コーポラティブハウスの法的構成―分譲マンションとの違い

マンションは住○不動産とか○井不動産といったデベロッパーが計画開発して販売します。それを買いたい人はデベロッパーと売買契約を結びます。だから、一般分譲の場合、欠陥マンション対策の相手方は、マンションの販売者つまりデベロッパーです。

コーポラティブハウスは本来、自らが探した土地に住みたい人が共同で建設組合を結成して設計事務所、ゼネコンと請負契約を結んで建てるものです。この場合は売買契約ではなく、請負契約です。コーディネータ会社のHPでも請負契約と書いてあり、申し込みをすると、コーポラは請負契約です、と言われます。しかし、瑕疵があった場合どんな大きな違いがあるのかは言いません。

民法 第六百三十四条 

仕事ノ目的物ニ瑕疵アルトキハ注文者ハ請負人ニ対シ相当ノ期限ヲ定メテ其瑕疵ノ修補ヲ請求スルコトヲ得但瑕疵カ重要ナラサル場合ニ於テ其修補カ過分ノ費用ヲ要スルトキハ此限ニ在ラス
A 注文者ハ瑕疵ノ修補ニ代へ又ハ其修補ト共ニ損害賠償ノ請求ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ第五百三十三条ノ規定ヲ準用ス

第六百三十五条

仕事ノ目的物ニ瑕疵アリテ之カ為メニ契約ヲ為シタル目的ヲ達スルコト能ハサルトキハ注文者ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得但建物其他土地ノ工作物ニ付テハ此限ニ在ラス

これは民法をそのまま引用したもので、読みにくいのは100年以上も前の1896年(明治31年)に制定されたものだからです。1896年は第一回近代オリンピックがアテネで開かれた年です。民法は六法の一つで、わかりやすく言うと634条は、請負人の担保責任、瑕疵修補請求権・損害賠償請求権で、「少々の欠陥があっても、修繕に過分の費用がいる場合で、欠陥が重要でないならば、修繕しなくてもよい」635条は、注文者の解除権。解除権がみとめられていますが「但し建物その他土地の工作物についてはこの限りにあらず」となっています。コーポラティブハウスが建築物で請負である以上、瑕疵による解除権はありません。

つまり、売買契約の場合(一般分譲マンション)は瑕疵があった場合に契約解除が出来ますが、請負契約の場合には契約解除が出来ません。戸建住宅は請負契約になります。民法が施行された明治31年には、家を建てるのはお金持ちで、大工さんは立場も弱く、貧しかったため、こういう人たちを守るために作られたのが民法の請負の条文です。この仕組みではコーポラの買い手は最も弱い立場におかれるのです。

明治31年に制定されたということは、長屋=横に繋がった集合住宅はあったけど縦に積みあがった高層の集合住宅はありませんでした。つまり、コーポラティブハウスは、高層の集合住宅がない時代に作られた請負契約で高層の集合住宅の請負契約を結ぶものですこの指摘に国土交通省も「う〜ん!」とうなったきりでした。前述のA氏の質問、「どうしてコーポラなんか買っちゃったの?」という質問の意味がようやくわかりました。

今、欠陥住宅が社会問題になっています。その背景には請負契約を結ぶ戸建住宅の場合、瑕疵があっても契約の解除が出来ない、ということが大きな原因になっています。もちろん、売買契約で契約解除に持ち込むにも裁判の手続きをふむなど、容易ではありません。何しろ住宅は建築などの専門知識や法律の知識など、とうてい素人の手には負えませんが、立証責任はナント、原告にあるから、弁護士や一級建築士などの手を借りることになるわけです。当然、時間もお金もかかります。途中で絶望のあまり、諦めてしまう場合も多々あると聞きます。しかし、とにもかくにも裁判という土俵に上がって、解除権を行使できるのが一般売買契約です。請負契約の戸建の欠陥裁判ではどんなにひどい瑕疵でも、建て直しという判決が出て、画期的と言われるほどです。だから戸建の欠陥住宅で泣いている人がゴマンといるわけです。欠陥住宅問題に詳しい弁護士は、この法律に問題があると言っています。

それでも戸建の場合は施主対工務店で修補の話合いをするなり、残金の支払いをストップするなり、対抗措置がとれます。ところが、コーポラティブハウスは修復不能の決定的な瑕疵が見つかっても一般分譲マンションみたいな契約解除の請求はできないのはもちろんのこと、普通の戸建てのように、施工会社と一括で工事請負契約をしているわけでもないので、損害賠償金請求の裁判の土俵にも上がりにくい、というか不可能に近いのです戸建であれば建替相当の損害賠償金がとれますが、コーポラティブハウスの場合自分のところだけを建替えすることはできません。

各々の契約書はすべて建設組合代表で結ばれています。また、コーポラティブハウス取得に要した代金(総額)は、それぞれの業者、土地は不動産業仲介業者、コーディネート代はコーディネート会社、専有部の設計料は設計事務所、本体施行費はゼネコンと、代金をそれぞれに契約し、分散して建設組合が支払うシステムになっているので(実際にはコーディネート会社が代行)、購入にかかった代金を損害賠償金で回収するとなると、全部の業者からかき集めないと全額はもどりません。全業者を被告に裁判は無理に近い。ということは、費用対効果を考えても、裁判にもなりません。このコーディネート会社は私のクレームに対し、仮に返せるものがあるとすれば、コーディネート料だけ、と言っていました。

契約書、書類の数々

一般分譲マンションの売買契約書はA4で6ページ程度でしょう。コーポラティブハウスの場合は業務ごとに契約書を分けているため、たくさんの契約書があります。以下は入居予定者全員が初めて顔をあわせた日に捺印をした書類です。請負契約は後日別途に結びました。

1)決議録
2)建設組合契約書
3)建設組合確認書
4)土地の重要事項説明書
5)土地の売買契約書: 建設組合  売主
6)一般媒介契約書: 建設組合  コーディネート会社
7)仲介手数料支払約定書: 建設組合  コーディネート会社
8)建築士業務委託契約書: 建設組合  コーディネート会社+  設計会社
9)コーディネート業務委託契約書: 建設組合  コーディネー  ト会社
10)住宅金融公庫関連書類3種類

「責任逃れをするために契約書の種類が多くなったわけではない」と、このコーディネータ会社の清O氏が言ってましたけど・・・。