城山ホテルまで移動して,ビアパブ「アイレックス」の100円ランチを試す。
ミニ丼15種,ミニパスタ15種,デザート,ドリンク,生ビールをどれでも1つ100円でオーダー出来るという企画で,煙草ふかしっぱなしで井戸端を続けるおばちゃんの真後ろに座ってしまったという不運はあれど,変わり種バイキング(つっても注文毎に器が運ばれてくる訳で,テーブルに敷き詰められたミニ丼はなかなかの壮観であった。丼はわんこそばくらいの大きさだと思ってくれたらいい。)を充分に堪能する。はるさんは早速ビールを頼んで出来上がる。素面じゃやってられねえってか(笑)。それにしても,オレは本当こういうのに弱いわ。

2時間だべって,最初の客が誰もいなくなったのを確認してからヤサを移る。
誰も行った事がなかったので,博多リバレインへ。間際の灯火・スーパーブランドシティーを通ると,丁度博多座から松平健を観終わった客がぞくぞく繰り出してくる処であった。福岡アジア美術館は来年早々「赤塚不二夫展」をやるらしい。しかも1月9日の「赤塚・タモリトークショウ」は要チェックじゃないか。
空中庭園みたいなガーデンで更に2時間。オットーでポール・ホワイト(実名)から手づから買ったイタリアン・ピーチ・ティーはなかなかイケた事を付記しておく。手づからと云えば,英ちゃんがずっと手塚眞の「白痴」を観に行くことに固執していたが,結局,一日中おしゃべりに終始した。ま,たまにはこんなのもいい。

帰りは香椎「サントノーレ」へ。また,奥さんに食い物で詫びるつもりである(でも受け取った彼女は満面の笑みだったぞ)。
はるさんに絶対旨いからとサンマロを薦める。一体,何時間喋り続けたのか,いつも使っていない筋肉を使って話していた気がする。
でも学生時代は毎日こうだったのよね,おそらく。

夜,瀬戸口くんから「むきゅ」の主役・少年のイメージボードが届いていた。
さて,いつ取りかかればよいものか…(溜息)。


偶然,ライフスペースのwebサイトを見つけた。
コンテンツは私共には計り知れない「定説」で満載だが,一方でマスコミに向けた回答は律儀で丁寧だったりもするあたりが,グルではなくメンバーの生真面目さが窺えて興味深い。いずれにせよ,世界は60000もの定説で溢れている。少なくともマーフィーの法則程度には溢れている。たぶん。きっと。



11月22日(月)「脱・安静1」

仕事中,奥さんから連絡が入る。安静1を脱したと病院からお墨付きを貰ったらしい。
でも,明日の福岡行は「念の為」あきらめさせる。
折角なので,夜はるさんを誘って3人で食事でもなどと考えていたら,突発トラブルで退社が遅れてお流れ。有休を取っていたSさんも出勤させてしまったし(断っておくが,ユーザー側の尻拭いである)何だかつくづくツイてない気がするが,今日はそういう星の巡り合わせだったんだろう。

夜,明日の打合せで,はるさんと英ちゃんと交互に電話で話す。
途中,あめんさんからも電話がかかるが,今宵ばかりは英ちゃんを取る。ゴメンナサイ。



11月21日()「映画の話は役者の話」

何だか一日中寝てた気がする。
あ,三谷幸喜・和田誠「これもまた別の話」(キネマ旬報社)を読了した。
普段,僕が映画なんぞを語る時,役者を中心に話すため,この映画に出ていた誰それは別のこういう映画に出ていて…という挿話が連鎖反応でフラクタルに拡大していって収拾がつかなくなる事が多く,常々忸怩たる思いでいたのだが,何の事はない,このおふたりのやりとりも全くもって「この映画の誰それは別の映画に出ていた誰それ」話なのであった。で,尚且つそれで退屈しないということは,何だ,案外そういう話も面白いんじゃない,という事が分かって何かと有意義であった(笑)。
出来心といきおいで三谷幸喜「気まずい二人」(角川書店)も再読してしまう。つくづくオレって駄目なヤツだなあ。

奥さん,引き続き安静…の筈だったのだが,昼過ぎからごそごそと起き出して家事を始めていた。
もうすっかり平気などとうそぶくが,このひとはすぐ「喉許過ぎれば」のひとなので監視が必要である。
明日からバイトを再開したそうな様子だったので「病院からOKを取ってきなさい」と固く申し渡す。



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