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『神の子(イエス・キリスト)の密室』 小森健太朗 講談社ノベルス
小森氏の本は以前『ネヌウェンラーの密室』を読みました。
その時、エルサレムの街は異様な興奮状態に包まれていた。イエスと呼ばれる男が街に乗り込んで来るという。興味をおぼえたエジプト通商隊の一員は、その人物像を探っていくうちに「奇蹟」に出くわす。イエスが十字架にかけられた後、封印された洞窟の中から生還したというのだ!? そこには驚愕のトリックが!?
裏表紙あらすじです。
驚愕のトリックなんかどこにもありやしねえー!(本を床に叩きつけながら)
どうも私は講談社ノベルスというレーベルに対して過剰な期待を抱いてしまう傾向があるようです。講談社ノベルスをひもときさえすればまっとうな殺人事件のお話が読めるのだと思い込んでいるふしがあるのです。講談社ノベルスってそういうレーベルじゃなかったんですか…私の勘違いだったのですか…それとも小森氏がそうなだけ?
まあトリックがなかったと断言するのは行き過ぎとしても、何かこう、推理小説で真相を知ったときに感じる「おおーっ!」て言う感嘆の気持ちがまるでわいて来なかったのは確かです。この作品がもたらしたのはむしろ雑学知識を集めた本を読んだときの「へえー…」って多分人生において役には立たないんだろうけれどもこういうこともあるんだなあって曖昧で少し投げやりな感心。
なるほど、イエスがエルサレムに入る前後の状況はこんなんでこんな風習があって人々はこんな暮らし方・考え方をしてたんだなあとそこは面白かったんですが…えーとこれは本格ミステリーなんですか…本当に…? 歴史ミステリーじゃなくて…?
ともあれ、第一部はとても面白かったです。イエスという人物に対する様々な立場の人々の評価が延々と書き連ねられていて一体このパートが今後そのように謎解きに絡んで来ると言うのだろうとちょっと不安にさせられる章ですが見る人によってイエスって人は全然別の人間に見えるんだよってことを表現するためだけにこれだけのページを費やしたのは素直にすごい。
で、そんな第一部を受けて第二部で『神の子の密室』の謎解きがなされるわけですが、何だかなァ。非常に爽快感に乏しい結末で…真相と呼ぶべき何かが明確にあったワケでもなく、最後の最後でごまかして逃げたって印象が非常に強くて…。
第三部を読むとどうしたって作者がある方向に逃げてしまったことを確信せずにはいられません…て言うかその終わり方は…その終わり方は…(泣き崩れ)。
作者さんは実は推理小説なんて書きたくなくて歴史ファンタジーとかそういう系を目指されてる方なのかなとか、『ネヌウェンラー』と『神の子』を読んだ現段階ではそう思ってしまわざるを得ないです。
ところでこの『神の子の密室』、『眠れぬイヴの夢』なる続編的作品が存在しているようで…何か本当にこの作品と関係があるものなのかどうかはわかりませんが機会があれば読んでみたいと思います。
20040903
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