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『哀しみキメラ』 来楽零 電撃文庫
エレベーターが止まった。閉じこめられてしまった矢代純は、乗り合わせた三人の男女、十文字誠、水藤深矢、早瀬綾佳と共に、狭い箱の中で異形のものに襲われる。その不可思議な体験以来、純たちの体に変化が起こり始めた。傷つかない体、突然回復した視力、幽霊が見える目、そして、いくら食べても満たされない飢え。戸惑う純たちの前に、モノ祓い師であるという七倉和巳が現れる。そして彼は告げる。エレベーターの中で遭遇したのは、人間を喰って生きる<モノ>であり、彼ら四人の体は今、その<モノ>と融合してしまっているのだと───。
第12回電撃小説大賞金賞受賞作です。
タイトルもイラストも好きじゃない部類に入る作品なので各賞受賞作品でなければ読まなかったでしょうなぁ。
読了までにやたらと時間がかかってしまいました。間に別の本を色々読んで、一週間。一冊の本を読んでる途中なのに読了を待たずに他の本を色々と読んでしまったのは…やはり、この作品が私に合わなかったからなのだと思います。
もっとも「合わなかった」と「つまらなかった」はこの場合別モノの感情なワケでして、人間ではなくなり<モノ>になりつつある四人それぞれや四人が<モノ>になるきっかけを作ってしまったモノ祓い師や<モノ>になりつつある恋人を想う女の子といった、諸々の登場人物の心理描写がとても丁寧にされていて、読み応えのある作品だとは思います。
が、お話が文庫一冊分の長さしかないのに視点がブレ過ぎ。このページ数で六人の登場人物全員に重きを置こうとして、結果的に誰一人としてメインに据えられないまま終わってしまった感があります。一応純が主人公なのかしら。だったら純一人か、せめて純達四人にしっかり視点を固定してほしかった。
七倉も紗也も、それぞれの事情にたっぷり分量をとってしっかり描き込めるのなら魅力的なキャラになったハズなのに、四人の付け足しみたいになっちゃってるから、扱いとして何とも中途半端。終盤に紗也が純のところに来るまでの経緯もとってつけたような感じで…。
十文字は良かったと思いますが、七倉と純の甘ったれたところが不快。水藤と綾佳をもっと前面に出して欲しかった。紗也よりも七倉の本家についての記述を増やした方が…でもそうするとジャンルが変わって来ちゃうのかな…最初の<モノ>が何だったのかを詳しく書いて欲しかったような…色々あちこちひっかかってる感情だけが読後に残りました…。
20060411
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