「長良川千本松」の巨ベラ(岐阜県)
三重県、岐阜県、愛知県をまたぎ、西から揖斐川、長良川、木曽川と名だたるみっつの川がとうとうと伊勢湾に流れ込んでいる。総称して「木曽三川」と呼ばれている。いずれも、巨ベラの宝庫と言われているが、当地に転居して1年経過するもまだ、その姿は見ていない。
昨日まで飄助さんからFAXやTELで詳細な情報を貰っていたので、今日ばかりは道に迷わない。国道258から東に入ると、木曽三川を順番に渡って行ける。揖斐川、長良川を渡り、木曽川を右手に見て土手沿いを上流に向かう。土手下の両側は、菜の花が満開である。まるで、黄色い絨毯を敷き詰めたようだ。
土手を1.5kmほど上流方面に行くと、松が土手を挟むように上流に向かって等間隔にある。「千本松」とは、下流側は揖斐川から、上流側からはこの長良川と木曽川を挟んで、ずらっ〜とあることから、こう呼ばれている。
そして木曽川の「千本松」が始まった付近に、長良川の本流から切り取られたようになっているワンドがある。全体の長さは500〜600mぐらい。土手の上からワンドを眺めると、本流側に葦が覆い茂っている。幅は20mぐらい。釣り人は、いない。土手の上では木曽川に向かって望遠鏡を覗くバード・ウォッチャーが3組みほどいる。
車を停めて朝もやの中で土手をうろうろする。上から見ると、ポイントはいくらでもあるように思える。所々に刈り込んである場所もある。土手の下に降りて足場を確認する。上流側にいったん行って、下流側に向かう。往復すること3回。ここぞと思うところに釣台をセットした。
竿は15尺を出した。道糸1.5号、ハリス08。まずは、マッシュ3とフラッシュ2、藻べら1をブレンドした。第一投は、am6:30。棚は、オモリから浮子下まで50cmぐらいだ。ハリスの長さを入れても1m弱である。流れはない。風もない。眼前の葦をじっと見ていると、今にもヘラがはたきそうな雰囲気がある。が、鳥のさえずり以外は、なんの音もしない。ときどき、どこかで バシャッと水の音がする。はたして、ハタキの最中なのか。もじりは、ない。
ともかく、餌を打つ。浮子がなじんでは戻す。サワリはない。あっと言う間に1ボール打った。ジャミのアタリもない。
次に、ちょい待ちの餌を作る。マッシュ2、グルテン1、フラッシュ2。今度は、浮子の戻りが緩やかだ。遅くはないが、さっきよりちょっと間がある。これも、あっと言う間に1ボール打ち込んだ。相変わらずアタリは、ない。サワリも、ない。ジャミのアタリもない。
上空では、ヘリが飛んでいる。辺りがざわついてきた。
揖斐川と長良川を渡る橋のそばに、「木曽三川公園」がある。今、「チューリップ祭り」が開催されている。ハイネケン(ビール)が来園者に振る舞われる。揖斐川側の堤防は、すでに車が数珠つなぎになっている。
今度は、じっと待ってみよう。マッシュ1、グルテン2。棚も、底に合わせる。今までより10cmほど浮子をあげる。ハリスも06にした。針もやらず8号からグランの6号。これも、1ボール打ち込んだ。だが、まだサワリもアタリもない。ジャミのアタリさえない。
ここでへこたれては、いけない。と自分に言い聞かせる。今日は、巨ベラだけを狙いに来たのだ。ただただアタリがあるまで、餌を打ち込むしかない。長良川にマッシュの山を作ってやるのだ、と心に決めてきた。
am10。再び、ばらける餌を作る。今度は、集魚材を抜かして、マッシュ3、フラッシュ2。半分は、ちょっと練り込んでみる。浮子も軽めのものに変えてみる。また1ボール打ち込んだ。が、相変わらずアタリは、まったくない。サワリもジャミのアタリも、ない。どうなってるんだろ。わからない。ひょっとして、ただの水溜まりにマッシュを打ち込んでいるのだろうかと思ってしまう。疑心暗鬼が全身を襲ってくる。
餌をまた作る。今度は、寝るまで待とうホトトギスだ。
マッシュ2、グルテン2。浮子はゆっくりと、というより なかばやけくそ気味になじんだままだ。そして、なんの変化もない。相変わらず、サワリもアタリもない。
am11:30。飄助さんが到着。夜勤明けとのことで、ちょっと顔が赤らんでいる。
しかも目の前の渋滞の列にはまって、悪戦苦闘していたという。あんたも好きねぇ。などと、冗談を言う雰囲気ではない。なにしろまだ、こっちはサカナの顔を見ていない。長良川の巨ベラに、まだ会っていないのだ。
一休みして飄助さんとワンドを往復する。
飄助さん;「いいとこだねぇ。いかにも、って感じだよねぇ。」
クワマン;「うん。あの葦を見てると、すぐそばにヘラがいそうだよね。」
飄助さん;「ほんと、これはいい時に来たら答えられないよね。きっと。
いいとこだなぁ。」
「今日は最高の場所とれたんじゃないかなぁ。でも、もじりがないねぇ。」
クワマン;「うん……。」
飄助さん;「で、5時間、ジャミのアタリもないの?」
クワマン;「うん……。」
そして、結論が出た。
飄助さん;「今日はサカナ、いないね。」
クワマン;「……。」
次回に雪辱を果たすことを誓い、今日のところは勘弁してやる、などと悪態をついて撤収した。