資 料 編・6



参考文献一覧




 これまでに出版された近松関係のテキスト・注釈書・研究書類は、膨大な数に上り、とてもすべて挙げることはできません。筆者が勉強する上で体験的に必要と思われるものだけを選びました。
 しかし、少し古い本は現在、書店はもちろん古本屋の書棚でも見つけることは至難の業に近いので、比較的新しい本に限定しました。
 それでも、在庫のない本が多く、個人的な入手は困難になっていて、図書館での閲覧に頼るほかありません。その中で、比較的入手し易いものは赤い字にしましたので、ご参考にして下さい。
 

全集物

「近松全集」=全17巻・近松全集刊行会(岩波書店・昭和60年〜)
 近松の全作品にわたり、戦後の研究成果を取り入れた信頼できる全集。

「日本古典文学大系・近松浄瑠璃集」上・下=重友毅・守随憲治・大久保忠国校注(岩波書店・昭和33〜53刊)
 「曽根崎心中」など世話浄瑠璃14編と「国性爺合戦」など時代浄瑠璃6編のほか、下巻に「近松の言説」を収録。

「新日本古典文学大系 近松浄瑠璃集」上・下=松崎仁・原道生・井口洋・大橋正叔校注(岩波書店・平成5年〜7年)
 時代物と世話物の中から上巻に、「世継曽我」や「曽根崎心中」「百合若大臣野守鏡」など9編、下巻に「津国女夫池」や「女殺油地獄」「心中宵庚申」など6編を収録。

「新編日本古典文学全集・近松門左衛門集」=全3巻・鳥越文蔵・山根為雄・長友千代治・大橋正叔・阪口弘之校注(小学館・平成9〜10)
 頭注、本文、現代語訳の三段構成で、現代語訳をつけたのが特色。@「冥途の飛脚」「女殺油地獄」など世話物10編A「曽根崎心中」「心中天の網島」など世話物14編B「出世景清」「用明天王職人鑑」「国性爺合戦」など時代物6編を収録。初心者に便利。

「新潮日本古典集成・近松門左衛門集」=信多純一校注(新潮社・昭和61刊)
 世話物3編、時代物2編の代表作を収録。頭注は詳細。

「完訳日本の古典・近松門左衛門集」=森修・鳥越文蔵校注(小学館・昭和59)
 代表作を抜き出したもの。

「鑑賞日本古典文学・近松」=大久保忠国編(角川書店・昭和50)
 「曽根崎心中」など8作品の解説・あらまし・本文鑑賞を収録。

「鑑賞日本の古典・近松集」=原道生著(尚学図書・昭和57)
 「出世景清」「曽根崎心中」「冥途の飛脚」「国性爺合戦」「心中天の網島」の中心部分を取り上げ、注や口語訳をつける。

岩波講座「歌舞伎・文楽」(全10巻)=鳥越文蔵・内山美樹子・渡辺保ら編(岩波書店・平成9年〜10年)
 人形浄瑠璃に関する巻のみ挙げる。第7巻「浄瑠璃の誕生と古浄瑠璃」▽第8巻「近松の時代」=義太夫節の成立から近松の時代を通観▽第9巻「黄金時代の浄瑠璃とその後」=3代名作(菅原・千本桜・忠臣蔵)を生んだ延享・寛延期を中心に展望▽第10巻「今日の文楽」=明治文楽から昭和文楽の歩みを見て、現代の文楽の現状と展望、文楽の演出を解説。

作品集

「近松名作事典」=藤野義雄著(桜楓社・昭和63)
 世話物24編、時代物22編、歌舞伎4編の作品紹介のほか、近松の生涯なども。
「近松世話物集」=全2巻・諏訪春雄校注(角川文庫・昭和45〜51)
 心中物5編、姦通物・処罰物など8編を収録。解説に「世話浄瑠璃の成立」など。

「近松世話物集」=守随憲治訳注(旺文社文庫・昭和51)
 世話物4編を収録。右頁が本文、左頁が口語訳となっている。

「曽根崎心中・冥途の飛脚」=祐田善雄校注(岩波文庫・昭和52)
 表題のほか、「卯月紅葉」「堀川波鼓」「心中重井筒」「丹波与作待夜の小室節」「心中万年草」を収録。重宝に使える本。

「全講心中天の網島」=祐田善雄著(至文堂・昭和49)
 解説・語釈・通釈・研究と批評と完全な構成。

「古典を読む・心中天の網島」=廣末保著(岩波書店・昭和58)
 「近松序説」の悲劇論の著者が、作品の一行、一行を読み直した書。

新注絵入「曽根崎心中」=松平進著(和泉書院・平成10)
 読みやすく工夫した原文に合わせ、絵や写真が多数入って楽しい。あとに現代語訳と解説が付く。

人物論

「人物叢書・近松門左衛門」=河竹繁俊著(吉川弘文館・昭和63)
 近松の伝記を、伝説・逸話も含めながら、分かり易く記述。入門者に好適。

「近松門左衛門」=森修著(三一書房・昭和34)
 近松を当時の芸能環境の中に位置付けて考察。

「虚実の慰めー近松門左衛門」=鳥越文蔵著(新典社・平成元)
  近松の人となりや世話物・時代物の作品を幅広く考察。全体像を掴むのに役立つ。

「江戸人物読本・近松門左衛門」=武井協三編(ぺりかん社・平成3)
 「難波土産」などの古い資料や現代の研究6つを収録。「主要参考文献」の解説もついているので、重宝。

「新潮古典文学アルバム・近松門左衛門」=原道生著(新潮社・平成3)
「近松門左衛門という人」=田中澄江著(日本放送出版協会・昭59)
 「近松との出会い」をはじめ「女殺し油地獄」「国性爺合戦」など代表作11編を取り上げ、読みどころを紹介している。

研究書

「近松序説ー近世悲劇の研究」=廣末保著(影書房・平成10)
 世話浄瑠璃の悲劇性を作品分析で考察し、町人が人間らしく生きるために心中死する悲劇と論じた好著。廣末保著作集第2巻。

「近松の研究」=重友毅著(文理書院・昭和47)
 近松の生涯をはじめ、主だった11の作品を分析論考。

「近松世話浄瑠璃の研究」=諏訪春雄(笠間書院・昭和49)
 世話浄瑠璃全体を、前半は実証的・科学的に、後半は鑑賞的・批評的に考察した書。数少ない総合的・組織的研究。

「近松と最盛期の浄瑠璃」=藤野義雄(桜楓社・昭和55)
 「浄瑠璃の生成と発展」「近松の時代浄瑠璃」「近松の世話浄瑠璃」「近松の芸能論」など収録。

「近松世話浄瑠璃論」=井口洋(和泉書院・昭和61)
 世話浄瑠璃13編を取り上げ、筆者の鋭利な読みでその構造を分析して、主題を明らかにしようとした書。

「近松の方法」=向井芳樹著(桜楓社・昭和51)
 時代浄瑠璃の方法、世話浄瑠璃の方法を柱に、論理・構造など作品の解明を中心に論考。ほかに「景清論」などもある。

「近松と浄瑠璃」=森修(塙書房・平成2)
 著者の没後に出た論文集。「近松門左衛門と杉森家系譜について」「近松門左衛門の幼少年時代について」「近松門左衛門の大阪移住」の伝記3論文も収める。

「近松の世界」=信多純一著(平凡社・平成3)
 「近松作品解釈の問題点」など近松やその周辺の論文16を収録。

「講座元禄の文学4・近松と元禄の演劇」=原道生編(勉誠社・平成5)
 当時の芝居の世界をはじめ、主だった近松の時代物、世話物、歌舞伎の作品解説がある。

「シンポジューム日本文学・近松」(学生社・昭和51)
 「中世芸能と近松」「近松浄瑠璃における歌舞伎劇の役割」「人形劇としての近松浄瑠璃」などの4部構成で、研究者が討論。

「近松への招待」=鳥越文蔵・信多純一・内山美樹子・井口洋共著(岩波セミナーブックス・平成元)
4人の研究者の講演をまとめたもので、専門的視点から近松を分かり易く解説。

「上方の文化・近松門左衛門をめぐって」=大阪女子大学国文学研究室編(和泉書院・昭和63)
 研究者5人による「世話物の世界」「時代物の世界」「近松と謡曲」などを収録。

「図説日本の古典・近松門左衛門」=諏訪春雄・信多純一ら編(集英社・昭和54)
 近松資料を写真版で収録。近松の画像や手紙などを見て確かめられる。

「近松文芸の研究」=佐々木久春著(和泉書院・平成11)
 「穂積以貫と近松」「近松の虚実皮膜論」「近松浄瑠璃の様式」など21編を収録。

「近松の三百年」=園田女子学園大学近松研究所10周年記念論文集編集委員会編(和泉書院・平成11)
 信多純一、大橋正叔、松崎仁、阪口弘之らの専門家が24論考を執筆。

浄瑠璃史関係

「浄瑠璃史の18世紀」=内山美樹子著(勉誠社・平成元)
 社会環境との関わりで解明する新しい方法で、浄瑠璃作品に迫った書。近松の時代物に多くの言及がある。

「浄瑠璃史論考」=祐田善雄著(中央公論社・昭和50)
 著者の遺著。旧稿30編を収録。近松については「曽根崎心中」に関するものなど。

  ●「人形浄瑠璃舞台史」=人形舞台史研究会編(八木書店・平成3)
 人形浄瑠璃の舞台構造の変遷を、絵画資料で考究した書。400点を超える絵画資料を収録。

「浄瑠璃の世界」=阪口弘之編(世界思想社・平成12)
 浄瑠璃史の歴史的な過程を分かり易く分類して解説。そのほか浄瑠璃の作劇法や読み方、上演形態などの論文を収録。浄瑠璃史を概観するには好適。

辞典類関係

「芸能辞典」=演劇博物館編(東京堂出版・昭和28)
 浄瑠璃や歌舞伎をはじめ芸能全般についての解説があるので、辞典として便利。
「歌舞伎名作辞典」=金沢康隆著(青蛙房・昭和53)
 浄瑠璃に関係深い作品が多いので、概略を見るのによい。




 (注)この一覧は、園田学園女子大学近松研究所作成の「参考文献」と「江戸人物読本・近松門左衛門」記載の「主要参考文献」などを参考にさせていただきました。



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