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新幹線新駅

 最後の東海道新幹線駅として、一部で話題になっていた新幹線新駅「びわこ栗東駅」※1であるが、凍結か継続かを争点とした滋賀県知事選により、凍結派が勝ったために混沌としている。(必ずしも中止が決まったわけではない・・・と思う)
 一地方の県政なのでとりたてて関係ない話であるが、ここは東海道・中山道をテーマにしているサイトでもあり、あながち無関係でもない。栗東と言えば東海道で草津に入る直前の市であるし、まさに新駅ができようとしていた場所のすぐ脇を、旧東海道が通っている。他に関係している市も、守山、草津、野洲と、中山道関連の地域でもある。

 さて、具体的にどの辺りの話なのか、詳細に説明すると、東海道を江戸側から歩いたとき、和中散本舗を過ぎてしばらくJR草津線に並行して進み、手原駅を過ぎて南西方向に道が曲がったあたり。JR草津線はそのまま東海道本線草津駅方面に向かうため、直進し、東海道新幹線と交差する。この交差する辺りに予定されていた。
 この地図の中央付近が予定地である。右下の小さな池の左上にある黄色の細い道路が、旧東海道である。

 しかし、微妙にJR草津線の交差からずれており、草津線側にも新駅を設置するとは言え、何か中途半端な不便な駅になりそうである。

 さて、ここから下しばらくは、別のページに書いていた文章をそのまま掲載
 
 「新幹線びわこ栗東新駅」凍結で争われた滋賀県知事選挙を勝ち抜いた嘉田由紀子知事であるが、「もったいないを活かす県政実現を」が公約。そこで、「3つの大型公共事業の凍結を提示」しているのだが、だいたいにおいて、このような場合の「3つの・・・」は、単なる数合わせであって、他の2つ、あるいは最後の1つには意味のない場合が多い。具体的には、
・栗東新幹線新駅
・琵琶湖周辺の6つの大型ダム
・大津市北部の廃棄物処分場
なのだが、どれがオマケかは、ここでは問わない。

 しかし、「公約だから」仕方がないが、新駅設置を推進している栗東市長を訪ね、JR東海東京本社を訪ね、工事凍結を訴えてしまったのだが、到底、
「凍結は承服できない」
そりゃ、そうだわな。新駅事業に20年以上の歳月をかけている。短い(15分の)会談で(凍結を)理解し、協議できるものではない。「到底承服できない。促進協議会の場で協議すべきだ。手順を踏んでほしい」 という栗東市長の言い分ももっとも。
 で、JR側の対応はどうかと言うと、「(栗東市や新駅設置促進協議会と意見をまとめ)交渉窓口の栗東市を通して話をしてほしい」と述べるにとどまり、嘉田知事は「工事の執行を延ばし、見合わせることは可能か」と尋ねたが、松本社長は「そういうことを話す場ではない」と。
 このJRの言い分ももっとも。
 かと言って、知事の行動の妥当性を問われると、これまた、選挙による民意なのだとするならば、即行動に移るのも正しい。

 どれを取っても、それぞれの立場の言い分としては正しい。では、何が間違っているかと言うと、こういう重大な問題を、単なる首長選挙の公約として選挙してしまうという点なのではないか。過去にもいくつも例があるが、東京都市博中止を公約とした都知事選、ダム廃止を公約とした長野県知事選など、どれも、単純な一つの巨大プロジェクト中止だけが争点となって首長選挙が行われ、それだけが成功したのかもしれないが、その他の行政がめちゃくちゃになってしまっている。これはこれとして、別途、住民投票などで行われるべきで、それを争点として首長を決めちゃいけないんじゃないかな。この嘉田由紀子知事にしたって、「もったいない」だけが主張で、あらゆる開発を止めるだけの公約で4年間任して良いんだろうか。

 新駅設置にかかった投資、また現在進行中の工費など、とりあえずドブに捨てなければならないお金も多額であり、それを含めて「もったいない」と考えているのだろうか。これ以上の投資を止めることで健全な県政を、というのも御もっともだが、投資があれば、当たり外れはあるにせよ、見返りがあるものだが、完全凍結・中止となれば、ここまでの投資は全くの無駄になることも判ってて言っているのかが、非常に気になるところである。まあ、遠い滋賀県の話だから、どーでも良いのだが、できれば滋賀県だけで解決して、決して国の税金で補填しないことだけを願う。

 それにしても、この嘉田由紀子知事(プロフィール)って人も胡散臭いんだな。

・特技   地図が読める

 そりゃ小学校を出たら、地図ぐらい読めるわな。

・好きな食べ物   ぜいたく煮

 公約は「もったいない」だけど、食事は「ぜいたく」ですか。

 とまあ、こんな文章を書いていたのだが、ここで終わらせないのが、本サイトの特徴でして、“今まで注ぎ込んだ予算は、この際おいといて” 本当に有用な駅なのかどうかを、第三者的に見てみようというのであった。


 あえて批判を浴びる覚悟で言わせてもらうと、私自身も「びわこ栗東駅」の有効性に対しては元々懐疑的であった。はっきり言って不要だと思う。
 保守基地を併設する予定のようだから、何らか別の目的で必要なのかもしれないが、それにしては費用は地元という話で、JR側が、さほど乗り気でないことからも、栗東保守基地自体が、誘致するための条件ではないかとも思えてくる。そしてJR東海はさほど保守基地に対して必要性を感じていないと。

 この新駅ができたとして、利用者の対象地域はどこなのか。おそらく、栗東は当然として、草津、守山、野洲、湖南あたりか。あと頑張って近江八幡あたりまで。ここまでの6市の人口を全部足して 406,285人。草津市を除いてどれも5〜6万人という中規模の市の集まりである。まあそれでも40万人規模ならば、そこそこ需要はありそう、と判断するのも間違ってはいない。

 しかし、湖南市を除いて、“全東海道新幹線列車が停車する”京都駅から、在来線乗り換えによりほぼ30分以内で到達できる地域なのである。京都からの所要時間を調べてみると、

 草津 18分、守山 22分、栗東 26分、野洲 26分、近江八幡 32分

湖南市の中心を甲西駅として、草津駅から15分、また、東海道線の栗東駅は、栗東の中心部とは程遠いため、栗東市の中心部を手原駅としても、草津駅から草津線で5分の位置である。

 草津線沿いの湖南を別とすれば、上に挙げた地域に向かう、京都発の電車は、平日日中でも一時間あたり7本以上走っている。つまり、どんなに運が悪くても10分も待てば電車が来て、30分程度で行ける地域に、新幹線駅が必要なのだろうか。仮に新幹線新駅ができても、隣の米原駅の実績から考えて1時間あたり2本しか停車しないような新幹線駅を、果たして利用するだろうか。
(滋賀県の整備計画概要を見ると、確かに、一時間あたり、ひかり1本、こだま1本を計画しているようである)
 しかも、栗東市以外の周辺地域では、JR草津線に乗り換え、草津駅に出てから、結局はJR東海道本線に乗り換えて移動するわけである。そんな二度手間を取るぐらいなら、多少高くても京都駅から戻る方が楽である。(東京方面からの移動の場合)

 この辺りの電車事情を調べていて、実は面白いことが判った。栗東駅は、確かに栗東市の中心とは言えない外れにあるのだが、この駅だけ、新快速が停車しない。そのため、前述の「1時間あたり7本」と言うのは、栗東市以外の草津、守山、野洲の話であって、栗東だけは4本/時間 なのである。

 これが問題の根源なのではないかなぁ。JR西日本に対して要請しても相手にされなくて、JR東海に泣きついたと。

 さらに問題なのは、東海道新幹線新駅が誕生したとして、それがJR東海道本線でなく、JR草津線に接続するということである。草津線というのは、通勤線として発達しつつあるとは言え、未だ単線で運行本数が限られている。無論、新幹線も2本/時間 だから接続には問題ないとは言え、この路線じゃなぁ。
 やはり、京都まで行って戻るのが正解、という世間の判断は正しいと思う。(公務員を除く)

 岐阜羽島駅があまり使われていないのと同様の結果になるだけだ。知らない人は、「岐阜」と言えば、と、わざわざ「こだま」に乗り換えて岐阜羽島で降りて名鉄羽島線で岐阜に向かうそうだが、知っている人なら、名古屋から在来線に乗り換える。たった17〜8分で岐阜駅に到着する。本数の少ない「こだま」への乗り換えを考えると、多分、岐阜羽島に到着する前に、既に在来線経由で行動した方が先に岐阜駅に到着している。しかも、名鉄羽島線が遅くて、新羽島から名鉄岐阜まで30分近くかかるんだな。

 仮に東京駅を7:00にスタートしたとして、何時に岐阜に到着するかを比較してみると、

07:03 東京発〜のぞみ103号〜08:43 名古屋着 08:54 名古屋発〜特別快速〜 09:12 岐阜着

07:03 東京発〜のぞみ103号〜08:43 名古屋着 08:46 名古屋発〜こだま599号〜 08:58 岐阜羽島着〜徒歩〜新羽島 09:05 新羽島発〜名鉄羽島線普通〜09:26笠松着 09:26 笠松発〜急行〜 09:31名鉄岐阜着

出発時間の設定により、それほど大きな差がつかなかったが(偶然、名古屋でこだまへの乗り換えがスムーズにできる時間帯だった)、やはり20分程度の差が出た。しかも、岐阜羽島では、かなり急がないと乗り換えができないのと、笠松駅では待ち時間ゼロなので、これは、かなり危険な綱渡りである。余裕を見るならば新羽島駅で、09:20発の名鉄岐阜行きを待つべきで、これならば直通で岐阜まで行く。つまり、新幹線連絡としては、この便が指定されているわけだ。すると、到着は 09:51 となり、40分近くの差が出る。

 この辺りを知っていると、あえて岐阜羽島駅を使おうとは思わない。
 それでは、岐阜羽島に何の存在価値も無いかと言うと、決してそんなことはなく、6,238 人(古い資料だが1993年実績)の乗降者数があり、三河安城駅よりも多い(同年 5,144 人)

 それは何故かと言うと、田舎ならではの事情がある。最寄の駅が数キロ離れているのもざらな地域。住民の日常の足は自動車である。岐阜羽島駅周辺には広大な安い駐車場があり、ここに停めて東京へ出張、などと言う使い方が日常であったりする。大垣駅、岐阜駅などの方が本数が多くて便利なのは判っていても、高い駐車場に置くよりも、1日2日平気で放置できる駐車場がある羽島駅を使うということも多々ある。実際に私もそうしていたことがある。当時は岐阜羽島とか米原とかの駅前は、無料駐車場があったのでなおさらである。
 これは、栗東も判っているようで、パークアンドライドを売りにしている。だから草津線との交差位置からずれているのであろう。
 つまり、都会からの需要は期待できなくても、地元からの利用は、ある程度確保できる。これが、安中榛名駅との違いであろう。都会からの需要だけを考えた結果は必ず失敗する。
 しかし、田舎の需要だけだと、やはり頑張っても上記のとおりに6000人前後。これで良しとするかどうかは別問題かも。

 さらに地元の経済効果というのは、すぐには現れなくても少なからずあるもので、羽島市も、新幹線駅ができた当時、1964年には45000人しか居なかった人口が、68000人まで、年々増加傾向にある。ほぼ1.5倍であり、合併をせずに増加した率としては、この辺りの地域でトップである。名神高速道路のインターがあるからだ、と言う人もいるかもしれないが、羽島インターが設置されたのは、昭和58年(1983年)3月のことで、人口が60000人近くになってから、新幹線駅ができてから20年近くも経ってからのことである。名神開通時には、一宮インターの次は大垣インターであり、その間約20キロ、何も無かったのである。
 ちなみに、岐阜羽島駅に隣接した名鉄の駅、新羽島駅が営業を開始したのは1982年12月11日、つまり、羽島インターができる3ヶ月前である。要するに20年かかったとは言え、何も無かった羽島に、高速のインターチェンジ、私鉄駅などを呼び込んだのは、やはり新幹線駅ということなのではないか。
 羽島市が特殊だと言うなら、他の例も沢山挙げられる。例えば三島市。新幹線開通前に6万人台だったのが、今では11万人に。隣の本来ならばこちらに出来るべきと言われていた沼津市。開通当時が17万人だった人口が、20万人になっただけ。わずか3万人の増加である。

 びわこ栗東駅も、今や数年先を見るだけでなく、20年後とかを考えたとき、ここでの凍結がどう影響するか、早急に結論を出す必要はないんじゃないかと思う。

 栗東市長が言った、「20年の歳月をかけて検討を進めた話を、たった15分で結論を出すのか」と言うのがいろいろと引っかかる点ではある。



※1 念の為、滋賀県の整備計画概要を改めて眺めていたら、仮称とは言え、名称が「南びわ湖駅」に変更になっていたのね。知らなかった・・・



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2006.7.30