スクラムシロップ・ニューアルバム『亜細亜児魂(アジアジダマ)』発売記念

タカスギシンタロ作詞曲
元ネタ超短編集

 

 

 

 

 

新聞

真っ黒新聞には過去に起こったすての事件が載っている
真っ白新聞にはこれから起こるすべての事件が載っている

(Newspaperの元ネタ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ことり

ことりいつもえだにひとり
あるひえだにめどりやどり
かなりふとりはねはみどり
ことりほれてえだにおどり
されどめどりつんときどり
されどことりりんとおどり
されどめどりとんできえた

ことりないてないてひとり
ことりないてえだをぽとり
ことりおちたみずのほとり
めどりもどりことりみとり
ことりゆめでめどりめとり
ことりゆめでおどりおどり
ことりゆめでうたうことり

 

(コトリの元ネタ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花の種

この小さな兵器を仕掛けられるだけ仕掛けてやれ。

 

(花の種の元ネタ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

第28回西荻ブックマーク「超短編の世界」でSHIRAISHI KENさんと朗読したおみくじ超短編のテキストです。

 

綱渡り(大凶)

 あなたは綱渡りの男を見上げている。はらはらドキドキ、あなたは手に汗を握っている。と、急に男はロープの上にしゃがみ込む。そしてなにを思ったのか携帯電話をかけはじめた。あなたの携帯が鳴る。綱渡りの男からだった。「ひさしぶり。上から見ていてもすぐわかったよ。いいところがあるんだ。あとで行こうよ」ところが男は携帯を落としそうになり、あわててキャッチした拍子に、ロープから足を滑らせてしまった。
 落下した男のまわりには人垣が出来てあなたはまったく近づけない。すぐに救急車が来て男を運んでいった。その時またしてもあなたの携帯が鳴る。「だいじょうぶ。へいき。へいきさ。それよりいいところがあるんだ。あとで行こうよ。それはロープを渡った向こう側にあるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胡桃割り人形(末吉)

 どうやっても割れない丈夫な胡桃だ。たしか胡桃割り人形があったはずだと、あなたは古い納屋の戸を開けた。すると中かから躍り出てきたのはひとの背丈もあろうかという巨大なくるみ割り人形。「バカモーン!」「ショーネガクサットル!」「オレハダレダー!」とくり返し、あなたを正座させ、あごをかちかちと鳴らして威嚇する。あなたは隙を見て胡桃割り人形の口に胡桃を放り込んだ。反射的に胡桃を割った人形はハッと気づく。「オレハクルミワリニンギョウダッタ」。そして安らかな顔で眠りについた。あなたは胡桃を拾って口に放り込む。いつしか「オレハダレダー!」があなたの口癖になっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開花(大吉)

 あなたは種を蒔こうと思っている。しかし心の底ではどうせ花なんか咲かないと思っている。
 不思議なことが起きた。種を蒔く前にもう、地面に双葉が開いているのだ。水をやろうとしたときにはもう、本葉が現れている。支柱を立てようとしたときにはもう、蔓が伸びている。肥料をやろうとしたときにはもう、花が咲いている。そしてあなたが花の香りをかごうとしたときにはもう、種が手のひらに転がっている。
 あなたは種を蒔こうと思っている。きっときれいな花が咲くと信じている。

 

 

 

 

おしまい