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『お留守バンシー』 小河正岳 電撃文庫
むかしむかしといってもそれほど昔ではない、科学が迷信を駆逐しつつあった19世紀中頃。かつては人々に恐れられた闇の眷属も、今ではわずかとなった聖域にこもり、ひっそりと暮らしていました。
東欧の片田舎にあるお城もそんな聖域のひとつ。そこの住人たちは、実は人間ではありません。見た目は可愛らしい女の子アリアも実はバンシーという妖精。彼女は気のいい同僚たちと慎ましくも平穏な生活を送っていたのです。
そんな時、アリアはご主人様から大事な役目を与えられました、それは……。
とっても長くて大騒ぎのお留守番、はじまりはじまり〜。
第12回電撃小説大賞受賞作品です。
ものすごくインパクトのあるタイトルだと思うのですがどうでしょう。
お掃除やお洗濯が大好きな<バンシー>アリア、間抜けな<デュラハン>フォン・シュバルツェン、ペンギンそっくりの外見をした臆病な<ガーゴイル>セルルマーニ、ふしだらな女になることを夢見る貞淑な<サキュバス>イルザリア、庭園の管理を任されている<リビングデッド>フンデルボッチ。
五人の魔物達が主であるブラド卿のいないオルレーユ城でお留守番。それなりに平穏な日常を送っているところへ、魔女のトファニアやブラド卿の宿敵<クルセイダー>のルイラムといった面々が現れて…。といった感じのお話。
デフォルトのモンスターとはちょっとズレた個性を持つキャラクター達がオルレーユ城で繰り広げる日常生活はほのぼのとおかしくて心和むものでしたが…ルイラムさんがお城にやって来る中盤以降からそれはストーリー的にどうなの? という破綻が生まれ始めた気がしなくもないです。
ルイラムさんの目的がそういうことであれば、ルイラムさんの性格から言って、強硬手段に訴える前にアリアにちゃんと全ての事情をわかりやすく説明するんじゃないかとちょっと思ってしまったものですから…。
ルイラムさん、最後にアリアに言われただけであっさり自分の考えを撤回してたところを見ると「自分で実際に確かめなければあきらめるわけにはいかない!」というほどその手段に固執してたわけじゃあないんですよね。ま、一段落して気持ちが落ち着いてたからなのかもしれませんけど。
それにしても、解決が早ければ早いほど良いとは言えもともと明確なタイムリミットのない問題、むしろルイラムさんが切実に焦っているほど、あんな大騒ぎをしてないでアリアには正直なところをちゃんと話して普通に助力を仰ぐべきだったのではないのかなーと…アリアとは面識があるわけだし…。
いや、ルイラムさんがトファニアみたいな性格の持ち主なら、アリアの言うことにまったく耳を貸さずに…って展開はアリだと思うんですけどね。ルイラムさんそういうキャラじゃないみたいだし。そこのところだけがものすごくひっかかりました。
前半部分が楽しくて私好みのお話だっただけに後半のグダグダな展開はやや興醒めでしたが、キャラクターが魅力的なので続きを読んでゆきたいとは思いますよ。
イルザリアさんが今後どのようにふしだらな女になっていくのか気になりますし、フォン・シュバルツェンも素敵キャラではありますまいか。間抜けで変態だけど…ね。
20060403
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