これは図書館の本でも古本屋で買った本でもなく、何年か前、私が祖母の家で暮らしていた頃、読む本がなくて暇を持て余していた私のために祖母が拾って来てくれた(!)ものです。不要品で表に出してあったのをきちんとその家の人に断ってから持って帰って来たって言うてましたね。確かシリーズ全部あったんじゃないかな…。
円城寺警部率いる(まだ上がいるけど。)警察庁科学捜査研究所の一癖も二癖もある技官達が発掘された白骨死体の謎に挑む話。
この本、昭和59年初版となってますからもう20年近く前の本になりますが、全然古さを感じさせません。携帯電話とかが出て来ない程度かな。
科捜研には、頭蓋骨(トウガイコツと読む)に肉付けして生前の顔を取り戻す復顔(カービング)の世界的権威・浜松技官、嘘発見器(ポリグラフ)を駆使する心理班の技官で円城寺警部といい仲(笑)の牧村香那子技官、毛髪の研究に一生を捧げる余りなんかちょっとイッちゃってる感じの毛髪班・徳丸技官など、様々な犯罪捜査分野のエキスパート達が集結しているのです。
良いなぁ。私こういうの好きなんですよ。すごい技術を備えた専門馬鹿がたくさんいて、それぞれの特技を活かしてひとつの物事を解決に導くっていう雰囲気が。何でも出来ちゃう人が一人いるより、一つの物事にものすごく秀でた人がたくさんいる感じが好きなんだよなぁ。よくわからんな。
浜松技官がちょっとお茶目なおじいちゃんって感じでものすごく味のあるキャラで好き。生前の顔を復元するだけならまだしも整形後の顔まで再現してしまう執念には恐れ入りました。
で、それと同じくらい徳丸技官が…。
この人、毛髪の研究、特に陰毛の研究に尋常でなく執心しておられる変わり者なんです。で、研究熱心なあまり、15年以上前からトイレに入る度にそれを蒐集して分析していたとかいうエピソードまであるという。
物語中盤で徳丸技官が、白骨死体が埋められてた場所から検出されたのと同一の陰毛を科捜研のトイレから発見して、それを手がかりに実行犯が判明するに至る、という場面があるんですが…。
徳丸技官、同僚のものも集めてたのね…?
しかも女子トイレでまで集めてたのね…?
研究馬鹿ここに極まれりと言うか、面白いけどお近づきになりたいと言うか、そんな証拠で犯人を追究にかかって大丈夫なのか。そこに至る過程を公式の場でどう説明するつもりなんだ。
うちの研究所にはホウキ持ってトイレの床を眺め回すのが趣味の技官がいまして…ってそこから入るのか? 徳丸技官別の意味で捕まらないか? 学者ってすげえなぁ(笑)。
終盤ちょっと駆け足になった&真犯人雲隠れじゃん感は拭えませんが、横溝正史をほうふつとさせるちょっと古臭い文体が私には非常にぴったりと合い、実に気持ち良く読み終えることが出来ました。
主人公サイドの刑事さんや技官さん達が全員おもしろくって良い人で、安心して物語世界に浸れたと言いましょうか。たとえ小説世界であっても殺伐としてるのは勘弁してもらいたいもんで。
犯人側もなんか単純な人ばっかりでちょっと和んだ(笑)。
島田一男氏初読みなんですが、面白かったです。続きも読もう。
氏は1996年に永眠されているそうです。