上妻 宏光 (東京芸術劇場)
太鼓を叩きながら客席を練り歩く太江田律子さん。舞台両サイドには背丈よりも大きい行灯のようなものが置かれていて「祭」の文字が浮かび上がる。ピアノ・野崎洋一さ
ん、ドラム・板垣正美さん、ベース・村上聖さんが静かに登場しスタンバイ。パッと舞台が明るくなると主役の上妻さん登場!いよいよ始まるのだな、と気分が高揚してくる。 『月の下で』 舞台後方に月の映像が浮かび上がる。素敵な曲で始まった。 『音乱舞-じょんがらよさこい-』 津軽じょんがら節とよさこい節をミックスしたオリジナル曲。いかにも祭りにふさわしい楽しい曲。 今回のコンサートは8月に発売されたアルバム「○-エン-」のツアー。最近イヤなこと、つらいことを見聞きすることが多いのはコミュニケーションが足りないからではないか。昔、祭りがその役割を果たしていたのではないか、祭りで人が集まると宴が始まる。これも「エン」。盆踊りはみんなで円になって踊る。これも「エン」。祭りであたらな出会いを得てそれが縁となる。これも「エン」。アルバムにはそうした「人とのつながり」を大事にしたい思いがあるようだ。 『リンゴ追分』 美空ひばり追悼コンサートで演奏したことのある曲。それもまた「エン」なのだろう。優しく、そして激しく。素晴らしい音の世界を作り出す。演奏後、思わずという感じで客席から「うまいっ!」の声がかかる。「30過ぎてこんなこと言われることはない」と上妻さんも嬉しそう。 『祈りの韻(ひびき)』 祭りには賑やかで楽しいものもあれば、しーんとしっとりもある。この曲は後者。神社で白い着物を着て舞う姿を想像してほしい、と。 風の音、虫の音、衣擦れ・・・ 様々な想像が広がる幻想的な曲。 『最上川舟歌』 今回のアルバムで唯一歌っている曲。舞台上で、しかも良い音響で歌うのはとても気持ちが良いと満足そう。艶があって味がある上妻さんの歌声を生で聴くことができるのはファンしてもとても嬉しいことだ。最近ヨガ、特にパワーヨガをやってるというだけあって歌う筋肉も良い働きをしているのだろうか。 『ねぶた祭り』 ねぶた祭りには独特の掛け声がある。客席一体となってその練習をすることに。「ラッセラー、ラッセラー」と上妻さんが言った後、「ラッセ、ラッセ、ラッセラー」と続ける。まずは見本として、ツアーを続けているうちにすっかりうまくなった美声を聞かせるというメンバー達。ところが、あれれ・・・ いざやってみると声が小さくてバラバラ。 さあ客席は? 見事!手拍子しながらしっかり掛け声も決まった! 見事過ぎてちょっぴり残念そうな上妻さん。何ともいたずらっぽい。さらに早口言葉を言わせたり、「アタック25〜」と言ってみたり、深夜TVの通販番組で見た物真似をして見せたり、本当に楽しそう。 『彼の面、此の面』 2つの顔、2つのメロディ、2つの歌、二面性を表す能の用語。琵琶や琴の音色のように静かなメロディから次第に激しさを増してくる。何とも迫力満点! 『太鼓バトル』 和太鼓と洋楽器のドラムとの共演。これが不思議と良く合っている。ついつい引き込まれてしまう。客席からも拍手の嵐、嵐。 バトルが終わってしーんと静まり返ると、舞台下手の行灯のようなものに上妻さんのシルエットが浮かぶ。 |