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「毬栗」 (相模原) 山本一歩
枝々に散らばる朝日小鳥来る 視線うろうろ赤い羽根つけられて 裏山を素通しにして障子貼る 誰もをらぬこんなに小豆干してゐて 口笛を吹けば広ごる花野かな 懸命といふにはあらずちちろ鳴く 秋風を行く黒猫とその影と 虫すだく電波望遠鏡直下 落葉松の林人過ぎ霧が過ぐ 蜂の子食ふ心構へのなくはなし 縦横に稲架組み何を企むや 冷ややかや朝の畳の踏めば鳴る 色鳥や河原の石の白ければ 鏡中に続いてをりし鵙日和 毬栗の一触即発とも思ふ
「新松子」 (横 浜) 有馬五浪
頑固さのまだまだ青し花梨の実 逢ひに来て大かまきりに迎へらる いとど跳び引き摺つてゐるもののあり さびしさに尾を振つてゐる猫じやらし 穴まどひまだ見たきものありにけり 美しき指を立てれば蜻蛉来る 母連れて富士を見てをり秋彼岸 新松子先行き少し見えてきし 母の座に母すはりをり茸飯 人間を黙らせてゐる野分かな

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