谺の広場


八ヶ岳山麓への旅


 平成21年9月12,13日、関田独鈷さんの招きで八ヶ岳の山麓に遊んだ。
 初日、あいにくの雨の中を野辺山電波天文台へ。そこには空を向いて直径45メートルの巨大なパラボラアンテナが聳えていた。そこに飛び交う電波の音だろうか、異次元の世界へ迷い込んだような思いがした。
 おそらく俳句とは縁がないような世界かも。
 以下は夜行われた句会での作。

流れ星その先の知るよしもなし  山本 一歩
朝の日に近づいてをり曼珠沙華  有馬 五浪
信州の酒と茸を給ひけり  梅津 大八
犬蓼や天文台へ雨の道  大関 洋
花揺らす松虫草の雨滴かな  関田 独鈷
天文台仰ぎゐる間や秋の雨  島かづえ
今生れし星もありなむ星月夜  堀江野茉莉
天文台秋空高く仰ぎ見て  山田 和輝

第1回不来方集合句会


 平成21年6月13,14日、初めての不来方集合句会が行われた。
 普段は通信で行われ、地元5人に一葉を加えたメンバーで行われているが、今回は初めてとあって、関東から一歩、五浪、雄公子、峯人が駆けつけた。
会場は既におなじみの花巻市大迫町にあるホテル「ステイヒル」。昨年の発足時に立ち寄ったワイン祭の主会場に隣接する。
 翌日はすぐ傍にある七折農園での吟行句会。その後一歩邸へ。父清志作の十一面観音像を見てもらった。
 二日間、山宏和さんに運転をすべてお任せした。句会の取り纏めから運転手まで、すっかりお世話になった。この場を借りて御礼申し上げる。

<主宰特選>
田植機を田から引張り上げてをり  高尾峯人
<互選句>
不来方の蟻大粒にしてしづか  山本一歩
薔薇の香や首を突つ込み過ぎてゐる  有馬五浪
走り梅雨牛鳴くほかはなく鳴けり  古澤貞夫
コーラスは早池峰讃歌風薫る  桜井登美
鶯の遠鳴き湖はさざ波に  村田一紫
万緑の中の秘湯のひとりかな  山宏和
ここまでと決めて草取りしてをりぬ  山本一葉
とこしへや北上川に沿ふ青田  平田雄公子
これからが夏の盛りや歯を磨く  高尾峯人
万緑や伊達の殿様晴れ男  山本みよ子

松山吟行


平成21年5月29〜31日、松山吟行が行われた。参加19名。
松山は俳句のふるさと。谺も師系を辿れば松山は石田波郷に突き当たる。
波郷生家を訪ね、通った小学校を訪ねた。意義ある吟行となった。

<山本一歩選>
◎内子座に隣る畑のトマトかな 蓮見澄男
◎水打って朝の始まる臥龍院  田村ふみこ
 庭を掃く箒小さしほととぎす 家田あつ子
 家苞や伊予肱川の鮎を二尾 渡辺時子
 清流に舟を渡すやほととぎす 関田独鈷
 内子座と右から読みぬ燕の子 吉田善一
 マドンナバス坊ちゃん電車夏帽子 堀江野茉莉
 子規庵のほの暗がりに蚊を打てり 隅田晶子
 水を打ちたる石段に迎へられ 大関  洋
 伊予親し夏鶯も町並も 隅田晶子
 香水や奈落の闇に漂うて 榊原素女
 接骨木の木陰涼しき遺髪塚 蓮見澄男

善福寺吟行


第6回谺賞の授賞式が平成19年9月15日、福山市の「うつみ荘」にて行われた。それに先立ち、故妹尾圭子さんがご主人とともに永年守ってこられた善福寺において記念の吟行会が行われた。門前には稲穂が重き穂を垂れ、周りの山々は蝉の声に包まれていた。
写真、右端は善福寺住職の妹尾成彰さん。上に見えるのは「円相」の墓標。

どこからも円相が見え豊の秋  山本一歩
境内をひきしめてゐる桔梗かな  有馬五浪
円相を慕ふ声してつく法師  秋山幸子
秋の雲圭吟大姉に逢ひたくて  堀江野茉莉
葡萄甘し遺影の見える席に座し  芦田みさを
円相の円を抜けくる風さやか  宮澤千恵子
一年の長さ短かさ菊の供華  蓮見澄男
泣かないでくださいと言はれても秋  榊原素女
ひよんの笛吹いてゐますか圭子さん  渡辺時子
身に入むやここに貴女がゐぬ不思議  作田和子
ひつじ田やまた集ひ来し円相に  梅津大八
そつとそつと絆運んで秋の風  山本一葉
山深き寺に残暑の尻尾かな  隅田晶子
箒目をたてて秋風通しけり  田村ふみこ
さはやかや箒目かろくつきし庭  遠藤良子
箒目に影のやさしき寺の秋  桜田清子
玉砂利の御堂につくつく法師かな  山本みよ子
列島を西へ車窓の豊の秋  高島かづえ
はじめての道幾曲り稲は黄に  吉田善一

成田吟行会


 平成19年5月27日、千葉の芦田みさをさんの案内で成田山新勝寺吟行会が行われた。参加者は一歩主宰はじめ16名。句会は大野屋旅館にて開催。好天に恵まれ、盛会であった。

<主宰特選>
一の二の三の池澄む寺青葉  蓮見澄男
店先にこんがらがつてゐる泥鰌  有馬五浪
文殊の池大緑蔭といふべかり  大関 洋

<互選から>
成田山黒く大きく蟻ひとつぶ  山本一歩
万緑に平和の塔の高さかな  有馬五浪
山内の四方に水音若楓  芦田みさを
ただよへる如く先ゆく日傘かな  小林比奈子
街薄暑鉄砲漬けを試食して  蓮見澄男
鉄塔がいばつてをりし植田かな  家田あつ子
万緑や水琴窟はハ長調  山本一葉
軒下の低さ親しき日除かな  吉田善一
片蔭を往けばどぜうの秤売  平田雄公子
蓬莱橋で麦茶ぐびりぐびりかな  山本みよ子
参道は開運通り片かげり  大関 洋
万緑や大寺開基千余年  渡辺時子
戦争が食ひし銅像青葉蔭  梅津大八
実直とは言へぬ人生楷若葉  堀江野茉莉
全山に太鼓轟き夏来る  関田独鈷
夏落葉踏み境内に迷ひをり  高島かづえ

第5回谺賞受賞祝賀会


 第5回谺賞の受賞祝賀会が9月17日、盛岡市の「いわて国保会館」において開催された。
 今回の受賞者である古澤貞夫さんが地元で交流している「草笛」、青山句会の川代くにをさん(寒雷)、山口剛さん(祭)、石川淑子さん(蘭)、北田祥子さん(人)、清水芳子さん(寒雷)の5人が加わっていただいて、大変な盛会となった。
 「谺」の出席は一歩、五浪のほか、神奈川から澄男、みつ子、一葉、時子。福山から和子。地元岩手から貞夫、住子、登美、弥寸女。
 写真は挨拶に立たれた川代さん。

谺・天平合同句会


 平成18年4月23日、京都「三木半」において「谺」と「天平」との合同句会が行われた。八重桜から若葉まで、4月の京都は合同句会という初めての試みに晴れやかな天気を用意してくれていた。

岨 静児「天平」主宰 特選句
花疲れ京のたらたら坂を降り 阿部 輝子
ねんごろに鈴を鳴らして知恵貰ひ 秋山 幸子
そのあとのこと聞いてゐる花の中 小林比奈子

山本一歩「谺」主宰 特選句
三木半に静謐の春賜はれり 渡辺 時子
手相見の準備整ふ花の昼 作田 和子
花びらを重ねて曇る糸桜 田村ふみこ

当日吟
揚雲雀東山出て行方知れず 岨 静児
板張りの廊下泣かせて春惜しむ 山本一歩
花街に迷ひこみをり初燕 吉田善一
襖絵の金泥沈む花の冷え 田村ふみこ
木履を磴に響かせ知恵詣 蓮見澄男
花片の切貼り城の春障子 渡辺時子
どの山となくつらなりて霞みけり 小林比奈子
二の丸の順路を逸れてさくらかな 有馬五浪
春惜しむ寂光院の日溜まりに 家田あつ子
この先は枝垂れ桜の滝なりし 山本一葉
大原の風のまどろむ花の坂 榊原素女
二条城出でたんぽぽが原となる 梅津大八
大臼を据ゑて草餅搗きあがる 三宅一雄
山桜北山杉のその奥に 宮澤千恵子
鳥曇り裏より入る本能寺 長崎雁来子
花屑の流れ途切れず高瀬川 中島武司
散らばれるひなを引き寄せ残り鴨 岡本クニ子
春風や都大路を渡りかね 坂田定彦
春惜しむお茶屋扇屋寺のまち 遠藤良子
花大根哀史を語る僧若し 吉川みつ子
とのぐもり鴨ノ川原の花の塵 村瀬フク
したたかな脇役であり吹流し 和田順子
やういやな春の名残の声かかる 平田雄公子
信長公悲憤の御廟や春時雨 東地 治
餌を投げる足元に来し巣立鴨 湊 敏子

横浜女性フォーラム


平成17年8月の横浜例会は久し振りの戸塚での句会だった。
戸塚はいわば「谺」発祥の地。しばらくの間は横浜女性フォーラムが本拠地でもあり、思い出もたくさんある。
「林」が終刊になり、その戸塚句会を「柏尾川」と改称、会報も数ヶ月に渡って発行された。その中の5人から始めた「谺」。その名称を決めたのも戸塚のとある飲み屋である。
いつだったか、やはりこの会場で「白露」の句会を開いていた庄司圭吾さんがにこにこしながら玄関で迎えてくれたことを思い出す。
写真は雄公子さん撮影。なぜ本人が写っているかというと、パソコンの技術を最大限に生かした努力の結果である。

深大寺吟行


 平成16年10月31日、調布市深大寺に於いて秋の吟行会が開催された。天気予報はまったく外れて雨の気配はなし。かえって朝までの雨が晩秋の山並みに潤いを与え、句作りには最適だった。参加者14名、ほかに17日の下見に参加した1人の欠席投句があった。
 深大寺は石田波郷、小林康治と「谺」にとっては菩提寺のようなところ。久し振りに見る「花月夜」句碑もどっしりと輝いていた。
 以下、作品抄。

秋雨に洗はれて墓うつくしき 山本一歩
湧き出でてよりお茶の水澄みにけり 有馬五浪
そこここに水鳴る寺苑秋惜しむ 芦田みさを
無患子の実を鮮やかに雨上がる 家田あつ子
天高し象のはなこのマンボかな 梅津大八
木の実降る波郷の句碑を仰ぎけり 久保川輝昭
秋薔薇燦とマティスの色使ひ 平田雄公子
菊の雨霽れし康治の墓に佇つ 蓮見澄男
鐘の音の間にすすり走り蕎麦 堀江野茉莉
鼻歌のはずれてをりし落葉掻き 山本一葉
亀の首ちよんと動くや紅葉池 山本みよ子
無患子の句碑打つ音や深大寺 吉川みつ子
よべの雨匂ひ落葉の新しき 吉田善一
蓑虫のなんじやもんじやの葉を傘に わたなべこうか
綿虫の頃を訪ふ深大寺 渡辺時子

高知吟行


 5月22日から3日間、高知吟行が行われた。
 高知出身である吉田善一さんの案内によるもので、関東以西から22人が集った。地元にはかつての「林」の仲間である前田欣一さんがお住まいで、句会、懇親会を一緒に過ごすことができたことは何よりの喜びであった。

沖過ぎし台風土佐に汚れなし  前田欣一
龍馬脱藩の道なりげんげ咲く  山本みよ子
旅惜しむ青嶺の風を首筋に  榊原素女
杖を借り申す青葉の高知城  山本一歩

大倉山吟行


「みなみ句会」が「南風(みなみ)句会」に名称を変更、ところを東急東横線沿線の大倉山に改めたことを記念して吟行会が行われた。11月22日(土)である。予報では寒かったはずなのだが、小春を感じさせる吟行日和であった。

『白梅』出版祝四国吟行


11月18,19日福山響句会の面々が田村ふみこさんの『白梅』出版のお祝いを兼ねて四国吟行を行った。福山と香川、それぞれにグループがあって「谺」を支えてくれていることは何よりの喜びである。次回はぜひ、関東グループほかも交えて四国を訪れたいものである。

大迫吟行


 大迫吟行が9月20日(土)、岩手県大迫町にある「ステイヒル」において行われた。関東から8名が出かけ、椛澤田人(「屋根」、「樹氷」各同人)先生が指導に当っている岳川句会の面々など、合わせて19名の句会だった。
 曇り空ではあったが、岩手の秋(特にワイン、葡萄など)を満喫した旅であった。

椛澤田人先生特選
もみづりて権現さまの山高し  蓮見澄男

山本一歩主宰特選
イーハトーヴ字大迫さはやかに  平田雄公子

京都紅葉狩り吟行


平成14年11月24日、京田辺の一休寺に於いて紅葉狩り吟行を行った。出席は一歩主宰、五浪副主宰のほか、福山4名、香川2名、地元京都2名の計10名。一日を一休寺に遊んだ。
翌25日は時雨の東福寺へ。雨も紅葉も我々を歓迎してくれていたのだろう。傘は邪魔だったが、紅葉は絶景だった。
地元の坂本キミ子さん、秋山幸子さんに感謝しつつ、次に5月の江ノ島で会うことを約して別れた。

面長の一休像に紅葉散る  山本一歩
あゝこれが去来の墓ぞ竜の玉  有馬五浪
御手洗の一縷の音や散り紅葉  田村ふみこ
街騒のとぎれとぎれやかりんの実  森 竹美
木の葉散る御廟所菊の透し門  坂本キミ子
石組の石にもたるる実千両  秋山幸子
拾ひたる紅葉の色のみなちがひ  妹尾圭子
結局は捨てる木の葉を拾ひけり  榊原素女
石庭にうす日差し込む竜の玉  作田和子
胡麻豆腐生麩の旨し紅葉寺  宮澤千恵子

福山鯛網吟行

福山鯛網吟行は5月25日〈土)〜27日(月)で行われた。
25日は薔薇三昧、26日は魚三昧。写真は鯛網の明けた仙酸島での一枚である。
以下、抄出句。

25日
薔薇を廻りて水音のする方へ  一歩
西日中男三人もの言はず  五浪
同じ薔薇嗅ぎて見知らぬ同士かな  素女
言葉もつごとく落暉の薔薇の花  澄男
やすけしや薔薇のアーチの下にゐて  和子
ばら苑を巡り来し目と鼻とかな  野茉莉
桃色の鳩の足より夏きざす  圭子
薔薇アーチくぐる子バラ描く子らあふれ  順子
練兵場の門柱今はばらを守る  輝昭
薫風や大手門より女子高生  とき江
老いてなほ夢ある日々や濃紫陽花  寿恵女
再会の握手に薔薇の風立ちぬ  時子

26日
鯛網の網さりげなく下ろさるる  一歩
海原に漂白めきて沖膾  五浪
涼しさや海の上より見る島は  千恵子
沖膾大吟醸の口上書  野茉莉
瀬戸内のまんまんなかや桜鯛  和子
蟻一つ殺め仙酔島泊り  とき江
船二つつかず離れず船料理  澄男
祝宴の涼しく果てて島泊り  素女
船べりに杖休ませて沖膾  圭子
鳶舞ふや緑滴る仙酔島  輝昭          

目黒吟行

日時  4月27日(土)
場所  東京都自然教育園、目黒不動尊など

新緑やとろけ地蔵の頬の張り 山本一歩
 影つれて影より淡きお玉杓子 有馬五浪
水底に影もすばやき水澄 家田あつ子
姫女苑頭痛の少しとれてきし 梅津大八
蝶舞うや伍長上等兵の墓 上林松代
坂道の多き町なり諸葛菜 木村とき江
身を反らす白雲木の花房に 隅田晶子
囀りのひととき絶ゆる羅漢像 蓮見澄男
春惜しむ門の外なる比翼塚 平田雄公子
哀しみの色にはくうんぼくの花 堀江野茉莉
道狭き行人坂に暮春仏 吉田善一
春惜しむ行人坂に香烟り 渡辺時子

100号記念大会

「谺」100号記念大会は平成13年9月29日(土)〜30日(日)、岩手県花巻市で開催された。会場はJR花巻駅前の「ホテルグランシェール花巻」、香川県、広島県など遠方からも参加があり、盛会だった。
以下は大会入選句の抜粋である。

<募集句>
山本一歩主宰選
滝行のしたたるままの衣を干せり 秋山幸子
打水の石に素肌の戻りけり 妹尾圭子
十薬の可愛がらるるほどの数 妹尾圭子

岨静児先生選
思ひ出し笑ひ止まらずさくらんぼ 宮澤千恵子

大関洋先生選
くらがりに雨降つてゐる木槿かな 古澤貞夫

平野冴子先生選
青胡桃川音風になりゐたり 小林比奈子

有馬五浪副主宰選
天涯の一峰は紺つくつくし 田中ひろし

古澤貞夫選
日輪へ揚羽ひらりと生まれけり 作田和子

上林松代選
飲む水のすべてが汗となりしかな 山本一葉

木村とき江選
母に耳あずけておりぬ葛饅頭 堀江野茉莉

平田雄公子選
梅雨の窓智恵子のやうに檸檬噛む 妹尾圭子

<当日句>
山本一歩主宰選
賢治忌の過ぎし賢治の国を訪ふ 作田和子
物忘れしてかりがねの遠き空 古澤貞夫
熊が食べ残したる黒葡萄かな 有馬五浪

岨静児先生選
神隠しありたる村や稲架を立て 平田雄公子

大関洋先生選
桔梗一輪この道に行き止りなし 古澤貞夫

平野冴子先生選
水澄める岳川に沿ひ巨星あり 桜井登美




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