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「蓑虫」 (相模原) 山本一歩
畑に人残して釣瓶落しかな 見ゆるもの見えぬもの稲架組みしより 稲刈の途中を話込んでをり 柿熟るる地にすれすれといふ高さ 人類の滅びしあとや水澄める 蓑虫に耳をすましてファーブル忌 明日は知らざり啄木鳥の打ちに打つ 木の実掌に転がし少し考へる 瀬の音と野菊と白きベンチかな 遠ざかる船や秋の日まだ残り 迷ひなき朱でありけり吊し柿 洗濯に始つてゐる冬支度 さみしさの残る虫には及ばざる すれ違ふときマフラーの端が触れ 柱時計鳴つてをりたる寝酒かな
「綿虫」 (横 浜) 有馬五浪
花梨の実みな違ふ顔してをりぬ 迷ふ者ひきつけてゐる鳥兜 木犀につきまとはるる夜なりし 柚子の香を閉じ込めてゐる袋かな もやもやの大きくなりぬ秋の雲 柿熟るる伸ばして暇な長梯子 漬物の樽洗ひゐる冬支度 冬薔薇奥まつてゐる門構へ 綿虫を追ひし眼の遊びをり 白鳥の雪舞ふごとく降りて来る

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