小さい秋(松野湖・岐阜県)
2001年9月30日
員弁川でのゴロヒキ(落ちアユ漁)が終り、その土手に林立していた彼岸花が枯れる頃、庭先ではキンモクセイの香りが漂い始める。春のキンモクセイの香りは、記憶の奥底から思春期の甘い思い出を醸し出させて、一瞬、胸を締め付けるような気がするのに、この季節のそれは何故か郷愁という言葉を胸の奥から掘り起こす。ススキの揺れる穂が、相乗効果を出しているのかも知れない。日の出が日毎に、分刻みで遅くなってきた。そんな9月には、やはり山上湖で秋を感じながら竿を振るのがいい。
松野湖までをホームグランドにしている名古屋のGさんに「そろそろチャンベも大きくなってるかもね。」と誘われて、久々に日曜日に休日がとれたというなごやん奥山さんをピックアップした。
車には、最小限のBBQセット(とは言っても、七輪と網だけだけど)を放り込んだ。今回は、Gさんが食材を補給してくれるというので、お言葉に甘えてホルモンと特製ミソしか持っていない。問題は天候だった。I_NETで当日の朝に確認したところ、なんとか雨には遭遇しないはずだった。
予定よりも小一時間も早く現地に到着してしまった。いつもは慢性的な渋滞でドライバーをやきもきさせるR19は、有料道路のように空いていた。と、雨。少しの惰眠をむさぶろうとしたら、目が覚めてしまうほどの雨脚になってきた。あたた。BBQはどうなっちゃうんだろ。
それでも、Gさんとポイントに合流したときには、雨は上がっていて、今にも泣き出しそうな空に向かって「頼むよ。ね!!」と思わず呟いた。
どんよりとした空。
気温18℃。水温22℃。
7月7日にGさんとご一緒したときは、朝からイレパクだった。型はともかく、エサさえついていれば、ともかく釣れた。奥山さんには、「竿?15尺ぐらいでいいんじゃない。エサなんかなんでも大丈夫よ。両ダンゴ?OK、OK!!」など言ったのも、昨日のように覚えているウキの動きを想定していたからだった。奥山さんの水温計は22℃を指しているという。内心、今日も楽勝だと思っていた。んが、1時間を経過してもサワリもない。げっ!!そんなはずはない。と、自らに言い聞かせても、ウキは微動だにしない。まいった。
2時間も経過したころ、やっとのことでボクの竿が曲がった。7月のへらさんよりも、ちょっとは大きくなったいて、尺はたっぷりあった。やっとへらさんが寄ってきた。と思う間もなく、またウキは動かなくなった。ありゃ。
やっと釣れた。
苦労して釣れた一枚は嬉しいものです。
そうこうしているうちに、向かいの突端にへら屋さんが陣取った。暫くすると、早速、竿が曲がった。ふむ。場所の選定を間違ったのか。と思ったら、穂先の動きが怪しい。釣れたのは、どうもニゴイのようだ。しかもかなり大きい。と、Gさんが竿を絞った。14尺の底釣りでウキ1本残しのちょうちんになっている。が、Gさんは「あちゃぁ〜。」と唸っている。画像ゲットのチャンス。デジカメを抱えて駆けつけると、なんかへんなもんがぶら下がってる。「カマカツですね!!」え?何それ?「関東ではスナモグリって言ってますよね。」「水がきれいで砂地のところに生息してるんです。」ふ〜ん。
あちゃぁ〜。へんなもんが釣れた〜。
どこか余裕のあるGさん。
謎の淡水魚?
カマツカ(スナモグリ)というお魚さんだそうです。
実は、奥山さんはコイ釣りが「本業」なのだが、およそ淡水魚には詳しい。ときどき竿を並べるのだが、いつも釣り上げた外道を解説してもらう。さしずめ、「歩く淡水魚辞典」。記念撮影も終えたころ、今度は奥山さんが竿を曲げた。釣れたのは、尺上のニゴイ。見たこともない大きさだ。いつもなら「さすが、コイ師さんだなぁ。」などと茶々を入れるのだけれど、今日はジョークも出ない。
でっかいニゴイさん。引きはバツグンです。
この日は何故かニゴイさんと仲が良かったなごやん奥山さん。
向かいのへら屋さんは、盛んに竿を絞っているが遠めで見てもその魚体は、異常に細長い。
こっちはウキも動かない。あ〜あ、冗談半分で「もう釣れないかも知れないから、シャッターを押してくれる?」などと言って奥山さんの釣りを邪魔したのが、マジになりそうな雰囲気になってきた。
あっという間に、時計の針は11時を刺していた。空の具合もますます怪しくなってきた。もう釣りは半分、諦めた。七輪に火を入れることにした。
話題になっている「狂牛病」というのは、ボク達には関係ない。取り敢えずは1kgのホルモンを平らげた。今日は、Gさんが白ワインを用意してくれた。これが、バカウマ。ボクはほとんどお酒は飲めないのだが、この美味さはわかる。フルーティだけどキリッとした酸味が喉を潤してくれる。脂ぎった喉は、洗礼を受けた。で、これにGさん特製のヤキソバがとどめを刺した。普通は水を加えるのだが、このかわりに特上のワインをたっぷり使う。贅沢の極みである。
さて、お腹も満腹になって再開。が、ボクの方は相変わらずジャミあたりばかりだ。
特製ヤキソバの効果なのか、Gさんが竿を絞りはじめた。しかも、コンスタントに。「型はイマイチだなぁ。」などと余裕の発言。どうも今日は、深い場所に分があるようだ。と、ボクは自分のヘボさを隠すのが精一杯になってきた。「こっちに来たら?」渡りに船である。ボクは元来、節操もない。速攻でGさんのお隣に釣台を移動させる。が、やはり釣れない。まいった。
チャンベだよ。と、やはり余裕のGさん。
このあとは一人舞台。
最後の切り札を出すしかない。「エサはどんなんですか?」もう、恥も外聞もない。と、思わぬ答えが返ってきた。「マッシュ1:1に藻べらとマッハ。」げっ!!使ったこともないエサだ。Gさんとの決定的な差がわかったような気がした。
雨が本格的に振りはじめて、パラソルが必要になってきた頃、Gさんは、へらさんをたっぷり釣り上げた余裕で、早上がり。未練たっぷりのボクは、Gさんに作ってもらったエサを頼りにもう少し粘ることにした。エサをかえた途端に、5枚ほどのへらさんと尺上のマブナを釣ることができた。消化不良な気分だったが、雨脚が強くなったのをシオにボク達も撤収することにした。同じエリアで竿を振っていたへら屋さんが、「ひぃ〜。やっとボーズを免れたよ!!」と、ボク達に声をかけてくれた。よほど嬉しかったに違いない。夏の松野湖は終っている。ここにも確実に秋が来ている。
松野湖のへらさん。
おしまい。
《釣行データ》
【釣行日】2001/9/30
【時間】6:30-14:00
【都道府県】岐阜県瑞浪市
[釣り場名]松野湖
[ポイント]石橋
[天気]曇りのち雨
[使用竿]18尺
[道糸]1号
[ハリス]0.5号(30+40)
[ウキ]ヒロシ5号
[上針と餌]グラン6号(夏+マッハ、スイミー+マッハ)のちGさん配合のダム仕様ダンゴ
[下針と餌]上針と同じ(同)
[水深]3本ぐらい?
[タナ ]底
[釣果]尺上ぐらい1枚。他8枚。なぜか鯉は釣れなかった。