コーポラティブハウスの勉強部屋
日本で最初のコーポラティブハウスは昭和43年に4人の建築家が建てたコーポラティブハウス千駄ヶ谷といわれています。集合住宅の新しい幸せな形として、数々の建築の本に紹介されている事例です。
欧米生まれ?
コーポラティブハウスはイギリスが発祥の地だそうで、欧米生まれというのもよく紹介されていますが、欧米のコーポラティブハウスと日本のコーポラティブハウスには大きな違いがあります。
欧米諸国のコーポラティブハウスは、土地、建物、コミュニティ施設を組合が所有し、組合員に賃借権や居住権を与える方式で、外国ではこれが主流だそう。一方、日本の場合は、完成後の住宅及び敷地は一般の分譲(共同)住宅と同様、組合員が所有(または区分所有)する形態をとっています。入居後の管理などはデベロッパーの子会社の管理会社に完全に委託していることが多いので、コーポラティブマンションという呼び名もありました。管理は、管理人のところではデベロッパーの子会社の管理会社に、植栽も別会社に委託しています。
コーディネート会社って?
「企画者、コンサルタント、マネージャーなどとも呼ばれ、企業主導のコーポラティブハウスの場合、事業の企画、組合の結成、事業の遂行の指導などを行い、役割が極めて大きい」(旧建設省住宅局が1978年にまとめた「コーポラティブ方式による住宅建設に関する研究」より引用)
企業主導のコーポラティブハウスをコーディネートする会社の多くは宅地建物取引業の免許者です。中には宅建業免許を持たない建築設計者や都市計画コンサルタントもあったようで、昭和52年当時の建設省計画局からの通達により宅地建物取引業法が適用される旨、通達があり、宅建業者でなければ募集をすることが出来なくなりました。
以下青字の部分は(社)首都圏不動産公正取引協議会のHPからの引用です。問題がすくなくないことがうかがえます。建設省住宅局コーポラティブ研究会の「コーポラティブ方式による住宅建設に関する研究」によれば、「コーポラティブ方式」とは、「自ら居住するための住宅を建設しようとするものが、組合を結成し、共同して、事業計画を定め、土地の取得、建物の設計、工事発注その他の業務を行い、住宅を取得し、管理して行く方式」をいうものとされています。 同研究では、コーポラティブ方式の利点として、要約すると次の諸点を挙げています。
- 共同住宅(マンション)でも、業者の分譲マンションを購入する場合よりも、自己の好みに合った住宅を取得しやすい。
- 自分の住む家作りに自らが参加できるという喜びがあり、良好な環境作りや居住者間のコミュニティが形成しやすい。
- 組合員(居住者)が自らの手で計画作成、請負契約等を行うため、住宅取得コストが引き下げられる。
しかし、反面、次のような疑問点等があるとも指摘しています。
1.については、この方式でも規模、構造等基本的な部分については一定の選択の限界があること、分譲マンションも多様性が増しており(メニュー方式など)選択の範囲は広がっていること、2.については、大規模な街づくりは期待できないこと、参加者が当初からコミュニティづくりを目的としてはいないこと、3.については、従来型の大量供給方式と比べ必ずしも取得費用が安いとはいえないこと、素人が事前協議、近隣交渉などを行う場合かえってコストアップとなるおそれがあることなどです。
次に、コーポラティブ方式は次の3方式に大別されるとしています。
- 方式1:自己の住宅を建設しようとする者の集団が自ら企画し、推進する場合
- 方式2:宅地建物取引業者が、いわば総合企画者として推進する場合
- 方式3:宅地建物取引業の免許を有しない者が企画し、宅地建物取引業者と提携して事業を推進する場合
いずれの方式にもコーディネーター(企画者)がおり、組合員を一般から募集する場合には募集広告をすることが多いが、この場合次の点に留意すべきこととしています。
- コーポラティブ方式により住宅を建設する旨を明示すること。
- 建物の建築、設計は組合員が自ら選定した業者に委託し、請け負わせて行う旨を明示すること。
- 方式3では、当該土地を仲介する宅地建物取引業者とコーディネーターが連名で広告をすること。
また、建設省建設経済局不動産業課長通達(昭和52年3月「組合方式による住宅の建築に組合員以外の者が関与する場合の宅地建物取引業法上の取り扱いについて」)では、組合員以外の者が、業として住宅取得者になるべき組合員を募集し、宅地の購入及び住宅の建築に関して指導、助言等をする行為については、宅地又は建物の取得について売買行為が伴う場合、宅地建物取引業法が適用されるため、組合員以外の者は宅地建物取引業法の免許を有する必要があることを明らかにしています。
宅地建物取引業者が関与するコーポラティブ方式は、方式2及び方式3ですが、組合員募集広告時には建設予定地が特定されている場合が多いので、この場合の組合員募集広告の注意点は次のとおりです。
- 建設予定地は特定されているので、土地に関しては表示規約の規定に従い表示すること。
- コーポラティブ方式の利点のみを強調しないこと。
- コーポラティブ方式により建設する旨を明示するほか、この方式の内容についても分かりやすく明示すること。
- コーディネーターの役割及びその報酬に関する事項を明示すること。
- 建物の設計、発注等は組合員の総意により決定される旨を明示すること。なお、コーディネーターにおいて受注の用意があるときはその旨を表示することは差し支えないが、これを強制するものではないことを明示すること。
- 建物の内容については、当然確定していないので、分譲マンションの青田売り広告と誤認されないよう完成予想図、各住戸の間取り図、面積、取得予定対価等を表示しないこと(もしこれらの表示をするときは、規約第5条の規定に違反するものとして取り扱われるおそれがある。)。
なお、組合員の総意に基づき設計が完了した建物について、建築基準法第6条の確認を受けた後に、組合員の一部が脱退したことによる組合員の補充をするための募集広告については、補充者の意思を反映させることができない旨を明示し、その者が取得できる建物の内容、取引条件を明示する必要があります。コーポラティブ方式による事業を行い、組合員の募集広告を行う場合にもっとも注意しなければならないことは、コーポラティブ方式の名目を使えば、建築確認前のマンションの青田売りができると勘違いする宅地建物取引業者がいることです。
コーポラティブハウスはコーディネート会社の責任を追及するのが難しい仕組みです。このことは前述の旧建設省住宅局の報告書でも、コーディネータに関する問題点として、「業務、責任の範囲に関し、不明確な点がある」「規制、指導をどのように考えるか」とすでに指摘しています。このコーディネート会社自体「うちは宅建業者でもデベロッパーでもないから、取り締まる法律がない」と言いました。企業主導のコーポラティブハウスがすべてそうかどうかはわかりませんが、一般分譲マンションの重要事項説明に当たるものは、土地の売買契約の重説のみです。
{注} 重要説明事項についてはここ: http://myhome.nifty.com/oyaku/kouza/43.htm