40上の代償(入鹿池・愛知県)

2001年5月3日

愛知県犬山市にある「入鹿池」(いるかいけ)は、冬場はワカサギ釣りで賑わうところだ。ご多分に漏れず、休日になるとバサーのボートが徘徊する。とは言っても、この季節はへら師が幅を効かしているので、他のダム湖よりは気にならない。

今年は4月上旬から尺半が結構釣れていて、いつもより釣り人が多いという。そんな新鮮な情報をMAILでちょくちょく知らせてくれる人が2、3人ほどできた。「どこそこで48cmが釣れた。」という結局は終ってからの話しではあるけれど、それでも「釣れない。」という話よりは景気がいい。

そんな情報を頼みに、5月2日から0泊3日の予定を組んだ。
2月の蟹江川以来、延々と巣作っているボーズ菌を払拭しようという計画だ。参加者は「波紋」からはご存知飄助さん。予定ではI_NETで知り合った木曽川のIさんを加えて、かつ、ドタ参を期待してOLM風にしようと思っていた。

2日午後4時。予定どおり「入鹿大橋」に到着した。
赤い橋の上から下を覗くと、いつもは満々と水をたたえている川に水がまったくない。川筋は小川ほどになっていて、本湖に向かっている澪筋が丸裸だ。橋の袂から本湖まで直線距離にしておよそ300mほどある。減水しているとは聞いていたけれど、これほどとは。それでも遥か本湖の水辺に見なれたパラソルがポツンと一つ咲いていた。

入鹿大橋から本湖を望む 遠く中央に見えるのが、本湖。
手前の水溜りのように見えるのが本来は満々と水を溜めている川。
ちょーの減水(これを自力走行しなくちゃならない。(-_-;))


ともかく日のあるうちに偵察をと思い、本湖に向かった。直線距離では300mほどだが、もちろん真っ直ぐには行けない。元々川底のところを歩くのだから、足場に気をつけながらくねくねと先客がつけた足跡を探して歩く。

「コンチワ。どんな感じですか?」

へら師は、同じ匂いを持っていると思う。見ず知らずの人とでも、すぐに業界用語で話しがはずむ。今日も大勢が竿を出したが全員が沈没で、3時過ぎにはみんな撤収したという。「この雨ですしね。え?これからナイターですか?」水曜日しかお休みがとれないというこの若者は、ちょっと恨めしそうに振り返った。

Mr.Wed? 水曜日しか釣りができないという、へら師さん。
アドバイスをありがとう。m(_ _)m

また、どこかでお会いしましょうね。


もう一つのポイントのワンドにも行ってみた。有名なワンドで、今年もかなり尺半が釣れている。が、工事の関係で車を農道に違法駐車して、しかもいつもより500mほど余分に歩かなければならない。しかも人っ子ひとりいない。諦めて、橋の袂に戻って覚悟を決めて荷物を担いだ。そうそう何回も往復するわけには行かない距離と足元だ。何度も荷物検査をして車のキーを腰にくくりつけたポシェットの放り込んで進撃した。

やっとたどり着いた釣り場は、タチが1m弱。バカでかい電気ウキではちょっと辛そうなので、ケミホタルをセットした。ウキが小さくてすむ。日が落ちるまで頑張っていた水曜日定休の若者は、名前を名乗って帰って行った。お互い再会を楽しみに。

追撃体制が整ったというIさんから連絡があったが、一向に音沙汰がない。
イヤな予感が的中してしまった。全損事故起こしてしまったという。幸い怪我はなかったとのことだが、結局、リタイア。連休中で代車がないという。一方、頼りにしていた飄助さんは残業。つまり、たった一人でのナイターへ突入となった。見渡す限り、もう人っ子ひとりいない。すでに背中はずぶ濡れになっている。

夕闇迫る入鹿池 2日。夕闇迫る「入鹿池」
雨は、容赦なく降ってきた。


10頃までに3回のアタリを見た。が、いずれも空振り。雨足がどんどん強くなって、雨の波紋でとうとうウキが見えなくなってきた。それに、めちゃめちゃ寒い。(こりゃぁ、あかんわ。一眠りしよう。)と、ネコることにした。真っ暗な川底をやっとのことで渡りきって、橋を登ったところで車のキーを取り出そうとした・・・。!!!が、ない。!!!ま、まさか。

いっくら探しても、ない。釣り場まで2度も往復して闇夜の中を捜したが、ない。まいった。取り敢えず家に電話をかけた。スペアー・キーがあるはずだ。確かアソコに。んが、見当たらないという。え?な、ない!!そ、そんな!!こういうパターンは、経験がない。どーすんのよ!!

こんな山の中で、しかも土砂降りの夜中。頼みの綱は、この携帯電話だけだ。
危機管理の思考回路っていうのは、いざとならないと働かないようだ。少ない脳みそで考えた結果、キー・ヘルパーを探すしか方法がないとの結論に達した(以前の仕事で何回か頼んだことがあった)。幸い、取引先の整備工場の重役を捕獲できた。土砂降りの中を2時間待って、やっとオタスケマンが登場した。地獄に仏とはこういうことに違いない。やっと鍵が出来あがったのが2時。ようやく仮眠ができると思ったら、このオタスケマンは話し好き。3時過ぎまで帰ろうとしなかった(目が冴えちまっただよ!!ですと)。今度は、鬼に見えた。

5時前にはいったん目が覚めたが、暫く動く気がしなかった。1時間ほどまどろんで、雨足が弱くなったのを見計らって再び釣り場に向かった。昨夜より川の水かさは増えている。これは逆に歩きにくい。ゴム長の中に水がジャバジャと入り込んでくる。つ、冷たい。
と、いつのまにかこの雨の中にパラソルが咲いている。驚くことにすでに10人以上がエサ打ちを開始している。そろそろ飄助さんが来る6時だ。が、これまた音沙汰がない。ま、まさか・・・。

朝の入鹿池(3日) 3日の朝6時の「入鹿池」
このあと、釣人がどんどんやって来た。

ちなみに、手前から二人目のブルーのジャケットを来た人は、ボク達が帰り支度をしていても、一向に手仕舞いするようすはなかった。
(釣果はどーだたのかなぁ・・)


「ごめ〜ん。寝過ごしたぁ〜。」と、いつもの明るい声が聞こえたのは9時を過ぎていただろうか。ともかく隣に竿を並べることができたときは、内心、ほっとした。これ以上のトラブルは、もうごめんだ。

エサ打ちを開始して、暫くして最初に竿を絞ったのは飄助さんだった。すでに釣り人は20人ほどになっているが、竿を絞っている人は稀である。しかもへらさんは釣れていないという。さすがだなぁ。と、あがってきたオサカナは尺上のガングロさん。ま、しかしアタリナシよりはよほどいい。飄助さんも照れ笑いしながら、まんざらでもなさそうだった。

お昼頃になって、突然ウキの動きが激しくなった。雨はほとんどやんでいてウキも見やすい。ちょっとしたサワリらしきものがあったあとに、パイプトップが2節沈んだ。間髪合わせると、ノッタ。
タチが浅いせいだろうか、いきなり沖目に突っ走って行く。2号の道糸が音をたてる。1号のハリスにはクッションをつけていた。万が一のことがあるかも知れない、とほんのちょっと思っていた。やっと糸鳴りがおさまって魚体が現れた。これが真っ白なへらさん。サイズは35cmほどだがなんとか、これでボーズを脱出できた。

1日にゲットしたおニューのデジカメを引っ張り出して、早速、フェインダーを向けた。初めての被写体だど。むふふ。え?う、動かない??な、なんでやの??何回やっても、動かない。朝イチで風景を撮影したばかりなのに。どうも雨で濡れてどこかが接触不良を起こしているらしい。ちぐしょーめ。

それでも2月から感染しているボーズ菌を追い出すことができたのだから、と自分を慰めてエサ打ちをした。と、30分もしないうちにまた釣れた。今度は36.5cmだ。もう一回デジカメを向けたが、やはりウンともスンとも言わない。ち、ちぐしょめーーー!!
飄助さんも、順調に竿を絞っている。都合3枚のガングロだ。「なんで?どーしてオイラには白いのが来ないのぉーー。」と叫んでいる。

飄助さん

強風の中で21尺を振りまわす飄助さん。

「40上を釣るまで帰らへんでぃ〜」と叫んでいたけど・・。


雨が上がったら、少し風が出てきた。真正面の風だ。これは、いい。大量の雨のせいか、水が澄んでいる。この風で濁りが出れば、ひょっとするとひょっとするかも知れない。なんて、都合のいいことを考えていたら、いきなりウキが消しこんだ。サワリとか前触れとかは、まったくなかった。いきなりである。手が勝手に動いた。竿が曲がったまま、動かない。管理池の釣りならば間違いなくスレの引きだ。クションのおかげなのか、何回もノサれてもハリスは切れなかった。あがってきたのは、きれいなへらさん。かなり大きい。

飄助さんも思わず駆け寄ってきて、検寸してくれた。42.5cm。やった!!

紛れもない40上だ。さ、デジカメ。え??ま、まだ動かない。がーん。折角の40上なのに・・・。ぐやしぃよぉ〜〜。最後の言葉は、実は飄助さんだ。なんでやの?ボクにはどーして白いのが釣れないの。と、独り言の声が大きくなった。3時も過ぎた頃、風が強くなってきて竿が思うように振れなくなった。3回に1回はエサがとんでもないところに飛んで行く。さすがの飄助さんも21尺は諦めて16尺に替えた。と、いきなり竿を絞る。あがってきたのは紛れもないへらさん。35cm。さ、次は40上や!!とエサ打ちにも力がはいっている。ボクの方はというと、風アタリしかない。ときおりアタリらしきウキの動きに合わせをくれても空振りばかりだ。そろそろ右肩も痛くなってきた。

「今日は40上が釣れるまで帰らないからね!!」と、いつになく気合が充実している飄助さん。気がつくと、釣り人は櫛の歯が抜けるようにひとり、またひとりと居なくなっていた。聞くと誰も釣れていないという。さて、予定どおりこのままナイターに突入しようかな、と思っているとウキがへんな動きをし
ている。食い上げかな?と思って竿を立ててみたら、ノッタ。

しかし、あまりファイトしない。それでものっそりと顔を出したのは、果たしてへらさんだった。「あれ?40上あるんぢゃない?」と、目ざとくこっちを見ている飄助さん。そーかなと、半信半疑ですくってみると、なるほどかなり大きい。念のために検寸してみると、41cmジャスト!!

飄助さんの後姿(^_^;) 夕方になって、増水してきたようだ。飄助さんは、膝まで水がつかっているのに、ぜんぜん気にしない。
やっぱ、「トラ」です。(^_^;)


なんと40上が2枚も釣れた。気合を入れなおして、予備のインスタントカメラを車に取りにいった(なんでもっと早く行かなかったんだろ?)。今度こそは、二度とないシャッター・チャンスだ。へろへろになって、やっとのことで往復して帰ってみると、あれ?いない?が〜ん。逃げられてしまった。なんて
不運なボク。

もう、これで思い残すことはなくなったので、予定していたナイターはやんぺにした。これ以上モノがなくなったり壊れたら、家に帰れなくなる。ゴム長の中も水浸しで、常駐している水虫も溺れている。あ、そうだ、家に電話しておこう。暖かい味噌汁でも作ってもらおう。と、思ったら今度は携帯電話が繋がらない。ぐぇ〜〜。電源も入らない。どーなってるの。

ずぶ濡れになった体に鞭打って、ようやく車にたどり着いたのは6時を回っていた。昨夜から14時間を経過していた。ちかれたびぃ〜。

結局、デジカメと携帯電話が直ったのは、家に帰ってすべての道具を天日干した翌日になってからだ。どうやら雨に濡れて電源付近が接触不良を起こしていたらしい。車のスペアー・キーも見つかった。遅すぎたけど。

おしまい。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。m(_ _)m


<<釣行データ>>

【ハンドル】クワマン
【釣行日 】2001/05/02〜03
【時 間 】pm5〜pm5
【都道府県】愛知県犬山市
【対象魚 】ヘラブナ
[釣り場名]入鹿池
[ポイント]入鹿大橋から本湖へ徒歩15分
[天気  ]雨のちくもり時々晴れ
[使用竿 ]18尺
[道 糸 ]2.0号
[ハリス ]1.0号
[ウキ  ]筏川仕様1号
[上針と餌]やらず8号(27cm)、新べらグルテン+イモグル
[下針と餌]やらず8号(33cm)、グルテン四季
[水深  ]1mぐらい
[タナ  ]底
[釣果  ]35.5cm、36.0cm、41cm、42.5cm(最長寸)
[備考  ]21世紀の初40上はゲットできたのだけど・・・。