倉阪鬼一郎氏です。あとがきに書かれた『連作形式ではない純然たる短篇集』というフレーズに惹かれ気軽に読む分には良いかと思い手に取りましたが、大当たりにして大満足な一冊でした。
『屍船』
「かばねぶね」と読みます。いきなり壮絶なお話。何とも言えない美しさがある、と感じる…。
『老年』
ありがちなお話だけにきっちり短くまとめられていて、無理に引っ張ろうとしていないのが好印象。
『事件』
ちょっとゴチャゴチャし過ぎかな…あまり好きではないです。
『辞令』
ちょっとうわあって感じで最初の段階からぞわぞわきました。良い意味で見え透き過ぎてて衝撃的。
『雪夫人』
なんだかイマイチ。
『墓碑銘』
ラストが私にはよくわかりませんでした。残念…。
『水妖記』
この本の中でこのお話が一番好きです。うわーうわーって感じで最後まで大喜びです。
『霧の夜』
終わり方が好きです。ラストシーンのさらに向こう側の不穏な空気。
『福助旅館』
よくあるタイプの話です、が、福助が気持ち悪い。
『茜村より』
なんとも幻想的。タイトルも含めて真っ赤なお話ですね。
『みみづく』
なんだろうこのみみづくのものすごいインパクトは。みみづく…。
『夢の中の宴』
嫌いな雰囲気ではないのですがあまり好きでもないお話。
『草笛の鳴る夜』
同上。横顔はなんかあるのだろうなと思ってたからあまり驚けなかった。
『白い呪いの館』
これもラストが私にはよくわからなかった。短編のラストがわからないと残念な気分になります。
『プレイルーム』
ちょっと唐突な印象かな…盛り上がり過ぎてるように見える。
『おじいさんの失敗』
うわあ。としか言いようがない…すごいお話だ…!
『ラストディナーは私と』
怖い、マスター怖い。丁寧な言葉遣いで理路整然としつつ狂ってる人って地味に強烈だわ…。
倉阪氏、ここまで読み続けてるってことは完全にハマッてますよね…。
どの作品でも一貫して文章が達者な方なので読むぶんにはいくらでも読めるのですが、作品によって結構好き嫌い(個人的なものですが)が分かれてしまうので手放しの賞賛とはいかないのが申し訳ないところ。
あと今回は「○○めく」とか「○○めいた」とかって描写がちょくちょく使われてて、すごく目についた。文章の細かいことって一旦気になり出すと、本筋そっちのけの勢いでそればっかり意識するようになっちゃうから困ります。
他の作品も読ませていただきたいと思います。