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<< 夏休み特別企画 >> (別に関係ないですけど大作です)


合併はしたけれど・・・

 愛知県常滑市、常滑焼で有名ではあったが、昨年の空港開港に伴い、一躍全国的に知られるようになった。常滑市は、1954年4月1日に、常滑町、大野町、鬼崎町、三和村、西浦町、が合併して誕生した。その後もいくつか合併しているが、基本形は、この時に誕生している。
 中でも主となっているのは、常滑町と大野町なのだが、1889年10月1日の時点(市制・町村制施行)の時点では、大野村は、即時大野町になったのに対して、常滑は常滑村のままであった。しかし、その後、市域の最北端にあった大野は徐々に寂れ、常滑村の地域が中心となって発展して行く。今となっては、かつて常滑中心地よりもにぎわっていたとは思えない大野地区がある。
 名鉄常滑線に「大野町駅」があるのが、その時代の名残であろうか。もちろん急行停車駅でもある。(空港線が開通したことに伴ってか、以前は時間帯によっては特急停車駅でもあったのだが、全列車通過駅に格下げ)

 明治時代に常滑との合併を決断した人たちは、現状をどう思っているのだろうか。

 両者の弱点を補って発展を願う合併もあれば、その場の苦し紛れの合併もある。ここ大野町にとってみれば、行き詰まり、限界も感じていたのかもしれないが、まさか50年でこんなに差が付くとは思っていなかったのではないか。

 話は変わるが、岐阜県のサイトを見ていたところ、統計課において、詳細な市町村人口のデータが公開されているのを知った。以前、各自治体が発行する「○○だより」のような冊子に記述してある月毎の推計人口を頼りに、各市町村の人口変化を集計したことがあったのだが、あまりの大変な作業に中断したことがある。それが、一度に入手できることが判ったので、公開されているうちの確実にそろっている年、2001年1月からの分を集計してみた。
 岐阜県の場合、かなり多くの合併が行われたので、いろいろと面白い情報が得られそうである。

 人口値には、5年に1度行われる国勢調査と、その間を埋める推計人口がある。自治体が関知する誕生、死亡、転入、転出を元に推計しているため、5年に1度の国勢調査時に、大きな誤差が生じることもある。この統計を見ると、国勢調査時点に大きな変化が見られる自治体がもあるので、かなり市町村によってはあいまいな集計をしている場合があるようだ。
 
 まず最初に、岐阜県全域の「県民人口」の変化である。2005年10月までは、ほぼ順調に増加傾向にある。ここで一気に下がっているのは、おそらく国勢調査による誤差修正であると思われる。
 また、途中、定期的に下がっているのは、田舎の県特有の現象で、春になると大学、就職のために地元を離れるためではないかと思われる。

 まずは市域から順に見てみよう。最初は岐阜市。
 しかし、単純に見るには問題がある。と言うのも、途中で合併が入っているから、急激に変化してしまい、途中の細かい変化の様子が見難いのである。例えば岐阜市の場合、下のようになる。

 途中、一旦、大きく下がっているのが、恐らく国勢調査の誤差修正分、そしてその後大きく増加しているのが、柳津町を吸収合併したときの人口増分である。
 そこで、合併前の柳津町の人口も合算してグラフ化してみよう。すると次のようになる。

 これで、合併による変化分は帳消しされて見易くなった。これを見ると、岐阜市の人口は、昨年の国勢調査までは順調に増加していたものの、調整分による現象を除いても、その後は現象傾向にあるようだ。まだ、この先どうなるか不明だが、とりあえずピークは終わった街のように見える。現在進行中の駅前再生プロジェクトの効果がどれほど出てくるかが楽しみではある。
 
 次に大垣市であるが、これも合併が行われているため、2つの消滅した自治体を含めてグラフ化してみよう。 

 2004年の4月あたりに最低を記録するものの、見事に回復の傾向がある。確か、大垣市は(合併以前の)人口のピークとして1998年に15万2400人という記録がある。そこから現象傾向があったものの、何とか回復しているようだ。これは、墨俣町、上石津町を含んでいるため、それら周辺が支えているのかと言うと、決してそんなことはない。大垣市単独で見ると、2003年4月に最低を記録し、その後順調に回復傾向にある。つまり、周辺の上石津の人口減を補ってなおプラス傾向にあるわけで、池田町あたりが指摘している「今後の人口減に大垣は対処できていない」は、あまり的確でない。これは、後で詳細を示す。
 まあ、とりあえず、大垣市は現時点ではさほど深刻な人口減の現象には悩まされていないと考えられる。

 さて、次に高山市。ここは、大規模な合併があった市である。合併にて消滅した、丹生川村、清見村、荘川村、宮村、久々野町、朝日村、高根村、国府町、上宝村の人口を加算してグラフ化する。

 かなり深刻な状況かもしれない。定期的に発生する人口減に対して、回復することができずに翌年を迎え、完全に現象傾向にある。旧高山市内には求心力が多少あっても、それは旧市外地からの編入であり、全体の人口減に対しては何の効果も無い。
 
 次に多治見市。ここは特徴として、春の人口減少傾向が目立たない。名古屋のベッドタウンと化している状況もあり、春の転入転出のバランスが取れているのかもしれない。しかし、全体的な傾向としては減少傾向にあるようだ。一時期何とか持ちこたえていたものの、唐突にやってくる減少が響いている。

 次の関市は、岐阜市のベットタウンである。岐阜市が伸び悩んでいた時期に、着実に人口を増やしていた。しかし、それもピークを迎え、徐々に減る予感もあり、今後の注意が必要か。 

 次の中津川市は、東濃の要として栄えているが、人口変化は横ばいであった。それが、合併を機に、周辺の過疎地域に市域を広げ、周辺の減少傾向を支えきれなくなってきたようだ。

 美濃市は合併に関わらなかった。未来に対してかなり深刻に悩んでいる自治体の一つである。関市との合併も模索していたものの、条件が折り合わずに離脱している。ここの傾向は、もう完全に減少傾向である。特に春の減少傾向も見られず、単に順調に人口を減らし続けている。不思議なぐらいに。もう数年も経つと、本当に2万人を切るのではないかと不安になるほど、きれいな減少ラインである。

 瑞浪市は、高山市と似た傾向にある。しかし、ここも美濃市と同様に、今回の合併には参加していない。山の中にある地理的条件が似ているのか、春になると人口を減らし、一部回復するものの、全体としては減少傾向にある。さらに、ここ1年あたりが顕著に現れている。

 羽島市は、ここまで見てきた中で、初めて増加傾向がはっきりと現れている市であった。細かい増減はあるが、全体としては、着実に増加している。但し、ここ1年は横ばい傾向か。

次の恵那市は、大きな合併を経験した。傾向は美濃市と似ている。合併を行ったことと、元々の人口が美濃市の倍程度であるため、美濃市ほど深刻ではないかもしれないが、減少に歯止めが利かないと言う点では同様の深刻な問題かもしれない。減少の大半は吸収した旧周辺町村分なのだが、旧恵那市単独で見ても、若干の減少傾向がある。

旧恵那市内のみの変化を以下に示す。急激に増加しているのは、合併による。

 次が、周辺からの合併依頼を拒否した美濃加茂市。意外なことに増加傾向である。唯一、国勢調査時の修正により大幅減少が表れているが、その他は順調に増加している。周辺過疎部を支えきれないための拒否だったのだろうか。

土岐市も合併をしていない。こちらは大きく減少傾向にある。中央線沿線はどこも苦しい状況が続いているようだ。名古屋周辺における都心回帰の影響だろうか。

各務原市は、岐阜市のベッドタウンとともに、名古屋への通勤圏の色合いもあり、山間部の宅地化が著しい。順当に増加傾向にある。

可児市も同様に増加傾向である。名古屋への通勤圏は、岐阜県東部の中央線沿線から、中央部の名鉄線沿線に変わってきているのだろうか。

ここから、新規登場の市である。まずは山県市。音だけ聞くと山形市と間違えられそうな市。何とか合併して市に昇格したものの、人口減少の傾向に歯止めは利かなかったか。

対する瑞穂市は、交通の便を生かして完全に増加傾向である。この4年間で3000人も伸びている。たかが3000人かもしれないが街の規模が50000人程であるため、この増加はかなり影響がある。

次は飛騨市。飛騨地方に高山市に次いで誕生した市であるが、山間部の町村の寄せ集めの感があり、僻地の悩みは同じ。過疎化が進む。何とか3000人超えで市になったのも束の間、あっと言う間に28000人台にまで落ち込んでいる。

本巣市は、特に交通の便が良いわけでもないが、岐阜市周辺の地の利を生かし、それなりに増加傾向にあった。大規模量販店も多く、住むには良いのかもしれない。最近、停滞傾向もあるが、まだ多少は伸びが期待できそう。

郡上市は、条件的には飛騨市に近く、多少は都会に出るのが便利とは言え、やはり山間部に無理やり誕生した市の感は否めない。着実に減少しつつある。

下呂市も同様。ほとんど同じ減少カーブを描いている。このままでは危ない。

地理的条件は違うが、海津市もほとんど同じ減少曲線。以上3つは、直近に合併で誕生した市であるが、ほとんど同じ傾向にあるのが興味深い。やはり無理な合併だったのだろうか。しかし、単独でどうにかなるわけでもなく、仕方なくの合併であったのだろう。このままでは、この3つはいずれ美濃市状態になるのが目に見えている。

以上が岐阜県における「市」の月別人口増減の一覧である。続いて町村部についても集計してみるが、まずここで市のまとめをしてみよう。

変化の傾向を分類すると、増加傾向、減少傾向、変化なし、増加ピークの後減少、減少から転じて増加傾向、この5つになる。まとめてみると、以下のようになる。
 
傾向 市名 特徴 交通網(鉄道) 交通網(高速道路)

減少傾向
高山市 山間部 高山本線 東海北陸自動車道
多治見市 山間部 中央本線 中央自動車道
瑞浪市 山間部 中央本線 中央自動車道
恵那市 山間部 中央本線 中央自動車道
土岐市 山間部 中央本線 東海環状自動車道
山県市 山間部  -  -
飛騨市 山間部 高山本線  -
美濃市 山間部 長良川鉄道 東海北陸自動車道
郡上市 山間部 長良川鉄道 東海北陸自動車道
下呂市 山間部 高山本線
海津市 大河川流域 近鉄養老線  -

増加傾向
羽島市 岐阜周辺 大垣周辺 新幹線 名神高速
美濃加茂市 高山本線
太多線
長良川鉄道
東海環状自動車道
可児市 太多線
名鉄広見線
東海環状自動車道
各務原市 岐阜周辺 高山本線
名鉄各務原線
東海北陸自動車道
瑞穂市 岐阜周辺 大垣周辺 東海道本線  -
本巣市 岐阜周辺 大垣周辺 樽見鉄道  -

岐阜市 岐阜・中濃の要 東海道本線
名鉄名古屋本線
名鉄各務原線
 -
関市 岐阜周辺 長良川鉄道 東海北陸自動車道

大垣市 西濃の要 東海道本線
樽見鉄道
近鉄養老線
名神高速

安定
中津川市 東濃の要 中央本線 中央自動車道

特徴を並べてみると、中央本線、中央自動車道の神通力が弱まっている気がする。変わって浮上してきているのが、交通の便はさほど関わらず、岐阜・大垣の周辺部、そして、交通としては、「東海環状自動車道」だろうか。美濃加茂、可児あたりには、特に特徴が見られないのだが、共通項としては東海環状自動車道の開通というのがある。

 さて、今回の平成大合併において新規に誕生した7つの市のうち、山県市、飛騨市、郡上市、下呂市、海津市がいずれも完全な減少傾向、そして瑞穂市と本巣市が増加傾向。明暗を分けたこの2つのグループ。想定の範囲内だったのだろうか、それとも予定外?

 もし、東海環状自動車道が、活性化の要因になっているのなら、増加傾向にある本巣を経由することになる。(仮称:糸貫IC) 減少傾向にあり伸び悩みの山県市は、経由することがほぼ確定しており、起爆剤になる可能性はある。しかし、東海環状自動車道ができても減少傾向にある土岐市の例があるから油断はできない。
 また同様に減少傾向のある海津市は避けて通る予定になっている。

 ますます格差が生まれる可能性もある。



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2006.7.31