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地下鉄

 一口に地下鉄と言っても定義が難しい。一般的に“地下鉄”とは何処までを指すのだろうか。
「非難用貫通扉があるのが地下鉄」と言う、解ったような解らんような定義さえ出てくる。(トンネル断面が小さい場合、緊急避難時に、乗車扉から脱出できないため、ほぼ、一般的に地下鉄と呼ばれている区間を走る列車は、前方(後方)の運転席の脇に、緊急用の非常扉があり、前後に脱出することができる)
 但し、これも相互乗り入れが複雑化し、定義に合わない物も誕生している。しかし、例えば東京メトロの千代田線に、通勤タイプの小田急列車が乗り入れたとしても、パノラマカーなどのように緊急扉が存在しない列車の乗り入れはできないそうだから、ある程度のルールは存在しているようだ。しかし、この制限と地下鉄の定義は、必ずしもリンクしていないと思う。
 例えば、半分以上地上区間を走っていても東西線は地下鉄。最初の駅以外は全て地下区間を走っていても、新玉川線は地下鉄じゃない。(今となっては、田園都市線に名前を変えてしまい、路線も分断。大半の区間が地上になってしまったが)
 数駅だけ地下の場合は地下鉄と呼ばない、との区分けもあるが、JR東西線は、充分に地下鉄に値する区間を地下で走っているのに、やはり地下鉄とは呼ばれない。長野電鉄どころか、総武横須賀線も京葉線も仙石線も地下鉄とは呼ばれない。(仙石線など、仙台市内の5駅が連続地下駅なのに) それでは横浜みなとみらい線は? 広島アストラムラインは? 微妙な物が多い。
 一般的に地下鉄と呼ばれているものは、市(都)が運営しているものに限定しているようだ。第3セクタになっていると怪しくなり、JR・私鉄が運営している場合は除外。と言ったところか。
 ということで調べてみると、「日本地下鉄協会」という団体があり、ここで紹介されているのが、いわゆる地下鉄、という定義で良いのだろう。すると、日本の地下鉄は以下の通りとなる。

・東京メトロ(旧営団)
・東京都営地下鉄
・大阪市営地下鉄
・名古屋市営地下鉄
・札幌市営地下鉄
・横浜市営地下鉄
・神戸市営地下鉄
・京都市営地下鉄
・福岡市営地下鉄
・仙台市営地下鉄
(以上、営業開始順)

以上10個が並んでおり、株式会社1個、残りは市交通局、ということになる。(正しくは、神戸のみ「神戸市交通局団」)
 但し、ページの下に小さく「その他の地下鉄」というリンクがあり、それを開いてみると、

・神戸高速鉄道(株)(運行は、阪急電鉄・阪神電鉄・山陽電鉄・神戸電鉄)
・広島高速交通(株)アストラムライン
・東京臨海高速鉄道(株)
・埼玉高速鉄道(株)
・横浜高速鉄道(株)
・川崎市交通局 !?

 ここまでが、地下鉄協会登録の「地下鉄」のようである。なんと「アストラムライン」と「りんかい線」は、地下鉄だったのね。「みなとみらい線」も。
最後に「川崎市交通局」が入っているのが笑ってしまうが…

 多少古い資料だが(2000年度)、これらの各地下鉄の乗車人員を調べてみると、最大は東京メトロだろうと思っていたものの、意外にも大阪市営であることが判った。わずかの差で御堂筋線が最高。しかし、その後の順位は東京の圧勝。しかし、東西線がトップと言うのも意外だった。丸ノ内線の方が本数は多いものの、編成長が短いのと、車両が小さい。混んでいるように見えて、実は巨大な東西線がトップであった。
 
営業 路線名 1日当たり
大阪市営 御堂筋線
1,258,000
東京メトロ 東西線
1,215,000
東京メトロ 丸ノ内線
1,103,000
東京メトロ 日比谷線
1,099,000
東京メトロ 千代田線
1,085,000
東京メトロ 銀座線
1,028,000
東京メトロ 有楽町線
752,000
東京都営 新宿線
595,000
東京都営 浅草線
572,000
東京メトロ 半蔵門線
570,000

以上が、上位10位までのランキング。トップのみを大阪に譲ったものの、その後は東京の独占状態。空いている、高い、とバカにされている都営までもが2路線もランクインしている。さて、続いて20位までを見ると、
 
営業 路線名 1日当たり
名古屋市営 東山線
546,000
大阪市営 谷町線
514,000
東京都営 三田線
468,000
名古屋市営 名城名港線
457,000
横浜市営 1・3号線
412,000
京都市営 東西線
330,000
大阪市営 堺筋線
328,000
大阪市営 四つ橋線
314,000
福岡市営 空港線
296,000
名古屋市営 鶴舞線
279,000

 急にバラエティに富んでくる。名古屋が3つ、大阪3つに京都、福岡、横浜が入る。都営三田線もようやく登場。これらの都市は比較的古くから地下鉄の整備された都市であるが、4番目の都市である札幌が入っていない。
 
営業 路線名 1日当たり
大阪市営 中央線
263,000
神戸市営 西神山手線
252,000
名古屋市営 桜通線
241,000
札幌市営 南北線
235,000
東京都営 大江戸線
219,000
札幌市営 東西線
216,000
京都市営 烏丸線
213,000
東京メトロ 南北線
202,000
大阪市営 千日前線
197,000
仙台市営 南北線
166,000
大阪市営 長堀鶴見緑地線
150,000
札幌市営 東豊線
115,000
神戸市営 海岸線
80,000

 ここまで来ると、各都市のお荷物路線が登場してくる。(ここでようやく登場してくる札幌市営には失礼だが)
 それでは、本当にこれらが全てお荷物かと言うと、そんなことはない。札幌市自体の人口が少ないのだから単純に比較してはいけない。そこで、東京の人口(8,134,688人)を100とする各都市の人口比率で、路線別乗車人員数を調整してみよう。すると、以下の順位となった。
 
営業 路線名 東京を基準
大阪市営 御堂筋線
3,937,000
名古屋市営 東山線
2,045,000
京都市営 東西線
1,820,000
福岡市営 空港線
1,794,000
名古屋市営 名城名港線
1,711,000
大阪市営 谷町線
1,608,000
神戸市営 西神山手線
1,372,000
仙台市営 南北線
1,339,000
東京メトロ 東西線
1,215,000
京都市営 烏丸線
1,175,000

 こうなると全然順位が違ってくる。大阪、名古屋、京都までもが均等に2つずつランクインし、神戸、福岡、仙台が登場する。そして東京は東西線のみとなる。つまり、仙台市営など、人口が少ない割りには健闘していたことが判る。逆に、東京、横浜の地下鉄は、人口の割りには少ないということになる。東京都営に至っては、ワースト10に全路線が入ってしまった。

 おや? それにしても、均等に各都市の地下鉄が入ったと思ったら、札幌が見当たらない。てことは・・・やはり札幌地下鉄はお荷物なのかな?
(ゴムタイヤで走っているから、地下バス、って話ではない)

※気付いている人は気付いていると思うが、人口換算して比較するのは、数字のマジックであり、あまり意味は無い。東京は、人口も多いが路線も多い。横浜は人口が多いが路線が少ない。大阪・名古屋は人口もそこそこ、路線もそこそこ。これらの条件を無視して人口比率で論じても、ほとんど意味はないっす。

 ということで、東京を基準とした人口比率に応じた、適切な地下鉄路線数はどれぐらいかを計算してみると、次のようになる。
 
営業 実際の路線数 東京を基準
東京都
12
12.00
大阪市
>   3.83
名古屋市
>   3.20
札幌市
>   2.69
横浜市
5.05
神戸市
2.20
京都市
2.18
福岡市
1.98
仙台市
1.49

 意外なことに、実際の路線数の方が多いのは、大阪、名古屋、札幌だけで、他は少ないことになる。この多さの順番は、地下鉄開通の順番に比例している、というのも面白い。
 
 横浜は、5本あってもおかしくない人口を抱えながら、わずかに1本。しかも、その1本の乗車人員が15位という体たらくである。実際には1号線と3号線が連続運転しているため、路線としては2本と数えるべきかもしれないが、すると、各線に分かれるため、さらに乗車人員が少なくなってしまう。近く4号線も開通するし、みなとみらい線も入れてあげれば4本になるが、いずれにしても、大阪・名古屋のようには機能していないことになる。

◇ ◇ ◇

 ところで、名古屋の地下鉄料金が高い!・・・などという意見を聞いた。名古屋地下鉄が高いだって? それは他を知らなさすぎるだけのことではないか? 東京が安すぎるだけで、決して名古屋が高いとは思えない。だいたい、東京以外の都市ではすべて初乗り200円が常識だし、3キロ〜5キロ毎に230円、270円、300円と上がって行くのがあたりまえ。区間の距離と上がり方が均一ではないので単純な比較ができないのだが、決して名古屋が特別高いわけではない。

 試しに、ちょっと面白い比較をしてみよう。高いか安いかを感じるのは、他の地域を訪れたときであろうから、他の地域の人がその都市を訪れた時に感じる料金というのを考えるてみる。他所から降り立つとすると、通常その都市の主要駅であろうから、JRが主要駅を起点とする。(但し、大阪、横浜、神戸などの場合、新○○駅、の方が一般的に最初に降り立つ駅となるからこちらを基準とする) 起点とする駅から、その都市が有する全ての地下鉄駅への料金の平均を求める。
 まあ、単純に考えて、名古屋に降り立った他所の人が、栄に向かう確率と平安通に向かう確率が同じとは思えないが、要するに最初に目にする運賃表となるわけだから、直感的に「高い」「安い」と感じるだろう、という話である。
 東京の場合ちょっと面倒だが、東京メトロと都営を分けて考える。東京メトロの方は「東京駅」で良いだろうが、東京都営には「東京駅」が無い。まあ、地下で繋がっていることから、大手町を基点とするか。

 以上の条件で料金を比較すると、次のようになった。
 
地下鉄
平均料金
順位
東京メトロ
182.1円
10位
東京都営
222.9円
9位
大阪市営
272.4円
2位
名古屋市営
244.1円
5位
札幌市営
235.3円
7位
横浜市営
288.1円
1位
神戸市営
264.2円
3位
京都市営
242.9円
6位
福岡市営
260.0円
4位
仙台市営
234.4円
8位

 名古屋は中ぐらいであった。

 どうしてこのような順位になったかを簡単に説明すると、トップ(最も高い)の横浜は、そもそも1本しかなく、それが長大な路線である。端から端までで40キロにも及ぶ路線があるだけだ。従って、どうしても高料金の駅ができてしまい、平均すると非常に高い運賃となってしまった。2位の大阪は、起点となる「新大阪」が、かなり外れにあったため、どうしても都心の反対側の駅が増えることからこんな結果となった。決して料金が高いわけではない。3位の神戸も大阪と同じような条件にある。「新神戸」が端の駅のため、近い駅が少なくなる。4位の福岡は、本当に高い。初乗り200円は標準だが、すぐに250円になり、290円、320円と上がる。最も利用するであろう、空港〜博多間でさえ250円もする。
 さて、次の順位が名古屋の5位であるが、これは最近開通した環状部分が、ほとんど260円区間ということに原因がありそうである。環状線により、短絡線ができたことにより、全体の運賃は下がった傾向があるのだが、名古屋駅は環状から外れており、ほとんど恩恵に与っていない。それどころか、260円駅が増大したことで、平均値が上がってしまったようだ。
 6、8位の京都、仙台は、そもそも路線長が短いため高料金の駅が無い。7位札幌は起点として考える駅「さっぽろ駅」が、ほぼ中央にあるため、どの方向に向かってもそれほど高い料金にならなかったのが原因のようだ。
 残るはやはり東京の安さが目立つ。都営の222.9円も驚くべき安さだが、東京メトロに至っては182.1円と、200円を切ってしまった。ほとんど160円か190円で、主要な駅に到達できてしまう。実際に利用されているのも、そのあたりの区間だろうから、本当に、一人当たり180円ぐらいしか徴収できていないのだろう。

 名古屋の場合、圧倒的利用者数が多いのが「名古屋〜栄」なので、初乗り200円の区間である。利用者数もパラメタとして考慮すると、平均値は200円近くなると思う。決して、他と比べて高いわけではない。

 ・・・というところで、タイムリーにニュースが入ってきた。

地下鉄値上げなど76提案 京都市議会9月議会開会

 京都市議会の9月定例議会が12日開会し、地下鉄の料金を各区間で10?20円値上げする運賃条例改正案や、京の伝統産業の保護、育成を図る市伝統産業活性化推進条例案など計76議案が提案された。また、地下鉄、市バス、上・下水道、市立病院など2004年度事業会計決算9件を含む15案件が報告された。
 提案説明で桝本頼兼市長は、地下鉄運賃条例改正案について「地下鉄事業の経営改善には一刻の猶予もない。お客さまに応分の負担をしていただきたい」と述べた。
 地下鉄の運賃改正条例案は、初乗り区間(3キロまで)を現行の200円から210円にし、それ以外の区間は一律20円値上げする。平均値上げ率は7・4%で、早ければ来年1月からの導入を目指している。

 京都の集計に上の値上げを反映してみよう。すると、260.7円となった。福岡を抜いて6位から4位に浮上。確かに距離が無いわりにこの平均は高いな。
 



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2005.09.13