
197
(今回は、いつもの「である」調ではなくて「ですます」調になっています)
せっかく面白い題材を提供してもらったので、話を続けます。
- ◇ - ◇ - ◇ -
| 山形県の合併についてですが、合併が実施されたか中止したかに関わらず、立ち上がった協議会が10個あることは、前回示しました。この中で、関わった自治体は、重複分を除くと以下のようになります。
(2000年10月1日時点の自治体名です) 山形市 米沢市 鶴岡市 酒田市 新庄市 寒河江市 上山市 長井市 尾花沢市 南陽市
以上、33自治体です。当時、山形県には全部で45の自治体があったので、73.3%の自治体が合併に絡んだことになります。さらに、33自治体の人口を合計してみると、 994,443人(国勢調査結果に基づく)であり、県民全体の 1,244,147人 に対して、79.9%。つまり8割近くが当事者になったわけです。 だから、山形県が騒動に巻き込まれなかったというのは間違いで、かなりの住民が巻き込まれています。
|
・・・という結論も出せるわけです。用いたのは、全く同じ資料です。
これが、資料により錯覚を起こさせる手法です。こういう反論が来ると、そこから再び互いの持つ資料を元に議論が発展するわけですが、期待はずれでした。
「多い」とか「大問題」とか、漠然とした表現の場合には、資料の持つ本来の意味、その資料を元に、どう解析しているのか、見極める必要があります。数値を鵜呑みにしては駄目です。
こういう数値を元に話を進める場合、必ず、意図した結果を導くための技が隠されていることに注意する必要があるでしょう。
さて、で、前述のような資料、数値を示した反論が来たときに、こちらはどう対処するかと言うと・・・
| 上記資料は、協議会、あるいは議会で即座に否決され、破談になったものも含んでいます。住民の知らぬところで設置され解散した協議会の経緯が、「騒動」に含まれるでしょうか。結果的に7つが破談し、自治体の変更があったのは3つで、当事者の人口は
294,649人。やはり、他の地域の、県民の半数以上が巻き込まれた地域に比べれば、圧倒的に少ないわけです。
破談してようが、その騒ぎに巻き込まれたのには違いない! と言う反論もあるでしょうが、どうでしょうか? 破談した地域では、今まで通りの地名、職員が減らされたとは言え同じ庁舎で、生活にほとんど影響が無いわけです。(合併があろうが無かろうが、財政縮小のために、同様のことが起きるわけで、決して『合併騒動の結果』ではありません)
「住民投票しました。はい、破談しました」 これは全然『騒動』なんかではありません。
|
さらに反論が来ます。
| いや、それでも、関係している以上は、何らかの日常以外の行動が伴うわけで、それが県全体の8割に達する住民なのだとしたら、それは騒動。合併が破談しているから、騒動でない、というのは詭弁だ。 |
あくまで8割にこだわるとします。さて、これに対してはどう反論すれば良いでしょうか。
答えは簡単。
| それでは、8割の住民が関わったとしましょう。8割が多いと言えるのでしょうか?
同一条件で、破談したものも含めて、合併に絡んだ住民を合計した数を他の県でも計算してみましょう。例えば岐阜県。合併成功に関わった自治体が71個、合併破談した自治体が25個。全部で99個の自治体があったから、96/99=97.0%の自治体が何れかの合併協議会に参加していることになります。その住民の人口を合計すると、 2,016,174 人。 岐阜県の総人口が 2,107,700 人ですから、実に 95.7%が関わったことになります。 他の県でも同様で、つまり、破談した合併協議会までを含めてしまうと、ほとんど100%近い自治体が関わっているのがほとんどなのです。例に挙げたとおり、大都市を抱える都道府県を除いて、80%程度しか関わらなかった山形県が特殊なわけです。 8割という数字に誤魔化されてはいけません。8割しか参加しなかったのです。
|
- ◇ - ◇ - ◇ -
山形県が徐々に騒動に巻き込まれるのは、これから数年後、他の地域が落ち着いた後の話でしょうね。第二第三の赤池町が出て来ないことを祈ります。
(赤池町に関しては、何度か紹介したので、ここでは省略します。興味があったら、「赤池町 財政破綻」で検索してみてください。解説記事が見付かります)
- ◇ - ◇ - ◇ -
このように、全く同じ資料を使っても、逆の方向に導くことは簡単にできてしまいます。
以上、ひとりディベートでした。