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『お留守バンシー2』 小河正岳 電撃文庫
凄腕のおじいちゃん討伐者ルイラムの勘違いで、すっかり荒廃してしまったオルレーユ城。かつてのお城を取り戻すため、アリアのほとんどワガママでロビーの修復工事も決定します。
ですが、修復にあたりひとつ大きな問題がありました。人間たちにこの城が魔の聖域と知られてはならないのです! アリア発案のみんなで人間のふりをするかなり無理がある計画が発動し、やっぱり大騒ぎを繰り返していたその頃。
ブラド卿が、お城に居座るルイラムにヒットマンを送り込んできたのです。それにあくどい魔女までもが便乗し、またまた大事件〜!? が起こりそうで…。
前巻は後半から終盤に向けての展開のグダグダっぷりがちょっとどうかなぁと思われた『お留守バンシー』ですが、この2巻は非常に面白かったです。
1巻ラストにおけるルイラムとトファニアのバトルでめちゃくちゃになったオルレーユ城のロビー。このままにしておいては当然城主たるブラド卿のお叱りを受けてしまいます。修復工事をおこなわないと!
そのためにアリアが手配したのはブラド卿の配下の人間ではなく、一般人である街の職人達。ロビーの修復作業自体は配下の人間達でも出来るのに…何故普通の人間を起用するのか?
理由はひとつ、配下の村人達に修復させたのではダサいから。建築の流行の最先端を知る職人達に手を入れてもらってこそ、アリアの大切なご主人様に相応しい素敵なオルレーユ城になるのです。
しかしながら一般人にこの城が魔物の巣窟だなどと知られようものなら、法王庁から新たなクルセイダーが差し向けられて来ることは必至。オルレーユ城に魔物が住んでいることを知られてはならない!
ということで、皆の「配下の人間に任せればいいじゃん…」的沈黙の訴えを決然と無視したアリアは、オルレーユ城の住人達に人間の家族を装わせて街の職人達を迎えることに…。
確かに、ロビーの修復だけならブラド卿に呪縛されている人間にやらせればいいんですよ。そうすればバチカンに知られる危険を冒すこともなくことが丸くおさまるんですよ。でもお城を愛するアリアとしてはオルレーユ城には美しくあってほしいのです。伝統の中に流行も取り入れてみたいのです。
一連の騒動は確かにアリアの「ワガママ」が引き起こしたものなのですが、かわいいじゃないですか(笑)。
むしろオルレーユ城のとんでもない面々に囲まれて日夜神経をすり減らしているアリアにはこのぐらいのワガママなら許されて当然という気すらします。
真相はどういったことであるのかまだわかりませんが、アリアの大切なご主人様は亡命先で女をつくって遊び呆けているようですし、これはもう全面的にアリアに味方してあげたくなりますね。ブラド卿もなかなかおいしいキャラではあるのですが、オルレーユ城の現状を知らされていないとは言え(アリアのついた嘘が原因ではありますが)その行動はちょっといただけませんよね〜。でもこれもまたアリアの勘違いだったりするのかなぁ(笑)。
城主を演じるルイラムの奥方役をやれと言われてパニックになるイルザリアさんも可愛かったし、<デュラハン>フォン・シュバルツェンは今回出番がかなーり少なくてそれが不満ではありましたが、アリアから首をお盆で叩き落されたりしてその虐げられっぷりがなかなかツボでした。トファニアの優しい一面を垣間見られたり、ルイラムの聖職者にあるまじきノリの良さも見られたり、オルレーユ城に流れるそういう雰囲気がほのぼのと優しくて、楽しい気持ちで読み終えることが出来ました。
ただ、<人狼>のドルジュさんの登場がどうにも付け足しっぽかったと言うか…出て来るのも終盤近くなってからで、活躍しようにもページ数が少なかったのもありますが…。
『新しいお客様がいらっしゃいました。今度はとっても紳士なヒットマンさんです。』って帯に書いてあったし、口絵にも出て来てたから今巻はドルジュさんがメインの話なのだと思ってただけに、少々拍子抜けです。こんな性格と特徴で、ドルジュさん、この先出番あるのかしら…?
ともあれ、続きを楽しみにしたいと思います。
次巻は<デュラハン>の大立ち回りを熱望! でもお城がめちゃくちゃになるからまたアリアに怒られるか…。
20060817
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