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オンライン書店ビーケーワン:キノの旅

『キノの旅−the Beautiful World−』 時雨沢恵一 電撃文庫

 ラノベ好きな方ならこの作品の存在を知らぬ方はおられないだろうと思うぐらいの超有名作品『キノの旅』です。
 もうそれがいつだったのかもすぐには思い出せないくらい以前に第1巻を購入してそれから第2巻を購入してその後長いこと読まずに置いてあったのですがこの度読了致しました。

 パースエイダー(注・銃器のこと)の名手・キノ(女の子)と言葉を喋るモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)・エルメス、この二人が旅の途中で立ち寄る国や出会う人々、出来事について連作短編形式で書かれた作品です。

 読み終えて、何よりもまず、この時雨沢恵一氏という方は何て残酷な物語を書ける作家さんなんだろうという驚きにも似た感想を抱きました。描写ではなく、物語自体がぞくぞくするほどの残酷さを孕んでいる小説。使われている言葉は平易でそっけなくて、過度の装飾がなされているわけでも凝った文体を採用しているわけでもないのに。
 『レールの上の三人の男』、異国の寓話のようなハナシではありますが私にはものすごく怖いお話に思えてしまった。『コロシアム』、キノが森の中の湖に石を投げ込みつつエルメスと会話する場面、心の中にじわりと血が滲むような感覚がある。
 エピローグからプロローグへとつながる構成もひどく綺麗で、何度でも読み返したいような感覚に駆られる。

 それにしても『キノの旅』をちゃんと読むまでは、エルメスは自分で走れる二輪車でキノはそれに乗っかってるだけなんだと何故か思い込んでおりましたよ。人が乗ってバランスをとらないと走れないのね。その点単なる乗り物っぽいのにきちんと睡眠(?)をとるらしく、キノがタンクを叩いて起こしてやってるあたり妙に生き物っぽい。そして民家だろうがホテルだろうが博物館だろうがモトラドごと入って行くキノ。
 この世界におけるモトラドってのはどんな存在なんだ…? エルメスが喋ってても誰も驚かないし、普通に挨拶するし…その割にはエルメス以外に喋る乗り物ってのは出て来なかったなぁ。これから出て来たりするのかな?

 ともあれ、もちろん第2巻以降も楽しみに読んでゆきたいと思いますよ。

20060329

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