ようこそ!

病院は、24時間体勢で動いている。夜は夜で、見回りの人が来るのが気になっていたし、夜中とか廊下を歩いたり走ったりする音が気になって、2日目の夜以外は中々熟睡とまではいかなかった。へいぽーの病室は、無菌室に近くてね、病室を出たり入ったりすると中が見えるんだけど、そこはドアを隔てて、また、病室が分かれているらしかった。一度だけ、帽子をかぶった人が、病室の外にいるのを見かけた。一度だけ深夜に、無菌室に向かって走る「パタパタ」という音を聞いて目が覚めた。その音は、多分、ずっと忘れないと思う。

2日目の夜から、へいぽーは仰向けで眠れなくなっていた。腰が痛いと云うのも合ったが、自力で起き上がるのが大変だったからね。元々、横向きで眠るのが好きだという事もあったので、苦にはならなかったが腰が、どこかに触れると痛かった。

4日目の朝も、早朝に採血で起された。またかよーと思いながらも、1回起されると二度寝ができなかった。だけど、この日は、本当に昨日が嘘のように良くなっていた。体が楽なのだ。だから、気分爽快で起きた。

頭があらいてーーという念願を実行するのは、今日だなと思っていた。朝食を取りに行くときに、昨日ほどでもないけど腰の痛みも重みも、まだ、残っていたので、壁に手をつきながら歩いていた。歩く振動が痛いのだ。ナースセンターの所で医師に、「まだ痛い?」と聞かれたので、「はい」とか答えながら、ご飯を持つと両手が塞がってしまうので、そっとそっと歩いていた。この日も、残さずに食べて、薬を飲んだ。

午前中に、掃除の人が来る。この人が出て行くとお昼前まで誰も来ない。この時間を逃したら、頭を洗う機会を逃してしまうと思っていた。午後は、売店へ行きたいしコーディネーターさんもいらっしゃるので午前中は逃せなかったのだ。準備をはじめた。ところがある、ここで病棟担当医が来た。

病棟担当医の口からは意外なことが告げられた。血液検査の結果が芳しくないというのだ。芳しくないとは言っても、微々たる物ではある。明日は、退院でウキウキしていたのにだ。退院を1日か2日延ばしてみたらどうだろうというのだ。うぉぉぉ、絶対、ありえない。嫌だ。明日には、退院する。絶対、退院するんだと思っていたので、先生のその申し出は丁重に断った。だって、病院で骨休めしてと先生たちは言ってくれたけど、休むどころか寝不足だっちゅうの!家に帰って寝ていたほうが、いいと思っていた。

先生は、確かに数値的にはあまりよくないけど退院はできると。ただ、家が遠いので電車に2時間も揺られなければならない。その間の苦痛や、体力的なことを考えて入院を延ばそうと言ってくれたのだ。だけど、2時間我慢しても家に帰りたかった。予定通り、明日の退院だ!

腰を曲げるのは辛かったけど、何とか短時間で頭を洗った。気持ちよかったよ。本当に本当に。そして、シャワーを浴びたいと思っていたけど、まだ、許可も下りてなかったので、体は拭いて終わりにした。外は、晴れている。気持ちがいいくらいに。

お昼ご飯も残さず平らげた。さぁーめくるめく売店へレッツゴーの時間だわ。だけど、最後の入院生活。病院の中を探検してみようと思っていた。いざ探検へ!とにかく痛いとか重いとかよりも好奇心で一杯だった。壁に手をつきながら、あっちこっちと巡って、この日、初めて階段の上り下りをしてみた。歩くよりも楽ってどういうことだと思いながら歩きまくりました。そして、最後には売店で最後の飲み物や、デザートを買って部屋に戻った。

そして、またもや面会時間になる。コーディネーターさんとお話をしたりした。毎日、遠くから僅かな面会のために来てくれるコーディネーターさんには感謝していた。病院まで遠かったので、へいぽーは入院してる間、夫も友達も来なかったからね。アンケートされたり、明日の退院の打ち合わせをした。そして、またもや僅か15分ほどで病室を後にされた。

入院最後の夜は、静かに静かに色々なことを考えていた。患者さんは、どうしただろうかとか家に残してきたネコや夫の事。友達の事を考えたりもした。この日の夜は、病室の窓からの夜景を長く眺めて過ごした。


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