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『NHKにようこそ!』 滝本竜彦 角川文庫
俺は気づいてしまった。俺が大学を中退したのも、無職なのも、今話題のひきこもりなのも、すべて悪の組織NHKの仕業なのだということを! ……だからといって事態が変わるわけでもなく、ずるずるとひきこもる俺の前に現れた清楚な美少女、岬ちゃん。「あなたは私のプロジェクトに大抜擢されました」って、なにそれ? エロスとバイオレンスとドラッグに汚染された俺たちの未来を救うのは愛か勇気か、それとも友情か? 驚愕のノンストップひきこもりアクション小説ここに誕生!
『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』の滝本氏の第二作目です。
文庫化されたので買いました、そして読みました。
前作よりもこちらの方がよりもう何ともどうにもしようがない感が漂っていて好みなのですが、前作を読んでからこちらを読むと作品全体を支配する同じような雰囲気と展開にちょっとだけがっかりするかもしれません。
もちろんその雰囲気自体は、好きなのですが…。
面白かったけれども素直に面白かったと言えないのはラストが私にとってはかなり弱く感じられたからなのではないかと。タイトルにもなっている「NHKにようこそ!」の使い方がいかにもとってつけたみたいになってるように、思いました。一番の山になるに違いない場面で感情移入出来なかった…それが敗因なのか。
みんな笑っていたのだが。みんなはしゃいでいたのだが。
同窓会とかコンパとか、そうゆう場所では楽しげで、カラオケなんかも楽しげで、あの頃みんな、楽しげで、このさき未来は完璧だ! 俺たちは何にでもなれる! なんだってできる! 幸せになれる! そう確信していたはずだったのに───
そうなのだ。じわじわと、本当にじわじわと、あまりに遅くて気づかないほどの、どこまでもどこまでもイヤらしいスピードで、俺たちはゆっくりと追いつめられているのだ。困ったり、参ったり、泣いてみたりしてみても、どうしようもないのだ。誰もがみんな、いつかは大変な目に遭うのだ。それは遅いか早いかの違いだけで、結局いつかは、ものすごくやりきれない事態に陥ってしまうのだ。
こういう感じの考え方には非常に同意出来るのだけれど。リアルにわかるのだけれど…物語として見るとやっぱり弱い、と思う。あくまでもどこまでも私見ですが。ああでもこういう感じの雰囲気を描くのは抜群に上手い人だなあ。読んでみればわかる。読んで共感すればわかるのよ。
次の作品は『超人計画』…らしいのですがこれはエッセイなのか小説なのか? エッセイ・ノベルって何だ?
機会があれば読んでみたく思います。
20050826
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