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<今月のハイライト・「谺」創刊15周年>
〇「牡丹」 山本一歩
山はいつも胸を張りゐる青嵐 牡丹を見る牡丹の高さにて 蟇石になり損ねたるらし 老鴬の声山風に遅れけり 祭から帰りし水を飲みにけり 竹皮を脱ぎこんなにも日が眩し 章魚干されありし怒りの脚ならむ 万物の呼吸整ふ植田かな 雷の止みたるさみしさは言はず 緑蔭やどかと坐りし石に冷 近寄れば命あやふし夜の百合 いろいろな帽子いづれも夏帽子
〇「谺」60人
雪降つて降つて康治の忌日かな 有馬五浪 登頂の杖をひとまづ雪に刺す 秋山幸子 案内書のとほりに歩く街薄暑 芦田みさを 迷はずに散る山茶花の真白かな 家田あつ子 夢は明日香に翔んでつるりと心太 石井淳子 芝神明め組が仕切る年の市 稲石 実 春浅し富士に敬礼して出掛け 梅津大八 梅雨入りの空が静かに降りてくる 遠藤伸治 百歳の墨蹟確か風薫る 遠藤良子 陽炎が曲げてしまひし母の腰 大関 洋 あたたかや五人も乗れる乳母車 太田敏子 海光のゆたかさに熟れ夏蜜柑 大山誠二 柿たわわ会津白壁しんとして 尾崎せつこ 人影は白山茶花のうしろより 上林松代 木守柿三つ数へて陽の落ちる 川村住子 セーターの保母の両手に抱き取らる 北林隆明 真白なりけり着水の鴨の胸 木村多美子 カーテンをすべり落ちたる冬の蜂 纉c道子 もう誰も入らぬ墓や鳥くもに 小林比奈子 結納と隣合せの雛の間 小松原敦子 公園はわたしの書斎風薫る 榊原素女 教会の十字架浮けり夜の梅 坂本キミ子 手相見の準備整ふ花の昼 作田和子 クラシック育ちの茄子と書かれあり 桜井登美 四温リポストの上に猫眠る 桜田清子 甲斐の山の迫り来る丘桃の花 佐竹茂市郎 石一つのけて植田に水通す 佐藤磯子 黄葉を分けて六十尺の滝 澤川梅の 長靴の二つ並んで日向ぼこ 思案橋紅鳴 白樺の百幹の空今朝の秋 鈴木隆子 もうそこに冬の来てゐる背中かな 隅田晶子 よく揺るる吾妻線や夏終る 関田独鈷 人日や雲中に浮子遊ばせて 高尾峯人 人形の瞳見開く寒さかな 島かづえ 三月やロダン大きく考へる 高山宏和 山寺の樹より岩より秋の声 田中ひろし 蛇ひそむ辺りの辿り易きかな 田村ふみこ どぶろくに天動説を諾へる 長瀬 雅 いい加減を通して元気寒の晴 似内慶子 質蔵の開かずの窓や燕来る 根岸文夫 明治座のビルののつぺら冬晴るる 蓮見澄男 紙漉にそつと手をのべ子は麻痺児 羽多埜ふじ江 谺して四次元空間花吹雪 平田雄公子 生きるとは声出すことや行々子 古澤貞夫 茶の花や顔見せて母泣かせゐる 堀江野茉莉 吊橋の真ん中滝をまのあたり 増田悦子 山里の目覚めを誘ふ野焼かな 松沢玲子 馬鈴薯の盛上がる葉の上に花 皆川千代子 落葉踏む母の歩みを待ちながら 南 一晃 ばら色の電話ボックス薔薇咲いて 宮澤千恵子 残り菊和尚は留守であられけり 村田弥寸女 南に口開けてゐる巣箱かな 森 新 落款のごとくに椿落ちてをり 森 竹美 春は何色真白なキャンバスに 山本一葉 母の日やかあさん指の絆創膏 山本みよ子 父に似て祭好きなり一の酉 吉川みつ子 水洟をすすらず孫のごとく立つ 吉田善一 葉桜となりし母港に帰り着く 吉見和典 ひかるものばかり商ふクリスマス 和田順子 目借時るるんるるんと時計鳴る 渡辺時子
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