| 短編:2006年度千葉ツーリング |
「速行」する。
残された時間は1時間半。
フェリーは待ってくれない。
これを逃すと、一時間近く遅いスタートになってしまう。
・・・どうも、距離を考えると時間が厳しい。
追い風なのをいいことに35〜40km/hで引きまくる。
それでも時間は厳しく・・・。スイッチが入る。「速行スイッチ」が。
このサイトの名前ともなっている「速行班」とは、予約の取れないテントサイトを確保するため、また
距離の長い日に先行して宿の手続きをするため、または宴会の酒の購入するためにひたすら走って
先行する「班」の事だ。
私の場合、速行班の日でなくとも夕方になるとスイッチが入ることがある。
ナイトランを避けて早く目的地にたどり着く為だが、単にスロースターターで夕方になるとノッてくる、
それだけのことかも知れない。
仕事でも定時後になるとスイッチが入る。
しかし、この日は朝っぱらから「スイッチ」が入る。
nakaji氏がきつそうで、信号で止まると「きつい」「腰が痛い」(?)と、『お願いだからゆっくり走ってくれ』と
言葉の裏で表現するが、ここは心を鬼にして走る。
キミのタイヤは23Cだろう。私は28Cだ。
こっちも、心臓がきつい。が、行かねばならない。
平地ではよほどの実力差がないとちぎれないから、俺の後ろに隠れていれば大丈夫だ。
最近読んでいる漫画、「オーバードライブ!」では「ロードレースは筋肉ではなく心臓で走るものだ」
と言う。
これは何を示すか、というと
筋肉→踏み込み
心臓→回転
である。
私は大学時代に回転型にスイッチした。
私の足は瞬発系なので、踏み込み型で走っていると短距離では早いがあっという間に乳酸がたまって
動かなくなってしまう。
そこで、普段は少しながらの長距離筋で省エネして走る回転型にスイッチした。
その分、エネルギー消費は多いし心肺能力もきつい。
今日のこの走りはなにか?というと、短距離筋まで活用した回転型走法である。
これをしているときの私は速い。ただし、距離は10〜20キロが限度だが。
やがて正面に海が開けた。
これまで張っていた緊張の糸、のようなものが一気に緩み、転がしながらターミナルにたどり着く。
予想していた20kmを上回る30kmをこなしてフェリーに乗り込んだ。
乗車予定のフェリーはもうクルマの乗船が始まっており、慌てて乗る。
出港したときには、まだ息も荒く、汗だくだった。
みなふらふらと2等船室の椅子に座り込む。
そして、これまでに出て行った水分を補うべくスポーツドリンクをがぶ飲みする。
AK氏はこのときの私の走りを
「
ホイール替えたから、そのアドバンテージが出ているのかと思った」
と評した。
確かにそれもあるが、必死だったのが最大要因・・・。
それに、AK氏は26インチであるため、ホイールのアドバンテージ的には彼のほうが大きい。
nakaji氏は「これが毎回だったらどうしようかと思った」とのこと。
私もこれが毎回だったら死んでしまう。
この後、千葉に上陸してからも走るのだが・・・はっきり言って、この朝の走りで売り切れて
もはや「惰性」で走っていた。
本来は千葉ツーリング、だったのだが、このツーリングを象徴したのはこの30kmだった。
短い区間だったが、残りの170kmよりも記憶残る30kmだった。
【短編なので完】
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