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『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき 角川書店

 それがいつだったのかもはや思い出せないくらい前にすずか嬢よりお借りした本をようやく読み終わりました。映画が公開された頃に読みたいと自分が言ってた記憶があるので一年前なのかな。もう全然思い出せないよ…時間が流れるのは早いね…。

 大雑把にまとめれば、小学校五年生の少年ワタルくんが『幻界(ヴィジョン)』という不思議な世界を旅して、自分の運命を変えてもらうために『運命の塔』の女神さまに会いに行くお話。

 自分達は平凡な家族だと思い込んでいたのに父親に愛人がいたことが発覚したり父親が母親よりもその愛人との暮らしを選んで出て行ってしまったりその愛人が自宅に乗り込んできて母親と殴り合いになったり母親がガス自殺しようとしたり、そりゃもう運命の一つも変えたくなるわな! と同情せざるを得ないような凄惨な目に遭うワタルくん。
 つか父親、本当にろくでもねえなあ。ワタルくんのお母さんはルウ伯父さんと再婚すればいいと思ったよ俺!

 そんな風にめちゃくちゃになってしまった自分達家族が元通りになることを願うための幻界での長い長い旅を終えたとき、けれどワタルくんが女神さまに告げたのはまったく異なる願いごとでした。
 女神さまに頼んでつらい状態を一度やり過ごしても、自分自身が変わらない限りは、また新しくつらいことが出て来たときに対処出来るようにはならないから。
 まったくもって綺麗にまとまった結論ではあります。

 宮部みゆきさんの本はこの他には今のところ『魔術はささやく』しか読んだことがないんですけれど、そのときに非常にまっすぐに整えられた世界を描く人なのだなという印象を受けて、今回もああやっぱりそういう感じなのねという感想を抱きました。
 他の作品も全てこんな感じなのですかね。

 ともあれRPG的世界である幻界での冒険は非常に読みごたえがあり、時間を忘れるほどに夢中になって読み進めることが出来ました。
 序盤に出て来たカルラ族がもう一回出て来たらお約束な展開で面白かったのにな。
 何はともあれキ・キーマですよキ・キーマ! 彼をもっとクローズアップしろよ! キ・キーマ大好きだよキ・キーマ!(…)
 キ・キーマのおかげで映画版も続けて観るぞと思ってたんですがまだ観てないのは何でなんだろう。もう時間の経つのが早すぎて…油断も隙もあったもんじゃないよ…。

 それにしてもさよならも言えないままにもう一生会えないともだちなんて、切な過ぎると思いませんか。
 人間は何でもどんどん忘れてゆくものですけれど、やっぱりああいう別れ方はたとえ小説の中でも嫌だと思う。

 現在では文庫版(上・中・下の三冊)も刊行されていることですし、長めの物語を読みたいと思っておられる方にはオススメかと。
 ワタルくんの日常を描く現世パートは慣れるまでがちょっと重苦しく感じますが、幻界パートが始まると楽しいですよ。キ・キーマが出るから(それだけなのかよ)。

20071008

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