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208の話のため、特に愛知県を中心に、過去の地名の変遷をまとめていた。いろいろな市町村の歴史を見ていると、全くことなるような他の分野に話が派生する。例えば、鉄道の駅、交差点名、バス停名などだ。町の名前は区画整理で消えることがあっても、何故か交差点名、バス停名に残ったりするのは、街道歩きで得た知識である。比較的残る確率は低いのだが、調査のしやすさから、まずは鉄道駅名の話である。
鉄道は、明治中期から後期にかけて、発達したため、当時の地名が残っている場合が多い。市町村を代表する駅なのに、現在の名称でない場合など、大半は旧町村名だったりする。
代表駅ではないが、例えば江南市の布袋駅。1954年6月1日に江南市が誕生するまで、布袋町だったところの中心地である。ついでに言うと、布袋町と古知野町が合併して江南市が誕生した当時、当然のことながら、現在の江南駅は、古知野駅だった。江南駅に改称したのは、1980年10月10日のことで、つい最近の話である。
稲沢市の中心駅は、JRの稲沢駅よりは、名鉄の国府宮駅である。国府宮がまだ国府宮村であった当時、既に稲沢町になっていたが、鉄道が引かれたのは国府宮村の方だった。JR(国有鉄道)が引かれたのは下津村の方で、稲沢とは全然違う。
ところで稲沢も合体地名である。稲葉村と小沢村の二村で美濃路稲葉宿を構成していたが、明治8年に合併して稲沢村になっている。
国府宮駅の開業は1924年2月15日であるため、既に国府宮村は消滅し、稲沢町になっているのだが、由緒ある地名である国府宮を選んだのは仕方あるまい。
名鉄本線上に刈谷市の「刈谷」が付く名称の駅が無い。開通当時、そのコース上にあったのは富士松村であり、刈谷町は通っていなかった。当然のように富士松村の中心駅が富士松駅になり、もう一つが一ツ木駅となる。一ツ木とは、富士松村の元となった4つの村のうちの一つである。
音羽町内には、名電赤坂と名電長沢の2つの駅がある。察しのとおり、赤坂町と長沢村が合併して誕生したのが音羽町だからである。(あと萩村とも同日合併)
では、音羽とは何かと言うと、両町村を流れる川の名前。
春日井市には、JRの駅が5個ある。どれが中心駅かと言うと、非常に答え難い。最も乗降客数が多いのは高蔵寺駅のようだ。次が春日井駅、3番目が勝川駅。神領駅はともかく、定光寺駅は問題外。この2個は除いて考えても、高蔵寺駅は、ニュータウンの中心駅であって、市の中心ではない。それでは春日井駅かと言うと、確かに市役所の最寄り駅であり、行政が無理やり中心に仕立て上げた感があるが、なぜか中心という感じがしない駅である。何故か?
名鉄小牧線には、春日井市の外れに「春日井駅」がある。JR中央本線の春日井駅とは直線で4キロ以上離れており、乗り換え駅ではない。何故、この2つの駅が同名なのか?
この2つの疑問が、市町村の変遷を見ていくと解ける。
まず、春日井市の元となったのは、勝川町である。1943年6月1日に春日井市が誕生したとき、勝川町と、鷹来村、篠木村、鳥居松村の合併による。勝川町以外はすべて村。当然、勝川が中心となるべきだっただろうが、地理的に偏らないように、中央部の鳥居松に役所を置き、後に発展して行く。駅は、最初は勝川にしかなく、(高蔵寺駅は同時に完成している)後に設置された鳥居松駅が、春日井市誕生の後、春日井駅に改称。中心駅となる。
それでは、名鉄小牧線の春日井駅は、誇大広告偽りの駅かと言うと、そんなことはない。公明正大な理由があるのだ。
JR(国鉄)の駅名「春日井駅」は、前述のとおり、「春日井市の中心駅」として、名称が付けられている。それでは、その春日井市の春日井とは何かと言うと、前述したとおり、勝川町と、鷹来村、篠木村、鳥居松村の合併であり、どこにも「春日井」の地名が出てこない。実は、この地が「東春日井郡」に所属する町村の合併ということで、春日井の名前をもらったのである。従って、JRの駅の春日井は、大きく東春日井郡が由来の駅名であると言える。ところが、名鉄小牧線の春日井には別の意味がある。東春日井郡には、春日井村があったのである。ところが、味美村、柏井村とともに、1906年7月16日には、勝川町に吸収合併して消滅してしまっている。(名古屋北部の駅名に詳しい人ならばピンと来ただろうが、味美も、小牧線の駅名である)
つまり、小牧線の「春日井駅」の由来は、春日井村由来であり、この地名は一旦(地自体名としては)消滅している。市制施行時に郡名から取った地名から名付けられた駅と、全く違う場所にあっても仕方がない。
ところで、春日井と言う地名であるが、実は、名鉄小牧線の春日井駅付近に残っている。
春日井市春日井町にある駅は、名鉄小牧線の春日井駅であり、こちらの方が由緒ある春日井駅であることが判る。
関東近郊の人に説明するならば、さいたま市の浦和駅が「さいたま駅」に改称したと思ってもらえば理解してもらえるか。それぐらい違和感がある改称の結果なのである。
以上、いくつか例を挙げてみたが、考えてみれば、昔から栄えていた村の中心地は、いまでも栄えている場合が多いだろうし、人が集まる場所には駅があって当然であろう。あまり、当時の村と駅名というのは関係ないかもしれない。しかし、江南市や稲沢市の例は、市の歴史を調べれば納得できるが、直感的には納得できないものである。私が名古屋で暮らしていた時代(の最初の頃)、江南市には、古知野駅と布袋駅しかなく、非常に違和感を覚えたことを記憶している。名鉄線に稲沢駅が無いのも、非常に違和感を感じていた。
ついでだから、JRと名鉄、近鉄の駅名と地名の関係を調べてみよう。
JR線(愛知県内)
| 駅名 | 開業 | 開業当時自治体名 | 備考 |
| 東海道本線 | |||
| 二川駅 | 1896年4月7日 | 二川町 | 1955/3/1 豊橋市に吸収されて消滅 |
| 豊橋駅 | 1888年9月1日 | 豊橋町 | 1906/8/1 市制施行 |
| 西小坂井駅 | 1948年8月1日 | 小坂井町 | 小坂井村は1906/9/12に豊秋村と伊奈村の合併により誕生 |
| 愛知御津駅 | 1888年9月1日 | 御津村 | 但し開業当時は「御油駅」1948年8月1日 に改称 |
| 三河大塚駅 | 1953年7月8日 | 大塚村 | 但し開業当時は海水浴客のための夏季営業の仮停車場。1960年3月1日 正式な停車場となる。 |
| 三河三谷駅 | 1929年7月3日 | 三谷町 | 1954/4/1 蒲郡市に吸収されて消滅 |
| 蒲郡駅 | 1888年9月1日 | 蒲郡町 | 1954/4/1 市制施行 |
| 三河塩津駅 | 1988年11月16日 | 蒲郡市(竹谷町) | 1954/4/1 蒲郡に吸収されるまでは塩津村だった |
| 三ヶ根駅 | 1967年3月20日 | 幸田町(深溝) | 地名ではなく、三ヶ根山への玄関口として「三ヶ根」の駅名が採用された |
| 幸田駅 | 1908年9月11日 | 幸田村 | 1908/7/28 に広田村から改称している。 |
| 岡崎駅 | 1888年9月1日 | 羽根村 | 後に岡崎村(岡崎町とは異なる)となり、後(1928/9/1)に岡崎市に吸収合併して消滅 |
| 西岡崎駅 | 1988年3月13日 | 岡崎市(昭和町) | 旧 矢作町域にある。 |
| 安城駅 | 1891年6月16日 | 安城町 | 1952/5/3 市制施行 |
| 三河安城駅 | 1988年3月13日 | 安城市 | 旧 依佐美村域 |
| 東刈谷駅 | 1966年12月24日 | 刈谷市 | . |
| 刈谷駅 | 1888年9月1日 | 刈谷村 | 1889/10/1町制施行 1950/4/1市制施行 |
| 逢妻駅 | 1988年3月13日 | 刈谷市 | 旧 逢妻村域 1906/5/1刈谷町に吸収消滅 |
| 大府駅 | 1887年9月10日 | 大府村 | 1915/11/1町制施行 1970/9/1市制施行 |
| 共和駅 | 1933年12月7日 | 大府町 | 旧 共和村域 1906/5/1大府村に吸収消滅 |
| 大高駅 | 1886年3月1日 | 大高町 | 1964/12/1名古屋市に吸収消滅 |
| 笠寺駅 | 1943年6月1日 | 名古屋市 | 旧 笠寺村域 1921/8/22名古屋市に吸収消滅 |
| 熱田駅 | 1886年3月1日 | 熱田町 | 1907/6/1 名古屋市に吸収消滅 |
| 金山駅 | 1962年1月25日 | 名古屋市 | 元々、中央本線のみの駅だった |
| 尾頭橋駅 | 1995年3月16日 | 名古屋市 | 元は臨時駅の「ナゴヤ球場正門前駅」 |
| 名古屋駅 | 1886年5月1日 | 那古野村 | 開業当初は「名護屋駅」 |
| 枇杷島駅 | 1886年4月1日 | 西枇杷島町 | 開業当初は「清洲駅」 1906年4月16日移転改称 |
| 清洲駅 | 1934年2月24日 | 大里村 | 1955/4/15稲沢町に吸収合併、その後稲沢市となる。
清洲という駅名だが清洲(清須)には無い 清洲村は隣に存在していた。 |
| 稲沢駅 | 1904年8月5日 | 下津村 | 1906/5/10 稲沢町と合併。既に合併が決まっていたからなのか最初から稲沢駅 |
| 尾張一宮駅 | 1886年5月1日 | 一之宮村 | 開業当初は「一ノ宮駅」 1889/10/1町制施行 1921/9/1
市制施行 |
| 木曽川駅 | 1886年6月1日 | 黒田町 | 駅名が先。駅名に合わせて1910/2/10改称、木曽川町が誕生した。
なお、名鉄には「黒田駅」が現存している。 |
| 中央本線 | |||
| 鶴舞駅 | 1937年4月21日 | 名古屋市 | 1937年は、まだ現在の名古屋市域が完成していない |
| 千種駅 | 1900年7月25日 | 鍋屋上野村(千種村) | 1921/8/22 名古屋市に吸収 |
| 大曽根駅 | 1911年4月9日 | 六郷村 | 六郷村は6つの村から成るが、その1つが大曽根村
六郷村は1921/8/22名古屋市に吸収 |
| 新守山駅 | 1964年4月1日 | 名古屋市 | 直前まで守山市だが1963/2/15 名古屋市に吸収 |
| 勝川駅 | 1900年7月25日 | 勝川町 | 1943/6/1 市制施行「春日井市」へ改称 |
| 春日井駅 | 1927年12月16日 | 鳥居松村 | 開業当初は「鳥居松駅」、 1943/6/1 鳥居松村は春日井市に吸収消滅。 1946/5/1 春日井駅に改称 |
| 神領駅 | 1951年12月15日 | 春日井市 | 信号場として開設、仮乗降場に格上げ、駅に格上げ
1943/6/1春日井市となる前は「篠木村」 その前身が「雛五村」それを構成する一つが「神領村」 |
| 高蔵寺駅 | 1900年7月25日 | 高蔵寺村 | 一旦、合併により「高蔵寺」の地名は消滅する(玉川村)が、不二村との合併により高蔵寺村となる。その後1958/1/1春日井市に吸収消滅 |
| 定光寺駅 | 1920年8月15日 | 高蔵寺村 | 旧 玉野村域 駅名は完全に川対岸にある寺の名称由来。 |
| 関西本線 | |||
| 八田駅 | 1928年2月1日 | 名古屋市 | 八田村→柳森村→常磐村→名古屋市(1921/8/22) |
| 春田駅 | 2001年3月3日 | 名古屋市 | 春田村→戸田村→富田村→富田町→名古屋市(1955/10/1) |
| 蟹江駅 | 1895年5月24日 | 蟹江町 | 1889/10/1に誕生した蟹江町は未だ存続している |
| 永和駅 | 1929年2月1日 | 永和村 | 1956/4/1 分割され一部佐屋町へ 2005/4/1愛西市へ |
| 弥富駅 | 1895年5月24日 | 弥富村 | 開業当初は、弥富村の前身前ヶ須新田村から、「前ヶ須駅」として開業 1895年11月7日 弥富駅に改称 |
とりあえず、JRの中でも「本線」の3本だけで、ずいぶん大変な作業となってしまった。よって本日はこれにて終了。続きはいずれ・・・
・・・とは言うものの、いろいろな企画を途中で中断しているので、いつ再開するかは不明。