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早速だが,さだまさし「続・帰郷」。こいつはいい。
本当に久し振りに「隅から隅まで」何度も聴きたいアルバムが届いた。
「1.ソロの初期3部作からの選り抜きである」「2.何よりもまず歌詞が耳に届く歌唱である」「3.アレンジのクオリティが非常に高い」…今回は全面的に称賛モードに入っているが,此処んとこ諸手を挙げて「さだまさし」を絶賛した事が無かったので,実はこうまで臆面もなく褒めコトバを並べ立てられる自分に非常に快感を覚えている。何だかすごくウレシイ。
「1.ソロの初期3部作からの選り抜きである」。
歌詞表現の自由度が高かった頃の「帰去来」「風見鶏」「私花集」から篩をかけて勝ち残った楽曲群をまとめたのだから,それだけでそのクオリティは保証されたも同然である。確かに今聴くと若書きで恥ずかちい表現もなくはないが,却って其処がまた瑞々しくって佳い。「あばたもえくぼ」の範囲内で旨く昇華されている。
「2.何よりもまず歌詞が耳に届く歌唱である」。
歌声の表情が豊かになった今だからこそ,かつて老成を云われていた若き作品群を歌ってみせる意義がある。「今だから上手く歌える歌がある」それは歌い手さだまさしの或るリベンジとも云える。奥さんがしみじみ云っていた事だが「歌詞を丁寧に歌ってるよね」。すっかり「さだまさし」(あくまでも「さだまさし」にであって,さだまさしにではない。此処のニュアンスが難しい)に対して屈折した感情を抱いてしまった彼女が「さだまさし」を臆面も無く褒めたのは結婚して初めてではなかろうか。なるほど「フェリー埠頭」や「加速度」など一部ファルセットに苦しげな表情が浮かぶが,僕は今の声の方がうんと好きだ。美しい光を放つバカラグラスが,へこみ具合に味わいのあるぐい呑みに変身を遂げたと云えば分かってもらえるだろうか。あの頃よりもずっと体温に近い歌が此処にある。
「3.アレンジのクオリティが非常に高い」。
このアルバムはヴォーカリスト「さだまさし」のリベンジであると共に,アレンジャー「渡辺俊幸」のリベンジでもあったのではないか(当時はまだ米国留学前であった)。あの頃,表現者としての拙さ故に達しえなかった音が今ならかたちに出来る。これはナベちゃんの「僕もこんなに大きくなりました」宣言でもあるような気がする。「晩鐘」「夕凪」「桃花源」に入った弦の美しさはどうだ(因みに本アルバムは全曲ストリングスが聞こえてくる)。逆に「加速度」のように殆どオリジナルスコアで勝負したものもあり,当時の方法論にこめられた自信のほどが窺えて嬉しい(実を云えば,出だしのピアノと云い,こいつのアレンジだけは変えて欲しくなかったのだ)。
あと,特筆すべきはアレンジャー萩田光雄の初起用である。僕が邪推するにこれは前作のリメイクベスト「帰郷」にも収録された「秋桜」の再収録にある。今回改めて「秋桜」を選んだのは,ひとえにイントロのピアノが印象的な山口百恵のオリジナルヴァージョンを意識した音づくりを狙ったのは想像に難くないのだが,確か百恵ヴァージョンのアレンジが萩田さんの手によるものではなかったのか。そういう意味ではあのイントロは萩田さんの功績に負うべき処が大きい。という訳で萩田さんにもお声がかかり,ついでというので他の楽曲の編曲も担当した,そんな処ではないか(あくまでも僕の勝手な憶測である)。萩田アレンジの「檸檬」,僕は好きです。あと,ボサノヴァに化けた倉田信雄版「吸殻の風景」もライヴ用にスイングジャズになった「長崎小夜曲」同様のインパクトがある。こうまで違うと,好き嫌いの分かれる処だと思うが,最后のワンフレーズ「煙草の火を消した」ってあたりは今までと違う解釈でこれはこれでなかなかいい。
あと,歌詞カードもいい。最初に寄せたライナーノートもいい。特典の絵馬はどうでもいい(笑)。
という訳で,これは自信を持ってお薦めしたい盤なので,機会があれば是非聴いていただきたい。
午前中は,町内会の仕事で社宅敷地内の通行の邪魔になる木の伐採作業。
小雪そぼ降る中,黙々と小枝を払い,太い枝を切り,切り倒した幹を120センチ間隔で裁断していく。いやあ,組長はつらい。それにしても,10mはありそうなポプラの木をするすると登っていく区会のMさんは殆ど曲芸の域に達していた。
夕方,兼ねてより奥さんと約束していた「海の上のピアニスト」を観に中間AMCへ。
普段レイトショウしか行かないのだが,意外にも客席はスカスカ。尤も此処は16館もあるからなァ。
映画は絶品。そりゃ,おすぎが「淀長さんに観せてあげたかった」と嘆息するのもよっく分かる。ひとは一生に一作傑作を作れたら上等だと思うが,ジュゼッペ・トルナトーレは二作こさえた。もはやノーベル賞すらあげていい。尚,映画者を名乗り乍ら,お恥ずかしいことに「ニューシネマパラダイス」は未見である。「明日を夢見て」なら観てるんだけど。
映画が終わり,閉店間際のダイエーで特売のステーキ肉を買い込んでから,「ようやく」今年最初の灯油を買いにスタンドへ。
見上げると宵闇にスタンドの照明に浮かび上がるように粉雪が舞う。寒い筈である。
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