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『無力ながらも 〜命〜』 〜第5章〜

自分に何か出来る事はないかと考える時ほど、自分が無力に思えてしまう時はない。考えれば考えるほど、力のない自分の不甲斐なさを詫びたい気持ちだけが浮き彫りになって来る。

「命」について考える機会に、ここ何度か急に直面した。身内に癌宣告を受けた経験を持つ者が7割以上おり、豊齢の親戚 が集うと病の事で話題はつきない。以前、末期癌だった遠縁の叔母に言の葉カードを書いて欲しいと言われた事があった。何度か挨拶を交わした程度だったので叔母の事はほとんど知らなかったが、両親から聞く叔母の人柄から言の葉はすぐ思い付いた。依頼された数時間後に仕上がったカードを母が叔母に手渡した時、喋る事も見る事もままならなくなった叔母が、なんと涙を流して母の手を握ったのだと言う。後日お見舞いに行った時、当時の面 影等どこにも見当たらぬ朦朧とした叔母が、私の手を取り「コノシゴト、ツヅケテネ」と言った(のだと思えた)。わずか数日後、叔母の棺には私の描いた言の葉カードが納められ、叔母は天界のご先祖様達にそれを見せてくれているのだろうと思う。

叔母とは「最期」に僅かな時間を共にしただけだが、私は一生忘れる事は出来ないし、叔母は私に何か大きな意味ある事を教えてくれたのだと思えてならない。

   ■  

それから先日、我が子を不慮の事故で亡くされた方とお会いした。その事は後で分かった事だが、ちょうど父と居たところでその方とお会いし「ねぇお父さん」と何度も呼ぶ私の声を背後に、その人はずっと俯いていたのが気になった。もしかしたら、生きていたらちょうど私と同じ歳くらいになる我が子の事を思い出していたのかも知れない。後で父から聞いた時、経験した事もない癖に、心が切り裂かれる思いがした。そして無力な自分が、悔しくてやるせなかった。しかし、もしその方に何か出来たとしてもそれはお節介かも知れないし、余計なお世話になってしまうのかも知れない---と、そんな事を考えて何も出来ない自分もまた無力なのだ。

ただ、もし私が亡くなったお子さんの立場だったら、、、両親にはしっかりと生きてもらいたい。忘れる事は出来なくても、笑って明るく生きて欲しい。そうしてもらう事が、きっと私にとって一番幸せな事だと思う。大好きな両親が悲しむ顔は見たくないし、ましてや自分の事でふさぎ込んでしまうのは、自分が一番辛い。

悲しみを拭い去る事は難しい。思い出が余計に故人を愛しくさせる事もある。しかし思い出を財産と受け入れ、胸の宝箱で一生温める事が出来ることも、思い出の良さなのかも知れない。

自己満足かも知れないが、私はそんな人達にカードを贈りたいと思う。返って御迷惑かも知れないし、突き返される事もあるだろう。カチンと来て破られる事もないわけではないと思う。けれど無力な自分にイイワケをして何もしないままいるよりも、もしかしたら歩き始めるキッカケにしてもらえるかも知れないという喜びを取りたい。

それが私の命に対する礼儀のような気がする。

与えられた命、私に起こる全ての事を必然と捉え、不器用だけど精一杯使いきりたい。

あなたの命、誰かの為に、自分の為に、輝いていますように---。

     

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愛媛新聞社 このHPを作って頂きました。
デスクサイド・アサヒ 「週代わり言の葉カード」掲載中!
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