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合併をほぼ終えて

(大垣のルーツを探るを一回お休みして)

 平成の大合併も、時限立法のために今年の4月をもって一段落する。これから先、急遽合併したり、合併がご破算になることもあり得ないので、ここで集計をしてみることにする。
 以下の集計は、私が個人的に集計を開始した2000年10月1日から、2006年4月1日までの間の結果をまとめたものである。
 また、東京都特別区部は、一般的には「市」とは見なされないが、国勢調査上の統計上は、市と同等に扱っていることから、ここでは「市」としてカウントしている。従って、東京特別区部を市としてカウントしていない統計とは数値が異なる。



消滅した市

 合併に伴い、消滅した市というのが多くある。
 ここでも、一つ重要な定義をしておかなければならない。新設・対等合併か、吸収・編入合併かの問題があり、例えば、三重県の津市の場合、新設合併のため、津市は、一旦消滅している。そして、新規「津市」が誕生しており、以前の津市と今回の津市は、名称が一緒なだけで、別の自治体、という定義になっている。とすると、三重県において津市が消滅したことになる。しかし、これを全部調査すると大変なのと、一般的に、同じ名称の場合、継続していると見なしている場合が多いので、名前がほとんど一緒の場合は、継続しているとする

 消滅した市は、全部で62個。最も多くの市を失ったのは新潟県で6個、次が5個の埼玉県、鹿児島県であり、その次が4個の愛媛県。以下は3個以下である。
 それでは、1個も失わなかった県はどこかと言うと、北海道、青森県、山形県、群馬県、神奈川県、岐阜県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、鳥取県、岡山県、徳島県、香川県、佐賀県、大分県、宮崎県 以上17道府県であった。
 人口密集地に多いのか、過疎地に多いのか、特に傾向は無さそうである。大阪府、京都府、神奈川県、と言った都市部もあれば、北海道、奈良県、徳島県、鳥取県と言った、さほど都会を持たない地域でも消滅した市が無い地域がある。あえて言うならば西日本地域に多い傾向があるようだ。



■誕生した市

 それでは、逆に、平成の大合併時代に誕生した市はどうかと言うと、全部で169個が誕生している。672市から779市に増加しているわけだが、そのうちの169個が新たな市であるということで、22%近くが、新規市ということになる。
 この誕生市の分布は、最も多いのが茨城県であり、15市が誕生している。元々20個しか無い県から、3個が消滅して15個が誕生しているから、ほとんど半数が新たな市ということになる。
 さすがに10個を超えた県は茨城県だけだったが、他にも8個の鹿児島県、兵庫県、7個の千葉県、山梨県、岐阜県、滋賀県、といったところが目立つ。

 これらの7個以上の市が誕生している都道府県で、消滅した市が無いのは、岐阜県だけであり、他は1市以上が消滅している。つまり、市の再編が行われたと考えられる。岐阜県だけは、町村の再編による市の誕生というわけだ。



■変化の無い県

 消滅と誕生を見ていると、全く変化の無い都道府県もあることに気付く。
 両方が0なのは、山形県、神奈川県、大阪府、鳥取県、宮崎県の5府県であった。神奈川県、大阪府といった、ほとんど合併に関わらなかった府県を除くと、他は、元々ある市に吸収されるだけの合併が行われたことになる。
 鳥取県など、元々、4つしか市が無い過疎県なのだが、合併終了により、町村部の再編が行われ、39市町村から19市町村になったにもかかわらず、市の数が変化せず4個のまま、というのは異常である。半数の町村が、既存の市に吸収されたことになる。
 同じく4つしか市の無かった徳島県は、4つの市が誕生しているのが対象的である。



■市が減った県

 愛媛県では、4個が消滅3個誕生、という再編により市の数が減っていた。全都道府県で、減った県が他にもあるのかを調べてみると、埼玉県、東京都、山口県、愛媛県、この4都県がマイナスであった。特に埼玉県は3個減少であり、他はすべて1個の減少である。
 埼玉県は、人口の割りに市が多すぎる傾向があるので当然の結果だろうが、まだまだ市の再編が必要かもしれない。市数が減った最大の原因は、「さいたま市」の誕生。4個の市が消滅して1個が誕生しているわけだから、結果として-3となっている。他にも1市消滅で1市誕生している。
 埼玉県の市数が「人口の割には」と言ったのは、反論もありそうだからあえて書いておくが、確かに埼玉県は決して人口が少ない県ではない。7,053,689人(2005年国勢調査速報値)という人口は都道府県の中で5位である。しかし、埼玉県よりも多くの人口を抱える都府県ですら、東京都(27)、大阪府(33)、神奈川県(19)、愛知県(35)、(カッコ内が市数)であり、40市は多すぎである。ま、元々が43市もあったのだから、多少、まともに近付いたのだろうが。※1

 新潟県も派手に市の再編が行われ、6個が消滅したのだが、結果的に新たに誕生した市も6個あったため、マイナスにならずに済んだ。



■ちょっと雑談

※1 埼玉県の市の数が多すぎる、などと書いてしまったものだから、ずいぶん無茶な統計だとは思うが、都道府県人口を市の数で割ってみた。上位10位、300万人以上の都道府県である。するとビックリ、あら不思議。決して埼玉県が突出して市の数が多いわけでは無かったのね。
 下のグラフは、人口上位10都道府県の人口を市の数で割った結果。大雑把な話だが、1市あたりの平均人口ということになる。東京都と神奈川県の異常さを除くと似たようなもので、あとは大阪と愛知が高いぐらいで残りはほぼ一緒。兵庫県、福岡県の方が、人口に対して市数が多いことになってしまった。

 しかも、ちょっと興味が湧いて来たので47都道府県全部をしらべたら、最下位は山梨県、順に、高知県、大分県、佐賀県などがとんでもなく人口に対する市数が多く、埼玉県は、全然上位チームでした。全国11位であり、ほとんどまともな方。
 埼玉県の皆さん、すみません…
 岐阜県なんか、市数が増えすぎたために、下から10位に入ってしまってます。

 それにしても、やはり県に対して市の数が多い気がするのだが、これもすべて特例法のおかげで(埼玉県は関係無いが)、わずか3万人で市に昇格してしまうという特例が、無駄に多くの市を生んでいるのではないかと、次の実験をしてみた。

 あくまで架空の話である。

 市の条件を格上げして、10万人に満たない市を町に降格させると、日本地図はどうなるであろうか。(集計が間に合わなかったので人口は、2000年の国勢調査結果で集計してある)

 すると、例えば北海道は室蘭市までが市として残り、岩見沢市以下が降格する。よって10市が残る。こうやって市の再編を行うと、市の数は264個。ほぼ三分の一になる。

 5個の県が、県下唯一の市となってしまったが、まあ良かろう。そういう土地なんだし。
 この方法で市を再編すると、10個以上の市を有する都道府県は、北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県の9都道府県になってしまい、他は一桁になる。トップは大阪府で21個。埼玉県19個、東京都18個となる。こうして見ると、埼玉県は、決して、小さな市ばかりでもないことが判った。10万人以上の立派な市も、多くあるようだ。しかし、この操作によって消滅する市の数もトップクラスで、北海道(25個)を筆頭に、茨城県(24個)、福岡県(21個)、愛知県(同)、埼玉県(同)が上位。県内の20個以上もの市が10万人以下というのは、やはり多すぎないかい?

(2000年の国勢調査結果を元にしたため、今回漏れた市、あるいは無事助かった市もあることとは思うが、ご容赦願いたい)



■本来の市のあるべき姿

 本来、「市」とは、各種要件がある中でも、「人口5万人以上」という必須の条件があった。しかし、昔はそれが「3万人以上」という条件であったり、市制施行後の人口減によっても降格しない、などの条件から、5万人以下の市はざらにある。また、特別法の期間内においては、「合併を行った場合に限り、3万人以上」という条件があることから、5万人に満たない市が各所に存在する。

 一体どれだけの市が、この5万人以上という条件を満たしていないのだろうか。(これも、調査が間に合わなかったため、2000年国勢調査による人口である)

 上で調べた10万人以上の市が、全部で264個あるのだが、99999人から50000人の範囲は、静岡県伊豆の国市の50062人がギリギリセーフで、全278個。それ以下がアウトとなる。最も惜しい市が高知県南国市の49965人。最も悲しい市が、北海道歌志内市で5941人、全部で237個。

 なんと、面白いことに、似たような数値が並ぶ
 
10万人以上 264個
5万人〜 99999人 278個
1人〜 49999人 237個
合計 779個

 つまり、国内の市は、この3通りにほぼ3分割されると考えてよい。
 この全国平均のバランスに対して、非常にバランスが悪いのは、高知県。10万人以上が1個で、残り10個は全て5万人以下。他には、バランスが悪い、と言うか優秀なのが、大阪府、東京都、埼玉県、群馬県で、5万人以下の市が一つも無い。

 また、本来の市の昇格条件である「5万人以上」を厳密に守ったら、現状の市の数が半分以下になってしまうのが、
高知県、徳島県、山梨県、山形県、鹿児島県、大分県、宮崎県、北海道、岩手県、岡山県、の以上の10道県
かろうじて50%を維持するのが、
富山県、石川県、島根県、佐賀県、となる。

 それにしても、正式な市の要件を満たしている市にするだけで、半分に減ってしまう道県が14もあるとは、やはり無駄に市が多いということではなかろうか。



■合併に係わらなかった市

 「係わらなかった」とは、吸収も、編入も、合体せず、そのまま存続している市である。吸収されて消滅、あるいは他市町村を吸収、あるいは合体して新規市が設立の場合、「係わった」と定義する。

 係わった市と係わらなかった市、どちらが多いだろうか?

 面白い結果となった。現存する市の数は、779個(東京都特別区部を1と数える)であるが、合併に係わった市が403個、係わらなかったのは、残りの376個であった。ほぼ互角である。
 どこを基準としてカウントするかでずれるため、ほとんど同じ程度、約半分が合併によって何らかの影響を受けていると考えて良い。
 県毎に集計してみると、係わらなかった市が多いのは、北海道を除くとあとは都市部、北海道も札幌と言う都会があることを考慮すれば、ほとんどが大都市圏であると言える。
 多い順に並べると、大阪府(32)、埼玉県(30)、北海道(26)、東京都(26)、千葉県(24)、愛知県(24)、神奈川県(18)、福岡県(18)、兵庫県(16)、静岡県(11)、山形県(11)、京都府(10)、というのが2桁であり上位。
 見事に、山形県を除いて、政令指定都市を持つ都道府県が並んだ。広島県と宮城県を除いて、全てが登場している。もちろん、こういう都市部には元々多くの市があっただろうから、係わらなかった市も多いだろうが、そう考えると、山形県の11は多すぎる。今回の合併騒動には巻き込まれなかったということか。

 反対に少ない県は、長崎県、鳥取県、群馬県、秋田県が1で最低。次が大分県、香川県、広島県、岡山県、青森県の2個。鳥取県は、元々少ないから仕方がないにしても、岡山15市、大分、広島が14市、長崎、秋田が13市、群馬が12市、青森10市、香川8市、と多くの市がある中で、わずか1〜2個だけが騒動に係わらなかったということは、県内大騒ぎだったということになろう。



 以上、一風変わった視線から、合併劇を眺めてみた。


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2006.1.29