富木殿御書  文永十一年(1274年)五月十七日 聖寿五十三歳御著作


 けかち申すばかりなし。米一合もうらず。がししぬべし。此の御房たちもみな
かへして但一人候べし。このよしを御房たちにもかたらせ給へ。
 十二日さかわ(酒輪)、十三日たけのした(竹下)、十四日くるまがへし(車返)、
十五日ををみや(大宮)、十六日なんぶ(南部)、十七日このところ。
 いまださだまらずといえども、たいしはこの山中心中に叶ひて候へば、しばら
くは候はんずらむ。
 結句は一人になて日本国に流浪すべきみにて候。又たちとどまるみならばげざん
に入り候べし。恐恐謹言。

 十七日   日蓮 花押 

 ときどの



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