題名を自分で書いてみて『ニルスのふしぎな旅』というアニメを思い出し、ぜんぜん関係ないが、確かニルスが乗っていたのは白鳥だと思って調べてみたら、がちょうだった。とにかくニームのフォンテーヌ庭園には、夏の真っ盛りにもかかわらず白鳥がいた。冬しか見れないものだと思っていた。
バルセロナからフランスに入ってはじめてのドライブインで、その値段を見てフランスに来たと感じた。ドライブインだから高めなのかもしれないが、バルセロナで歩きながら食べたチーズや具の乗ったバケットは、1,5ユーロだったのに、ここはもっと小さくて3,5ユーロである。お腹が空いていても手が出す気がなくなる。
| この時はお腹の心配よりはまず宿である。バスの中で『地球の歩き方』に載っているホテルを見ても、スペインやポルトガルに比べてはるかに高い。高い場合は、ユースホステルにしてもいいのだが、次の目的地のニームのそれは駅から遠い。とりあえず『地球の歩き方』に載っている一番安い宿にあたってみて、満室や気に入らなかったりしたら観光案内所に行って紹介してもらうなりホテルーもうフランスでは安い宿も含めてホテルというーのリストをもらうなりして良いホテルを探すことにした。 |
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ほんとうにスペインやポルトガルから来るとフランスのホテルは高く感じ、ニームの後は『地球の歩き方』もお役ごめんとなる。
それでニームのホテルだが、驚いたことにダブルのシングルユースで、シャワーは共同だったが20ユーロだった。駅からも他のホテルに比べて近い。『地球の歩き方』に載っているホテル「コンコルド」である。値上がりもしていないようなものである。フランスはもともと高かったから、ユーロ導入による物価の値上がりが少なかったのかもしれない。(そう書いて、なぜと問われると仕組みがわからないから答えられない。)
不思議なホテルで、夕方になると、Fullの看板をドアに掲げて、主人他従業員はまったくいなくなり、次の日の十時頃にならないと現れない。それまでにチェックアウトする客は、壁に掛かっているフックに鍵を掛けておくか、受付のカウンターに置いて出て行く。
そう書いているが、そんなことはまったく説明されず、鍵を渡され、その鍵の札に付いている暗唱番号で玄関のドアの開けろと教えてくれて、前金を払うだけである。
誰もいなくなることを知らないまま三階にあるバスルームに入ったら、バスタブはあるのだが、水どころかお湯も出ない。栓がないのでシャワーだけが使えるようになっているのだろう。
それで受付に行ったのだが、照明はすべて消えていて、その暗がりのなかにアジア人が、階段に座っていた。はじめ従業員か何かかと思ったのだが、フランス語でここには誰もいないと手振り身振りを加えて言ってきた。彼はホテルの関係者の誰かが来ないか待っていてるのだ。なぜ待っているのか、チェックインしたいのか、もわからない。 |

フォンテーヌ庭園 |
彼はフランス語と、たぶん中国語、は話せるが、まったく英語が話せず、私は英語が少しと、日本語しか話せないからである。「Chinaease」と言ったので中国人であることはわかった。彼も私が「Japanease」と言ったので日本人ということはわかったはずだ。
私が、PRIVATE ROME というネームの入った部屋のチャイムを鳴らそうとすると、彼はそんなことをしても誰もいない、という身振りをしながら話した。もちろん話している内容はわからない。ただ彼はずっと待っているらしいのである。荷物もあるからきっとチェックインしたいのだろう。
玄関は鍵に付いている暗証番号を押さないと入れないはずだが、誰かが入ったついでに入ったのかもしれない。
私はいちおう部屋が決まったので彼ほどは困っていないが、シャワーくらいは浴びたい。他にシャワー室がないかどうか探すことにして階段を上がって行ったら、五階にあった。そしてそれを使ったのだが、なんかおもしろいことに巻き込まれる。
使用した後でシャワー室を出たところ、髪の長い髭を伸ばした初老くらいの男に突然文句を言われた。フランス語だからはじめ何を言っているのかわからなかったが、男はシャワー室の横の部屋に住んでいて、彼専用らしい。ドアが開いていた彼の部屋の中は、ホテルらしくなく、ふつうに住んでいる部屋という乱雑さで、さらに屋根裏部屋なので狭かった。たぶんこの部屋はここだけアパートのようになっていて、彼はこのシャワー付きで借りているのだろう。
シャワー室にはタオルやバスタオル、石鹸などが置いてあって、誰かめんどくさくて置いて行ったと思っていたら彼用のだったのだろう。

ニームの闘技場
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しかし私も金を払って部屋を借りているのである。三階のシャワー室が使えないことをつたない英語と身振り手振りで訴えた。彼のフランス語と私の英語とのかみ合わない会話が続き、彼のほうが根負けしたのかすぐにあっさり「Ok」と言って私の肩をぽんぽんと叩いて「Good bye」と言って部屋に引っ込んでしまった。
何が「Ok」なのかわからないまま私は部屋に戻った。今日はとりあえずいい、ということなのだろうか。しかし明日の朝も私は使うつもりでいた。 |
私はう○この後は、あれば必ずシャワーを使う。痔なのでう○こと一緒に出てきた痔を洗い、それを指で押し戻さなければならない。ティッシュだけだと、もちろん洗うことはできず、押し戻すだけになるが、痔は私のように繊細で傷つきやすいから、特に荒い目の紙だと簡単に出血してしまう。それが悪化すると歩けないほどになってしまい、旅が続けられなくなる。また押し戻さないまま歩くと、やはり悪化させてしまう。押し戻しても、たくさん歩く時は塗り薬を付けて摩擦を減らしておかないと肛門が擦れて痛くなる。薬を塗るにも洗わない肛門にさわるというのは、やはり抵抗がある。
特に旅はたくさん歩くし、朝になると必ずお通じが良くなるので、朝のシャワーは必要なのである。
それで次の朝もどうなることかと思いながら五階のシャワー室に行くと、ドアが開いていて、中で男が、すっぽんぽんで立っていて、音楽が鳴っていた。
「Oh!」というような驚いた声を上げ、私はまたシャワーを使わせてほしい、と言おうとすると、「Ok,ok」と言ってシャワー室の方へ行っていいという動作を手でしてドアを閉めてしまった。また使う、使わせないというやり取りがあるもんだと覚悟していた私は、案外気の良い人なのだと思ってしまった。
それにしてもすっぽんぽんの彼の裸は、胸の骨が浮き出てひどく痩せていた。あまり良いものを食ってなさそうに見えた。余計なおせわだが。
シャワー以外は安くて居心地が良かったので、連泊することにして、十時頃に突如として現れた主人にそのことを言うと、「そうか。そうか。気に入ったか。あははは」と笑った後に、シャワーは何階か訊ねると、三階だ、と言う。やはり五階は、彼専用なのか。
何も出なかったことを言うと、「Ok,五分後に使えるようにする」と言った。
部屋に戻って確認するために十分後くらいに行ってみると、メイドと一緒に電話をかけながら直しているようだった。なんか電話はもめていて、たぶんシャワーが出ないことについてであろうと思った。ドライバーでネジを回してすぐに私の目の前で出るようにしてくれて、よかった、と思っていたのであるが、ところが出かけて帰ってみると、またしても何も出なかったのである。
そしてまた五階のシャワー室に行ったのであった。しかし今度は五階の部屋の男は出て来ず、朝また使いに行っても部屋の扉は閉まっていて、すっぽんぽんの姿も見られず音楽も聞こえなかった。朝が早くてまだ寝ていたのかもしれない。 |

マーニュの塔 |
それからマルセイユには早く行くつもりでいたので、チエックアウトは、前に書いた通り鍵を壁の自分部屋の番号のフックに掛けるだけで、店主にも文句を言えないまま出てきた。 |