房総半島南端、館山市周辺の8000〜4000年前の、縄文海進の時期に堆積した地層。この時代は最終氷期が終わって、現在よりもやや温暖な時代であり、海面も現在より約3m程度高かったといわれる。
房総半島南端部は、関東大震災の時に最大で約1m隆起したことが知られているが、当時から隆起を続けているために、館山市付近では8000年前の海岸線が標高30m前後の丘陵斜面に記録されている。また、黒潮があたるために非常に豊かなサンゴ礁が形成されて、100種類以上の多種類のサンゴが地層の中から見つかっている。サンゴの種類数からすると、現在の奄美大島付近のサンゴ礁と同じくらいの豊富さである。館山市の沼という地名から沼層と命名され、完新世の温暖な気候を示す地層として古くから有名である。
縄文時代の人々も、この豊かな海の資源を利用して生活していたことが、地層とともに見出される遺跡や遺物から推定される。
館山市香谷(香=こうやつ)では、当時の海岸をつくっていた三浦層群の凝灰質シルト岩に、穿孔性の二枚貝(カモメガイ)の生痕がみられ、そこに石灰質の殻を持つ、カキやフジツボ、サンゴなどの生物がコロニーを作り、繁殖していった様子が地層の断面の中に読みとれる。また、サンゴと他の生物との競争関係や共生関係が化石から読みとれるのも興味深い。
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(1996.3.12実施)
主に米倉(1976)に基づく