谺俳句2


谺集俊詠


(横 浜) 大関 洋

缶切の一まはりして十二月
冬凪や島のうしろに島ひとつ
切符買ふ手袋の指噛みしまま
豊かなる白息人馬もろともに
歳晩や膨らんでゐる小銭入
義経を隠し通して雪女郎

(横 浜) 斉藤加代子

冬天に窓拭きの脚ぶら下がる
冬薔薇の真紅の束を悪役に
冬鴉羽つやつやと疎まるる
冬林檎故人笑つてばかりゐて
食卓の隅が文机去年今年
一月や磨かれて鳴る大時計

(福 山) 増田悦子

小春日を賜はれり子の引越す
校庭の垣根に穴や冬ぬくし
駅前に大きなクレーンそぞろ寒
風邪声の子の食欲の盛んなる
嘴を天に向けたる檻の鷲

谺集の7人


(川 口) 関田独鈷

誰が母を呼ぶや病舎の虎落笛
澄みきつて旅立つ母や寒北斗
枕辺に嫗持ち来る寒椿
一僧の美声流るる雪催
雪浅間骨壺しかと抱きけり

(盛 岡) 古澤貞夫

裸木や風の研ぎだす星の数
寝違ひし首持ち歩く十二月
山頭火の青空があり枯むぐら
山畑の風に育ちし冬菜かな
除夜篝阿吽の闇を照らしけり

(横 浜) 小林比奈子

よきことの火種のやうに青木の実
ベランダに手だけの見ゆる布団干し
切り貼りの形さまざま白障子
寿司桶の箍はづれゐる小春かな
おかあさんと吾子を呼びをり根深汁

(横 浜) 吉田善一

さびしさの微塵もなくて石蕗の花
新聞のどこを読みゐる日向ぼこ
冬眠の蝮の真上かもしれぬ
山越えてゆく冬耕のうす煙
不器用も器用のひとつちやんちやんこ

(三 島) 石井淳子

堂縁に足をぶらぶら石蕗日和
大土間の竈の腹や注連飾
小さくとも門松立てて二人なり
神鶏の初声まぶし杜の闇
釣舟の五つもあるかふぐと汁

(相模原) 山本一葉

もぞもぞと右手左手懐手
藁屋根の低さや雪のぶら下がり
寒の晴何やら吹つ切れてをりし
襟巻ぐるぐる飄々と現るる
くさめしてサンタクロースレジを打つ

(福 山) 宮澤千恵子

損得の話の外に日向ぼこ
ちやんちやんこジャズと紅茶とクッキーと
手話の手がいきいき歌ふ聖夜劇
缶蹴りのひとりづつ減り暮早し
括られしまま枯萩の傾ぎけり




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