巨べら師の秘密(日光川・愛知県)
2000年8月26日
このホ−ム・ページを立ち上げて、そろそろ1年になりました。
もし、『世界怠け者選手権』とか『三日ボウズピック』なんてものがあれば、まず、メダル獲得が確実なボクが、内容はともかく、1年間もこのような厄介なものを続けることができことは、奇跡としか言いようがありません。
最初の頃は、一体いつまで続けられるものだろうかと不安がいっぱいでしたが、なんとかかんとか今だもって続けられています。きっと、ボクのことを知っている人が見たら、何か悪い病気になって余命が幾ばくしかないのだろうと思うに違いありません。残念ながら違います。ボクは生まれ変わったのです。(^_^;)
これもひとえに、掲示板にカキコキしてくれた釣友や、ご親切なMAILを送っていただいた方々のおかげです。ここに、改めて厚く御礼を申し上げます。
いつ挫けてしまうかも知れませんが、これからもボチボチと更新をしていきますので、よろしくお付き合いくださいませ。
今回は、最近、I_NETでお知り合いになったMさんと、日光川に行ってきました。しかも、ナイター!!
画像はありません。相変わらずの駄文で、しかも何故か長文です。レイによって、誤字脱字キレジなどなどは、予めご容赦のほどを。☆
8月に入ってHP経由で知り合ったMさんと、ナイター釣りに行くことになった。
ナイターの釣りは、ボクにとってはほぼ1年ぶりのことだが、彼の場合は、ほとんどナイターしかやらないという。しかも、チャンベがイレパクならばボーズ覚悟で40上の可能性を追求したいという。要するに、博打打ちのような釣りが趣向のようである。
Mさんは、現在、東京から名古屋に単身赴任の身とのこと。4月に単身乗り込んだが、釣行は一度もないという。Mailの行間にも相当入れこんでいる様子が伺える。(^_^;)
実は、この辺の気持ちは、ボクにはよくわかる。
ボクも97年に関東から転居してきて、右も左もわからなくて釣りに行けずジクたる日々を過ごした経験がある。この時は、たまたまPC通信(Nifty_釣りフォーラム会議室のbP5【波紋】)やWEBで近隣のへら師と知り会えたからよかったものの、もし、PC通信もWEBの世界にも足を踏み入れてなければ、今ごろは釣りそのものを断念していたかも知れない。
WEBの世界はどんどん開放されている。一体、どこまで広がるのは、もともとアナログ人間のボクには想像もつかない。一方のPC通信。一昔前の巷では「ネ暗」とか「引きこもり症候群(予備軍)」とかいう偏見があった。実のところボクも97年まではPC通信をやるつもりはなかった。が、百聞は一見にしかず。グローバルな関係性を望むならば、むしろWEBの世界よりもPC通信のほうが懐が深いのではないだろうかと思った。しかし、携帯電話でWEBの世界に入りこめる今日この頃では、殆ど文字だけの世界のPC通信の衰勢は防ぎ様もないかも知れない。
ともかく、ボクは今までPC通信やWEBの世界があったからこそ(ちょっと大袈裟)、今、へら鮒釣りを堪能できていることは事実である。ボクの気持ちとしては、この恩恵を得た恩返しも意味も込めて、もし、同じ様な境遇(?)のへら師がいれば、これからも積極的にOLMを実行していこうと思っている。
え〜、ちょっと横道に走り過ぎました。(^_^;)
そそ、Mさんのリクエストに適う場所探し。
正直なところ場所の選定ではちょいと困った。ボクには荷が重過ぎるのだ。だいたいボクの釣りは、WEBの世界では「ネコ科」に属している。ので、「トラ科」のMさんのご期待に応えることは難しい。釣友にも相談したが、これと言った決定打はない。結局、実績がある(もっとも昼間だけど)日光川(金属団地前)に行くことにした。
26日PM3に名古屋のTV塔の側で待ち合わせをした。こちらからは風貌や車種など細かいことは特別、説明しなかった。週末の真昼間の目抜き通りに独特なへら釣り道具を持ち歩いている人間なんて、そうそういるわけがない。案の定、彼とはすぐに合流できた。今日は、なんと奥方が同伴。
ご両人とも中京地区ははじめてで、まだ散策もままならないとのことなので、まずは観光気分でドライブ。名古屋高速を一周して一路名神へ。
車中ではMさんのこれまでの釣歴を聞いた。
歳は五捨六入すれば(^_^;)ボクと同じだが、へら鮒釣はかれこれ25年というツワモノ。特にここ13年間は「相模湖」の、しかもナイターの釣りを一直線。釣り道具の殆どは船宿のロッカーにあり、舟はほとんどマイ・ボート同然。釣行は、土曜日の午後に家を出て帰りは日曜日の午後。これを春夏秋冬10年以上続けている、という。ま、要するに典型的な「ゴクドウさん」ですな。(^_^;)
さて、車は岐阜羽島ICを降りて木曽川にかかる「馬飼大橋」を渡った。
夏の間は橋の上流側がポイントのひとつである。しかしさすがに38℃を超す日中には釣人はいない。何故か、水際まで入りこんでいるはずの取付道路は、閉鎖されていた。そう言えば一昨日の夕方に下見がてらに覗いて見たら、ガキンチョどもが花火を持ちこんで遊んでいた。きっと、彼らを締め出すためなのだろう。おかげで釣師も入れない。
広大な川面を見てMさんは、「かぁ〜〜〜、めちゃめちゃポイントがありそうですねぇ。」「ほら、あそこのブッシュとか。おお、あそこもいいんじゃないですか。」と、はしゃいでいる。仕掛けのこと、エサのこと、様々な状況を想定してバーチャルな釣り談義になる。いつまで経っても話にきりがないので次なる場所へ。
長良川と木曽川を結ぶ「閘門」に案内した。
昨年、飄助さんに案内してもらったところで、ボク自身はまだへら鮒を釣り上げていない。20世紀最後のリベンジ対象場所第1号のところである。水は普段より1m以上も増水していて雰囲気はいいのだが、釣り人はいない。
ひととおり解説めいたことを終えると、彼は「これは、絶対、ナイターですね。必ず釣れますよ。15尺で充分でしょう。」と断言する。おまけに奥方にも「いいとこだよね?」などと同意を求めている。奥方は、返事のしようもなく、また、ニコニコと頷いている。
こないだトラアスロンのオリンピック選考会が開催された「木曽三川公園」や、あの秀吉の立身出世物語に必ず登場する「一夜城」などを案内して(もっとも、通り過ぎただけだけど。^^;)、今が話題の旬の「長良川河口堰」を経由して目的地の日光川に向かった。はじめて奥方が喜んだのは、この夏に登場した「長島スパーランド」にできた世界一の記録ずくめのジェットコースターを23号線から見たときだった。その感想は「恐そう!!」。
おなじみの日光川の護岸は、いつのまにか堰堤工事がはじまっていた。小さな水門を取り壊している最中である。護岸には雑草が覆い茂っていて、ここ最近は釣り人が入った形跡がない感じである。護岸には増水したときに流れ着いたゴミがテンコ盛りだ。正直なところ、戸惑った。果たして釣りになるのか。
Mさんは、やる気満々である。ともかく場所を設定した。
ボクは早速、彼のウキケースを覗きこんだ。と、20本ほどあるウキのうち、昼間用のは1本だけである。あとはすべてナイター用だ。興味が湧いたのは、そのナーターウキの仕様である。そのトップのほとんどがムクなのだ。ボクが持っているN社製の2点灯式とは、まったく違う。普通のウキのように見えるが、根元にはリチウム電池が入るようになっている。解説してもらった。
トップは光ファイバーケーブルで、ボディに発光ダイオードが入っている。エネルギーはリチウム電池。発光ダイオードの色は企業秘密。なるほど、トップはきっちり黒帯びもあって、赤、オレンジ、グリーンがはっきりしていて、昼間の釣りにでも使えるようなものである。
よく見ると、トップには螺旋状に極細の切りこみがある。
単に発光ダイオードを光ファイバーに通すだけだと、先端だけが光るだけで、ただの光る棒になってしまう。そこでファイバーに螺旋状に切りこみを入れて光りを逃がす。螺旋の切り方で発光の仕方がまったく異なる。とのこと。この切りこみ方も企業秘密。
中にはデブトップのものある。宙の釣りで重いエサをもたせるためらしい。つまり当たり前だが、釣り方によってウキをチョイスする。好意に甘えて、底釣り用のを借りることにした。マッシュでもきっちりナジミがでるという。まだ日没には時間はあるがウキの調整をした。おっそろしく見易い。このま昼間でも使えそうである。
彼の仕掛けは、ボクが今まで見てきたどの仕掛けよりもワンランクもツーランクも太い。道糸はPライン。ハリスは1.5号。ハリは10号。これで細めだという。ボクのヤラズ8号のハリを見て、「そんな小さなんで大丈夫ですか?」と心配してくれている。一体、何を釣ろうってのだろうか。
午後7時頃になって、すっかり暗くなった。ナジミを確認するためにカラバリで竿を振ってみた。ウキのトップは真っ黒な水面にくっきりと輝いている。18尺で1本ちょいのタチを示すウキは、黒帯まではっきりとわかる。波があっても苦にならない。今までのナイターウキとはまったく違うものだということは、ボクにでもわかる。ちょっと、ショックを受けた。
今日は新月なのだろうか。月明かりがない。
と、突然、川面が騒がしくなった。ボラとおぼしきもじりがあちこちで始まり、これを待っていたかのように、わけのわからないもじりが広い川面全体に出現した。足元でも魚が跳ねている。そして30分もするとだたっぴろい川は、養殖場にエサを撒いている状態のようになった。はじめて見る光景にボクは呆然と立ちすくんでしまった。一体、何がはじまったのか。
エサ打ちしてすぐ、「やった!!」という声がした。見るとナイターウキが宙をい舞っている。
「2投目ですよ。いや、まいったなぁ。なははは。」などと声が弾んでいる。久しぶりの感触なのだろう。子供のようにはしゃいでいる。奥方も思わずタモの中を覗きに側まで行っている。
なんだよ、まるで新婚さんみたいだなぁ、と呆れていると、
「ひぇ〜〜!!!」「な、なんだこれぇ〜〜??!!」
はて?確かに竿の曲がり具合はオサカナさんだと思うけどなぁ、まさかドザエモンってことはないだろう、と覗きに行く。恐れ恐れライトでタモ網を覗くと・・。
な、なんと「うなぎ」。天然モノだ。しかも40上。喜んでいるのは、奥方。
奥方 「これって、食べられるんですかぁ?」
Mさん「誰がサバクんだよ。オイラはやだよ。」
長島界隈を走っている時に、「このへんは夏はうなぎ釣りが盛んなんですよ。」「一度やってみますか?」などと軽口をたたいたが、ホントに釣れるとは・・。
午後8時頃から9時頃までは、ウキは動きっぱなしになった。
へら鮒もきっちり釣れた。第1号はボクが釣り上げたが、あとはMさんの独断場のようになった。奥方は、へら鮒というサカナを見るのがはじめてだったらしく、釣れるたびに彼とボクのタモ網に交互に覗きに行く。
9時を過ぎた頃になって、突然、下流から上流に向かって流れが出始めた。潮の加減だろう。だんだんウキのシモリが激しくなってきた。これに合わせるかのように、あれだけあったもじりがピタリと止んだ。アタリもなくなった。そして、静けさだけがボク達を包み込んでゆく。
こういうときは、人間様にエサ打ちするしかない。
車座になって、夕食というか夜食を食べる。話の内容は会ってから一貫している。相模湖のこと。彼のこれまでの数々の経験やナイターウキのこと。話がはじまると、終わりのない話になる。決して、よくある天狗様の話ではない。いずれもボクの知らない貴重な体験談である。だんだんナイターの釣りに洗脳されそうになる。
それにしても、と思う。今日会ってから、一度も奥方からはグチめいたことを聞かない。そりゃぁ、まぁ、初対面の人に「ったく、宅のがご迷惑をおかけしてるんでしょうねぇ。」などと、エラそうに能書きをたれる輩(いるんですよ、これが!!約1名。(^_^メ))は、そうそうはいないとは思う。思うけど、それにしても、その懐の大きさを感じさせるものは、いったいナンなんだろうか。諦めなのか。信頼なのか。やっぱり、愛情・・?
12時頃になって流れも止まると、ほとんどイレパク状態になった。外道は、お約束のなまず。尺半はある。Mさんのエサに飛びついた。
ボクのヤラズ8号が飛ばされた。やはり仕掛が細いのか。ハリスは1号だけど。
釣れるのがチャンベばかりなので、痺れを切らした彼は、それまでの仕掛をもひとつアップさせた。ダムサイト鈎に2号のハリス。
ボクは2時頃になって、ギプした。ともかく、疲れてしまった。車の中でちょっと仮眠するともりだったが、結局、5時まで寝てしまった。
一方、Mさんの奥方は、10時ころから2時間ほどやはり車の中で仮眠をとったものの、それ以外はMさんの側で釣るようすをぢっと見ていた。別に何をするというわけでもなく、まるで、海辺で遊ぶ子供を眺めるような母親のようにただ、見ている。時折、彼が「**ちゃん。」などと声をかけていたようだが、これは10年以上も連れ添っている相方への話し方ではなくて、ほとんど恋人のような口ぶりである。たぶん、ボクにはできないなぁ。蒸し暑かったのは、夏の夜のせいばかりではないようだ。
さて、肝心なへら鮒釣りだが、結局、ボクはツ抜けがやっとだったものの、彼は30枚以上も釣り上げた。残念ながら目指す40上には程遠いサイズだった(ほとんど8寸)けれど、それなりに楽しめたようだった。
ところで、こんなヤクザな遊び人を大空のように包み込んでいる奥方の正体をなんとか見ぬこうと思っていたが、とうとうわからず仕舞いだった。会ったときから別れるまで、ともかく終始にこやかに、淑やかに、まるでお釈迦様(会ったことはないけど。^^;)のような雰囲気を持った人だった。
いやはや今回の釣行は、相模湖のナイター談義や特注のナイターウキよりも、遥かに摩訶不思議なものに出会ってしまった。巨べら師のそのチカラの源泉は、実は奥方のチカラなのだと、つくづく思い知らされた。決して、「タイミング」だとか「運」だとかではない。ボクはこの意味で巨べら師にはなれないと思った。☆
7時30分。
Mさん達を送って家に帰ると、すでに駄犬とかあちゃんは起きていた。
「あらあら、目が真っ赤じゃない。お昼までは寝てていいわ。どーせ暑いし。あ、クーラーもかけておいたわよ。え?メイも一緒に寝たいってよ。」
かあちゃんの声がいつになく優しく聞こえたのは、ナイターと送迎で疲れているせいのか、はたまた暑さのせいなのか。それともラブラブのようすを一晩中見せ付けられて、妙な幻想をいだきはじめているせいのか・・。
冷たいシャワーを浴びながら、次のナイター釣りをどうやって切りだそうかと悩んだ。が、すぐに諦めた。いま言い出す話題ではない。20年の歳月が育んだ経験値が出した直感はダテではない。どんなCPUよりもすばやく、正確である。
ボクはよく冷えた寝室に這うようにしてもぐり込んで、気を失った。
おしまい。
最後の最後までお付き合いしていただき、ありがとうございました。m(_ _)m