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慢性膵炎と診断されたら(1)

  このサイトを訪れられた方の中には、初めて「慢性膵炎」という診断を受けられた方もいらっしゃると思います。私自身の経験からすると診断当初は、「一体この病気は何なんだろう」とか「この先どうなるのだろう」という強い不安を覚えるのではないかと察します。この病気は私のような慢性膵炎疑診の方まで範囲を広げると、症状における個人差が大きいため、治療法や予後について、はっきりこうなる、とは言えない部分が多いのではないでしょうか。しかし、大体において今後はこういう治療展開が考えられるとか、こういうことに気をつけるべきである、というようなことはあります。
ここでは、初めて慢性膵炎という診断を受けられた方を想定して、今後のおよその方向性や注意すべきことについてまとめています。

薬について(内科的治療)

  膵炎という診断が確定する、あるいは膵炎である可能性が高いという診断がされると、大抵の場合、日常生活についての指導(後述)と、薬物療法が施されます。代表的な薬は「蛋白分解酵素阻害剤(たんぱく ぶんかいこうそ そがいざい)」と呼ばれるもので、製品名では「フオイパン」が代表格です。また、胃酸の発生が膵液の分泌を促すので、膵臓を落ち着かせるため、胃酸の発生を抑制する薬、例えば「H2ブロッカー」(代表薬「ガスター」)と呼ばれる薬なども一緒に処方されることも多いようです。
  こうした薬の効果はあまり劇的なものではないかもしれませんが、長期的にみれば着実なものである場合が多いようです。
  ただ、非常に強い痛みが続く時期(「増悪期(ぞうあくき)」という呼ぶようです)には点滴も処方されることがあります。これは多少即効性が期待できるようです。点滴薬としては「ミラクリッド」「FOY(エフ・オー・ワイ)」「フサン」というものが有名です。私の場合は頑固な痛みがミラクリッドで嘘のようにスーッと消えた、という経験があります。(ちなみに、他の数値の異常のない私にとって、この体験が自分が膵炎であるという唯一の根拠です。)しかし、一回目では非常に効果のあった点滴も数年後の増悪期には全く効きませんでした。理由はよくわかりません。
  痛みが強い場合には痛み止めも処方されるかも知れません。「コスパノン」「ブスコバン」「ロキソニン」「ボルタレン」などの製品名が一般的です。ただ、膵炎の痛みにはあまり痛み止めは効かないということがよく言われます。
  以上が代表的な薬ですが、もう少し詳しくお知りになりたい方はこのページ左側の「慢性膵炎の薬」をクリックしてください。また、漢方薬にも膵炎に処方されるものがあるようです。(私はまだまとめきれていませんが。)
  最後に膵炎の薬の特徴ですが、大変残念なことに、膵炎で処方される薬はどれも、膵炎そのものを根治させるものではありません。炎症を起こしている細胞そのものを正常に戻したり、炎症を起こすメカニズムを完全に正常化するというわけではないのです。薬の開発は今なお進められているとは思いますが、今までの薬が行うことのできる仕事は、炎症をかかえて傷んでる膵臓が、あまり仕事をしなくていいように、膵臓そのものを休ませるということだけです。ですから、膵臓の完全機能回復を望むのではなく、膵臓の悪化を防ぐ、という意味合いで薬を服用しているということです。
  もちろん、だからといって薬に意味がないということではありません。フオイパンなどが効果を発揮するのは、多少時間がかかることが多いようなのですが、徐々にではあっても、荒れている膵臓が落ち着きを取り戻すことで、症状としてはかなり和らぐことが期待できます。ですから、即効性はなくても全体としてはよい方向にむかうことが多いので、気長に服用を続けられるとよいと思います。(もちろん劇症の場合は気長ではいられないので、入院、絶食などの処置が必要な場合があります。)
  

日常生活について

  薬物療法と同じくらい重要なことが、生活面での対応です。具体的には食生活での節制とストレス対策です。膵炎の発症には特発性で原因が不明なものもありますが、多くがアルコール性など生活習慣に起因していますので、生活面での改善が病気の今後に大きく影響してくると思います。
  まず食の節制ですが、この最大なものが禁酒です。男性の場合、慢性膵炎の原因の大半がアルコールによるものらしいのですが、もし慢性膵炎と診断されてしまったら、その日から「定め」だと思ってお酒とは永遠に決別するべきです。(と、どのアドバイスも説いています。)しかし、私もそうですが、現実にはアルコールと決別することは至難の業です。アルコール性慢性膵炎の患者をよく知るお医者さんに以前聞いたのですが、患者のうち9割が酒をやめられないそうです。何度も急患で病院に運ばれて命を縮める人が多かったという話でした。私の職場に来られるお医者さんは、「カオルさん、アルコールは飲んでないですよね。長生きしましょうねぇ」と定期健診の度に優しく脅してくれます。アルコールがやめられない限り、寿命が縮まってしまう、と覚悟しなければならないようです。(残念ながらそうなのです。ホントに残念。)
  もう一つの食の節制ですが、それは、脂質の制限です。  普段お酒を飲まない方にとってはこれが一番大きなことかも知れません。脂質の含まれる食品というと、天ぷらや、肉に付いた油の部分などを想像される方が多いかも知れませんが、実際に脂質を制限して分かることは、実は普段何気なく「おいしい」と感じる部分の中心が実は脂質だったということです。「おいしい」と感じられる部分は大抵脂質なのです。(次ページへ)

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