コーポラティブハウスの教訓 - 買うな、キケン!
繰り返す騒音問題
コーポラティブハウスは個人住宅には大きすぎるが、デベロッパーが手がけるマンションには向かない規模の土地が多く、多くは第一種住居専用地区にいっぱいいっぱいに建てるために設計に無理があることが多い。ということは静かな住宅地で、夜間などは暗騒音が低いため、どうしても生活音、設備音などが通常以上に大きく聞こえます。だからなおさら配慮が必要ですが、やってない!実際、コーポラティブハウスに騒音問題は少なくありません。
コーディネート会社の社長の言葉をもう一度引用します。「契約後からお客さんとのおつきあいが始まりますし、クレームはできるだけたくさん聞きたい。クレーム対応をわが社のノウハウとして蓄積して、次のプロジェクトに生かすことができますし、良い対応をすればお客さんの満足度は必ず高まります。満足していただければコーディネート会社であるわれわれの商売は成功したことになるのです。」
本当にクレームをノウハウとして蓄積していたのでしょうか? このコーディネート会社は、私が申し込みをする前の物件でも、よく似た間取りで、よく似たクレームがあり、それを全額業者負担で修補したことを書きました。騒音問題を繰り返し起こし、ノウハウを蓄積するどころか、それまでのプロジェクトで同様のクレームを受けていながら、対策をとるべきなのに、居直る。つまり、確信犯です。さらに入居が決定してから確認書に署名させます。都合の悪いことは後出しにし、クレームできない仕組みを作っています。
自己責任論
イラクの日本人人質問題の時に盛んに言われた言葉です。このコーディネート会社は「コーポラは自己責任である」、といいます。専有部分内で居住者の指示で施工し、不具合が出たら自己責任です。しかし、私や専門家が第一義に指摘しているのは、共用部に起因する生活および設備騒音です。それも自己責任でしょうか?素人相手に説明責任と善管注意義務を果したうえで、自己責任を言っているのでしょうか?
「組合員に形式上の責任はあるが、何でもやってあげるようなイメージをユーザーに植え付けておいて、トラブルになったとたんに“あなたの責任”と言っても言い逃れできないと思う」− コープ住宅推進NGOのある役員の発言です。
泣いている人は一人や二人じゃないってことです。管理組合は?
「管理組合はどう対応したの?」これも相談した多くの方から聞かれました。集合住宅では、本来は完全に専有部だけの問題などほとんどありません。
床(=天井)すらも共用部です。だから、コーポラティブハウスでも一般の分譲マンション同様、管理組合が関与しなければならないのは当たり前です。しかし、管理組合がかならずしも住民の立場に立つとは限らないことがあります。例えばデベロッパーや管理会社と管理組合理事長がべったりというケースが増えていると不動産屋さんはいいます。{注}共用部と専有部についてはここ:http://www.mankan.or.jp/html/faq/01_02.html
騒音は早い段階で気がつく問題ですが、表面に現れない構造の欠陥は1年や2年で露呈しません。欠陥が現れる時は大震災の時でそれが発現した時は命まで失う可能性がある大きな問題を孕んでいます。管理組合はしっかり欠陥問題を把握しなくてはなりませんが、全戸あるいは複数の住居の共通の問題ならともかく、一戸だけに偏在する欠陥は資産価値がさがるといって、問題が表ざたになることを嫌う人がほとんどです。まして「コミュニティ」を売り物にしているコーポラティブハウス、針のムシロと言っても過言ではありません。
住宅にはリコールもPL法もない
たかだか数百円の食品に違法な香料を使ったり、異物が混入している恐れがあるとして、メーカーの告知、お詫び広告が連日新聞に掲載されています。それなのに、はるかに高額の住宅にはなぜ住宅にはリコール制度やPL(製造物責任)法が適応されないのでしょうか?
PL訴訟も含め、日本の現行の訴訟制度では基本的に消費者が立証責任を負っており、訴訟が起こしにくい仕組みになっています。立証に必要な証拠を企業側に開示させる仕組みが未整備なためで、消費者対供給者では、供給者が圧倒的に有利です。PL法が住宅にも適用され、消費者が勝って、企業側に危機意識をもたらすほどの負担がどんどん発生しない限り、供給者のリスク感覚は鈍いままです。まして裁判という土俵に上がりにくいコーポラティブハウスです。当事者はリスク感覚がないどころか、居直るだけなのは私の体験で明らかです。
どんなシステムであれ、違法性がなく、ちゃんと機能するものが支払った対価に見合うものが提供されれば、なんの問題はありません。しかし、前述のように、コーポラティブハウスはコーディネート会社の責任を追及するのが難しい仕組みになっています。専門家が修補すべきである、と言っても、当のコーディネート会社自体が「うちは宅建業者でもデベロッパーでもないから、取り締まる法律がない」と言いました。このせりふは修補しない理由に何度も聞かされました。相手はコーポラティブハウスを作るたびに知恵を積み上げてゆく確信犯、それに対し、居住者は、「最初で最後」なのです。
騒音は住んでみないとわかりません。だから、見えない瑕疵といわれています。このコーディネート会社は音に対する約束をしていないから瑕疵ではない、と主張します。しかし、契約書や販売パンフレットに遮音性能について触れられていなくても、<人の住まい>である限り、プライバシー確保と安息のために生活上支障のない程度の遮音性は当然予定されていると見るべきではないでしょうか。人が作るものだから、不具合が出ることもあるでしょう。それを責めているのではありません。問題は欠陥や不具合に遭遇したときの対処と、どんな法律があなたを守ってくれ、法的救済措置があるか、です。
私の場合、第一回の話し合いで欠陥マンション問題に詳しいA氏のお力添えをいただくことが出来ました。もし、私一人で対応していたら、どうなっていたでしょうか? GL工法もグラスウールも分からないで、居直るコーディネート会社騒音理論に疎い設計事務所の言うままに修補したでしょう。しかし、コーディネート会社の提案した修補では効果はほとんどなかったと思われます。なぜなら、日本建築学会の遮音性基準には「GL工法やグラスウールに遮音性の期待はできない」とはっきり書かれていることも後で知りました。GL工法はスピーカーのように、騒音を増幅するものです。それを知らずにいたら彼らは「修補をいくらやっても、私が満足しない」という非難を私に向けたでしょう。
欠陥住宅、欠陥マンションには共通するものがあります。手抜き、生活騒音などだいたい同じ原因です。そして業者の対応も似ています。欠陥をつかまされたらあなたを待っているのは、数々の「諦めさせる構造」と「欠陥を食い物にする構造」です。トラブルが起こって相談をしようにも、電話かけてもタライ回しされるだけです。相談に行っても、騒音やコンクリート系の欠陥の疑問に真っ向から答えてくれる機関はありません。なぜなら専門家の数はごくわずかだからです。出口の見えないトンネルに迷い込んでしまったようで、行けども行けども光は見えません。こうしている間にも騒音はひっきりなしにやってきます。
騒音なり、コンクリのひびなり、雨漏りといった現象は、どこかで正しく施工されなかったか、配慮を欠いたために起きる現象です。しかし、それを突き止めるには、莫大な費用がかかります。床のスラブ厚がきちんと取れているかどうかは床に穴を開けて測らなければなりません。一事が万事、こんな具合です。まして相手あっての床(天井)や、だれもが使う共用部ですから、ためらわれます。そこがまた悪徳業者の付け目なのです。
だいたい建築の専門家と素人が対等に渡り合うのは不可能です。一級建築士が国家資格だからといって、高い職業意識を持ち、良い住まいを提供しようと全力を尽くすとは限りません。腕が未熟というより、確信犯のデベロッパー、ゼネコンの片棒を担いで欠陥住宅、マンション、リフォームを生み出しているケースも少なくありません。相手は被害者が疲れ、諦め、泣き寝入りするのを待っています
防止策はない
新聞には毎日住宅広告が出ています。マンションの場合は景観を売り物にして、夜景がどれほど素晴らしいかを強調しているものが多くそれに目を奪われてしまいます。肝心な物件情報は、一番下に虫眼鏡が必要なほど小さな文字で書いてあるだけです。コーポラティブハウスの場合には、雑誌グラビアの都会的で個性的なインテリアに惹かれがちです。しかし、本当に大切なのは、安心して住める耐震性や静かな環境です。安らげる生活空間です。しかし、現実には早く、安く効率よく建てるか、だけが優先されています。
「消費者も勉強すべき」これもよく聞くせりふです。購入者は、立地間取り、価格、色々考えるでしょうが、音に関してはモデルルームでは判りません。ましてコーポラティブハウスはモデルルームがないから経費節減が出来ることを売り物にしているのです。だから大手とか実績とかで決めるのだと思います。そういう意味でも信用しているからこそ買うのです。しかし、現実には不動産購入はリスクを伴う脱法的・非合法的行為レベルも十分ありえます。
交通事故の死者は年間約一万人です。車に乗るとき、そのことを心配したら運転できないし、車に乗れません。心配し始めたら、何もできなくなってしまい、社会生活を営めません。不動産も同じです。買うときには、自分が欠陥をつかまされるなんて、夢にも思いません。でも、実際には泣いている人がたくさんいて、その数は増え続けています。東京地裁には建築専門部会が設けられました。用心しても、勉強しても欠陥被害を防ぐ方法はありません。唯一、確かなのは経験者の声です。欠陥を生み出しながら、需要者を愚弄するデベロ、コーディネート会社は過去にも同様の欠陥を繰り返している可能性が大いにあります。