旅人A子から聞いた話
大学を卒業後、旅人をしているA子(横浜市)は、ある時、広島平和公園近辺をうろついていたそうです。
ふと見ると、沢山の荷物を抱えてヨタヨタしているお爺さんがいるではありませんか。
心やさしい彼女は早速かけより、「お爺さん、お持ちしましょう」と荷物を運んであげました。
宿まで、荷物を運んであげる道々、お爺さんが言うことには、親戚にいった帰りで、今日は近くのホテルに宿泊し、明日家に帰るということでした。
「おねぇちゃんは何をしとるんじゃ?」と爺様が聞くので、学校を卒業後、就職せずに、旅人をしている件とか正直に白状しました。 「じゃ、おねぇちゃんも一人なんじゃのぉ」と遠くを見てつぶやく爺様でした。
「わしも、一人じゃ、寂しいのぉ、今晩もひとりなんじゃ、おねぇちゃんも寂しかろう」なんてブツブツつぶやく、爺様です。
そのうち、「おねぇちゃん、今日はどこに泊まるかのぉ?」なんて聞くので「まだ、決めていないんです」なんて、お互い一人の寂しさ、旅の寂しさを会話で紛らわす2人です。
と、突然、爺様が「おねぇちゃん、今晩ワシと一緒に泊まらんか?1万円でいいんじゃが?」となんとトンでもない提案を始めました。
驚いたA子は「こっこっこっ、こまります!」と断りました。
「そうかぁ、ダメかぁ、一緒に寝てくれるだけでいいんじゃがのぉ?」とさらに提案は続きます。
また断ると「この前の高校生はOKじゃったんじゃがのぉ、それから、その前の、短大生もOKじゃたんじゃがのぉ」と爺様は過去の驚くべき事例をあげて説得を続けましたが、その説得は彼女を唖然とさせるには十分でしたが、到底歩み寄りの気分にさせるものではなかったようです。
さて、爺様と荷物を持ったA子は、爺様の宿泊予定の旅館に着き、爺様はチェックインを済ませました。
さて袖振りあうも多少の縁とはいうものの、別れの時です。「いやいやありがとうのぉ、じゃが、ダメかのぉ、おねぇちゃんも寂しかろう」と労りの気持ちとも、未練たっぷりといも思える爺様です。
挨拶をすませ出ていこうとする彼女に、爺様は「じゃ、昼の荷物運びだけで、夜は無かったちゅうことで、これで堪えてくれぇのぉ」と彼女に3千円を握らせるではありませんか?
「いえいえ、いいんです」と突き返す彼女。「いやいや、とっときなさい」とさらに握らせる爺様。
爺様にお金を突き返し、走って出ようとしたのですが、爺様は急に元気になり、出口まで走ってやってきて無理矢理握らせ、結局3千円はA子の手残ったまま、呆然とするA子を残して、爺様はさっさと旅館に入ってしまったということです。
この話を聞いた、私とK君(世田谷区)は大いに驚き、A子も旅の余韻に浸っていましたが、そのうちK君が「じゃ、昼の荷物運びが3千円ということなら、君の夜の部分は7千円と見積もられたわけやな!」と言い出し、A子の感慨はより複雑なものになってしまいました。
旅人A子からの手紙
A子から手紙を貰いました。
A子は旅人なので,連絡が取りにくいこと甚だしいのですが,友人のB子(大学院生・八王子市)を通じて手紙を貰いました。
A子の了承を得て,手紙を掲載します。(著名部分にはマスクをかけています)
連絡をとってくれたB子さんに感謝します。
A子さん,気をつけて旅を続けて下さい。応援しています。