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『お留守バンシー4』 小河正岳 電撃文庫
ご主人様の不在がすっかりなれっこになり、気にしているのはアリアだけ(?)かもしれないオルレーユ城。シュバルツェンの悲鳴とセルルマーニののんきな笑い声が響く、のどかな日々が続くかと思いきや、やはりそうもいかないのです。
おちこぼれ<サキュバス>のイルザリアの単位不足が発覚し、再教育センター行きが決定してしまったのです! サキュバスのくせに男性免疫がゼロのイルザリア。今から単位を取得させるのは不可能と判断したアリアたちは、なんとかほかの方法で彼女を救おうとするのですが……。敵もさるもの一筋縄ではいかず、とても困った展開になってしまい!?
表紙折り返しのあらすじ書いてるヒトは苦労してるんだろうなぁと他人事ながら思いやりたくなるような『お留守バンシー』第4巻です。
確かに一番刺激的なエピソードを抜き出してはいますが例によって例のごとくイルザリアさんの話メインじゃないし。オルレーユ城の日常と住人達ののんびりほのぼのなやりとりをショートショート並の短さで綴ったものをいくつもつなげて一冊として構成しているような本ですから。
第3巻の感想にも書きましたが『お留守バンシー』というシリーズはそこが魅力なんですけどね!
さて、前巻でけったいな名前の魔人に身体を乗っ取られたフォン・シュバルツェン。
「このままでは目がァ、うおおお、目ェェがああァァァ……」
首だけになってしまった彼は哀れ食堂のテーブルの上に最初から最後まで置かれたまんまでした。陽射しが眩しくても自分ではどうすることも出来ない気の毒なフォン・シュバルツェン。ちょっとかわいかった。
最後まで? そう、最後まで…ッ! ちょ、フォン・シュバルツェンの身体戻って来なかったよ!? どうするのさそれ!?
<デュラハン>がブラド卿と契約した経緯も明かされないままだったし、そもそもフォン・シュバルツェンが<デュラハン>になるほどの彼の過去ってものにも触れられずじまいだったし、気の毒過ぎるよフォン・シュバルツェン…! 確かに彼はちょっと間抜けで変態だけどさ…!
なにげに一番好きなキャラだっただけに残念です。
首しかない首なし騎士ってもう何がなんだかって感じだよね。
トファニアさまとルイラムさんの関係が徐々に軟化して良好になっていってる様子が非常に面白かった。反発しつつも力を合わせる、みたいな。今巻ユシヤちゃんほったらかしだったな…。
極悪非道のトラブルメーカーに見えてところどころで良い人さを垣間見せてくれるトファニアさまはとても素敵なキャラだなぁ。
セルルマーニやフンデルボッチが中心に来るお話も読んでみたかったなー。ブラド卿の前でもセルルマーニはあんな風に生意気なんだろうか、それともご主人様の前ではさすがにいいコにするのかな?(笑)
ドルジュさんとアリアちゃんは天然同士きっとお似合いのカップルになると思いますよ!(そんなくくりで!?)
年の離れた姉妹のようなアリアちゃんとイルザリアさんのやりとりも微笑ましくて大好きです。ラストシーンのアリアちゃんのかわいらしいこと。
なのにこれで終わりなのかぁー…?
終わるなら終わるで、ブラド卿にはちゃんとオルレーユ城に帰って来て欲しかったな…。結局ロビーの修理もユシヤちゃんの世話も終わってないし…。アリアちゃんが大好きなご主人様をお迎えする笑顔で物語を締めて欲しかった。
この展開じゃまだ続編が出るのかと思ってしまいますが、あとがきで作者さん自身が最終巻って書いてるからそれもないんだろうし…最終巻って言い切るならおさめるべきところはおさめてほしかったなー…アリアちゃんがちょっとかわいそう。
『お留守バンシー』は戸部淑さんのイラストがまったりとした世界観にぴったりマッチしていて、挿絵を眺めるのも楽しみなシリーズでした。
4冊通して一番好きなのはイルザリアさんが抱いたユシヤちゃんに「いないいないばあ」をしてあげているフォン・シュバルツェンを描いたものなのですが、そんな「いないいないばあ」で子供を育てていいものかどうか…!
『お留守バンシー』がこんな終わり方をしたことやあとがきの文面から察するに小河正岳氏はもう小説を書かれないおつもりなのでしょうか。
こんな終わり方をされた後で新しいシリーズに期待します、とは正直言えませんし…何ともフクザツな気分です。
20070223
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