谺俳句2


谺集俊詠


(横 浜) 大関 洋

阿夫利嶺の風真つ向に幟立つ
地球儀をくるくる廻し夏に入る
葉桜や人には賞味期限なく
大仏の螺髪みだして青嵐
働ける腕と脚あり衣更
滴りの並びて遅速ありにけり

(福 山) 増田悦子

河原石蹴ちらしカヌー運搬車
言葉尻取つて取られてキャンプの夜
袋掛け終へし袋に日の匂ひ
廃校のグランド広し山滴る
裏木戸の開きしままに夏きざす
胡蝶蘭に包まれ若き遺影かな

(東 京) 高尾峯人

おぼろからおぼろへ橋を渡りけり
桜の実心うきうきしてゐたる
子供の日山から川が下りて来て
山葵咲き扇開きに谷の風
水底をあたためてゐるいもりiかな
花は葉にさらば忌野清志郎

谺集の7人


(盛 岡) 古澤貞夫

漆黒の磔像ひかる薄暑かな
一瀑の音万緑をつらぬけり
搦手になだれ咲きけり花卯木
昼どきのチャイム鳴り出す麦の秋
朴の花旧道忘れられゆきぬ

(三 島)  石井淳子

薄暑光ステンドグラスに祈り満ち
シュークリームの正面はどこ青時雨
さみだれや骨きしきしと音たてて
ぴかぴかにピアノを磨き走り梅雨
橘の花や老いには逆らはず

(花 巻) 桜井登美

山菜の苦味を添へし花見膳
うぐひすの谺に山の朝が来ぬ
日は永し坐つてゐろと云はれても
老斑に加へて蚋のさされ跡
花りんご二時間待ちの路線バス

(花 巻) 川村住子

緑から生れ来る風六地蔵
佛前の牡丹少々大きかり
花りんご花びらすべてふるはせて
囀の中にとりのこされてゐる
あめんばう大き水輪の生まれゆく

(横 浜) 斉藤加代子

旧道も新道も雨桐の花
みづいろの栞八十八夜かな
葱坊主一列淋しさとも違ふ
短パンのポケットあれもこれも入れ
アネモネ挿し今日の夕空傾ぎけり

(川 崎) 堀江野茉莉

観音の巨いなる背や花時雨
春昼のもの言ひたげや観世音
花散りて空の湿りて来たるかな
おかめ桜とあり葉桜でありにけり
孕み雀らしきが跳んでみんな飛び

(福 山) 榊原素女

万緑へ開け放ちたるレストラン
花みかん匂ひカーテン揺れてをり
決めごとはいつもじやんけんさくらんぼ
片隅に苺の匂ふ会議室
それなりに似合うてゐたる宿浴衣




前のページへ
戻る
トップページへ
トップ
次のページへ
次へ