短編:12月のヤビツ

短編シリーズ3

白い世界
そんなに長く走ってきたわけじゃない。
そんなにオーバーペースだったわけじゃない。
息はあがっているが、足はまだ動く。
だけど。だけど。

世界は真っ白になり、やがて真っ暗になった。

そして、何度足をついただろう。
足を止めて、じっとしていればまた前の通りに走れるようになる。
調子に乗っていつも通り走っていると、今度は息があがるより先に頭が痛くなった。
そしてまた、足をついて休んでは、また走り出す。

そういえば、先週一週間、会社に行くのがしんどかったな。
毎日、半分寝ながら会社行ったな。

今年の健康診断では、赤血球の数が正常の範囲で下限一杯だった。
これは長距離系アスリートでは致命的なことなのだけど、それを体験したのはこれが初めてだった。

毎日の残業のせい?食生活のせい?運動不足のせい?
思い当たることはいろいろありすぎてわからない。

結局、この日は一日ボロボロでみんなに置いていかれた。

きっと、何かの罰だろう。
そう思いながら家に帰る。

「勝手に走りに行っちゃう人は知らないッ」
そうか、毎日献身的に支えてくれるこの人を置いていった罰だったのか。
そう思ってみた。

【短編なので完】

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