「谺」150号


谺150号記念大会


150号記念大会は10月29日、横浜国際ホテルにおいて行われた。
来賓は秋場久雄(海光主宰)、石井流花(風鈴同人)、大関洋(無所属)、大森たけし(元衆議院議員、谺表紙絵作家)、勝又民樹(新樹主宰)、平柳草子(群落代表、横浜俳話会会長)、松尾隆信(松の花主宰)の7人。会員は東は岩手から、西は広島、香川まで総勢31名。各地の活動や、それぞれの近況を報告しあいながら、にぎやかに終了した。

谺150号大会入選句(特別選者)


大関 洋 選

天 雁やはらから遠くなるばかり    隅田 晶子
地 むらさきに暮るる鳥海山稲架襖   渡辺 時子
人 さてもさても踊る阿呆となりにけり 宮澤千恵子
  静けさを集めてをりぬつくつくし  田村ふみこ
  無造作に束ね鬼灯売られたる    宮澤千恵子
  一欲を残しつくつく法師かな    小林比奈子
  逢ひにゆく日や香水の薬指     家田あつ子
  向日葵の百万本の狂気かな     宮澤千恵子
  つぎの波待ちて精霊舟送る     芦田みさを
  朝刊のいつもの匂ひ今日の秋    高島かづえ
  滝落ちてひたすら音を消しにけり  吉田 善一
  村中の膝の寄り合ふ施餓鬼堂    内山 靖子
  ひよんの笛吹き故里の顔となる   芦田みさを

勝又 民樹 選

天 体育の日に電子辞書持ち歩く    梅津 大八
地 蜩や人もお皿もきずを持ち     佐藤 磯子
人 降り出して山遠くなる花野かな   古澤 貞夫
  向日葵の百万本の狂気かな     宮 澤千恵子
  遠山の寄り添ふ釣瓶落しかな    小林比奈子
  つぎの波待ちて精霊舟送る     芦田みさを
  良妻は卒業桃を啜りけり      榊原 素女
  朝刊のいつもの匂ひ今日の秋    高島かづえ
  湯豆腐といふ日常に戻りけり    梅津 大八
  苦瓜を蔓の重さに見つけをり    遠藤 良子
  日蓮の山に向ひて稲架を組む    芦田みさを
  職辞して草刈鎌を愛用す      秋山 幸子
  雁やはらから遠くなるばかり    隅田 晶子

岨 静児 選

天 ひょんの笛吹き故里の顔となる   芦田みさを
地 一欲を残しつくつく法師かな    小林比奈子
人 曖昧に応へてゐたりところてん   作田 和子
  秋立つや仁王が足を浮かせたり   田村ふみこ
  指切りをすれば納得青みかん    榊原 素女
  蛇苺多し魔女にも遇ふかしら    芦田みさを
  向日葵の百万本の狂気かな     宮澤千恵子
  二つ三つまだ初々し銀杏の実    隅田 晶子
  爽涼や車座に椅子残りゐて     榊原 素女
  のど佛の喜んでゐるラムネかな   小林比奈子
  衣被つるりと恋に落ちにけり    榊原 素女
  日蓮の山に向ひて稲架を組む    芦田みさを
  夜の秋聞こゆる筈のなき汽笛    桜井 登美

谺150号大会入選句(部内選者)


山本 一歩 選

天 朝涼やポストを拭いてゐる少女   蓮見 澄男
地 制服の白も炎の色広島忌      芦田みさを
人 縫ひ上げし浴衣を寝押ししてをりぬ 渡辺 時子
  静けさを集めてをりぬつくつくし  田村ふみこ
  肩車せる背にゆとり秋祭      吉田 善一
  つぎの波待ちて精霊舟送る     芦田みさを
  鐘楼に吊り鐘ぶらり柿熟るる    佐藤 磯子
  汗拭ひぬぐひても汗着任す     高山 宏和
  癒ゆる人の筆勢しかと秋の薔薇   渡辺 時子
  のど佛の喜んでゐるラムネかな   小林比奈子
  火の色に咲き曼珠沙華つめたかり  妹尾 圭子
  広島忌を明日の広島訪れし     宮澤千恵子
  影もまた赤き鉄橋秋気澄む     家田あつ子

有馬 五浪 選

天 空に生れ湖に消えゆく大花火    坂本キミ子
地 村中の膝の寄り合ふ施餓鬼堂    内山 靖子
人 風花や男の抱きし赤ん坊      梅津 大八
  鍛治町の橋にかかりし帰省かな   吉田 善一
  父の日の父をらぬ児を膝の上    宮澤千恵子
  仮の世に忘れてゆきし扇かな    長瀬  雅
  さてもさても踊る阿呆となりにけり 宮澤千恵子
  男郎花自問自答のほろ苦し     古澤 貞夫
  今朝秋の水をゆたかに顔洗ふ    妹尾 圭子
  昼の虫鳴きて孤独を深めけり    妹尾 圭子
  水中花ほぐるる一部始終かな    渡辺 時子
  火の色に咲き曼珠沙華つめたかり  妹尾 圭子
  蛍袋かつてランプの火屋磨き    梅津 大八

<以下特選句のみ>

平田雄公子 選
天 遠山の寄り添ふ釣瓶落しかな    小林比奈子
地 見えてゐて七時雨山しぐれけり   渡邊 時子
人 風向きの大きく変はるそばの花   作田 和子

蓮見 澄男 選
天 被爆樹にきれいな小鳥来てをりぬ  妹尾 圭子
地 むらさきに暮るる鳥海山稲架襖   渡辺 時子
人 昼の虫鳴きて孤独を深めけり    妹尾 圭子

芦田みさを 選
  向日葵の百万本の狂気かな     宮澤千恵子

梅津 大八 選
  斬られ役又ぞろ斬られ村芝居    田中ひろし

上林 松代 選
  濃紺の空より奔る夜の滝      内山 靖子

久保川輝昭 選
  秋澄むや磴百五十登り来て     上林 松代

小林比奈子 選
  向日葵の百万本の狂気かな     宮澤千恵子

坂本キミ子 選
  断崖の松が枝振る帰燕かな     大山 誠二

隅田 晶子 選
  火の色に咲き曼珠沙華つめたかり  妹尾 圭子

妹尾 圭子 選
  遠花火圭子癒えよと祈る日々    上林 松代

田村ふみこ 選
  青芝に寝ころび空を拡げたる    渡辺 時子

古澤 貞夫 選
  向日葵の百万本の狂気かな     宮澤千恵子

堀江野茉莉 選
  風向きの大きく変はるそばの花   作田 和子

宮澤千恵子 選
  ひょんの笛吹き故里の顔となる   芦田みさを

吉田 善一 選
  落日に少しく酔へり白芙蓉     田中ひろし

渡辺 時子 選
  夜の秋聞こゆる筈の無き汽笛    桜井 登美

三渓園吟行句集


もみづるや山をそびらに月華殿  大関 洋
屋根裏に声十月の炉がいぶる  勝又民樹
菊花展脇の野菊を見てをりぬ  山本一歩
穴まどひ聴秋閣の裏口に  有馬五浪
石蕗の黄のぬつと首出す順路かな  芦田みさを
野の菊を巡りて橋の幾つかな  家田あつ子
冷まじや鎖を渡す石畳  石井淳子
縮緬の水面乱して鴨の列  内山靖子
手を添へてほくりと落葉させにけり  梅津大八
秋深き横笛庵の静寂かな  大山誠二
注ぎ落つ小さきせせらぎ赤まんま  川村住子
再会の握手両手に菊日和  木村多美子
水底の石には触れず秋の風  小林比奈子
秋晴れを力に旅に発ちにけり  榊原素女
色変へぬ松の百態三渓園  佐藤磯子
秋草の色すこやかに丈保ち  妹尾圭子
行く秋の園や出合ひの期待ふと  高島かづえ
良し悪しの無くて蓑虫着たつきり  田中ひろし
羽搏きて初鴨の水馴染ませる  田村ふみこ
名苑の隙を衝いたる泡立草  蓮見澄男
三重の塔にころころ団栗こ  平田雄公子
海風に雨気のこもれり薄紅葉  古澤貞夫
睡蓮の池なり水草もみぢなり  堀江野茉莉
秋の鴨橋を渡れば飛び立ちぬ  村田弥寸女
靴の紐ほどけて鴨に近寄らる  山本一葉
菊薫る三渓夢の置き所  山本みよ子
色変へぬ松や書院は昼灯し  吉田善一
一人二人三人と寄る秋の炉辺  渡辺時子




前のページへ
戻る
トップページへ
トップ
次のページへ
次へ